WorkFlowyのnoteとは何か? どう活用できるのか?
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WorkFlowy
目次
1.WorkFlowyのトピックとnote
(1) 「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想
情報を扱うアプリケーションの多くは、いくつかの情報を扱う単位を持っています。
たとえばWindowsやMacのOS標準のファイルシステムは、情報をファイルに格納し、ファイルをフォルダに格納し、フォルダをまた別のフォルダに格納する、という方式で、情報を区切ります。これらのファイルシステムが情報を区切る単位は、ファイルとフォルダです。
たとえばEvernoteは、情報をノートに格納し、ノートをノートブックに格納し、ノートブックをノートブックスタックに格納する、という方式で、情報を区切ります。Evernoteが情報を区切る単位は、ノートとノートブックとノートブックスタックです。
これに対して、WorkFlowyは、情報を格納するトピックそれ自体が、他のトピックをも格納する、という方式で、情報を扱います。WorkFlowyが情報を区切る単位は、トピックただひとつだけです。
しかし、情報を区切る単位の個数は、機能の高低を意味しません。少なくとも3つの情報を区切る単位を持つEvernoteの方が、1つしか情報を区切る単位を持たないWorkFlowyよりも、3倍高機能だ、ということにはならないのです。
それどころか、WorkFlowyは、情報を区切る単位を1つに絞ることを、むしろ自覚的に選んでいるような気がします。「情報を区切る単位はトピックひとつだけで十分だし、むしろそのほうがいい」というのが、WorkFlowyの思想です。
「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想
(2) note機能をどう考えるか?
「WorkFlowyの情報を区切る単位はトピックただひとつだけだ」と書きました。
でも、WorkFlowyには、note機能があります。トピックの先頭の黒色ポッチにカーソルをあわせて出てくるメニューの中の「Add Note」をクリックするか、「Shift+Enter」を押すかで使えるnote機能を使えば、トピックのnoteにテキストを書くことができます。
WorkFlowyのnoteには、WorkFlowyのトピックと同じように、テキストを書くことができます。ということは、WorkFlowyの情報は、トピックで区切られているのと同時に、noteでも区切られていると言えそうです。さらに、noteは必ずトピックに格納され、noteの中にトピックを格納することもできなければ、noteの中に別のnoteを格納することもできません。ということは、WorkFlowyには、トピックだけでなく、noteという情報を区切る単位が存在する、といえるのではないでしょうか。
実際にも、WorkFlowyユーザーの相当割合の方々は、トピックを見出しとして、noteを本文として使っていらっしゃるのではないかと思います。
さて、WorkFlowyのnote機能と、「情報を区切る単位はトピックひとつだけで十分だし、むしろそのほうがいい」というWorkFlowyの思想との関係は、どのように理解したらよいでしょうか。
(3) noteは、トピックの注
WorkFlowyを使い始めた当初、私も、note機能をどう理解したらよいのか、よくわかりませんでした。「note機能の使い道はやはり本文なのだろうか。」「でも、note機能を本文に使うと、「本文と見出しを区別しない」というプロセス型アウトライナーの考え方には反するよなあ。」などと、うおさお迷っていました。
私のこの迷いを解消したのは、Tak.さんの次のTweetでした。
@ruu_embo まったく正反対の捉え方しててびっくりしたけどOmniOutlinerやWorkFlowyのnoteを本文と捉えるなら一理あるなと。ぼくはnoteは各トピックに従属するのでむしろ「注」に近いと考えてる。OOやWFでnoteを使わなければ同じということですよね。
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 6月 10
- noteは各トピックに従属する
- noteは各トピックの注である
これが、Tak.さんによるnote機能に対する理解です。
noteをトピックの注だと考えれば、「情報を区切る単位はトピックだけでいい」というWorkFlowyの思想を活かしながら、note機能をちょっとしたことに使うこともできそうです。
それ以来、私は、note機能をトピックの注として活用しています。
以下、「noteはトピックの注である」という基本的な視点に沿って、note機能の活用法を考えてみます。
2.noteの活用方法を考える
(1) note機能の基本的な動き方
トピックの注としてのnote機能の活用法を考える前提として、note機能の基本的な動き方を整理します。
a.WorkFlowyの標準仕様
まず、WorkFlowyの標準仕様では、note機能は、以下の特徴を持っています。
(a) noteはトピックに従属する
noteは各トピックに従属します。
- noteは必ずいずれかのトピックに属します。noteだけが単体で存在することはできません。
- トピックを動かすと、noteも一緒についてきます。
- トピックをコピー&ペーストすると、noteも一緒にコピー&ペーストされます。
- (Control+Shift+BackSpaceによって)トピックを消すと、noteも一緒に消えます。
- (※ただし、BackSpaceで文字を消すことでトピックを消すと、noteはひとつ前のトピックに移ります。このとき、ひとつ前のトピックにもnoteがあると、そのトピックをBackSpaceで文字を消すことによって消すことはできません。かなりマニアックなので、どうでもいいですね。。。)
(b) noteは改行できる
noteは、ひとつのnote内で、改行できます。
(これに対して、WorkFlowyでは、ひとつのトピック内での改行はできません。)
(c) noteは1ヶ月制限にカウントされない
WorkFlowy無料版の1ヶ月間のアイテム数制限は、トピック単位です。
noteはカウントされません。
(ということは、ひとつのトピックの配下に膨大なnoteを書く使い方であれば、無料版でも十分使える、ということです。)
(d) noteは控えめに表示される
noteは、控えめに表示されます。
アドオン「Stylish」でカスタマイズ可能ではありますが、デフォルトでは、
- そのトピックを選択していないときは、表示されるnoteは1行だけです。
- Zoomされたトピックのnoteはすべて表示されます。
- 入力中のnoteも、すべて表示されます。
- noteのフォントサイズは小さいです。
- noteのフォントカラーは、淡いグレーです。
b.マロ。さんによる知的生産の治具
次に、私のWorkFlowyではマロ。さんによる知的生産の治具が大きな役割を果たしているのですが、マロ。さんによる知的生産の治具は、以下のとおり、noteを無視します。
(a) WFtoHTMLのIrodrawEdition
WFtoHTMLのIrodrawEditionは、Workflowyで選択したアウトラインにhタグを付けて書き出すAppleScript|マロ。|noteを、マロ。さんが私向けにカスタマイズしてくださったツールです。私は、ハサミスクリプトと呼んでいます。
私は、このハサミスクリプトを使って、日々、ブログを書いています。
WorkFlowyの有機体から、暫定的な作品群を切り出す。AppleScript「WF2html_p3.scpt」による魔法を公開します。
WFtoHTMLのIrodrawEditionは、WorkFlowyのnoteを無視します。トピックのnoteは、書き出されるHTMLには、まったく反映されません。
(b) WF2MSWordのWFtoMSWD2
WorkflowyとWordの相互変換ツール|マロ。|note
WFtoMSWD2は、WorkFlowyの一部を、WorkFlowyのアウトライン構造そのままに、Word文書に変換するマクロです。この知的生産の治具マクロによって、私は、Word文書作成プロセスからの収穫を、倍に増やすことができました。
彩郎流二毛作。知的生産の治具マクロ「WFtoMSWD.dot」で、Word文書作成プロセスから得る収穫を倍にする。
WFtoMSWD2も、WorkFlowyのnoteを無視します。トピックのnoteになにが書いてあっても、変換されたWord文書には、このnoteは一切乗ってきません。
(2) note機能の動き方を踏まえた、トピックの注としてのnote機能の活用法
以上のnote機能の動き方と、「noteはトピックの注である」という基本的な視点をあわせて考えた結果、今のところ、私は、note機能を、こんなふうに活用しています。
a.HTMLのコメントのようなメタ情報
noteは、HTMLのコメントのような、メタ情報。これが、私のnote機能の活用法です。
HTMLには、コメントというものがあります。HTMLのコメントは、HTML上はしっかりと存在していますが、ブラウザではまったく表示されません。
ブラウザでは表示されないのに、何のためにコメントを書くのでしょうか。
表示させたくはないけれど、それを書いておくと、将来の自分や共同編集する別の人など、今の自分ではない誰かが見たときにわかりやすい情報を、HTML内に残すため、です。今自分が見ているHTMLソースをいつか見る誰かに対してメッセージを伝えることが、HTMLのコメントが果たす役割です。
WorkFlowyのnoteは、HTMLのコメントと似ています。
HTMLのコメントは、完成した作品としてのブラウザ上では表示されず、そのソースとしてのHTML内でのみ、確認できます。
同じように、WorkFlowyのコメントは、WorkFlowyから書き出したHTMLやWord文書では確認できず、その元となったWorkFlowy上でのみ、確認できます。
そのため、WorkFlowyのnoteは、HTMLのコメントと同じように、今の自分ではないけれど、将来このWorkFlowyのアウトラインを操る可能性がある人に向けた、今の自分からの注釈的なメッセージ、として活用することができます。
b.もう少し具体的な活用方法
抽象的には、以上ですべてなのですが、もう少し具体的に書いてみます。
(a) WorkFlowyのアウトラインを使うのが、自分だけの場合
WorkFlowyは、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」です。WorkFlowyの中には、「大量の書きかけの文章群」がしまわれています。WorkFlowyに放り込まれたトピックは、しばしば、時を超えて結実します。
ということは、今、私がここで書いているWorkFlowyのトピックは、ひょっとしたら、1か月後や1年後の私によって、操作されるかもしれません。
そこで、note機能によって、将来の自分に、このトピックについてのメッセージを伝えることができます。
たとえば、
- ここはだいたい完成した。
- このトピックはかなり大切だと思う。
- もっと広がりそう。
- ●●を調べること!
- 論理が繋がっていないかもしれない。ちょっと寝かそうかな。
- 締切りは2015年4月。忘れないように。
といったメッセージが考えられます。
(b) WorkFlowyのアウトラインを共有している場合
WorkFlowyには、優れた共有機能が用意されています。
無料アカウントでも、共有用URLによって、だれでも編集可能な共有と、編集不可で閲覧のみ可能な共有を使うことができます。
さらに、有料のProアカウントなら、WorkFlowyのアカウントにログインした状態でのみアクセスできる共有を使うことができます。
編集可能な共有や、要ログインの共有を使う場合、共通のトピックを、複数人で編集することになります。自分ではない他人と一緒にトピックを編集するわけなので、コミュニケーションが必要です。
このとき、WorkFlowyのnote機能を使うことができます。
たとえば、
- ここは自信ありません。どなたか、補充をお願いします。
- ここが大切だと考えますが、いかがでしょうか。
- この章は●●さんの担当です。
といったメッセージが考えられます。
3.おわりに
WorkFlowyのnote機能は、本文として使われることが多いような気もします。
しかし、私の経験からいえば、note機能の本領を発揮させるnote機能の活用法は、本文よりもむしろ注です。noteをトピックの注として使うことで、WorkFlowyの思想を活かしながら、note機能の力を引き出すことができます。
(なお、noteの表示は、アドオン「Stylish」でカスタマイズすることができます。大きな点では、1行表示を全文表示にすることだってできてしまいます。以下の記事で紹介されているように、noteを全文表示にすることは、WorkFlowyのnote機能の位置づけを変える可能性を持つ、大きなカスタマイズです。→R-style » Workflowyでnoteを全文表示にしてみた)
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