「WorkFlowyとは、何か?」を考える2つの視点
公開日:
:
最終更新日:2016/05/05
WorkFlowy
目次
1.WorkFlowyはクラウドアウトライナーではない?
私がWorkFlowyを使い始めたとき、私がWorkFlowyに求めていたのは、クラウドで使えるプロセス型アウトライナーでした。
OmniOutlinerによってプロセス型アウトライナーの魅力を知った私は、iPhoneでもWindowsでもプロセス型アウトライナーを使いくなりました。そのためにクラウドのプロセス型アウトライナーを探した結果、たどり着いたのがWorkFlowyだったわけです。
それからしばらくの間、私は、WorkFlowyを、クラウドアウトライナーだと捉え、クラウドアウトライナーとして使っていました。
ですから、そのころの私が「WorkFlwoyとは、何か?」と質問されていたら、「WorkFlowyはクラウドアウトライナーだよ。」と答えていたと思います。実際、2015年1月8日にWorkFlowyの説明を書いた次のエントリでも、私は、WorkFlowyのことを、クラウドアウトライナーとして説明しました。
でも、今の私は、WorkFlowyのことを、クラウドアウトライナーではない、と捉えています。少なくとも、クラウドアウトライナーだけではありません。
WorkFlowyがクラウドアウトライナーではない、とは、どういうことでしょうか。こんなことを考えるに至ったきっかけは、Tak.さんによる、次の一連のツイートでした。
WorkFlowyはあまり「アウトライナー」という言葉を前面に出してない。
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 2月 13
たぶん意図的なんだろうな。
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 2月 13
「アウトライナー」を名乗らないことで既存のアウトライナーの壁を越えてしまったところもあるし、逆に既存のアウトライナーとは違うという意思の表明なのかもしれない
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 2月 13
WorkFlowy自身による定義は"WorkFlowy is a zoomable document that provides unprecedented flexibility in organizing your ideas."というもの。
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 2月 13
2.「WorkFlowyが持っている機能」と「WorkFlowyが果たす役割」
(1) WorkFlowy自身の説明に見る、2つの視点
WorkFlowy自身が「アウトライナー」という言葉を前面に出していない、という指摘に「え?!」とびっくりした私は、WorkFlowy公式ブログを見てみました。確かに、「アウトライナー」という言葉はありません。
では、WorkFlowy自身は、WorkFlowyのことを、どのように説明しているのでしょうか。
WorkFlowy自身による説明は、(上のTak.さんのツイートにもあるように、)こんな言葉です。
WHAT IS WORKFLOWY?
WorkFlowy is a zoomable document that provides unprecedented flexibility in organizing your ideas.
WorkFlowy Blog | Organize your brain.
この言葉を分解してみると、この言葉には、WorkFlowy自身による、次の2つの表明が含まれています。
ひとつは「WorkFlowy is a zoomable document」で、もうひとつは「provides unprecedented flexibility in organizing your ideas」です。
前者の「WorkFlowy is a zoomable document」はWorkFlowyが持つ機能からの表明で、後者の「provides unprecedented flexibility in organizing your ideas」はWorkFlowyが果たせる役割からの表明だといえます。
そして、一定の期間、WorkFlowyを本格的に使った現段階で実感することは、「WorkFlowyが持っている機能」と「WorkFlowyが果たせる役割」という2つは、「WorkFlowyとは、何か?」という問いに答えるための、かなり適切な視点ではないか、ということです。
(2) 2つの視点からWorkFlowyを説明する
「WorkFlowyが持っている機能」という視点からいえば、WorkFlowyは、トピックの折りたたみや移動、Zoomなど、プロセス型アウトライナーであるための機能を備えています。さらに、WorkFlowyのURLやタグ、差分メールなど、クラウドであることのメリットを活かした、意欲的な機能を備えています。
でも、WorkFlowy自身は、これらの機能それぞれについて、「どんな役割を果たす機能なのか」という点を、あまり厳密に規定していないように感じます。トピックの折りたたみ機能が果たすのはこの役割、URLが果たすのはあの役割で、差分メールが果たすのはその役割、といった限定がありません。私がWorkFlowyを面白いと感じる理由のひとつが、ここにあります。
「WorkFlowyが持っている機能」は、WorkFlowyというプログラムにあらかじめ組み込まれた機能なので、具体的で、客観的です。現時点でWorkFlowyが持っている機能のすべてを説明することも、(すごく大変でしょうが、)可能です。
でも、それぞれの機能の役割がそれほど厳密に規定されておらず、柔軟であるがゆえに、「WorkFlowyが果たせる役割」は、ユーザーひとりひとりに個別的で、無限の可能性を持っています。
WorkFlowy自身が「WorkFlowy is a zoomable document that provides unprecedented flexibility in organizing your ideas.」と説明しているように、「WorkFlowyとは、何か?」という問いは、「WorkFlowyが持っている機能」と「WorkFlowyが果たせる役割」という2つの視点から考えるとよいのではないかと感じています。
3.「WorkFlowyとは、何か?」を2つの視点から考える意味
ここ2ヶ月ほど、私はWorkFlowyのことを書き続けています。動機のひとつは、「WorkFlowyとは、何か?」にうまく答えることで、ひとりでも多くの方へと、WorkFlowyを届けたい、ということです。
しかし、これまでに私が書いたWorkFlowyに関する文章の中には、「WorkFlowyが持っている機能」という視点からの説明と、「WorkFlowyが果たせる役割」という視点からの説明が、わりとぐちゃぐちゃと混在していました。ともすれば、ある「WorkFlowyが持っている機能」を特定の役割との関係で説明することで、無限の可能性を持つはずの「WorkFlowyが果たせる役割」を限定してしまっているかもしれません。
これからWorkFlowyについて書くときは、「WorkFlowyが持っている機能」と「WorkFlowyが果たせる役割」という2つの視点を意識するつもりです。
そして、これによって、WorkFlowyが持つシンプルで柔軟で高性能な機能を正確に説明しつつ、それを前提として、WorkFlowyから引き出すことができる価値の可能性を示すことを目指したいなと思います。
最近のWorkFlowy、シンプルな基本機能と柔軟な仕様の上にユーザーが次々と新しい使い方を生み出していく。素晴らしい好循環。
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 2月 9
WorkFlowyについて語ることによって、このTweetが述べる好循環を、もっともっとグルグルと回すための原動力を提供することが、今の私がやりたいことです。
お知らせ
このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。
書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。
スポンサードリンク
関連記事
-
紙の本の読書ノートを、WorkFlowyで構造化し、育てる
実例をまとめました。 →WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マン
-
WorkFlowy基本5原則【第5原則】毎日の生活の中で気軽に使ってみる
1.はじめに WorkFlowyは、他の道具にはあまり見られない特徴を持つ、ちょっと変わった道具で
-
元記事を時系列で並べるところから見える、本を書くことの醍醐味(『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』までの時系列)
1.『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の元記事紹介 2016年1月29日に、『クラウ
-
WorkFlowy基本5原則【第4原則】「トピック」を手で動かして秩序をつくり、ひとつの秩序をいろんな視点で表示する
1.はじめに WorkFlowyは、他の道具にはあまり見られない特徴を持つ、ちょっと変わった道具で
-
「文章を書くツール」の変遷
1.はじめに 私にとって、「文章を書く」ことは、特別で大切な行動です。 仕事の上でも、「文章を書
-
いちばんうれしいことは、「自由なアウトライン・プロセッシング」が、たくさんの人に開かれること(『アウトライン・プロセッシング入門』を読んだ感想)
1.楽しみに待ってた『アウトライン・プロセッシング入門』を読みました 先日、Kindleストアで、『
-
「WorkFlowyを育てる」という固定ページを作りながら考えたこと(KDP・流動体・トピック共有)
1.「WorkFlowyを育てる」という固定ページを作りました 2015年1月7日に「WorkFlo
-
WorkFlowyで文章群を書き続ける環境の一例(2016年7月1日段階)
1.はじめに このブログ記事を読みました。 WorkFlowyのPC環境、MemoFlowyアプリの
-
全体と一部分(それより上の階層がない・それより上の階層がある)
1.WorkFlowyの第2原則と第3原則のお互いに支え合う関係 WorkFlowy基本5原則は、W
-
WorkFlowyを共同制作環境として活用する(2) 時間軸の検索を活用する
1.WorkFlowyを共同作業環境として活用するための課題と、その対策 HandyFlowyとMe