「WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない。」でも「WorkFlowyによって、私の生活は変わった。」
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WorkFlowy
目次
1.WorkFlowyは、どのように、私の生活を変えたのか?
2015年になってからの9ヶ月弱で、私の生活は変わりました。変化の立役者は、WorkFlowyです。2015年1月に本腰を入れて使い始めて以来、WorkFlowyは私の生活を変え続けています。
他方で、2015年1月以降、私が新しく始めた行動は、基本的には、何もありません。WorkFlowyを使い始める前と、WorkFlowyを使い始めた後とで、私がしている行動自体は、ほとんど同じです。
つまり、
- WorkFlowyによって、私の生活は変わった。
- WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない。
ということです。
一体どういうことでしょうか、WorkFlowyは、私の生活に新しい行動を追加することなしに、どのように、私の生活を大きく変えたのでしょうか。
2.WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない
まず、「WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない。」から考えてみます。
●
前提として、私は、毎日いろんなことにWorkFlowyを使っています。1日あたりの新規トピックは、だいたい300〜500程度です。使用頻度が特に高いのは、次の3つです。
- ブログのための文章を書く
- 日記をつける
- 抜き書き読書ノートを作る
●
では、これら3つは、「WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動」ではないのでしょうか。
ちがいます。
これら3つは、WorkFlowyによって、新しく始めた行動、ではありません。WorkFlowyを使い始める2015年1月よりも前から、同じようなことをやっていました。
- Evernoteで、ブログのための文章を書く
- Evernoteで、日記をつける
- Evernoteで、抜き書き読書ノートを作る
というように、いずれもEvernoteを使って、これらをしていました。
そして、当時は、Evernoteでこれら3つをすることに、なんのさしたる不満を抱いていませんでした。
●
このように、今、WorkFlowyによってやっている主な行動のすべてを、私は、WorkFlowyを使い始める以前から、Evernoteを使って、同じようにやっていました。これが、「WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない。」ということです。
3.WorkFlowyによって、私の何が変わったのか?
それでも、「WorkFlowyによって、私の生活は変わった」ことは、まちがいありません。
ブログのための文章を書くことも、日記をつけることも、抜き書き読書 ノートを作ることも、前からやっていたことです。にもかかわらず、それらをするためにWorkFlowyを使うようになったら、私の生活は変わりました。
生活が変わったからには、WorkFlowyによって、「何か」が変わったんだろうと思います。
では、それは何でしょうか。WorkFlowyによって、何が変わったために、私の生活が変わったのでしょうか。
結論から書けば、「やり方」が変わったのだろうと思います。EvernoteからWorkFlowyへとツールを切り替えることで、私がこれら3つの行動をするときの「やり方」が変わりました。
それぞれの「やり方」の変化を、少し丁寧に見てみます。
(1) ブログのための文章を書く
まず、私は、WorkFlowyでブログのための文章を書いています。まさに今やっているのも、これです。文章のテーマを思いつくところから、文章の構造を組み立てるところ、文章を整えるところを経て、HTMLを書き出すところまで、ブログのための文章を書くすべての過程が、WorkFlowyの役割です。
WorkFlowyを使い始めるまで、私がこれらの役割に使っていたのは、主にEvernoteでした。テーマを思いつくところから、文章を組み立て、整えるところまでが、Evernoteの役割です。その後、ブログエディタにコピー&ペースとして、HTMLを整え、投稿していました。
EvernoteとWorkFlowyが果たす役割は、多くの点で共通します。とりわけ、
- 文章に関する着想をすべてキャッチすること
- 書きかけの原稿データを一箇所に集めること
- 大量の原稿を同時並行で時間をかけて少しずつ育てること
という重要な3点は同じです。
他方で、EvernoteからWorkFlowyへ切り替えたことによって、変わったこともあります。HTMLの構造を整えるところまでを担える点は大きな変化ですが、これ以外にも、いくつかのちがいがあります。
まず、ひとつひとつの文章を書くとき、アウトライナーの機能を活用できます。トピックに言葉を格納して階層構造で組み立てることによって、構造のある文章を書くことが、より楽になりました。
また、アウトライナーの機能は、全体と細部の関係を意識することを助けてくれました。ひとつの文章の中の全体と細部を往復しながら書き進めることを促してくれたのはもちろんですが、それ以上に大きかったのは、他の記事との関係です。
以前私は、「単純作業に心を込めて」を、『千夜一夜物語』みたいなブログにしたいと書きました。この心は、「私は「単純作業に心を込めて」をボトムアップで書いていて、それをやめるつもりはないけれど、ブログの全体構造みたいなものを与えられたら、もっと面白いかもしれないな。」ということです。
WorkFlowyのアウトライナー機能は、ひとつの記事として書いている文章と、他の記事として書いている文章との関係を、意識させてくれます。ある記事のためにひとつの文章を書いていると、自然と、ひとつ上の階層に思いが至るのです。これは、ボトムアップで積み上げるたくさんの文章の間に存在する全体構造を浮かび上がらせてくれるような気がします。(まあ、今のところは、「気がする」レベルの話ですが。)
それから、書きかけの文章が再浮上することが増えた気がします。Evernoteでブログの文章を書いてみて、私が最も感動したことは、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」として優れている点でした。たとえば、ひとつの文章を書くときに、うまくはまらない断片があったとして、Evernoteなら、その思考の断片の一部を捨てても死なず、いつか浮上することに衝撃を受けたのです。でも、WorkFlowyはそれ以上でした。捨てた思考の一部が、いつの間にか他の思考と化学反応を起こして新しい思考を生み出す、みたいなことが、自然と頻繁に起きました。
他には、「どこからでも書ける」という点も、WorkFlowyの面白くて便利なところでした。読書ノートや日記に何気なく書き入れた一言がやけに心に引っかかり、そこを深掘りしてみたら、あっという間にブログ記事ひとつ分の文章に育った、ということが起こります。深層からのスタートです。
以上、思いつくままざーっと書きましたが、これが、ブログのための文章を書くことについての、EvernoteとWorkFlowyの共通点と相違点です。
(2) 日記をつける
次に、日記です。
私は、一応毎日日記をつけています。最初は紙でしたが、途中でEvernoteに切り替え、今はWorkFlowyに落ち着いています。
紙のときは、1日1回、その日の夜か翌日の朝一番に30分程度のまとまった時間を確保して、一人静かに万年筆を走らせていました。
Evernoteに切り替えてからは、PostEverやWriteNoteという1日1ノートに投稿をまとめられるアプリを使って、日中頻繁にメモの断片を投稿し続け、そのノートを1日の終わりに日記に整える、という仕組みで運用していました。
WorkFlowyを使うようになってからも、日中頻繁にメモの断片を書き続け、1日の終わりに日記に整える、という運用自体は変わりません。
でも、いくつかの変化が生じました。
まず、日中メモするときに、それらのメモを構造化できることです。
PostEverやWriteNoteは、投稿に特化したアプリなので、それ以前に投稿したメモが目に入りません。それ以前に投稿したメモを編集することもできません。これに対して、WorkFlowyなら、それ以前に書き込んだ内容がそこにあります。また、トピックに階層構造をつけてメモを構造化することができます。そのため、新しい書き込みをするのと同時に、書き込みを構造化することになりました。
次に、アウトライナーの全体と細部を往復する機能によって、視点を切り替えることが用意になりました。
PostEver/WriteNoteからの書き込みは、その一瞬にフォーカスし、その一瞬の視点から書き込むものです。いわば、地に足をつけた地上からの視点だと言えます。PostEver/WriteNoteでは、これ以外の視点を使うことができません。
これに対して、WorkFlowyなら、Zoom機能によって、視点の高さを切り替えることができます。Zoom outすれば、その日1日や、さらにはその日1日よりも広い視点から、その瞬間の書き込みを俯瞰できますし、Zoom inすれば、その瞬間だけをフォーカスし、地に足をつけた視点からその瞬間に向き合えます。
それから、日記に書き込んだことを、他の場面で素材として活用できるようになりました。主にトピック移動機能のおかげです。日記をつける過程で浮かんできた思考の断片は、どんなものであっても、日記トピックでつかまえておきます。とりあえずつかまえておきさえすれば、トピック移動機能で、後からしかるべき場所に移動するのは簡単です。
たとえば、朝一番の自動書記のときに自由気ままに書きつけた内容が、そのまま、日中に作成する企画書の骨子になる、なんてことも、しばしば起こります。
こんなことが可能になるのは、どこからスタートしても、そこから無限に深く階層を掘り下げることができるためです。日記のつもりで書き始めたのに、いつのまにかブログ原稿やメールの下書きになっていた、という場合でも、スペースの不足に悩まされることはありません。
このように、WorkFlowyでつける日記は、日記であって日記ではありません。時間の経過に従ってどんどん意味を変えていく、ひとつのシステムです。
以上、思いつくままざーっと書きましたが、これが、WorkFlowyで日記をつけることの意義です。
(3) 抜き書き読書ノートを作る
3つめは、抜き書き読書ノートです。
抜き書き読書ノートは、縁あって出会った本を、自分にとって大切な意味をもつ本に育ててくれます。私は、数年前から始めたこの抜き書き読書ノートのおかげで、何冊もの自分にとって大切な本に恵まれました。
抜き書き読書ノートを始めたとき、私が最初に選んだツールはEvernoteでした。私が当初、抜き書き読書ノートに抱いていたイメージは、自分専用読書データベースです。そのため、個人が使えるデータベースの最高峰であるEvernoteが最適解のはずだ、との判断を下しました。
実際、Evernoteは、うまく機能してくれました。本の抜き書きテキストデータだけでなく、表紙画像やAmazonへのリンク、ifttt経由で取り込んだ購入情報、読了情報などを自動的に統合してくれるため、自分専用読書データベースとしては盤石です。
ですが、思うところあって、WorkFlowyに切り替えました。
そこで、EvernoteとWorkFlowyの共通点と相違点を考えてみます。
まず、Evernoteでやっていたのは、概ね、
- 本からの抜き書きを記録する
- 抜き書きへのコメントを書き込む
- 読書を起点とした文章(書評とか)を書く
- 三色ボールペン方式で読んだ紙の本の写真を保存する
- iftttやメール転送で本に関する情報を自動的に集約する
- ウェブクリップでその本に関するウェブ情報を収集する
という6個です。
これに対して、WorkFlowyでできるのは、主に、最初の3つ、
- 本からの抜き書きを記録する
- 抜き書きへのコメントを書き込む
- 読書を起点とした文章(書評とか)を書く
だけで、残り3つはできません。
また、WorkFlowyでできる3つについても、いくつかの変化がありました。
第1に、個々の抜き書きや書き込みを本の全体構造の中に位置づけることができるようになりました。
これはそれほど大げさなことではありません。全体構造とは、要するに、編・章・節などその本の項目のことで、WorkFlowyの階層構造によって、抜き書きや書き込みを項目の下に配置できる、ということです。こうすれば、たとえば、折りたたみ機能によって本の全体構造と抜き書きを同時に確認することができます。
第2に、情報を区別して管理できるようになりました。
この区別には、2種類のものがあります。ひとつは、本からの抜き書きと自分の書き込みの区別で、もうひとつは、客観的に重要な箇所と主観的に面白い箇所の区別です。また、なぜ、この区別ができるかといえば、WorkFlowyが備える2つの機能のおかげです。ひとつは、トピック階層構造で、もうひとつは、下線・太字・斜体(及びそれをカスタマイズした三色ボールペンWorkFlowy)です。
第3に、抜き書き読書ノートの中に蓄えたいろんな情報が、抜き書き読書ノートの中にとどまらず、その他の領域のための素材として活用されるようになりました。抜き書き読書ノートを作ることによって、その本を自家薬籠中のものにすることができるイメージです。
第4に、抜き書き読書ノートは、どんな場所に書いたどんなひとことからでも、無限のスペースを活用して、考察を深めたり文章を書いたりすることができました。たとえば、「店長からのおすすめの一品」というブログ記事は、『ブログを10年続けて、僕が考えたこと』というKindle本の読書ノートの深層から生まれました。
第5に、WorkFlowyによる読書ノートは、読書後だけでなく、読書の最中や読書の前にも、役に立ちました。たとえば、読書の前、私は、「何のためにこの本を読むのか?」とか「この本との縁はどこから生まれたか?」など、いくつかの問いを考えることにしています。読書の質を高める効果があるためです。この問いをWorkFlowyで考えて、そのためのトピックをそのままその本の抜き書き読書ノートのベースとすることができます。また、本というのはいろんなシチュエーションで読むものなので、その本を読んだときのシチュエーションを記した日記トピックから、その本の抜き書き読書ノートトピックに転記しておけば、読書の最中を記録することもできます。
EvernoteからWorkFlowyに切り替えることで、できなくなったことは、たくさんあります。データベースとしての完成度でいえば、Evernoteの方が数段上です。でも、結局のところ、私が抜き書き読書ノートに求めていたものは、読書に関するデータベースではなく、読書のためのワークスペースなんだろうなと気づきました。
以上、思いつくままざーっと書きましたが、これが、WorkFlowyに切り替えることで抜き書き読書ノートに生じた変化です。
4.WorkFlowyは、私の文章の書き方を変えた
さて、以上の3つの行動を通じて、WorkFlowyによって変わった「やり方」を見てきました。
ところで、これら3つの行動、すなわち、
- ブログのための文章を書く
- 日記をつける
- 抜き書き読書ノートを作る
には、大きな共通点があります。
言葉を記録し、動かし、組み立て、構造を作る、ということです。もっとシンプルに、文章を書くこと、といってもいいでしょう。
ブログのために文章を書くことはもちろん、日記をつけることも、抜き書き読書ノートを作ることも、そこで私がやっていることは、言葉を記録して、動かして、組み立てて、構造を作ること、そしてそれによって文章を書くことです。
ということは、ここでいうWorkFlowyによって変わった「やり方」とは、「文章の書き方」といえるのではないのでしょうか。つまり、「文章の書き方」の変化によって、これら3つの行動のあり方が変化し、そして生活全体が大きく変化したのではないか、ということです。
「文章の書き方」はしょせん文章を書く技術なのだから、「文章の書き方」が変わることで生活全体が変化するとは考えられない、という意見もあるかもしれません。
でも、文章を書くことは、考えることと密接につながっています。「文章の書き方」の変化は、ある意味、「考え方」の変化です。
WorkFlowyによって、ある領域の「文章の書き方」が変われば、その領域の「考え方」が変わります。その領域の「考え方」が変われば、その領域の行動が持つ意味が変わりますので、その積み重ねで、いずれは生活全体が変わってもおかしくはありません。
WorkFlowyは、私の文章の書き方を変えました。これが、WorkFlowyが私の生活を大きく変えた理由ではないかと思います。
5.おわりに
この文章で考えたのは、
- WorkFlowyによって、私の生活は変わった。
- WorkFlowyによって、私が新しく始めた行動は、何もない。
という、私の経験です。
ここで、私は、WorkFlowyによって新しく始めた行動が何もないにもかかわらず、WorkFlowyによって生活が変わったのはなぜなのか、という疑問からスタートして、「WorkFlowyは、文章の書き方を変えた」ということにたどり着きました。
●
いってみれば、まあ、当たり前のことです。でも、これを「WorkFlowyを何に使ったらいいの?」という疑問を抱いている方へのアドバイスにすることもできます。
つまり、こういうことです。
- WorkFlowyは、何に使ったらいいのか?
- 「文章を書くことで、ものを考える」領域の行動に使うとよい。
- WorkFlowyによってまったく新しいことを始めようとするのではなく、今の生活の中ですでに自分がやっている「文章を書くことで、ものを考える」領域の行動を探し、その行動にWorkFlowyを使うとよい。
となります。
●
私の場合は、ブログのための文章を書く、日記をつける、読書ノートを作る、などが「文章を書くことで、ものを考える」領域の行動でした。
だから、私は、この3つの行動にWorkFlowyを使いました。
でも、これは私の例に過ぎません。
自分の生活の中にある「文章を書くことで、ものを考える」領域の行動は、人それぞれのはずです。
WorkFlowyによって新しいことを始めようとはしないで、ご自身の生活をふり返り、すでに自分がやっている「文章を書くことで、ものを考える」領域の行動にWorkFlowyを使うことが、WorkFlowyとうまく付き合うコツではないかと思います。
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