マンダラートの技法「四隅マトリクス法」の具体例と説明
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Mandal-art
目次
1.マンダラートで、論理の枠組みを活用して、思考する
先日、マトリクスと比較する視点から、マンダラートで論理の枠組みを活用して思考する方法を説明しました。
論理の枠組みで思考を導くマンダラートの創り方と読み方(マトリクスと比較する視点から)
そしてこの中で、マンダラの四隅をマトリクスのように使う方法をご紹介しました。
ここまでのプロセスは、マトリクスを作ることによる論理的思考と共通しています。マンダラートによっても、マトリクスのような論理の枠組みで思考を導くことができるというのは、こういうことです。
でも、このとき書いたのは、マンダラの四隅をマトリクスのように使う方法の、ほんのさわり部分です。マンダラートをマトリクスのように使うことには、まだまだ続きがあります。
(なお、マンダラートをマトリクスのように使うことには、まだ続きがあります。秘密は、上下左右の空白セルです。この空白から、どのような思考を導くか は、別途まとめたいと思います。)
この続き部分を含めた全体を、「四隅マトリクス法」と名付け、以下、まとめます。
2.マンダラ「言葉の機能を[描く]」の創り方と読み方
「四隅マトリクス法」を理解するには、すぐれた実例をたどるのが一番です。実例の説明を読みながら、同じマンダラを自分で創り、読んでみるのです。
すぐれた実例として、『[超メモ学入門]マンダラートの技法』の「第5章 描いてミル」から、「四隅マトリクス法」の具体例をご紹介します。
なお、紙とペンやExcelなど、マトリクスを描けるツールをお手元にご用意の上、実際にマンダラを創り読みながら、以下の記載を読んでいただけると、「四隅マトリクス法」の威力を実感していただけるのではないかと思います。よろしければ、お試しください。
(1) マンダラ「言葉の機能を[描く]」の創り方
a.考えるテーマをマンダラの「中心セル」に書く
まず、マンダラの枠を創ります。3×3の9マスです。
その「中心セル」(真ん中のセル)に、考えるテーマを書きます。
ここでのテーマは「言葉とはなにか?」なので、「中心セル」に書く言葉は、「言葉の機能」です。
b.4つのキーワードを連想する
次に、マンダラを眺めながら、「言葉の機能」から連想します。
『[超メモ学入門]マンダラートの技法』では、「言葉は、どんな使われ方をするのか?」という観点から、「聞き、話し、読み、書く」という4つの能力を連想しています。
そこで、この段階で、次の4つのキーワードが浮かんできます。
- 聞く
- 話す
- 読む
- 書く
c.4つのキーワードをマンダラに配置する
そこで、この4つのキーワードを、マンダラの上に載せます。ここで大切なのは、配置です。マンダラは、3×3の9マスという2次元構造をしていますので、どの場所にキーワードを載せるかによって、マンダラが表現する意味の構造が変わってくるからです。
『[超メモ学入門]マンダラートの技法』の「502 言葉とは何かを知るために描いてミル」から引用します。
[聞く・話す]という二つは〈音声〉で、[読む・書く]というのは〈文字〉によって行われている、ということです。だから、この二つずつは、縦軸なり横軸なりで、揃えておいた方がよさそうだ、と気づくのです。
さらに、[聞く・読む]は情報のインプットだな、すると[書く・話す]は情報のアウトプットか、ということにも気づく。だから、このラインも揃えてやろうという気になってくる。この四つの柱を通すには、それぞれをマンダラの四隅に書いてみればいいな、と気づきますから、そう書いてやりましょう。
ここで行われているのは、4つのキーワードの配置に、「周辺セル」vs「周辺セル」の論理構造を使うことです。
- 「聞く」と「話す」が音声で、「読む」と「書く」が文字
- 「聞く」と「読む」がインプットで、「書く」と「話す」がアウトプット
という分析をして、
- 何によるものかの軸:音声・文字
- 情報の方向の軸:インプット・アウトプット
という2つの軸を設定しています。
このようにしてできるのが、次のマトリクスです。
d.上下左右の空白を考える
さて、次はどうしたらよいでしょうか。
『[超メモ学入門]マンダラートの技法』の「503 読み書きをマンダラに載せると何が見える?」には、次のようなことが書いてあります。
四隅を埋めたら、中心軸の上下左右が空いてしまっていますから、ここに何か入れてみたいと思う。そう思うのが自然の感情です。だから、何を入れればいいか、考えるのです。
たしかにそうです。何か入れてみたいと思うのが自然の感情です。そこで、「中心セル」の上下左右の「周辺セル」を埋めます。
では、どんな言葉を入れるとよいでしょうか。
[聞く・話す]を〈会話〉といい、これは他者とのコミュニケーションの領域です。コミュニケーションによって、私たちは、いろいろと〈知る〉ことができるんだな、と考えれば、この二つに挟まれたセルには〈知る〉と書いてみよう、となる。
それでは [聞く・読む]は何か。読むとは〈理解する〉ことか。なんとなく、うなずけそうだから、そうしておこう。
じゃ、[読む・書く]は何だ? ここは少し〈考え〉なくてはならない領域のようだから〈考える〉としてみる。自分の内部でのワークです。
最後の[書く・話す] これは、かなりはっきりしていそうです。そう、〈伝達する〉でよさそうです。再び、他者とのコミュニケーションの領域です。
ここはいろんな考え方がありうるとは思うのですが、ここでの記載を整理すると、以下のとおりです。
- [聞く]と[話す]の間は、〈知る〉
- [聞く]と[読む]の間は、〈理解する〉
- [読む]と[書く]の間は、〈考える〉
- [書く]と[話す]の間は、〈伝える〉
このようにして、[聞く・読む・書く・話す]という四つの言葉から[知る・理解する・考える・伝える]という言葉が生まれ、新しい4つの言葉が、マトリクスに配置されました。
これで、マトリクス「言葉の機能を[描く]」を創ることができました。
e.マンダラを創ることから生まれたもの
ここで、このマトリクスを創ることから生まれたものを整理しましょう。
- 言葉の機能が[聞く・読む・書く・話す]という4つの機能であることの発見
- [聞く・読む・書く・話す]という4つの機能が、音声・文字という軸と、インプット・アウトプットという軸によって分類できることの発見
- [知る・理解する・考える・伝える]という言葉の誕生
さあ、ここでは[聞く・読む・書く・話す]という四つの言葉から[知る・理解する・考える・伝える]という言葉が生まれてきている。
(2) マンダラ「言葉の機能を[描く]」の読み方
マンダラートは、「マンダラを創ること」と「マンダラを読むこと」による思考法です。マンダラを創ったら、そのマンダラを読んでみなければいけません。
このためには、《眺め、眺めて、感じとる》こと。具体的には、マンダラを読む技術の基礎に沿って、マンダラ「言葉の機能を[描く]」を読んでみることです。
a.「中心セル」vs「周辺セル」を読む
最初は、マンダラの基本構造である「中心セル」vs「周辺セル」を読んでみましょう。
(a) 中心セルへの収束
まず、中心セルへの収束はどうでしょうか。
「周辺セル」には、8つの言葉があります。[聞く・読む・書く・話す]、そして[知る・理解する・考える・伝える]です。
これら8つの言葉がひとつに収束することで、「言葉の機能」という言葉の意味がかたちづくられます。
(b) 中心セルからの発散
中心セルから周辺セルへの発散は、この逆方向です。
[聞く・読む・書く・話す]、そして[知る・理解する・考える・伝える]という8つの言葉は、いずれも、「言葉の機能」という言葉から発散して生まれた言葉です。
b.「周辺セル」vs「周辺セル」を読む
次は、多彩な「周辺セル」vs「周辺セル」の論理構造を読んでみましょう。
(a) 中心を貫く縦軸と横軸を読む
中心を貫く縦軸は、「理解する・言葉の機能・伝える」です。
これも素直に読めば、〈伝えるためには、よく理解していなければならない〉ということらしいし、〈よく理解していれば、伝えることができる〉と読んでもよさそうです。
中心を貫く横軸は、「知る・言葉の機能・考える」です。
〈考えるためには、知ることが前提となる〉とも読めるし、〈知ることは、考えることの始まり〉とも読める。
(b) マトリクス構造を読む
このマンダラは、四隅がマトリクス構造になっています。そう考えて創ったのですから、当たり前といえば、当たり前です。
ですが、あえてここに何かを読んでみると、たとえば、こんなことはどうでしょうか。
四隅をマトリクスと考えると2×2マトリクスなのですが、中心軸もマトリクスの一部と考えると、3×3マトリクスです。3×3マトリクスと読むなら、タテヨコそれぞれの真ん中の項目が何か、を考えてみるとよさそうです。
タテ方向の真ん中は、インプットとアウトプットの間です。『知的生産の技術』によれば、ここには、「何らかの知的情報処理能力を作用させる」ということが入ります。
ヨコ方向の真ん中は外部との接触と内部での思考との間です。これだけ考えているとよくわからないのですが、マンダラートの中を眺めると、「理解する」「伝える(行動する)」とあるので、たとえば、「自分の行動」などとしてもいいかもしれません。
論理的にはあんまりぴりっとしませんが、ひとつの思考のきっかけにはなりました。
(c) ナナメを読む
ナナメは、[聞く]と[書く]、[読む]と[話す]です。
[聞く]と[書く]からは、たとえば、〈文章を書くときは、耳から聞くことを意識して書くとよい〉とか、〈人の話を聞くときは、それが書かれた文章だったらどうなのかを頭の中で考えながら聞くとよい〉とかを感じとることができます。
[読む]と[話す]からは、〈本を読んだら、それを誰かに話すとよい。これもひとつのアウトプット。〉というアイデアや、〈何かを話すときは、聞いたことよりもむしろ読んだことをネタにするほうが内容のあることを話せる。〉というノウハウなどを引き出すことができるかもしれません。
(d) 循環構造を読む
循環構造を読むこともできます。
そして、この四つは、流れを作って循環する構造とミタ。ウム、ひとまず、これで完成としようか。
たとえば[読む]から時計回りで循環させると、こんな思考になります。
本を[読ん]だら、そのことを[考える]とよい。さらに、[考えた]ことを文章に[書いてみる]とよい。[書く]ことで、誰かに[伝える]ことができる。[伝える]ためには、人に[話す]のも有効。人に[話す]と、テーマについてもっと[知りたい]と思うだろうから、人から[聞く]意欲も増える。こうして、テーマについての[理解が深まる]。
なんかもっともらしい気がします。はい。
3.「四隅マトリクス法」の説明(四隅マトリクスマンダラの創り方と読み方)
以上のプロセスを、一般的な形に整理します。これが、「四隅マトリクス法」です。
(1) 四隅マトリクスマンダラの創り方
「四隅マトリクス法」の前半は、四隅マトリクスマンダラを創ることです。
a.考えるテーマをマンダラの「中心セル」に書く
まず、マンダラの枠を創ります。3×3の9マスです。
その「中心セル」(真ん中のセル)に、考えるテーマを書きます。
b.4つ程度のキーワードを連想する
次に、マンダラを眺めながら、「中心セル」に書いたテーマから連想して、いくつかのキーワードをひねり出します。
4つ出てくれば、マトリクスにしやすいのでよいのですが、まあ、4つにこだわることはありません。
c.いくつかのキーワードをマンダラに配置する
出てきたキーワードを、マンダラに配置します。
このとき、マトリクスのような2つの軸を見つけるのがよいです。
必要に応じて、この段階で、キーワードを修正します。また、四隅マトリクスの空白が残ったら、その空白を埋めます。
d.上下左右の空白を考える
次に、「中心セル」の上下左右に残っている空白を埋めます。
このときの考え方は、
- 両端の「周辺セル」との関係
- 「中心セル」との関連
の2つから発想する、というものです。
e.意味の構造が見えなければ、修正する
とりあえず埋まったマンダラを眺めて、そこに意味の構造を読もうとします。
何らかの意味の構造が見つかれば、それでOKです。
意味の構造がぜんぜん見えなければ、修正します。
(2) 四隅マトリクスマンダラの読み方
「四隅マトリクス法」の後半は、四隅マトリクスマンダラを読むことです。
マンダラを読むために大切なのは、《眺め、眺めて、感じとる》なのですが、マンダラを読む技術の基礎が助けになります。具体的には、次の観点です。
a.「中心セル」vs「周辺セル」を読む
最初は、マンダラの基本構造である「中心セル」vs「周辺セル」を読みます。
ひとつの「中心セル」→八つの「周辺セル」の発散と、ひとつの「中心セル」←八つの「周辺セル」の収束を読みます。
b.「周辺セル」vs「周辺セル」を読む
次は、多彩な「周辺セル」vs「周辺セル」の論理構造を読みます。
(a) 中心を貫く縦軸と横軸を読む
「中心セル」を貫く縦軸と横軸を、十文字に読みます。
(b) マトリクス構造を読む
四隅のマトリクス構造を2×2マトリクスで読んだ後、マトリクス全体を3×3マトリクスで読むことができないかを考えてみます。
(c) ナナメを読む
ナナメに配置された2つで1セットの「周辺セル」セットを2つ、読みます。
四隅マトリクス上、正反対の言葉が載っているはずなので、この正反対の2つがどうつながるかを読みます。
(d) 循環構造を読む
それから、「周辺セル」の循環構造を読みます。
スタート地点もどこでもいいですし、右回りでも左回りでもよいはずです。
4.次回予告:「四隅マトリクス法」を使ってみる
これが、『[超メモ学入門]マンダラートの技法』で解説されていた実例を、私なりに整理した手法、「四隅マトリクス法」です。いかがでしたでしょうか。
マンダラートで大切なのは、理屈ではなく、実践です。いくら理屈を学んでも、使わなければ意味がありません。
そこで、私も、「四隅マトリクス法」を、自分にとって大切なテーマに使ってみます。
テーマは、「個人のための知的生産システムを創るには、いろんなウェブサービスをどのように組み立てるとよいか?」です。EvernoteやWorkFlowy、KindleやTwitterやWordPressというウェブサービスをうまく組み合わせれば、個人のための知的生産システムを創ることができそうです。どうすればよいか、考えてみたいと思います。
さて、どんな思考が生まれ、どんな意味の構造が発見されるのか、ワクワクします。
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