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【連載】WorkFlowyのテキスト入力に関するキー操作の基本(3) カーソル移動

公開日: : WorkFlowy

WorkFlowyは、テキストを階層構造で管理するシステムです。テキストをトピックに格納し、トピックを階層構造に組み立てるという2段階で、テキストデータを管理します。

WorkFlowyはテキスト管理システムなので、テキスト入力操作は、WorkFlowyを使う上でとても大切です。ところが、WorkFlowyは、「トピック」という単位を持っているため、テキストを入力することについても、テキストエディタやWordといった、他の一般的なテキストを扱うツールとちがうところがあります。

そこで、この連載では、「トピック」という単位の特徴に留意しつつ、WorkFlowyへのテキスト入力の基本をまとめます。内容は、以下の4つです。

今回の第3回では、カーソル移動を取り上げます。テキストを入力するためには、テキストを入力したい場所にカーソルを置く必要がありますので、テキスト入力にとって、カーソル移動は大切です。

WorkFlowyのカーソル移動には、いくつかの特徴があります。ひとつの大きな特徴は、トピックをまたいで上下キーでカーソルを移動すると、カーソルが移動先トピックの冒頭に移動することなのですが、これ以外にもちょいちょい大事な特徴がありますので、地味にまとめてみます。

1.カーソル移動は、テキスト入力のために、地味に重要

この記事でまとめる「カーソル移動」とは、主にキーボードの矢印キーを押すことで、カーソルがどのように移動するか、ということです。

そんなこと、当たり前すぎて整理するまでもない、と思われるかもしれません。「上キーを押せば上の行に移動し、右キーを1回押せば1文字右に移動する。CtrlやOptionと組み合わすことで、行の最初や最後にぱっと移動できる。以上。」という整理ではダメなのでしょうか。

この説明で、8割〜9割は問題ありません。大きな困難を感じることなく、使えると思います。しかし、残り1,2割の微妙なところで、しばしば引っかかるはずです。無意識にWorkFlowyを使っていると、たまにカーソルを見失ったり、想定外の場所にカーソルが移動し、小さな困惑(あるいは大きなストレス)を感じるのではないかと思います。

私の考えでは、この困惑の原因は2つです。

ひとつは、ここでも、WorkFlowyの基本単位である「トピック」です。WorkFlowyは「トピック」という基本単位を持っているため、主に「トピック」をまたいだカーソル移動の点で、テキストエディタなど、「トピック」を持たないテキストツールと異なります。テキストエディタやWordなど、「トピック」という単位を持たないツールでテキストを扱うことに慣れていると、「トピック」を持つWorkFlowyのカーソル移動には、大きな違和感を感じることでしょう。

もうひとつは、同じく「トピック」を持つ伝統的なアウトライナー(その代表がOmniOutlinerです)たちの中で、WorkFlowyの「トピック」にまつわるカーソル移動の挙動は、必ずしも多数ではなく、しかもカスタマイズもできないことです。たとえばOmniOutlinerを使い慣れている方がWorkFlowyを使おうとすると、細かいカーソル移動のちがいに戸惑い、小さくないストレスを感じるかもしれません。

とはいえ、現時点では、WorkFlowyは、カーソル移動を細かく設定することができません。WorkFlowyをテキスト管理ツールとして使うなら、WorkFlowy自体が持つカーソル移動の挙動をきちんと理解し、それを受け入れる必要があります。

したがって、WorkFlowyのカーソル移動をちまちまと整理することは、とても地味ではありますが、実はけっこう大切な作業なのです。

[ちなみに]Twitterで見られるユーザーの声

WorkFlowyのカーソル移動については、Twitter上でも、困惑の声がちらほら見つかります。

『アウトライン・プロセッシング入門』のTak.さんは、WorkFlowyで長文を仕上げることがやりづらい理由のひとつとして、カーソル移動を指摘されます。

Evernote知的生産アンバサダーで、WorkFlowyのヘビーユーザーでもある倉下忠憲さんも、カーソル移動がエディタとちがう点を挙げ、WorkFlowyで文章を書くことがしっくりこないことをおっしゃいます。

2.カーソル移動の整理

(1) 矢印キーによるカーソル移動

a.右キー・左キー

右キーと左キーは、1文字分のカーソル移動です。右キーを押せば1文字右(後)にカーソルが進み、左キーを押せば1文字左(前)にカーソルが戻ります。

ただ、カーソル位置がトピック本文の両端やnoteなど、ちょっと特別なところにあるときは、ちょっと変わった挙動になります。順に整理します。

(a) トピック本文の両端にカーソルがある場合の、右キー・左キー

トピックの端にカーソルがあるときに左右のキーを押すと、どうなるでしょうか。

まず、トピックの冒頭にカーソルがあるときに左を押します。

トピック冒頭で、←

すると、順序がひとつ前のトピックの、トピック本文末尾に、カーソルが移動します。

←を押したとき

なお、ここでの「順序がひとつ前」とは、展開され表示されているトピック間での順序です。折りたたみによって非表示になっているトピックは、無視されます。

また、noteは関係ありません。順序がひとつ前のトピックがnoteを持っていても、カーソルは、noteにではなく、トピック本文に移動します。

トピック本文末尾にカーソルがあるときに右を押せば、これと逆です。

末尾で右

順序がひとつ後のトピックの、トピック本文冒頭に、カーソルが移動します。

次のトピック

ここでも、折りたたみによって非表示になっているトピックは無視されます。

また、noteは関係ありません。もともとカーソルがあったトピックがnoteを持っていたとしても、カーソルは、そのトピックのnoteにではなく、次のトピックのトピック本文冒頭に移動します。

(b) noteにカーソルがある場合の、右キー・左キー

カーソルがnote内にあった場合は、どうでしょうか。

noteの両端以外では、テキストエディタなどと同じであり、1文字進んだり1文字戻ったりします。

noteの両端では、note冒頭で左キーを押せば、noteが付属しているトピックの本文末尾にカーソルが移動し、

noteの冒頭で←

noteから本文へ

note末尾で右キーを押せば、noteが付属しているトピックの、次の順序のトピックの、トピック本文冒頭にカーソルが移動します。

noteの末尾で右

noteから次のトピック本文へ

b.上キー・下キー

上キーと下キーは、基本は、上下の行へのカーソル移動です。しかし、トピックをまたぐ場合の挙動は、単純な上下の行へのカーソル移動ではありません。WorkFlowyを使う上で、上下キーでトピックをまたぐカーソル移動をする機会はとても多いので、上下キーによるカーソル移動の挙動は、正確に理解しておくことが大切です。

(a) トピック本文の最後の行にカーソルがあるときの下キー/トピック本文の最初の行にカーソルがあるときの上キー

まず、トピック本文の最後の行にカーソルがあるときの下キー、トピック本文の最初の行にカーソルがある場合の上キーの挙動を確認します。

トピック本文に格納されているテキストが1行だけのときは、すべてこのケースに該当します。使い方にもよりますが、このケースに該当する場面はかなり多いはずです。

トピック本文の最後の行にカーソルがあるときに下を押します。

最終行で↓

すると、順序がひとつ後のトピックの、トピック本文冒頭に、カーソルが移動します。

次のトピックへ

もともとのカーソル位置が行のどこにあっても、移動後のカーソル位置は、トピック本文冒頭です。

また、ここでもnoteは関係ありません。もともとカーソルがあったトピックがnoteを持っていたとしても、カーソルは、そのトピックのnoteにではなく、次のトピックのトピック本文冒頭に移動します。

トピック本文最初の行にカーソルがあるときに上を押した場合は、これと逆です。

最初の行で上

順序がひとつ前のトピックの、トピック本文冒頭に、カーソルが移動します。

上のトピックの冒頭へ

ここでも、もともとのカーソル位置は関係ありません。もともとのカーソル位置が行のどこにあっても、移動後のカーソル位置は、トピック本文冒頭です。

また、noteも関係ありません。順序がひとつ前のトピックがnoteを持っていても、カーソルは、noteにではなく、トピック本文に移動します。

ここでのポイントは、「上下キーでトピックをまたいだカーソル移動をすると、移動後のカーソルは、必ず、トピック本文の冒頭になる」ということです。

(b) ひとつのトピック本文内での、上下のカーソル移動

ひとつのトピックのトピック本文が複数行に渡っている場合、ひとつのトピック本文内を上下キーでカーソル移動したときは、上下の行の相当する場所にカーソルが移動します。

途中の行にcursorがあるとき

対応する行へ

下の行の、対応する場所へ

テキストエディタなどと同じような感じです。

(c) noteにカーソルがあるときの上キー・下キー

noteにカーソルがあるときはどうでしょうか。

基本はテキストエディタなどと似ていますが、端の行だけは、少しちがいます。

  • noteの端の行以外では、テキストエディタと同じ
  • noteの1行目では、
    • カーソルが1行目の冒頭(noteの冒頭)にあるときは、noteを持っているトピックのトピック本文冒頭にカーソル移動する(末尾ではない)
    • カーソルが1行目の冒頭以外にあるときは、noteの冒頭にカーソル移動する
  • noteの最終行では、
    • カーソルが最終行の末尾(noteの末尾)にあるときは、noteを持っているトピックの次の順序のトピックの、トピック本文冒頭にカーソル移動する
    • カーソルが最終行の末尾以外にあるときは、noteの末尾にカーソル移動する

カーソル位置がnote1行目や最終行であっても、noteの両端でないのなら、カーソルは、一度、noteの両端に移動し、その後、noteから出る、という挙動です。

(2) Ctrl(Win)/Command(Mac)と矢印キーとの組み合わせによるカーソル移動

テキストエディタなどでもとても便利なCtrl(Win)/Command(Mac)と矢印キーの組み合わせは、WorkFlowyでも使えます。挙動は、以下のとおりです。

a.右キー・左キーとの組み合わせ

テキストエディタなどの一般的なテキストを扱うツールにおいて、Ctrl(Win)/Command(Mac)を右キー・左キーと組み合わせると、通常、こんな動作になります。

  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+右キー
    • カーソルのある行の末尾にカーソル移動
  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+左キー
    • カーソルのある行の冒頭にカーソル移動

WorkFlowyも同じです。右キーと組み合わせるとカーソルのある行の末尾にカーソル移動し、左キーと組み合わせるとカーソルのある行の冒頭にカーソル移動します。

トピック末尾やトピック冒頭、note内にカーソルがあるときも、この挙動は変わりません。

ポイントは、何度押しても、その行の外にはカーソルが出ない点にあります。

b.上キー・下キーとの組み合わせ

上キー・下キーと組み合わせると、Ctrl(Win)/Command(Mac)は、一般的に、次のような動きになります。

  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+上キー
    • 文書の冒頭にカーソル移動(テキストエディタなどで多い挙動)
    • カーソルのある段落の冒頭にカーソル移動(Word)
  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+左キー
    • 文書の末尾にカーソル移動(テキストエディタなどで多い挙動)
    • 次の段落の冒頭にカーソル移動(Word)

では、WorkFlowyでCtrl(Win)/Command(Mac)と上キー・下キーを押すと、どうなるでしょうか。もともとのカーソル位置がトピック本文にあるときと、noteにあるときに分けて、整理します。

(a) トピック本文にカーソルがあるとき

トピック本文の中にカーソルがあるときの挙動は、以下のとおりです。

  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+上キー
    • トピック本文の冒頭にカーソル移動
  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+下キー
    • トピック本文の末尾にカーソル移動

要するに、トピックの両端へのカーソル移動です。

ポイントは、このキーを何度押しても、そのトピックのトピック本文から外には出ない、ということです。ここに、単なる上キー・下キーとのちがいがあります。

単なる上キー・下キーだと、順序が前後のトピックへと、カーソルがどんどん移動してしまいます。しかし、Ctrl(Win)/Command(Mac)と組み合わせれば、そのトピック本文からカーソルが出ることはありません。必ず、そのトピック内でとどまります。

この点に、Ctrl(Win)/Command(Mac)との組み合わせの意義があります。

(b) noteにカーソルがあるとき

noteにカーソルがあるときはどうでしょうか。以下のとおりです。

  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+上キー
    • noteの冒頭にカーソル移動
  • Ctrl(Win)/Command(Mac)+下キー
    • noteの末尾にカーソル移動

ここでもポイントは、何度押しても、noteからカーソルが出ない、ということです。

単なる上キー・下キーでは、何度か押すと、noteからカーソルが出てしまいます。noteから出たくない場合は、Ctrl(Win)/Command(Mac)との組み合わせが有用です。

(3) Enterによるカーソル移動

WorkFlowyにおいて、Enterキーは、基本的には、トピックの新規作成です。

このEnterキーの挙動には、ちょっと変わったところがあるのですが、Enterキーを押した後のカーソル位置の点でも、若干クセがあります。

Enterキーを押した後のカーソル位置は、Enterキーの挙動全般と一緒に理解する必要がありますので、以下の記事をご覧ください。

【連載】WorkFlowyのテキスト入力に関するキー操作の基本(1) Enterキーの挙動

3.まとめ

テキストを扱うツールにテキストを入力するには、テキストを入力した場所にカーソルを置く必要があります。このカーソル移動が思い通りにできなければ、カーソル移動に意識の一部を奪われ、入力するテキスト自体に意識を集中することができません。

ところが、WorkFlowyのカーソル移動は、癖がある上に、カスタマイズができません。

そこで、WorkFlowyをテキスト管理ツールとして活用するためには、WorkFlowyのカーソル移動を理解して、それに慣れる必要があります。

WorkFlowyのカーソル移動についても、肝は「トピック」です。「トピック」に着目してポイントを3つに絞れば、次のとおりです。

  • 上下キーでトピックをまたいだカーソル移動をすると、カーソル位置は、トピック冒頭に移動する。
  • トピック冒頭にカーソルがある状態で左キーを押せば、順序がひとつ前のトピックの末尾にカーソルを移動できる。
  • Ctrl(Win)/Command(Mac)と上下キーを組み合わせれば、ひとつのトピックの両端に、すばやくカーソルを移動できる。

この記事が、WorkFlowyをテキスト管理ツールとして使うためのハードルを少しでも下げることにつながれば、大変うれしく思います。

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