Evernote×読書「Evernoteにクラウド読書ノートを作る」(『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』Chapter-4のご紹介)
この文章は、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(倉下忠憲著)をご紹介するものです。書きたい内容がたくさんあったので、3つに分けました。
- 全体について→『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』を手引書に、ウェブを活かした個人レベルの総合的読書システムを組み立てる
- Evernoteについて→Evernote×読書「Evernoteにクラウド読書ノートを作る」(『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』Chapter-4のご紹介)(この文章)
- ソーシャルリーディングについて→Reading2.0の入り口に立って
目次
1.Evernote×読書の必読本:『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(のCHAPTER-4)
Evernoteは、いろんな用途に使うことができます。なかでも、Evernoteと相性の良い用途のひとつに、読書があります。Evernoteを使って、読書を管理する、ということです。
ところで、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(倉下忠憲)という本があります。この本のテーマは、Evernoteやブログ、ソーシャルネットワークなどのウェブを活用して、個人レベルの総合的読書システムを構築することです。
同書が解説するのは、単なる読書テクニックではなく、読書システムです。つまり、本を読む方法だけでなく、本を読む前、すなわち本の選び方や、本を読んだ後、すなわち読了後の行動までをカバーしています。
私の意見では、同書の売りは、読了後の行動を扱った「CHAPTER-4 Evernoteにクラウド読書ノートを作る」です。タイトルからもわかるように、このCHAPTERには、Evernoteを読書に活用するためのヒントがてんこ盛りです。
『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』(「CHAPTER-4 Evernoteにクラウド読書ノートを作る」)Evernoteを読書という用途に活用することを考えるなら、ぜひとも読んでおくべき一冊です。
2.「CHAPTER-4 Evernoteにクラウド読書ノートを作る」をヒントに、Evernote×読書を構想する
「CHAPTER-4 Evernoteにクラウド読書ノートを作る」の内容を多少構造化して整理すると、以下のとおりです。
- 読了後に何をするのか
- 読書ノートに関する注意点
- 読書ノートの作り方
- テーマノートを作る
- デジタルでの読書ノート
- 最重要な読了後の行動
- 読書ノートに関する注意点
- Evernoteにクラウド総合読書ノートを作る
- 読書ノートの要素をEvernoteに取り込む
- デジタルアーカイブのメリット
- Evernoteの情報を構造化していく
- 読書ハブノートで行動管理
- 読書情報の管理法の具体例
読書ノートの作り方やEvernoteに読書の結果を蓄積する具体的方法が、たくさん記載されています。(「読書情報の管理法の具体例には、倉下氏が読書にEvernoteをどのように使っているかの一端が紹介されています!)
そこで、この記載をヒントに、私なりに、Evernoteを読書に活用する方法を構想します。ただ、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』を読むほうが、得るものがうんと大きいはずです。この記載に興味をもった方は、ぜひご一読を。
(1) 読書のすべてをEvernoteに集める
Evernote×読書の基本は、読書のすべてをEvernoteに集めることです。Evernoteに集めることができる読書のすべてとは、以下のものたちです。
a.読んだ本の情報(書誌のような情報)
まず、読んだ本の情報です。
自分が、いつ、どんな本を読んだのか、という読書リストは、あとから見返すと、いろんな気づきを与えてくれます。
また、本は、著者、出版年、出版社、価格、表紙写真といった、いくつかの定形の情報を持っています。読んだ本1冊ごとに、これらの情報をEvernoteに記録しておくと、このノートが、Evernote×読書の基本台帳のような機能を果たします。(後述)
この、書誌情報が記載された基本台帳ノートは、Amazonのページをウェブクリップしたり、メディアマーカーとEvernoteを連携することなどによっても、作成することができます。
b.メモ・ハイライト(Kindle本)
Kindle本の場合、メモやハイライトを、テキストデータで、Evernoteに取り込むことができます。
Kindleのハイライト箇所をテキストでEvernoteに取り込み、読書のアウトプットを促す(kindle.amazon.co.jp)
c.線を引いたページの写真
紙の本なら、線を引いたページの写真を撮影し、その写真データをEvernoteにアップロードすることで、Evernoteに集めることができます。
アナログでの思考を、Evernoteに集め、アウトプットにつなげる
d.アナログ&デジタルの読書メモ
アナログで作った読書メモも、写真かスキャンによって、Evernoteに集めます。
また、最初からEvernoteを使って読書メモを作れば、自然とEvernoteに集まります。
e.ブログに書いた書評記事や本と関連する記事
ブログに、書評記事や、本を読んでインスパイアされたことをまとめた記事などを書くことがあります。これらは、本を読んで考えたことや感じたことに、まとまった文章という形を与えてアウトプットしたものなので、貴重です。
そこで、もちろん、Evernoteに集約します。
f.マイ教科書
『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』は、テーマごとに作成するノートを、「マイ教科書」と呼んでいます。
このテーマノートの作成は、いろんな本に散らばる情報を1冊のノートに集約していくようなイメージです。別の表現を使えば、マイ教科書作りと言えるかもしれません。
p.154
Evernoteは、マイ教科書を作るための、もっとも適したサービスのひとつです。
g.読書に関するログ
本を読み始めることや本を読み終えることなど、読書に関する行動を、Toodledoにタスクとして追加すれば、ToodledoとEvernoteをIFTTTでつなぐことによって、読書に関するログを、Evernoteに蓄積することができます。
Evernoteに読書経験のすべてを蓄積するとっかかりとして、ToodledoとIFTTTを使う
また、読み始めた本をTwitterでつぶやく、買った本をメディアマーカーに登録する、などの習慣を持っていれば、TwitterやメディアマーカーをEvernoteとつなぐことによって、読書に関するログをEvernoteに集約できます。
(2) 構造化する
a.情報の構造化
Evernoteに読書に関するすべてを集約すると、Evernoteの中で、これら読書に関するすべては、化学反応を起こします。そして、そこから価値を生み出します。
ただ、この化学反応は、自分で手を加えたほうが、より大規模に生じます。
すなわち、Evernoteに集約した読書に関する情報を構造化する、ということです。Evernoteに集められた情報は、構造化されることで、より大きな価値を生み出します。
Evernoteに集約した読書情報を集約する手段としては、たとえば、つぎの2つが考えられます。
b.基本台帳を作り、ノートリンクで構造化する
ひとつめは、基本台帳のノートと、その本に関するノートを、ノートリンクでつなぐことによって、構造化する方法です。これは、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』で説明されていた方法です。
ノートリンクは、Evernoteのかなり便利な機能です。平たく言うと、Evernoteのあるノートに、別のノートへのリンクを埋め込む、というものです。このリンクは、ウェブページのリンクのように、自由に作成することができます。
ノートリンクの使い方の基本は、本1冊につき基本台帳的なノートを作成し、その基本台帳ノートからその本に関連するすべてのノートへのノートリンクを貼る、というものです。
(1)aで作成した、書誌のようなノートは、この基本台帳ノートになります。
c.書名のタグを付ける
ふたつめは、書名のタグを使う方法です。私は、主にこの方法を採用しています。
たとえば、私のEvernoteには、『7つの習慣』に関するノートがたくさんあります。そこで、私は、それらすべてのノートに、『7つの習慣』というタグをつけています。そうすれば、『7つの習慣』タグで検索すれば、『7つの習慣』に関連するノートがすべて出てきます。
このように、ある本に関連するノートの全部に、『書名』という形式のタグを付けることだけでも、Evernoteの中に蓄積した本に関する情報は、かなりの程度、構造化されます。
Evernoteに読書経験のすべてを蓄積するとっかかりとして、ToodledoとIFTTTを使う
(3) 読書後の行動を促す仕組みを組み込む
a.基本台帳ノートに、チェックボックス付きで、読書後の行動を書き込む
『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』には、基本台帳ノートの、おもしろい活用方法が掲載されていました。それは、読書後の行動を促す仕組みを作る、というものです。
使う機能は、Evernoteのチェックボックスです。チェックボックスは、ToDoリストのように使うことができます。そこで、基本台帳ノートに、いくかの読書後の行動を、チェックボックス付きで書き込んでおけば、読書後の行動管理にも使えます。
b.自分の古典を作るための、読書後の行動チェックリスト
たとえば、読書の大きな楽しみのひとつは、何度も繰り返し読む自分の古典と出会うことです。『知的生活の方法』は、自分の古典と出会えることを「大きな人生の幸福」と評しています。
そしてこの繰りかえしが二十年も続けられて、しかもそれに耐える本や作者にめぐり合ったら、相当に大きな人生の幸福と言ってもよいのではないだろうか。つまりそういう人は、その人自身の、私の古典を発見したことになるのだから。location 766『知的生活の方法』
この、自分の古典は、ある程度、自分で作ることができます。もちろん、待っているだけでは作れませんし、百発百中で作れるわけでもありません。しかし、然るべきいくつかの作業を行えば、ある本を自分の古典とできる可能性は高まります。
自分の古典を作るための読書後の行動チェックリストとしては、たとえば、以下のような行動があります。
- 書き込みながら読む
- もう一度、読み返す
- 読書ノートを作る
- ブログ記事としてアウトプットする
3.読書体験をまるごとしまうことで、Evernoteは、大きく育つ
使えば使うほど、Evernoteは育ちます。Evernoteの成長方向は、Evernoteに何をしまうかによって決まります。
本は、ものすごくしっかりとした栄養源です。読書体験をまるごとしまえば、Evernoteは、大きく、強く、育ちます。
Evernoteを読書に活用し尽くすことによって、Evernoteをもっともっと育てていけたらいいなと思っています。
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