思考の一部を捨てても死なない(なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか)
公開日:
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最終更新日:2014/02/09
Evernote
目次
1.思考の一部を捨てること
(1) 思考の一部を捨てる
何らかの思考を進めるための文章を書くときに、私が気をつけていることのひとつは、思考の一部を捨てることです。
文章を書いていると、いろんな思考の断片が、どんどん生まれます。でも、生まれた思考の断片全部を文章に取り込もうとすると、文章のまとまりが失われ、ひどくわかりにくい文章ができあがってしまいます。結果、思考も進みません。
そのため、思い浮かんだ考えの全部を文章に取り込もうとすることを慎み、思考の一部を捨てる必要があります。
(2) 捨てた思考も死なない仕組み
でも、思考の一部を捨てるのは、簡単ではありません。その理由は、もったいないからです。もったいないので、ついつい私は、多少のムリをして、思考の断片を、文章の中に取り入れようとしてしまいます。結果、まとまりのない文章や、わかりにくい文章を書いてしまいます。
そのため、思考の一部をすっぱり捨てるには、このもったいなさを克服する必要があります。もったいなさを感じるのは、「思考の一部を捨ててしまうと、その思考の一部が死んでしまう。」と感じるからです。であれば、「思考の一部を捨てても、その思考が生き続ける」という条件を整えれば、もったいなさを感じずにすみます。
もったいなさを克服して、思考の一部を捨てるためには、捨てた思考も死なない仕組みを用意する必要があるわけです。
2.Evernoteは、捨てた思考も死なない仕組み
Evernoteは、捨てた思考も死なない仕組みです。そのため、Evernoteを使えば、思考の一部を(比較的)すっぱりと捨てることができます。
「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか?」という問いを考えるとき、「思考の一部をすっぱりと捨てられる。」ということは、Evernoteを使う大きな理由です。
(1) Evernoteで、思考の一部を捨てる
Evernoteを思考のためのツールとして使うときに、私がしている具体的な作業は、Evernote上のひとつのノートに、ひとつのテーマを持った文章を書くことです。Evernoteに文章を書くことによって、思考を進めています。
でも、文章を書くことで思考を進めるといっても、最初の一文から最後の一文までを順番に書くわけではありません。
まず階層付きの項目を作り、次に各項目のトピックセンテンス的な文を書き、最後に各項目の中身を文章を書きます。そして、ときに項目を組み替え、ときにトピックセンテンスを書き直すというように、行きつ戻りつして、少しずつ文章をかたちにしていきます。
この過程で、しばしば、文章全体の筋や流れにうまくハマらない項目や文が出てきます。このようなときは、まずは、何らかのかたちで、文章全体の筋や流れと関連づけることができないだろうか、と試行錯誤します。こうすることで、新しいことを思いついたりする場合もあるので。
でも、どんなにひねくり回しても、うまくハマらないときもあります。そのときは、「思考の一部を捨てる」の登場です。すっぱりと、その部分は捨てます。
Evernoteで「捨てる」作業をするのは、簡単です。具体的な操作は、以下のとおりです。
- 「捨てる」部分を切り取る(Ctrl+X)
- 新しいノートを作る(Ctrl+N)
- 新しいノートに、「捨てる」部分を貼り付ける(Ctrl+V)
という3手順だけです。
もっと混沌としてきたら、そこまでに書いた文章の全体をコピーして、大幅に削ることもあります。
- ノートの中身すべてを選択する(Ctrl+A)
- ノート全体をコピーする(Ctrl+C)
- 新しいノートを作る(Ctrl+N)
- 新しいノートにノート全体を貼り付ける(Ctrl+V)
- ばっさり削る
という手順です。
私は、このように、Evernoteで思考の一部を捨てています。
(2) Evernoteなら、捨てた思考が死なない
大切なのは、Evernoteなら、捨てた思考が死なない、ということです。なぜ、Evernoteなら、捨てた思考が死なないのか、ポイントを4つにまとめます。
a.削除されない
第一に、Evernoteなら、思考の一部を捨てても、思考の一部が削除されるわけではない、ということです。
書いている文章の一部を削除することによって思考を捨てた場合、その削除した部分は、失われてしまいます。しかし、削除する部分をカットして新しいノートに貼り付けたり、現状のノートをそのまま残した上で新しいノートで再出発をする、という手段で思考を捨てれば、捨てた部分も、残っています。
大切なのは、Evernoteなら、この方法で思考を捨てることが簡単だ、ということです。単純に削除することに比べれば多少の手間はかかりますが、操作に慣れれば、問題にならないくらいの手間で、思考の一部を殺さないかたちで思考の一部を捨てることができます。
b.ファイル数が増えても混乱しない
第二に、Evernoteなら、捨てた思考がたくさんになっても、その整理に困ることがない、ということです。
aで書いた、思考の一部を捨てるときに、別の場所にコピーしておく、というような方法は、Evernoteではないアプリケーションでも可能です。たとえば、Wordで文章を書いているときに、削除する部分を別のファイルにコピーしておいたり、「別名で保存」することで、現状のファイルをそのまま残した上で、新しいファイルを編集する、ということが、可能です。
しかし、Wordでこれをやるときの問題点は、ファイルの管理です。捨てた思考のぶんだけファイルの数が増えるので、すぐにたくさんのファイルがたまってしまいます。おまけに、Windowsのエクスプローラで管理するWordファイルは、開いてみないと、中身がわからないため、ファイル数がある一定数を超えると、どこにどんな思考を捨ててあるのかがわからなくなって、混乱します。
Evernoteなら、ノートの数が増えても、ノートの内容をカードビューなどで確認することが可能です。ノートブックやタグなど、ノートを整理する手段も用意されています。
c.「関連するノート」や検索で再発見される
第三に、Evernoteは、「関連するノート」や検索によって、Evernoteの中に捨てられた思考を再発見してくれます。
「関連するノート」は、意識しない発見を助けてくれます。あることを考えているときに、ノートの下に「関連するノート」として、過去に捨てた記録が表示されることがあります。このとき、その捨てられた思考の一部は、復活します。
検索は、意識しての発見を助けてくれます。「以前、こんなことを考えていたんだけれど、まとまりきらなくて捨てたよなあ。」と思ったら、それに関連する適当なキーワードで検索をかければ、かなりの高確率で、その捨てた思考と再会できます。
d.捨てた思考を育てることができる
第四に、Evernoteは、Evernoteの中に捨てた思考を育てることができることです。Evernoteという、思考を育てる場所に捨てられたなら、畑に捨てられた生ゴミの種から発芽するように、捨てられた思考から、独自の思考が育ちます。
思考の一部を捨てるのは、その思考の一部が、そのときにしていた思考にハマらなかったためです。その思考の一部自体に価値がないわけではありません。そのため、捨てた思考も、それを育てれば、立派なひとつの思考になる可能性を持っています。
Evernoteは、思考を育てる場所です。Evernoteの中に捨てられたなら、その捨てられた思考の一部は、Evernoteの中で、独自の思考へと育つ可能性があります。
これは、畑に捨てられた生ゴミの中にあった種が、畑に育てられて発芽して、ときに果実を実らせる、ということと似ています。Evernoteを豊かな思考の畑に育てておけば、Evernoteの中にどんどん思考の一部を捨てることで、捨てた思考が芽を出します。
Evernote×思考。Evernoteで、考えを捕まえ、育て、寝かせる。
3.「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」
この文章は、「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」という大きなテーマを、少しずつ考えていくための文章のひとつです。
「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか?」の「はじめに」
つまり、「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」というテーマを考える、ということです。
でも、このテーマは、「私にとって、思考するとは、どういうことなのか?」ということと不可分一体です。かなり大きなテーマなので、考えはじめても、ぜんぜん考えがまとまりません。
そこで、最初からまとまったかたちにすることは諦めて、気長に、その都度その都度の到達点をかたちにすることで、少しずつ思考を進めていく、ということを試みます。
その後の思考は、
思考の一部を捨てても死なない(なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか)(本記事)
アイデアの「畑」と「地層」:『ハイブリッド発想術』読書メモ(「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」番外編)
倉下忠憲さんの『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』を読んだら、このテーマとドンピシャでしたので、その興奮のままに書いた記事です。
「着想」→「連想」→「整想」という発想の3プロセスと、「いきなり「整想」発想法」
これも、『ハイブリッド発想術』の紹介です。「整想」という概念が、気に入りました。
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