Toodledoを、「タスクの実行」のためのシステムへと、進化させる
公開日:
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Toodledo
目次
1.本日分の「タスクの実行」を助けてくれるタスクリストを、Toodledoで作る
(1) 「タスクの実行」を助けてくれるタスクリストの条件は?
昨日、こんな文章を書きました。
タスク管理の目的のひとつが「タスクの実行」を促すことにある、という基本的な考え方のもと、私自身の性格や傾向を念頭に置いて、「「タスクの実行」を助けてくれるタスクリストの条件は何か?」というテーマを考えたものです。
私が考えた条件は、次の5つです。
- (1) 今の自分が簡単にできる具体的な行動を教えてくれるタスクリスト
- (2) タスク実行中の感情と脱線を処理できるタスクリスト
- (3) 「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」「タスクリストに書いてあることをやらないと、酷い目に遭う」と確信できるタスクリスト
- (4) 個別具体的なタスクがつながる先を「見える化」してくれるタスクリスト
- (5) やったことを残してくれるタスクリスト
それぞれの内容はリンク先ページを読んでいただくとありがたいのですが、この5つの条件を満たすタスクリストが用意されれば、私の「タスクの実行」は、きっと、おおいにはかどります。
(2) 前提となるToodledoの使い方(有効にしている5つの要素)
とはいえ、この5つの条件は、若干抽象的なので、このままでは、あんまり役に立ちません。具体化することが大切です(「抽象と具体の間を往復する」という学びの基本技)。
私は、Toodledoを使って自分タスクを管理していますので、Toodledoで具体化します。
私のToodledoの使い方は、次のページにまとめたとおりなのですが、
Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階)
これから検討することとの関係では、次の5つの要素を有効に使っていることが前提となります。
- Folder(タスクが所属する案件として使っています)
- Due Date(タスクの締切りとして使っています)
- Context(タスクを実行する時間帯として使っています)
- Length(タスクの見積時間として使っています)
- Repeat(タスクの繰り返しを設定するために使っています)
ここ(Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階))で書いた使い方を前提にして、Toodledoで、「タスクの実行」を助けてくれる本日分のタスクリストを作ることについて、考えてみます。
2.Toodledoで、「タスクの実行」を助けてくれる本日分のタスクリストを作る
(1) 今の自分が簡単にできる具体的な行動を教えてくれるタスクリスト
第1の条件は、「今の自分が簡単にできる具体的な行動を教えてくれる」ということです。
このために大切なのは、タスクを分解することです。Toodledoを使ってタスクを分解するには、こんな作業になります。
たとえば、「三菱東京UFJのネットバンク登録」というタスクがあったとします。数ヶ月前から登録しなくちゃあ、と思っているのですが、先送りを繰り返し、今に至ります。
このタスクを先送りしたくなる一因は、このタスクが、「今の自分が簡単にできる具体的な行動」ではないためです。そこで、「今の自分が簡単にできる具体的な行動」へと分解します。
具体的には、Toodledoの「Add Task」をクリックし、「Add multiple tasks」から、同時に複数のタスクを登録します。
この広いテキストボックスに、改行しながら思いつくまま「今の自分が簡単にできる具体的な行動」を入力すれば、1行が1つのタスクになります。
こんな感じです。
タスクの数は増えました。でも、ひとつひとつは、簡単になりました。たとえば、「三菱東京UFJ銀行に行く」というタスクなら、自転車に乗って5分程度移動するだけです。これならやる気になります。
Toodledoの有料プランを使っているなら、サブタスクを使ってもよいです。サブタスクを使うと、こんな感じになります。
まとめます。Toodledoで第1の条件を満たすタスクリストを作るには、以下の作業をすればOKです。
- 「今の自分が簡単にできる具体的な行動」ではないタスクを見つける。
- そのタスクにつながる「今の自分が簡単にできる具体的な行動」を、片っ端から追加する。
- これをするには、「Add multiple tasks」やサブタスク機能が使える。
(2) タスク実行中の感情と脱線を処理できるタスクリスト
第2の条件は、「タスク実行中の感情と脱線を処理できる」ということです。
「タスクの実行」の障害は、タスク実行中に湧いてくる感情と脱線です。
a.感情を受け止める
(a) 進行中の感情を、Note欄に記入する
湧いてきた感情は、文章で表現すると、落ち着きます。
Toodledoには、タスクひとつひとつに、Noteという欄が用意されています。これは、3万字を超えるたくさんのテキストを登録できる機能です。
そこで、タスクを実行しているときに、タスク実行を邪魔する感情が湧いてきたら、その感情を、そのタスクのNote欄に書きます。
たとえば、私は、「銀行印を用意する」というタスクを見て、若干、気持ちがざわつきました。口座への入金や口座からの出金は、キャッシュカードと暗証番号ばかりなので、銀行印なんて、口座を作って以来、使っていません。三菱東京UFJ銀行の銀行印がどれだったのか、また、どこに保管されているか、不安に感じました。
この不安感を放っておくと、「銀行印を用意する」というタスクが、「簡単にできる行動」でなくなってしまいます。この感情を受け止めてやる必要があります。
そこで、私は、こんな不安を、タスクのNote欄に、文章で書きました。
これを書いたところで、状況は何も変わっていません。でも、これを書いたら、感情は落ち着きました。とりあえず探してみて、それっぽい印鑑を押して申し込みしてみればいいか、と納得することができました。
(b) 瞬時レビュー
(a)は、タスクの実行中の感情を、ToodledoのNote欄に書くものです。
これに対して、タスク実行直後に、タスクを実行した感想などを書いておく、というのも有益です。それが、瞬時レビューです。
「レビュー」は聞こえがいいが面倒くさい | ライフハック心理学
瞬時レビューは生活リズムをつくるのに良い | jMatsuzaki
上の記事でも書いたとおり、私は、Toodledoで瞬時レビューをしています。瞬時レビューの書式は、「sr;【瞬時レビューの内容】;」というものです。
たとえば、こんな感じになります。
先送りを続けていたタスクの最初の一歩を踏み出せたうれしさを表現してみました。まあ、自転車に乗って銀行行っただけですけども、それによって気持ちが軽くなる、ということを、きちんと文章に書いておくことが、タスク実行のやる気を育んでくれます。
b.脱線
脱線への対処で大切なのは、
- 自分が脱線しているという事実を認識すること
- 脱線したあと、本線に戻ってくること
です。
たとえば、免許証をコピーするために、コンビニに行ったら、ジャンプを見つけて、ジャンプを買ってしまった、という場合。これも脱線です。
このときは、この脱線を、タスクとして登録します。そして、Note欄に、本線をメモしておきます。
そうすれば、自分が脱線として何をしているかが自覚できますし、また、本線がなんなのかも一目瞭然です。
c.第2の条件、まとめ
まとめます。
Toodledoでタスク実行時の感情や脱線に対処するには、タスクのNote欄に、タスク進行中やタスク完了直後の感情や脱線を、文章で残しておくことが有益です。
(なお、ToodledoのNote欄に何でも書く、というアイデアは、@cubeさんのこの記事からインスパイアされました。Toodledoに見えないほどのすごいNote欄です。→「task flow – LawDesiGn」)
(3) 「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」「タスクリストに書いてあることをやらないと、酷い目に遭う」と確信できるタスクリスト
第3の条件は、「「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」「タスクリストに書いてあることをやらないと、酷い目に遭う」と確信できる」ことです。
たとえば、2014年8月30日に開催されるタスクマネジメント研究会で、自分のタスク管理を報告するとします。そこで、私は、Toodledoに、「自分のタスク管理を報告する」というタスクが登録しました。Folderは「タスクマネジメント研究会」、DueDateは「2014/08/30」です。
しかし、研究会当日になって、いきなり、「自分のタスク管理を報告する」というタスクを実行することはできません。つまり、このタスクリストは、「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」タスクリストではありません。
そこで、この「自分のタスク管理を報告する」というタスクにつながるタスクたちを登録し、「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」状態に近づけていきます。
a.「タスクリストに書いてあることをやれば、うまくいく」のための、逆算での追加
タスク登録は、逆算が有効です。最終的なタスクを達成するためには、どんなタスクをいつまでに達成するとよいのか、という考え方です。
たとえば、8月30日当日に「自分のタスク管理を報告する」ためには、前日にはリハーサルをしておきたいです。さらに、その前日には資料を作っておく必要があります。配付資料をWordで、プレゼンスライドをPowerPointで作るなら、1週間前くらいには作り始めて、5日前くらいには、第1稿を完成させておきたいです。
そんな感じで、こんなリストになりました。
b.「タスクリストに書いてあることをやらないと、酷い目に遭う」を保つよう、注意する
注意するのは、タスクリストをオオカミ少年にしないことです。
すると、ついつい、「多少なら、タスクリストのとおりにやらなくても酷い目には遭わないや」と考えてしまいがちです。こうなると、タスクリストが教えてくれる締切りの重み付けが減ってしまいます。 これが、タスクリストがオオカミ少年になっているような状態です。タスクリストは、オオカミ少年になると、力を失います。「タスクリストに書いてあることをやらないと、酷い目に遭う」の条件を大切にして、タスクリストをオオカミ少年にしないことが大切です。
締切りの設定に余裕を見過ぎると、「タスクリストに書いてあることをやらなくても、余裕で何とかなるから、酷い目に遭わない」というタスクリストになってしまいます。これを繰り返すと、タスクリストがオオカミ少年になってしまいます。
このバランスは、アメとムチのバランスでもあります。難しいところですが、自分の性格や傾向(慎重なのか楽観的なのか)なども踏まえて、自分なりの適切なバランスを模索していきます。
(4) 個別具体的なタスクがつながる先を「見える化」してくれるタスクリスト
第4の条件は、「個別具体的なタスクがつながる先を「見える化」してくれる」ことでした。
Toodledoでは、Folderによって、タスクが属する案件を表現できます。
逆に言えば、「個別具体的なタスクがつながる先」をどのように見たいかによって、Folderの作り方を決めたらよいです。
たとえば、「タスクマネジメント研究会」「単純作業に心を込めて」「ノートパソコン購入」というFolderを作れば、それぞれ、このタスクは「タスクマネジメント研究会」のためのタスクなんだな、このタスクはブログ「単純作業に心を込めて」のためのタスクなんだな、このタスクは「ノートパソコン購入」のためのタスクなんだな、ということがわかります。
これに対して、Folderの作り方を具体的な行事単位で作れば(たとえば、「2014-08-30 タスクマネジメント研究会報告」とか)、その具体的な行事につながることを見ることができます。また、Folderの作り方をもっと抽象的な夢やビジョンにすれば(たとえば、「Webで学ぶ仕組みを考える」とか)、その抽象的な夢やビジョンにつながっていくことを見ることができます。
(5) やったことを残してくれるタスクリスト
第5の条件は「やったことを残してくれる」ことでした。
Toodledoなら、IFTTTによって、完了タスク情報を、EvernoteやGoogleドライブに蓄積することができます。この電子業務日誌で、第5の条件を満たすことができます。
私が気に入っているのは、IFTTTでEvernoteに1日分のタスクを蓄積するレシピです。
【Toodledo×IFTTT×Evernote】電子業務日誌を自動的に作成する
このレシピを使うと、Evernoteには、こんなノートが作成されます。
この中には、タスク実行中の感情や、タスク実行直後の瞬時レビューも残ります。
タスクを実行すれば、少なくとも、Evernoteに、私がタスクを実行した足跡が残ります。確実に残ります。
このことは、私のタスクを実行するやる気を、大いに高めてくれています。
3.「タスクの実行」を重視することで、Toodledoを軸とするシステムは、もっと進化する
これまで私は、Toodledoの強みを、こんなふうに考えていました。
Toodledoは、高機能なタスクのデータベースである。Toodledoを使えば、自分の手持ちタスク全部を、タスクにいろんな要素を付与しながら、保管できる。
要するに、「タスクの保管」が強い、ということです。
そんなとき、私は、倉下忠憲さんの『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を読みました。同書からはたくさんの収穫を得ましたが(手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。)、タスクの取扱との関係でガツンときたのは、「タスクの保管」と「タスクの実行」を区別して考えて、両者をカバーするシステムを構築する、という考え方です。
クラシタ式ハイブリッド手帳システムでは、「タスクの保管」と「タスクの実行」には、別々のツールが割り当てられていました。そこで、私も、別々のツールを使おうかとも考えました。
しかし、Toodledoは豊富な機能を持っています。Toodledoの持つ力を発揮させることができれば、「タスクの保管」だけでなく、「タスクの実行」のためにも、今よりもっと機能してくれるんじゃないかと感じました。
そこで、私は、Toodledoを「タスクの実行」のために使うことを模索し始めました。
このための抽象的な検討として書いたのが、ひとつ前の「「タスクの実行」を助けてくれるタスクリストの条件は?」です。
そして、この5つの条件をToodledoで具体化した内容をまとめたのが、この文章です。
まだまだ不十分な点もあります。でも、大切なのは、試行錯誤を続けて、継続的に改善していくことです(自分個人のための知的生産システムを改善し続ける。「ハイブリッド」シリーズ(倉下忠憲)から受け取った「ハイブリッド・システム」というコンセプト。)。
今回、私は、「タスクの実行」を重視すれば、Toodledoを軸とするシステムが、もっと進化する、ということを知りました。これからも、この方向を少しずつ進めていけたらいいなと思っております。
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