「倉庫としてのEvernote」「作業場としてのEvernote」
公開日:
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Evernote
目次
1.「作業場としてのEvernote」は、私にとって、革命だった
こんな記事を書きました。
自分のEvernoteの使い方をふり返り、Evernoteを日常的に使うようになるまでの経緯を、3つのポイントにまとめたものです。
ここで書いた3つのポイントは、次のとおりです。
- (1) Evernoteを好きなものでいっぱいにする
- (2) Evernoteを倉庫としてではなく、作業場として使う
- (3) 自分のEvernote自体を育てるイメージを持つ
どれも大きな転機だったと思うのですが、あえてひとつを選ぶと、2つめの「Evernoteを倉庫としてではなく、作業場として使う」になります。「作業場としてのEvernote」は、少々大げさに言えば、私のEvernoteの使い方に、革命を起こしました。
そこで、この「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」というテーマを、もう少し突っ込んで考えてみることにしました。この記事では、この手始めに、この2つを図式的に整理することを目指します。
2.「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」
(1) Evernoteは、魔法の倉庫で、魔法の作業場
a.倉庫としてのEvernote:Evernoteは魔法の倉庫
Evernoteは、どんなデジタルデータでも、保存してくれます。テキストだろうが、画像だろうが、動画だろうが、PDFだろうが、Wordファイルだろうがエクセルファイルだろうが、それがデジタルデータになってさえいれば、Evernoteなら大丈夫です。
Evernoteは、どこからでもひとつの場所にデジタルデータを保存してくれます。パソコンからでも、メールからでも、スマートフォンからでも、ひとつの場所にデジタルデータを保存してくれます。
Evernoteに保存したデータは、どこからでも、取り出すことができます。Windowsから保存したデータをMacから取り出すこともできれば、iPhoneから保存したデータをiPadやAndroidから取り出すこともできます。
この意味で、Evernoteは、デジタルデータの倉庫です。それも、魔法の倉庫です。どんなデジタルデータも事実上無限に保存してくれる上に、どこにいてもその倉庫にアクセスできます。
b.作業場としてのEvernote:Evernoteは魔法の作業場
魔法の倉庫というメタファーは、Evernoteの特徴の一部をうまく表現しています。でも、一部だけです。このメタファーは、Evernoteの特徴の重要な部分を、うまく表現し損なっています。
それは、Evernoteの上で作業することができる、ということです。
たとえば、Evernoteは、ワープロソフトのような機能を持っています。ノートに文章を書いていくこともできますし、文字のフォントやポイント、色や字体を変えることも自由自在です。簡単なリストや表も使えます。
たとえば、Evernoteは、画像処理機能を持っています。画像をトリミングしたり、画像に注釈や記号を描き込むことを、簡単にできます。
このように、Evernoteを使えば、Evernoteに保存したデジタルデータを編集することができます。そして、当たり前だけれどすごく大切なことは、このようなEvernote上の作業によってデジタルデータに加えられた編集の結果は、Evernoteに保存されるので、どこからでもその結果を引き継ぐことができます。
たとえば、朝、自宅のWindowsパソコンで書き始めた文章を、通勤中、iPhoneから書き進め、昼休みのスターバックスでMacからガシガシ書いて、夜に再び自宅のWindowsパソコンで完成させる、というようなことが、ごく自然に実現できます。
たとえていえば、Evernoteは、デジタルデータの作業場です。それも、魔法の作業場です。いつでも、どこにいても、自宅からでも、スターバックスからでも、通勤電車に揺られながらでも、Evernoteにアクセスしさえすれば、その魔法の作業場に入ることができます。魔法の作業場に入りさえすれば、そこには、いつもの作業環境と、これまでに自分が作業してきたすべての仕掛品が、最新の状態で、用意されています。
(2) 「倉庫としてのEvernote」に求められる役割と「作業場としてのEvernote」に求められる役割
「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」は、Evernoteの使い方の分類になります。
この分類の視点は、Evernoteにどんな役割を求めるか、です。どんな使い方でEvernoteを使う場合も、Evernoteに何らかの役割を求めているはずですが、倉庫としての役割を求めている場合と、作業場としての役割を求めている場合とに分類することができるのではないか、という話です。
この求める役割の違いは、
- Evernote内の情報を使うタイミング
- Evernote内の情報をどう使うか
という2点から、図式的に捉えることができます。
a.「倉庫としてのEvernote」でEvernoteに求める役割のポイント
「倉庫としてのEvernote」の場合、Evernoteに求める役割のポイントは、
- あとで使う
- そのままの状態を保存する
という2つです。
Evernote内の情報を使うタイミングは、今ではなく、あとです。今使わないものをEvernoteに放り込んでおけば、あとで役に立つかもしれない、という感じです。
Evernote内の情報をどう使うかについては、Evernote内で情報を編集したり作り上げたりするよりも、Evernote内に情報をそのまま保存しておく、ということです。そのままの状態を保存することがEvernoteの役割です。
b.「作業場としてのEvernote」でEvernoteに求める役割のポイント
「作業場としてのEvernote」の場合、Evernoteに求める役割のポイントは、
- 今使う
- 新しく作ったり、編集したりする
という2つです。
Evernote内の情報を使うタイミングは、あとでではなく、今です。今使うものを、Evernote上で、使います。あとで役に立つかどうかはともかくとして、今、Evernoteで情報を扱うことに意味があります。
Evernote内の情報をどうつかうかについては、そのままの状態を保存するのではなく、新しい情報をEvernote内で作り上げたり、保存してある情報をEvernote内でどんどん編集したりします。
(3) 「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」の具体例
では、世の中にたくさんあるEvernoteの使い方を、「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」とに分類すると、どうなるでしょうか。
a.「倉庫としてのEvernote」の具体例
私の感覚では、多くの使い方は、「倉庫としてのEvernote」に分類されます。
たとえば、「旅行の記憶を忘れないために、Evernoteに保存する」「Evernoteに行動ログを残す」「気になる記事をEvernoteにウェブクリップする」などは、「倉庫としてのEvernote」です。
なぜなら、これらの使い方で、Evernoteに求められているのは、
- あとで使う(あとで旅行の記憶を思い出す、あとで行動ログを確認する、あとで記事を読む)
- 情報をそのまま保管する(旅行の体験をそのまま保管する、行動ログをきちんと保管する、読みたい記事をそのまま保管する)
という役割だからです。
b.「作業場としてのEvernote」の具体例
これに対して、「作業場としてのEvernote」に分類される使い方もあります。
たとえば、「Evernoteでブログ原稿を書く」「Evernoteに日記をつける」「Evernoteで画像を処理する」などは、「作業場としてのEvernote」です。
これらの使い方で、Evernoteに求められているのは、
- 今使う(今、ブログ原稿をEvernoteで書く。今、日記をEvernoteで書く。今、画像のトリミングや注釈をEvernoteで行う。)
- 情報を作り上げたり編集したりする(新しいブログ記事を書いたり、書きかけのブログ記事を書き進める。日記を書き進める。画像を編集する。)
という役割だからです。
(4) 数の比較
感覚的にはなりますが、「倉庫としてのEvernote」に分類されるEvernoteの使い方と、「作業場としてのEvernote」に分類されるEvernoteの使い方を、数で比較すると、おそらく、「倉庫としてのEvernote」に分類される使い方の方が多いように感じます。
3.この文章のまとめと、次に私が書きたい文章
(1) ここまでの整理
ここまでを整理します。
Evernoteは、「倉庫としてのEvernote」と「作業場としてのEvernote」という2つの役割を果たすことができます。「倉庫としてのEvernote」という役割のポイントは、あとで、そのまま保管です。「作業場としてのEvernote」という役割のポイントは、今、作成・編集です。
世の中には、たくさんのEvernoteの使い方があります。その多くは「倉庫としてのEvernote」に分類される使い方で、「作業場としてのEvernote」に分類される使い方は多くありません。
(2) 次に私が書きたいこと
これを踏まえて、私が言いたいのは、概要、こんなことです。
- 「作業場としてのEvernote」には、「倉庫としてのEvernote」とは別の魅力があります。
- 今現在、Evernoteに魅力を感じていない人の中には、「倉庫としてのEvernote」としてEvernoteを使っていて、「倉庫としてのEvernote」に魅力を感じないけれど、「作業場としてのEvernote」としてEvernoteを使えば、「作業場としてのEvernote」に強い魅力を感じる人が、多少は存在するのではないかと思います。
- そこで、現時点で、Evernoteにしっくりきていない方は、一度、「作業場としてのEvernote」というEvernoteの使い方を試してみてください。
次に私が書きたい文章は、このことを丁寧に書く文章です。
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