WorkFlowy×ハサミスクリプトを支えるふたつの思想
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WorkFlowy
目次
1.WorkFlowy×ハサミスクリプト
私がブログ原稿を書くために使っているツールは、WorkFlowyです。
WorkFlowyでブログ原稿を書くというと、文章の構成を組み立てるためにWorkFlowyを使い、文章を書くのはEvernoteやブログエディタ、という使い分けを思い浮かべる方もいるかと思います。
でも、私のやり方は、ちがいます。WorkFlowyで文章を書き上げます。文章の構成を組み立てるためだけじゃなく、単語や接続詞やてにをはを選んで文章を整えるところまで、すべての過程を担うツールが、WorkFlowyです。
ここで、大きな役割を果たしているのが、WorkFlowyのトピックをHTMLに変換するスクリプトです。私は「ハサミスクリプト」と呼び、愛用しています。
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ハサミスクリプトは、WorkFlowyからExportしたOPMLデータをHTMLに変換するプログラムです。言ってみればそれだけのシンプルなツールなのですが、ハサミスクリプトとWorkFlowyを組み合わせると、大きな威力を発揮します。なぜかといえば、ハサミスクリプトとWorkFlowyは、とても相性が良いからです。
両者の相性の良さは、いろんなレベルで説明できるのですが、ここでは、思想から考えてみます。WorkFlowyは、それ自身が思想を持っています。ハサミスクリプトは、WorkFlowyの思想にピッタリと当てはまるツールなので、WorkFlowyとの抜群の相性の良さを誇ります。
以下、WorkFlowy×ハサミスクリプトを支えるふたつの思想を考察します。その上で、この2つの思想を起点にして、WorkFlowy×ハサミスクリプトが秘める可能性を妄想してみます。
2.WorkFlowy×ハサミスクリプトを支える2つの思想
(1) ひとつの場所から、たくさんの作品を切り取る
WorkFlowyは、ひとつのアカウントにつき、ひとつのリスト(アウトライン)しか作ることができません。
なぜかといえば、WorkFlowyは、「リスト(アウトライン)はひとつあれば十分だし、ひとつだけの方がむしろよい」という思想を持っているからです。
「アウトラインはひとつあれば十分だし、ひとつだけの方がむしろよい」というWorkFlowyの思想を肯定する。
WorkFlowyは、ユーザーに、ユーザーがWorkFlowyに蓄積するすべての情報を、「ただひとつの巨大なリスト」に集約することを強制します。
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WorkFlowyは、テキスト管理システムです。テキスト管理システムの役割のひとつは、テキストをアウトプットすること、たとえば文章を書き上げて公開することです。
しかし、WorkFlowyでユーザーが使えるのは、巨大なリストただひとつです。このリストは、WorkFlowyを使い続ける限り変化し続けますので、完成することがありません。そのため、WorkFlowyの「ただひとつの巨大なリスト」そのものをアウトプットすること、すなわち、完成した作品として公開することは、不可能です。
かといって、WorkFlowyがアウトプットのために役立たない、というわけではありません。むしろWorkFlowyは、強力にアウトプットを支えます。
では、WorkFlowyによるアウトプットは、どのような形になるのでしょうか。
それは、WorkFlowyからアウトプットを切り取る・切り出す、という形です。WorkFlowy自身は変化し続け完成しませんが、WorkFlowyの一部を別の場所に切り取った何かなら、固定した作品として完成させることができます。WorkFlowyの「ただひとつの巨大なリスト」は全体としては変化し続けますが、WorkFlowyで書いた文章を別のファイルなどに切り取ってひとつの独立した文章にすれば、その文章を完成させることができます。
これが、WorkFlowyによるアウトプットです。
私は、これを、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」と「暫定的な作品群」というメタファーで捉えています。
WorkFlowyは、常に大量の書きかけの文章群を含み、変化し続けますので、ずっと完成しません。あたかもひとつの有機体であるかのように、ウニョウニョと成長し続けます。
その変化し続ける有機体から、その瞬間の形を切り取ったものが、私なりのアウトプットです。ベースとなるWorkFlowy自体は変化し続け、成長し続けますので、切り取られるアウトプットも、その時点での暫定的な作品ではあります。でも、まがりなりにもひとつの完成した作品として切り取られます。
ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ
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このWorkFlowyによるアウトプットを、R-styleの倉下忠憲さんは、R-style » WorkFlowy企画:第四回:根源たる場所で、脳の働きと対比して、考察しています。
脳は、カテゴリーごとに記憶を切り分けたりはしない。ファイルを分けたりはしない。だから、「ベンゼン環」を思い出そうとして「ジェレミ・ベンサム」という単語が頭に浮かんでしまう。蜜柑を食べながら、未完の作品についてふと考えてしまう。全てがごちゃまぜに、一つにまとまっていて、そのときそのときに応じて「切り出されている」だけだ。 WorkFlowyも、同じ構造になっている。
「全てがごちゃまぜに、一つにまとまっていて、そのときそのときに応じて「切り出されている」だけだ。 WorkFlowyも、同じ構造になっている。」とは、WorkFlowyによるアウトプットの本質をとらえた、すばらしい表現だと思います。
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WorkFlowy×ハサミスクリプトは、「ただひとつの場所」からアウトプットを「切り取る」という思想を持っています。
WorkFlowyという「ただひとつの場所」を育てていくと、ある部分が、ひとつの作品としてまとまってくる。そのまとまった一部分を、HTMLやマークダウンという形式で「切り取る」。このために使うハサミのようなツールが、ハサミスクリプトです。
(2) 「見出し」か「本文」かは、切り取る瞬間における結果である
WorkFlowyは、テキスト情報を管理するシステムです。
一般に、テキスト情報を管理するシステムは、テキスト情報を区切る単位を持っています。たとえばEvernoteは、ノート、ノートブック、ノートブックスタックなどの単位を持っています。また、たとえばテキストファイルはファイル、フォルダなどの単位を持っています。
Evernoteやテキストファイルといった他の一般的なテキスト情報管理システムと比較すると、WorkFlowyの特徴のひとつは、テキスト情報を区切る単位がひとつしかない、という点にあります。
この特徴も、WorkFlowyの強い思想で支えられています。「情報を区切る単位はトピックだけでいい」です。
「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想
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「情報を区切る単位はトピックだけでいい」という思想を持っているため、WorkFlowyには、「見出し」と「本文」の区別がありません。すべてのトピックは等価です。
『アウトライン・プロセッシング入門』で、Tak.さんは、次のように述べています。
自由なアウトライン・プロセッシングに適しているのは、1ペイン方式で、「本文」と「見出し」を区別しないタイプのアウトライナーです。 言いかえると、すべての項目が等価に扱われ、そのときどきにつくられる階層関係によって時に見出しになり、時に本文にもなるという方式です。アウトライン項目が最終的に「見出し」になるか「本文」になるかは、あくまでも結果だからです。
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WorkFlowyの思想が、端的に表現されています。WorkFlowyの等価なトピックは、そのときそのときのトピック階層構造によって、ときに「見出し」になり、ときに「本文」になります。
「見出し」なのか「本文」なのかは、WorkFlowyから切り取る瞬間に、切り取ったトピックが、どんな階層構造をしているのかによって、結果として決まることです。
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WorkFlowy×ハサミスクリプトは、「見出し」と「本文」は等価であり、結果である、という思想で設計されています。
というのも、ハサミスクリプトの基本は、
- 子トピックを持たない最下層トピックは「本文」としてpタグで囲み、
- 子トピックを持つトピックは「見出し」としてhタグで囲む
だからです。
あるトピックに格納されたテキストを、「本文」として切り取るか、「見出し」として切り取るかを決めるのは、「トピックの階層構造」だけです。切り取る瞬間のトピック階層構造だけが、「見出し」か「本文」かを決めます。
まさに、「見出し」か「本文」かは、切り取る瞬間における結果である、というWorkFlowyの思想を反映しています。
3.WorkFlowy×ハサミスクリプトの可能性
以上見てきたように、ハサミスクリプトは思想を持っています。これらの思想はWorkFlowy自身の思想に沿っているため、WorkFlowyとハサミスクリプトの相性は抜群です。
- 「アウトラインはひとつあれば十分だし、ひとつだけの方がむしろよい」というWorkFlowyの思想を肯定する。
- ハサミスクリプトは、WorkFlowyの一部を、いろいろな形で切り取る・切り出すためのツールである
- 「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想
- ハサミスクリプトは、トピックの階層構造によって、「見出し」と「本文」を区別する
今のところ、ハサミスクリプトの役割は、WorkFlowyのトピックをブログに投稿できる形に切り取ることの支援です。しかし、WorkFlowy×ハサミスクリプトの思想は、なにもブログに限定されるわけではありません。WorkFlowy×ハサミスクリプトは、もっと大きな可能性を持っているように思います。
ハサミスクリプトの愛用者のひとりである捗りあんさんも、こんなことを書かれています。
WorkFlowyでアウトラインを作成→テキストを埋めていき、最終的にMarkdownで出力できますので、ブログはもとよりRead Meなど様々なドキュメントを作成する際にも便利に使えるのではないでしょうか?ブログ用途でなくてもMarkdown作成のためにアウトライナーを使いたいと考えているエンジニアなどの方々にも良いソリューションなのではないでしょうか。
引用元:[捗]WorkFlowyからMarkdown出力できるブックマークレットで可能性が広がる! | 捗りあん
私も、WorkFlowy×ハサミスクリプトの可能性を、ブログだけに限定することなく、ひろく探ってみたいと思います。
(まずは、でんでんコンバーター用のテキストファイル作成のためにハサミスクリプトを使う予定です。でんでんコンバーター×WorkFlowy×ハサミスクリプトについても、いろいろ試行錯誤して、アウトプットしたいと目論んでいます。)
でんでんコンバーターのでんでんマークダウンは、HTMLでもいいんだ! http://t.co/ifgb0ssIEp ということは、ハサミスクリプトで、でんでんコンバーターに通すテキストファイルを切り出せる、ということ。 こ、これは!
— 彩郎 (@irodraw) 2015, 5月 29
でんでんコンバーターとハサミスクリプトのおかげで、『WorkFlowyの説明書』『WorkFlowyの教科書』『WorkFlowyの理論書』のWorkFlowy三部作が、ちょっと現実味を帯びてきたかも。 WorkFlowyで、全体のロードマップを描いてみようかな。
— 彩郎 (@irodraw) 2015, 5月 29
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