タスク管理システムのフローとストック(まずフローとして扱い、次にストックとして活用する)
公開日:
:
Toodledo
目次
1.タスク管理システムのフローとストック
(1) タスク管理システムが果たす2つの役割
a.タスク管理システムは、これからやるべき未了のタスクを、管理する
毎日を生きていくためには、たくさんのことをしなければいけません。食事に掃除洗濯やゴミ出しなどの家事。メールチェックやSNSのメッセージ確認。会議、プレゼン、交渉、書面作成などの仕事もたくさんです。
やらなければいけないことを「タスク」と呼ぶとすると、私たちは、たくさんのタスクを抱えて、毎日を生きています。
私たちが抱えるタスクは、たくさんあります。10や20ではなく、100や200になるでしょうし、細かく分ければ、1000、2000だって、たぶん、行きます。
その上、私たちが抱えるタスクは、多種多様です。タスクの締切りもいろいろ、タスクの所要時間もいろいろ、タスクに必要な道具もいろいろ、タスクに取り組む場所もいろいろ、タスクの重要度もいろいろ、タスクの難易度もいろいろです。
私たちは、多種多様なタスクを、たくさん抱えています。ですから、自分の頭だけで自分が抱えているタスク全部をきちんと管理するのは、ほぼ不可能です。締切りを過ぎてしまったり、タイミングを逃してしまったり、やるべきことが手持ち時間を大きく超えてしまったりします。
では、どうしたらよいでしょうか。タスク管理システムが、解決策のひとつです。タスクを管理するシステムを整えて、そのシステムに自分が抱えているすべてのタスクを預ければ、タスク管理システムが、自分が抱えているタスクについての締切りや所要時間やタイミングを把握し、教えてくれます。自分の頭でタスクを把握しなくても、タスクをひとつひとつ確実に片付けていくことができます。
このように、自分が抱えているタスクを確実に片付けていくことを支援するのが、タスク管理システムの役割です。ここでいう自分が抱えているタスクとは、自分がこれからやるべき未了のタスクのことです。つまり、タスク管理システムの役割は、これからやるべき未了のタスクを管理することです。
b.タスク管理システムは、過去に完了したタスクの情報から、価値を引き出す
未了タスクの管理がタスク管理システムの主要な役割であることは論を待ちません。でも、タスク管理システムの役割は、これにとどまりません。タスク管理システムは、これとはまったく別の役割を果たすことができます。それは、過去に完了したタスクの情報を蓄積し、そこから価値を引き出す、ということです。
これは、どういうことでしょうか。
まず、過去に完了したタスクの情報とは、
- 自分がどんなタスクを完了にしたのか
- 自分はそのタスクを、いつ、どのように、完了にしたのか
という情報のことです。
自分が、いつ、どんなタスクを、どのように完了させたのか、という過去に完了したタスクの情報は、いろんな場面で、武器にもなれば、防具にもなります。これらの情報を武器とすれば交渉を有利に進めることもできますし、これらの情報を防具とすれば自分の落ち度を追及されたときに自分を守ることもできます。
でも、この情報を継続して蓄積することは、面倒です。なので、武器や防具として機能することがわかっていても、なかなか情報の蓄積を継続することができません。(逆に言えば、だからこそ、完了タスク情報の蓄積が武器や防具になります。)
そこで、タスク管理システムの出番です。
タスク管理システムは、その主要な役割である未了タスクの管理を果たすとき、
- (i) これからやるべき未了のタスクを把握する。
- (ii) そのタスクを完了が完了になったらそのタスクを完了扱いにする。
というふたつのことをしています。
そのため、タスク管理システムの中には、
- (i) 自分がどんなタスクを完了にしたのか
- (ii) 自分がそのタスクを、いつ、どのように、完了にしたのか
という完了タスクの情報が流れているはずです。
ですから、タスク管理システムの中を流れている完了タスクの情報をどこかに蓄積すれば、タスク管理システムを運用するだけで、完了タスクの情報が蓄積されます。
まとめると、こういうことです。
過去に完了したタスクの情報は、それを蓄積すれば、その蓄積から価値を引き出すことができます。しかし、この蓄積を継続するのは、なかなか面倒です。
タスク管理システムは、その性質上、システムの中を、過去に完了したタスクの情報が流れていきます。そのため、流れていった完了タスクの情報をどこかに蓄積する仕掛けを整えれば、タスク管理システムを運用することによって、結果として、過去に完了したタスクの情報を蓄積することができます。
タスク管理システムは、そのための仕掛けさえ整えれば、自分が過去に完了したタスクの情報を蓄積し、そこから価値を引き出す、という役割を果たすことができます。これが、タスク管理システムの、もうひとつの重要な役割です。
(2) まずフローとして扱い、次にストックとして活用する
「未了タスクを管理すること」を【タスク管理システムの第1の役割】とし、「完了タスク情報を蓄積すること」を【タスク管理システムの第2の役割】とします。これをちょっと別の観点から見ると、タスクをフローとして扱うのが【タスク管理システムの第1の役割】で、タスクをストックとして活用するのが【タスク管理システムの第2の役割】です。
【タスク管理システムの第1の役割】は、「未了タスクを管理すること」です。この役割の目的は、ひとつひとつの未了タスクを完了にすることです。未了タスクを確実に完了にするため、締切り、必要な道具、タイミング、所要時間、重要度などのタスクの要素を考慮に入れて、タスクを管理します。
この役割との関係では、完了にしたタスクは、済みのものなので、それほど重要ではありません。今の自分が抱えている未了タスクを管理すればそれで問題ありません。これは、自分の手持ちタスクをフローとして扱っている、といえます。
【タスク管理システムの第2の役割】は、「完了タスク情報を蓄積すること」です。この役割の目的は、完了タスクの情報を蓄積することで、そこから価値を引き出すことです。いつ、どんなタスクを、どのように完了にしたのかを蓄積することで、この情報を武器や防具として活用することが目的です。
この役割との関係では、完了にしたタスクの情報が重要です。完了にしたタスクを、後から見返すことができるかたちで、データベースのように整理しておくことが大切です。これは、自分が完了にしたタスクの情報をストックとして活用している、といえます。
タスク管理システムは、まずタスクをフローとして扱い、次にタスクをストックとして活用する、という2つの役割を果たすことができます。
【タスク管理システムの第1の役割】 | 「未了タスクを管理すること」 | タスクをフローとして扱う |
【タスク管理システムの第2の役割】 | 「完了タスク情報を蓄積すること」 | タスクをストックとして活用する |
2.個人的タスク管理システムで、タスクをストックとしての活用する
(1) 個人的タスク管理システムに求める役割の変化
数年前、私は、個人的なタスク管理システムを作りました。それまではスケジュール管理システムの中でタスクを扱っていたのですが、スケジュール管理システムからタスク管理システムを独立させることにしました。
このときに私が求めていたのは、完全に、未了タスクの管理でした。タスク管理システムの第1の役割、タスクをフローとして扱うことを求め、私は、スケジュール管理システムからタスク管理システムを独立させました。
タスク管理システムをスケジュール管理システムから独立させたことで、どのようにストレスが減ったか
タスクをフローとして扱うことに関して、自分が作った個人的タスク管理システムは、十分に役割を果たしてくれました。私は、自分のタスク管理システムに、すこぶる満足していました。
しかし、その後、タスクをストックとして活用するということに興味を持ちました。それは、「Gmailを使い続けていたら、Gmailに個人的データベースが、いつの間にか生まれていた」ということを体験したためです。
GmailとGoogleカレンダーに集約することで、個人的データベースが、いつの間にか生まれている
これと同じように、個人的タスク管理システムを使い続けていくことで、どこかに個人的データベースがいつの間にか生まれたらいいのに、と感じました。
つまり、私は、最初はタスクをフローとして扱うことを求めて個人的タスク管理システムを作ったのですが、その後、タスクをストックとして活用することも実現したいなと思うようになりました。
(2) IFTTTによる自動化が、個人的タスク管理システムにおけるストックとしての活用を可能にした
私は、Toodledoによって、個人的タスク管理システムを作っています。
個人的なタスク管理システムを運用すること自体には、価値はありません。個人的タスク管理システムの価値は、システムに費やした資源と比較して、システムがどれだけたくさんの価値を生み出しているかで決まります。したがって、個人的タスク管理システムで新しい価値を生み出したいと思ったときは、費用対効果をシビアに考える必要があります。
タスク管理システムから、タスクをストックとして活用することによる価値を生み出すということを考えるなら、タスクをストックとして活用するために投入すべき資源と、タスクをストックとして活用することから得られる価値を比較して検討しなければいけません。投入資源よりも大きな価値が得られるならやる意味がありますが、投入資源よりも少ない価値しか得られないなら、やるべきではありません。
タスクをストックとして活用することから得られる価値は、未知数です。抽象的に考えれば、大きな価値を生み出しそうな気がします。でも、具体的にどんな役に立つのかは、よくわかりません。
とすれば、ストックとして活用するための追加投入資源は、0が理想です。ストックとして活用することを意識することなく、タスクをフローとして扱っているだけで、結果として、自動的に、どこかに、完了タスク情報がストックとして蓄積されている、というシステムでないと、続きません。
この意味で、私が最初に考えたタスクをストックとして活用するための方法は、落第でした。Toodledoの完了タスク画面を手動でウェブクリップするためには、手間がかかります。追加投入資源は、0ではなく、それなりに大きな数字でした。
Evernote×タスク管理 Evernoteに完了タスクをウェブクリップすることで、Toodledoを補完する
この状況を解決してくれたのが、IFTTTでした。IFTTTがToodledoに対応したことによって、IFTTTのレシピを用意しておくことで、Toodledoの完了タスクを自動的にEvernoteやGoogleドライブに蓄積できるようになりました。
Evernote×Toodledo Toodledoの完了タスクをEvernoteに蓄積するiftttレシピの整理
Toodledoの完了タスクを、ifttt経由で、Googleドライブのスプレッドシートに記録する
IFTTTによって、私のタスク管理システムは、Toodledoでタスクをフローとして扱っていれば、自動的に、EvernoteとGoogleドライブに、完了タスク情報を蓄積してくれるようになりました。今、私の個人的なタスク管理システムは、まずタスクをフローとして扱い、次にタスクをストックとして活用する、という役割を果たしてくれています。
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