WorkFlowy Proの共有機能で、スマーフォン用サブアカウントに「flow」トピックを共有する
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WorkFlowy
1.はじめに
昨日、WorkFlowyの有料アカウントである「WorkFlowy Pro」を説明しました。
WorkFlowy Proの特典のひとつは、共有機能です。無料アカウントは、URLによる共有しか使えないのに対して、WorkFlowy Proは、特定のWorkFlowyアカウントに対する共有を選択できます。
このPro限定の特定のWorkFlowyアカウントに対する共有を活用する一例として、私は、iPhone用のサブアカウント(無料アカウント)を作り、そのサブアカウントに、「flow」というトピックを共有している、ということを書きました。
そこで私は、スマートフォン用に自分のサブアカウントを作成し(無料アカウントで十分)、そのアカウントに、「flow」というトピックを共有する、という使い方をしています。
「flow」トピックは、スマートフォンから操作したいトピックを一時的に入れておくトピックです。たとえば、まさにこのトピックも、iPhoneのWorkFlowyで書き始めたメモを起点とする文章なので、現時点では、「flow」トピックの配下にあります。
自分のサブアカウントに「flow」トピックを共有することによって、スマートフォンからも、快適にWorkFlowyを使えています。
メインアカウントとは別にサブアカウントを作り、メインアカウントの一部をサブアカウントに共有し、サブアカウントを「斥候部隊」のように活用すること。これは、Evernoteで時々紹介されるノウハウです。倉下さんの『Evernote豆技50選』に、丁寧でわかりやすい説明が掲載されています。
Evernote豆技50選 (Espresso Books)
スタンダードユーザーでも、他の人と「ノートブックの共有」は行えますが、あくまでそれは「見せるだけ」の共有です。対して、プレミアムユーザーは「編集する権限」も相手に与えられます。それを使って自分のEvernoteを「本隊」と「斥候部隊」に分けるのです。
「本隊」に当たるのがプレミアムアカウントです。普段使いのこのアカウントをPとします。そして、「斥候部隊」に当たるアカウントを新しく作ります。こちらはスタンダードアカウントで問題ありません。これをSとしましょう。
※「本体」は重厚なイメージ、「斥候部隊」は軽快なイメージを持ってください
location 553
Sは「斥候部隊」であり、共有されたノートブックしか存在していません。すると、「本隊」に比べればノート数は非常に小さくなります。つまり、軽いのです。さらにそのノートブックを「直近で使う情報しか入れない」ようにしておけば、その軽さはより際立ちます。
スマートフォンやタブレットを使う、つまり外出先での使用ならば、そのボリュームでも運用できるでしょう。逆に言うと、外出先で使うだろう情報に限定して、ノートブックに情報を入れていくわけです
location 562
私が紹介した、iPhone用のサブアカウントに「flow」トピックを共有する仕組みは、これをそのままWorkFlowyに応用しただけです。特に目新しい情報だとは認識していなかったのですが、いただいた反応は、うれしい誤算でした。
@irodraw 「flow」トピックの話聞いてないぞ!すげー良さそうじゃん!w
— るう@あじさい (@ruu_embo) 2015, 6月 16
サブアカウントの使い方面白い! https://t.co/msbokfDUPL
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 6月 16
@takwordpiece @ruu_embo おお、そこですか! なかなかよいなと思ってます。るうさんご指摘のとおり、inboxをサブアカウントにしちゃうのもありです。 トピック数のカウントはProに付くので、サブアカウントは無料で十分ですし♫ では、別途まとめまーす^ ^
— 彩郎 (@irodraw) 2015, 6月 16
そこで、以下、メインアカウントの「flow」トピックを、Pro版の共有機能で、iPhone用のサブアカウントに対して共有する、という仕組みの作り方と意義などを説明します。
2.iPhone用のサブアカウントに「flow」トピックを共有する仕組み
(1) 解消したい課題
WorkFlowyの基本枠組みは、すべてのメモを「ただひとつの巨大なリスト」で管理することです。そのため、WorkFlowyを使い続けていると、「ただひとつの巨大なリスト」が、どんどん巨大になります。
WorkFlowyは、ブラウザでWorkFlowyにアクセスしたタイミングやアプリを起動したタイミングなどに、この「ただひとつの巨大なリスト」全体を読み込んでいます。そのため、一旦全体を読み込んだ後は、「ただひとつの巨大なリスト」内の移動はものすごく駿足であるのにたいして、「ただひとつの巨大なリスト」全体を読み込むには、それなりの時間が必要です。
「ただひとつの巨大なリスト」が小さいうちは、つまり、アカウント全体のトピックの数が少ないうちは、「ただひとつの巨大なリスト」全体を読み込むのも、それほど時間はかかりません。しかし、トピック数が5千を超え、1万を超え、5万や10万になると、「ただひとつの巨大なリスト」全体を読み込むには、数十秒を超える時間が必要になり、ときにエラーが生じることもあります。
それでも、ブラウザからの使う場合は、それほど大きな問題ではありません。私のFirefoxはWorkFlowy専用ですし、私のMacBook AirはWorkFlowy&Evernote専用機のようなものなので、常にFirefoxからWorkFlowyを開きっぱなしです。MacBook Airをぱたんと開いたその瞬間、そこに「ただひとつの巨大なリスト」全体が読み込まれた状態ですので、「ただひとつの巨大なリスト」全体を再読込するタイミングは、ほとんどありません。
これに対して、iPhoneから使う場合は、大問題です。WorkFlowyに何かメモしたいと思い、WorkFlowyアプリを立ち上げても、WorkFlowyのロゴとぐるぐる回る丸が表示されるだけで、「ただひとつの巨大なリスト」がなかなか表示されないことが、頻繁にあります。とりわけ、「ただひとつの巨大なリスト」が巨大になるにつれて、アプリ立ち上げ時に再読み込みになる頻度が高まったように思います。
WorkFlowyの強みのひとつは、iPhoneからも「ただひとつの巨大なリスト」を扱えるクラウドアウトライナーであることなのに、これでは宝の持ちぐされです。
そこで、解消したい課題は、
〈WorkFlowyの「ただひとつの巨大なリスト」がどんなに巨大になっても、iPhoneから使うWorkFlowyの快適性を損なわないには、どうしたらよいか?〉
です。
この課題を解消するのが、iPhone用のサブアカウント(無料)に、メインアカウント(Pro)の「flow」トピックをPro版共有する、という仕組みです。以下、項目を改めて、この仕組みの作り方を説明し、私彩郎の実例を紹介します。
(2) 課題を解消する仕組みの作り方
a.メインアカウント(Pro)とiPhone用のサブアカウント(無料)
用意するWorkFlowyアカウントは、2つです。
メインアカウントは、WorkFlowy Proである必要があります。こちらのアカウントは、パソコンのWorkFlowy専用Firefoxから使います。「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」としてのWorkFlowyを育てるのは、こちらのアカウントです。
メインアカウントの他に、iPhoneやスマートフォン用のサブアカウントを用意します。ひとつに限定する必要はありません。でも、ひとつあればとりあえず課題は解消します。こちらのアカウントは、無料アカウントで十分です。
b.メインアカウントの「flow」トピックをサブアカウントにPro共有
まずは、メインアカウント側の操作です。メインアカウントの「flow」トピックを、サブアカウントに共有します。
最初に、メインアカウントに、「flow」というトピックを作ります。場所はどこでも構いません。私は、Home直下に作っています。
次に、この「flow」トピックを、サブカウントに共有します。ここで使うのは、WorkFlowy Pro限定の、特定のWorkFlowyアカウントに対する共有です。
「view」のみと「edit」まで可能とを選択できますが、「edit」まで可能な共有を選択します。
c.サブアカウントのHomeに「flow」トピックを埋め込む
次は、サブアカウント側の操作です。
まず、メインアカウントから共有を受けた「flow」トピックを受け入れ、サブアカウントのリストの中に埋め込みます。埋め込む場所はどこでもよいです。私は、Home直下に埋め込んでいます。
この操作は、パソコンのブラウザからでも、iPhoneやスマートフォンからでも、問題ありません。
これだけでサブアカウントの準備は完了なので、あとは、iPhoneやスマートフォンのWorkFlowyアプリから、このサブアカウントにログインします。
d.「flow」トピックの運用
「flow」トピックは、スマートフォンのWorkFlowyから確認したり編集したりしたいトピックを、入れておきます。
GTDならinbox、「フロー・ストック・アーカイブ」の3分類ならフローが、「flow」トピックの役割です。(参考:フロー、ストック、アーカイブ。Evernote情報処理システムに収納する情報の分類。)
(ちなみに、「flow」という名前の理由は、2つあります。
ひとつは、私の情報管理の基本枠組みが、「フロー・ストック・アーカイブ」の3分類であり、「flow」トピックは、このうち「フロー」を担うからです。
もうひとつは、私がWorkFlowyに感じる知的生産ツールとしての強みは、「流れ続ける思考をフローとして捕まえる」ことだからです。)
サブアカウントに共有するトピック(つまり、iPhoneから使うトピック)は、メインアカウントからコントロールします(つまり、パソコンのWorkFlowy専用Firefoxで管理します)。メインアカウントのトピックを操作して、iPhoneから使いたいトピックを、「flow」トピックの下に移動するだけです。
(3) 仕組みによる課題の解消
ここで作った仕組みは、要するに、メインアカウントの「flow」トピックを、サブアカウントに対して、編集可能で共有している、というだけです。この仕組みは、以下のとおり、〈WorkFlowyの「ただひとつの巨大なリスト」がどんなに巨大になっても、iPhoneから使うWorkFlowyの快適性を損なわないには、どうしたらよいか?〉という課題を解消します。
(a) サブアカウントは「flow」トピックだけなので、サブアカウントは軽い
まず、サブアカウントに入っているトピックは、「flow」トピックだけです。
「flow」トピックだけなので、トピック数はそんなに大きくならないので、「ただひとつの巨大なリスト」全体を読み込むとしても、軽いです。
また、「flow」トピックのトピック数が大きくなってしまったら、メインアカウントで、「flow」トピックの下から、iPhoneから使う必要のないトピックを、出せばよいです。トピックを消さなくても、「flow」トピックから外に出すだけで、サブアカウントは軽くなります。
(b) 「flow」トピックのトピック数はメインアカウントにカウントされるので、サブアカウントのトピック数制限は気にしなくて大丈夫
次に、サブアカウントは、無料アカウントでも、新規トピック数制限に引っかかりません。
というのも、新規トピック数制限は、トピックの所有者にカウントされるためです。「flow」トピックの下に新しいトピックが作られる以上、それを作ったのがどのアカウントだとしても、トピック数制限のカウントは、「flow」トピックの所有者であるメインアカウントにつきます。そして、メインアカウントはWorkFlowy Proの無制限なので、「flow」トピックの下に新規トピックを作ることについては、サブアカウントといえども、トピック数制限をまったく気にしなくてよいわけです。
(c) 「flow」トピックは、メインアカウントの中のいちトピックなので、メインアカウントのトピック移動機能によって、サブアカウントへの出し入れがスムーズ
さらに、サブアカウントに共有するトピックの操作が、すごく柔軟で、流動的で、楽です。
というのも、メインアカウントで(つまり、パソコンのWorkFlowy専用Firefoxで)、「flow」トピックの下にどんなトピックを配置するかを決めれば、それが即、サブアカウントに共有するトピック(つまり、iPhoneのWorkFlowyアプリから使うトピック)になるためです。
WorkFlowyは、特にパソコンのブラウザから使用する場合に、トピック移動機能が非常に優れています。キーボードショートカットのトピック移動やカット&ペーストを使えば、大量のトピックでも、飛び飛びの複数トピックでも、思いのままに、トピックを移動できます。
「flow」トピックの仕組みでは、この柔軟で強力なトピック移動機能を、サブアカウントに共有するトピック選択に、そのまま活用できます。
(d) サブアカウントの差分メール機能によって、「flow」トピックの差分だけを、毎日メールで確認できる
それから、多少おまけのTipsですが、共有を受けている「flow」トピックも、サブアカウントの差分メール機能の対象となります。
そのため、「flow」トピックの差分だけが、サブアカウントの差分メール機能によって、毎日、メールで届きます。
差分メール機能はとても便利な機能です。しかし、いろいろな用途にWorkFlowyを使っていると、メインアカウントの1日分の差分には、雑多で大量のトピックが混在しているため、情報としては、秩序や一貫性に欠け、それほど有用ではありません。
これに対して、サブアカウントの差分は、「flow」トピックだけの差分です。
私の場合は、「flow」トピックには、朝一番の自動書記から始まる日記や、iPhoneで捕まえたブログのアイデアメモなどが入ります。これらだけに絞り込んで届けてくれるサブアカウントの差分メールは、すべてを含むメインアカウントの差分メールよりも、むしろ有用な情報のような気がしています。
3.彩郎の実例
さて、最後に、今の私の実例を紹介します。
(1) メインアカウントの「flow」トピック(「WorkFlowy専用Firefox」から)
メインアカウントの「flow」トピックは、Home直下に置いています。
「flow」トピックに入れているのは、もともとは「iPhoneから使うかもしれないトピック」だったのですが、最近は、それよりも広く、「フロー」のトピックは何でも入れています。
「フロー」とは、「フロー・ストック・アーカイブ」の3分類のうちの「現在進行中」です。
今の今だと、「flow」トピックの下にいるのは、こんなトピックです。
必ず存在するのは、今日の日付のトピックで、今日だと「2015/06/17」です。日付トピックは、朝一番の自動書記から始まり、その日一日、思いついたことを適当に書き続けます。日記といえば日記ですが、果たしている機能は、日記以上のものです。
それ以外のトピックは、適当です。書きかけの文章も、今とりかかっているプロジェクトのメモも、あまり気にせず全部放り込んでいます。
たとえば、まさにこの文章も、昨日、思いついて「flow」にメモを書いたあと、そのまま書き進め、今に至ります。
全然整理されていません。でも、それでいいと思っています。
フローのトピックを、整理しないで適当に放り込むのが、「flow」トピックです。GTDのinboxのようなものとも言えます。
(2) サブアカウントのHome(iPhoneのWorkFlowyアプリから)
サブアカウントは、iPhoneから見ると、こんな感じです。
Home直下一番上の「持ち運ぶWorkFlowy」というのが、サブアカウント自身のトピックで、残りは全部他のアカウントから共有を受けているトピックです。
(「我が家」トピックは、妻と共有している家庭用のトピックです。買い物メモやお出かけ先リスト、レシピなどを入れています。Evernoteとの住み分けがまだピンときていません。
「アウトライナー友の会」は、段差ラ部の共有トピックです。『アウトライン・プロセッシング入門』でTak.さんが少し触れていたトピックは、きっとこれです。)
「flow」トピックが、ここで説明している「flow」トピックです。
メインアカウントの「flow」トピックと同じものです。当然ながら、サブアカウントで加えた変更は、メインアカウントにも反映されます。
iPhoneから文章を書き進めることもできます。
4.おわりに
以上、「WorkFlowy Proの特定アカウントに対するトピック共有機能を応用すると、自分のサブアカウントにメインアカウントの一部だけを共有できますよ。」ということを紹介しました。
ここでの説明は、〈メインアカウントのトピック数が膨大になることによって、スマートフォンからのWorkFlowyが重たくなってしまう〉という課題を解消することに焦点を合わせました。
でも、「メインアカウントの一部をサブアカウントに共有する」ことは、もっと幅広い場面で力を発揮しうる仕組みです。というのも、ここでしていることは、メインアカウントの「ただひとつの巨大なリスト」の一部を、サブアカウントへと暫定的に切り出すことだからです。サブアカウントへの暫定的な切り出しによって、「ただひとつの巨大なリスト」に、自分が求める観点で区切りを入れることができることが、この本質です。
WorkFlowy Proユーザーの方は、ご自身の使い方や制約、課題に応じて、この仕組みをどのように活用できるか、試行錯誤してみてはいかがでしょうか。
【関連情報】
WorkFlowy自体の説明は、WorkFlowyの丁寧な説明をご覧ください。
WorkFlowy Proについては、WorkFlowy Proの説明をご覧ください。
WorkFlowyの共有機能の基本は、WorkFlowyの共有機能の使い方と、知っておくと役に立つ知識をご覧ください。
WorkFlowyのトピック移動機能をキーボードから使う方法は、WorkFlowyのキーボードによるトピック移動機能の基本をご覧ください。
彩郎のWorkFlowyのトピック数は、いったい何によって10万を超えているんだろう、という素朴な疑問を感じた方は、彩郎のWorkFlowy(2015/02/21段階)やWorkFlowyで「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を育てる、自分のWorkFlowyを育てる。「赤坂シナモンの地下迷宮」へと続く試行錯誤の中間報告。あたりをご覧ください。
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