何度も読んできた本たち #8Books
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本
1.「何度も読んできた本たち」企画
るうさんのブログの過去記事を読んでいたら、おもしろい記事を発見しました。
るうの何度も読んできた本たち #8Books | るうマニア
冒頭に引用されていた、「僕」と永沢さんの会話でわしづかみされて、最後まで一気に読みました。
「好きな本」と「読み返す本」は似ているようでちょっと違いますよね.
「読み返す」本は,「そこに書かれていることは既にわかっているわけだけれど」,
「もっと今の自分の心に読み聞かせたい,学びたい」もしくは
「あの本に貰った(良い)気持ちの変化を再体験したい」という動機でしょうか.
特に後者は,麻薬のような,パブロフの犬の様な,自分の気持ちの甘えが見える部分なので,そういった本を公表するというのも何だか気恥ずかしい感じもしますが,
たしかに、「好きな本」と「読み返す本」は、違うような気がします。そして、「読み返す本」は、「好きな本」よりももっと、自分の何かを表してしまうのかもしれません。「麻薬のような,パブロフの犬の様な,自分の気持ちの甘えが見える部分」。そうかもしれません。
何にしても、「読み返す本」をまとめること、これは、おもしろそうです。
この企画は、R-styleの倉下さんの企画だそうです。
また、「#8Books」で検索してみたら、以下の記事を発見しました。
何度も読む本とは、自分を映し出す鏡のような存在である。#8Books | みんなの扉を開くカギ
これら3つの記事が、どれもすごくおもしろかったので、私も、自分の「何度も読んできた本たち」をふり返ります。
2.私の何度も読んできた本たち #8Books
(1) 実存からの冒険(西研)
一冊目は、西研さんの『実存からの冒険』です。
【目次】
第1章 真理批判と「生の肯定」―ニーチェ
第2章 可能性の了解―ハイデガー
第3章 現象学=実存論とは何か
この本は、ニーチェ、ハイデガー、フッサール、ポストモダンなどの思想を解説した本、です。
大学生のころ、なんとなく古本屋で買って本棚に放り込んでいたのですが、ひょんな機会で読み始めたら、もう本当におもしろくて、一気に読んでしまった本です。それ以来、10回は読んでいます。
この本から受けた影響はたくさんあります。ブログを始めたときから、この本を紹介する文章を書きたいとずっと思っていて、何度もチャレンジしているのですが、そのたびに挫折しています。自分にとって大きすぎる本なので、なかなか書けていません。(こんなことを気にしなくていいことは、頭では分かっているのだけれども(心から書きたいテーマやネタこそ、気楽に、どんどん、何度も、書く)。)
この本から受けた影響をひとつだけ書くと、それは、自分の思いや考えにかたちを与えるという営みが、自分の人生を納得して生きていくことの役に立つこと、生きることをワクワクしたものに変えることを助けるということ、です。
(2) それでも人生にイエスという(ヴィクトール.E.フランクル)
【目次】
1 生きる意味と価値
2 病いを超えて
3 人生にイエスと言う
『夜の霧』などで有名なフランクル博士の講演録です。
生きる意味を求める問いのコペルニクス的転回の話と、3つの価値の話(創造価値、体験価値、態度価値)の話が、おもしろくて、参考になりました。今、生きている上で、役に立っている気がします。
(3) 世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド(村上春樹)
倉下さんもるうさんも挙げている村上春樹ですが、私も何度も読んでます。あえて1冊挙げるなら、私は『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』ですね。
同じ本を何度も読み返すという行動様式は、村上春樹の小説の中に、繰り返し登場します。『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の「私」は、『カラマーゾフの兄弟』です。私は、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』を読んで、同じ本を何度も読み返すということの魅力を知りました。
なお、小説ではないのですが、『海辺のカフカ』の大島さんが、シューベルトの音楽について語ることで、同じものを何度も繰り返すことについて語っていました。曰く、「シューベルトは、訓練によって理解できる音楽。シューベルトは退屈。でも飽きない。退屈でないものはすぐ飽きるし、飽きないものはだいたい退屈。僕には、退屈する余裕はあっても、飽きている余裕はない。」というような感じだったと思います。
同じ本を何度も読む、ということについて、私が持っている感覚は、まあ、こんな感じです。
(4) 終末のフール(伊坂幸太郎)
村上春樹とはずいぶんと違うのですが、伊坂幸太郎も、私にとって特別な小説家です。伊坂幸太郎作品の中で「どれが一番好きか?」と考えるとけっこう迷うのですが、「どれを一番たくさん読み返しているか?」と言えば、答えは明らかです。『終末のフール』。
『終末のフール』については、以前に少し書きました。
伊坂幸太郎『終末のフール』の中の、私が好きな言葉たち【一部ネタバレあり】(このブログの最初の実質的に最初の記事です。)
ここにも書いたのですが、『終末のフール』は、どうってことのないお話です。話の筋が光っているわけでもなく、大どんでん返しがあるわけでもありません。
でも、『終末のフール』は、何度読んでも味わい深い小説です。たくさんの登場人物の生き方が魅力的なので、繰り返し楽しむのに向いているんじゃないかなと思います。読み返すたびに、別の人物の生き方に、何かしら惹かれます。
私がいちばん好きなのは、伊坂幸太郎ファンの中でもおそらくとても人気の高い、この部分です(「鋼鉄のウール」より)。
「苗場君ってさ、明日死ぬって言われたらどうする?」俳優は脈絡もなく、そんな質問をしていた。
「変わりませんよ」苗場さんの答えはそっけなかった。
「変わらないって、どうするの?」
「ぼくにできるのは、ローキックと左フックしかないですから」
「それって、練習の話でしょ? というかさ、明日死ぬのに、そんなことするわけ」可笑しいなあ、と俳優は笑ったようだ。
「明日死ぬとしたら、生き方が変わるんですか?」文字だから想像するほかないけれど、苗場さんの口調は丁寧だったに違いない。「あなたの今の生き方は、どれくらい生きるつもりの生き方なんですか?」
<中略>
苗場さんがランニングをしている写真だ。深夜の公園を一人で、黙々と走る姿で、地味で動きのない構図だったけれど、その静寂と苗場さんから立ち昇る湯気のような熱気が、美しく捉えられている。恰好いい、と思うと同時に、「できることをやる」という言葉がまた甦った。黙々と、不器用に、でも、やることをやる。それしかないだろうに、と苗場さんが走っていた。他にどうするって言うんだ、と。自分でも気づかないうちに、涙を流し、写真を抱えたままゆっくりと横になり、眠っていた。
他には、「冬眠のガール」もおすすめです。
(5) 光の帝国(恩田陸)
『光の帝国』は、『夜のピクニック』などで有名な恩田陸の連作短編集です。私がダントツで好きなのは、「大きな引き出し」です。
「大きな引き出し」という物語は、私がEvernoteを使ううえで、とても大切な「しまう」と「響く」という概念を与えてくれました。
(6) クリスマスキャロル(ディケンズ)
強欲なスクルージじいさんが、過去と現在と未来のクリスマスの精霊に連れられることで改心する、という、あの有名な、クリスマスキャロルです。
大学生の一時期、私は、「善い行い」みたいなものに、けっこう強い抵抗感のようなものを持ってしまっていました。そこから脱することができたのは、この『クリスマスキャロル』を読んだからではないかなと思います。
お話としても、すごくおもしろいですよ。
有名な海外のお話なので、翻訳はたくさんあると思います。私もいくつか読み比べてみたのですが、最初に読んだのが新潮文庫の村岡花子訳だったため、それが一番しっくりきます。
今回、この文章を書くにあたって、「村岡花子」って誰だろう、と調べてみたところ、なんと、つぎの朝ドラの主人公なんですね!
来年の朝ドラで吉高由里子が演じる「村岡花子」って誰? – NAVER まとめ
こんな波瀾万丈な生涯を送った方だったとは、はじめて知りました。
(7) 7つの習慣(スティーブン.R.コヴィー)
自己啓発本は、これだけでもよいのではないかと思う。
(8) 「できる人」はどこがちがうのか(齋藤孝)
いろんな本を上達のテキストとして読む、という読書の方法や、自分にとっての基本技を鍛え、自分の基本技を核に自分のプレイスタイルを作り上げる、といった考え方が、とても参考になりました。
齋藤孝先生の最高傑作だと思っています。
3.ふり返ってみての感想を三つ
何度も読み返している本をふり返ったところ、3つ、感じました。
(1) ほぼ大学時代に出会った本だった
まず最初に思ったのは、8冊のほとんどが、大学時代に出会った本だ、ということです。
大学生の頃と、社会人になってからとを比べれば、読書量が違うので、ある意味当然かもしれません。でも、ちょっと前進がないような気がして、気になります。
この8冊を当面のレギュラーにした上で、今後、1年に1冊ずつくらいは、入れ替わりがあるとよいなと思います。
(2) 今年中に、この8冊について書いた文章を揃えたい(特に、最初の2冊と村上春樹)
ふたつめは、この8冊は、どれも自分にとって大切な本なのですが、今のところ、ほとんどブログ記事にできていない、ということです。
今年中に、この8冊について書いた文章を揃えたいです。まずは、最初の2冊(『実存からの冒険』と『それでも人生にイエスと言う』)と、村上春樹についての何かを書きたいなあと思います。
(3) 全部をKindleで揃えることができたら、至福
最後に、これらを全部Kindleで揃えることができたら、至福だなあ、と思いました。Kindleのいいところのひとつは、同時に何冊もの本を持ち歩くことができる、ということです。自分が何度も読み返している8冊の本を全部Kindleに入れることができれば、それだけで、相当な時間を豊かに過ごすことができます。
この8冊のうち、現時点でKindle本があるのは、2冊だけです(『終末のフール』と『「できる人」はどこがちがうのか』)。しかし、1年前の段階では、この2冊のKindle本は存在していませんでした。なので、今後もKindle版は増えていくでしょうし、たぶん、10年後には、8冊全部のKindle版が出ていることでしょう。
今から楽しみで仕方ありません。
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