Evernoteやアウトライナーで文章を書くことで、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作る
公開日:
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最終更新日:2016/05/05
書き方・考え方
目次
1.すてきな文章が、どのように生まれたか
11月が好きなブログを告白する月だから言うわけではないのですが、Tak.さんの「Word Piece >>by Tak.:So-netブログ」は、私が大好きなブログのひとつです。
このブログの中で、私がすごく好きなのは、アウトライナーと文章作成に関する深い考察に関する一群のエントリです(たとえばアウトライナーを使うとファイルの概念が消えていくとか)。でも、このブログには、エッセイのような物語のようなエントリもあって、私はこれもすごく好きです(たとえば本を読まない人間、あるいは「本」の呪縛からの解放:Word Piece >>by Tak.:So-netブログとか)。
さて、そんなWord Pieceに、先日、次のエントリが投稿されました。エッセイのような物語のような、とてもすてきなエントリです。
キノシタさん:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
読み始めて、引き込まれて、どうしたらこんな文章が書けるんだろうと感じて、私はこんなツイートをしました。
引き込まれた。どうしたらこんな文章が書けるんだろうと感じた。そして、この文章が、Tak.さんのアウトライナーの中で、どんなふうに生まれ、育ってきたのか、前後にどんなトピックがあったのか、とか、すごく興味ある。→キノシタさん http://t.co/zRPVVwpawe
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 11月 26
このツイートにお返事をいただき、Tak.さんと、少しTwitterで会話しました。こんな会話です。
@irodraw ありがとうございます。キノシタさんはたぶん数年間アウトラインの中に入ってました。。
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 11月 26
@takwordpiece 数年の時を超えて実ったんですねえ。どうりで、いい感じに熟してたわけです。こういうことが起きるのも、一群の書きかけの文章を管理する仕組みがあるからですね。すてきな物語、ありがとうございます。
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 11月 26
@irodraw ですね。書きかけのテキストファイルの状態だったら、そのまま埋もれてたぶん二度と浮上しなかったと思います(その意味でアウトライナーやEvernoteが壊した壁の大きさって、もっと認識されていい気がします)
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 11月 26
この会話から、浮かび上がる「キノシタさん」が生み出された過程は、「キノシタさん」それ自体と同じくらい魅力的で、参考になります。重要なポイントは、
キノシタさんは、数年間アウトラインの中に入っていた。
ということです。
2.アウトライナーで文章を書く意義
Tak.さんは、アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書くという技を持っています(アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書く:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ)。そして、Tak.さんは、この記事の中で、アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書く技の強みとして、文章の流れを作ることと、文章を引き締めることの2つを紹介されています。
しかし、「キノシタさんは、数年間アウトラインの中に入っていた。」という事実は、アウトラインぽくない文章をアウトライナーで書くという技に、もっと本質的な強みがあることを示しています。それは、何らかのタイミングでふと生まれた思考の断片が、少しずつ育ち、時を超えて結実することがある、ということです。
Tak.さんは、「アウトライナーを使うとファイルの概念が消えていく」の中で、「書きかけの文章をひとつのアウトラインに入れておく」というアウトライナーの使い方を説明しています。
長年アウトライナーを使っていて、少なくとも文章を書く作業に関するかぎり、書きかけの文章はすべてひとつのアウトラインに入れておくのがいちばん合理的だと思うようになった。
上に引用したTwitterで、Tak.さんは、
- キノシタさんは、数年間アウトラインの中に入っていた。テキストファイルの状態だったら、埋もれて二度と浮上しなかったかもしれない。
- アウトライナーが、大量の書きかけの文章群全体の管理に関して壊した壁は、とても大きい。
という趣旨のことをおっしゃっています。「アウトライナーで文章を書く」ことのもっとも大きな意義は、この点にあるのではないかと、私は考えています。
3.Evernoteで文章を書く意義
関連して、以前、Tak.さんと、次のような会話をしました。
そう、問題は「文章群全体の管理」ですよね(それも大量の書きかけの)→ @irodraw: ブログ書きました。なぜ、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使うのか? http://t.co/MnSBsK0z1g
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 10月 21
@takwordpiece そうなんです。 Tak.さんが、以前アウトライナーについて書かれていた中で、大量の書きかけの文章群を管理するために、アウトライナーが機能する、みたいな話があったかと思います。私はすごく納得して、私にとっては、それがEvernoteだなあと思いました。
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 10月 21
@irodraw そうそう、自分がアウトライナーでやってることをEvernoteでやってるんだなーと思いました
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 10月 21
この会話のきっかけとなった「なぜ、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使うのか?」というエントリのポイントは、
- なぜ、私は、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使うのか? ひとつの文章のテキストをいじるなら秀丸エディタの方が、ひとつの文章の構成を組み立てるならアウトライナーの方が、ひとつの文章のレイアウトを整えるならWordの方が、優れているのに。
- 大切なのは、ひとつの文章を書くことよりもむしろ、文章群全体を管理することにある。Evernoteは、ひとつの文章を書く点ではそれほど高機能ではないけれど、文章群全体を管理することに関しては、すごく優れている。だから、私は、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使う。
ということです。
このTwitter会話からも明らかなのですが、Tak.さんがアウトライナーでやっている「大量の書きかけの文章群全体の管理」を、私は、Evernoteでやっています。
Tak.さんの「キノシタさん」がアウトライナーに入っていた「数年間」と比べたら短いのですが、私がこのブログに投稿したエントリの中には、Evernoteに数ヶ月間入っていたものが、たくさんあります。もしも私がテキストファイルやWordファイルでブログ原稿を書いていたら、ブログエントリとして結実しなかったものが、たくさんあったはずです。
Tak.さんにとってアウトライナーが大量の書きかけの文章群全体の管理のために機能しているのと同じように、私にとってEvernoteは大量の書きかけの文章群全体の管理のために機能しています。
私にとって、Evernoteが、大量の書きかけの文章群全体の管理に関して壊した壁は、とてもとても大きいです。
4.文章を書き続けるために大切なのは、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み
私は思うのですが、「文章を書き続けること」は、人生を豊かにするための、とてもコストパフォーマンスの高い技です。
Tak.さんが以前こんなことをつぶやかれていました。共感します。
しかし今回のEvernoteとアウトライナーについてのやりとりで両者についての理解が一段深まった。それはつまり書くことと考えることについての理解が深まったということで、それはつまり人生が一段豊かになったわけです
— Tak. (@takwordpiece) 2014, 11月 6
でも、文章を書き続けることは、必ずしも簡単なことではありません。とくに、いろんな場面で生まれる大量の文章の断片を、まとまりのある文章に結実させることは、やる気や技術だけではなんともならない気がします。
そこで私が大切だと実感しているのが、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」です。この仕組みの有無が、書きかけの文章の断片が埋もれたままになるか、時を超えて結実するかを決めます。
何によってこの仕組みを作るとよいかは、文章を書く条件や思考の癖によって、いろいろありえます。現に、Tak.さんはアウトライナーによってこの仕組みを作り、私はEvernoteによってこの仕組みを作っています。
しかし、どんなツールによって作るにせよ、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」は、文章を書くことに関する大きな壁を壊します。文章を書き続ける人生のためには、ひとつひとつの文章を書くためのツールや仕組みよりも、大量の書きかけの文章群全体を管理するツールや仕組みの方が、ずっと大切なんじゃないかと感じています。
お知らせ
このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。
書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。
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