なぜ、文章を書く道具として、Evernoteを使うのか
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Evernote
目次
1.なぜ、Evernoteか
(1) Evernoteで文章を書いている
私が、自分自身の個人的な文章を書くために使っている道具は、Evernoteです。Evernote for Windowsを使って、個人的な文章の大半を書いています。
私が書く個人的な文章というのは、
- ブログの原稿など、どこかに公開することを前提とした、何らかのテーマについてのまとまった文章
- 公開を前提としない、何らかのテーマについてのまとまった文章
- 日記や日誌
などです。
これらを書くための道具として、私は、Evernoteを使っています。むしろ、私のEvernoteの用途のメインが、これらの個人的な文章を書く、ということです。
(2) いろんな選択肢がある中で、なぜ、(文章を書く機能が豊富とは言えない)Evernoteでを使うのか
文章を書くための道具には、いろんな選択肢があります。パソコンを使うことを前提としても、たとえば、以下のようなものがあります。
- Wordなどのワープロソフトに直接書く
- 秀丸エディタなどのテキストエディタを使う
- Nami2000などのアウトラインプロセッサ(アウトライナー)を使う
これらの道具と比較すると、文章を書くという観点からは、Evernoteにはそんなに強みがないような気がします。
- Wordなら、文章を書きながらレイアウトを整えることができます。また、Wordの普及率は高いので、そのファイルをそのまま送信しても大丈夫です。
- 秀丸エディタなら、動きがめちゃくちゃ軽い上に、選択機能や置換機能が豊富です。マクロを使えば、いろんなことができます。テキストファイルという汎用的なファイル形式なので、再利用のさいも気を遣う必要がありません。
- Nami2000なら、アウトラインを活かして、思考を構造化することができます。思考を組み立てた後、目次付きの文章をはき出すことも簡単です。
Evernoteは、どの点からしても、及びません。
- Wordと比較すれば、印刷に値するレイアウトを手軽に整えることは多少面倒です。Wordと比較すると普及率が低いので、作った文章を第三者に送るためには、別のファイルにコピー&ペーストする必要があります。
- 秀丸エディタと比較すれば、Evernoteのテキスト編集機能は、それほど豊かではありません。マクロは使えませんし、行番号や段落番号、編集記号を表示することもできません。
- Nami2000などのアウトラインプロセッサと比較すれば、Evernoteはアウトラインプロセッサ的な機能を持っていませんので、できることが根本的に異なります。Evernote内で書く文章に構造を与えるためには、自分の頭を使って、手作業で構造化する必要があります。
それにもかかわらず、私が文章を書くためにEvernoteを使っているのは、なぜでしょうか。
2.文章を書くツールにEvernoteを選ぶ3つの理由
理由は、次の3つです。
- 文章のポケットひとつ原則
- 豊富ではないけれど、大切な機能を持っている
- Evernoteで書けば、Evernoteが育つ
ひとつずつ説明します。
(1) 文章のポケットひとつ原則
a.文章のポケットひとつ原則
ポケットひとつ原則は、野口悠紀雄氏の『「超」整理法』で提唱されていた基礎理論のひとつです。何かを整理するときに、その種のものを収納する場所をひとつにすれば、
- 探すのが効率的になる
- その場所を探してなかったら、「ない」との判断を下すことができる
などのメリットがあるため、ポケットをひとつに限定するのも手だよ、というような理論です(かなりおおざっぱな要約で、すみません)。
このポケットひとつ原則は、書類などの物理的なものにも妥当するのですが、アイデアや書きかけの文章というような、実体を持たないものにも妥当します。そして、私は、アイデアや書きかけの文章について、ポケットひとつ原則を実践しています。
文章を書くツールとしてEvernoteを使うことのメリット テキストデータのポケットひとつ原則
b.すべての文章をひとつに集めると、そこから価値が生まれる
文章にポケットひとつ原則を適用することには、いくつかのメリットがあります。
まず、過去に書いた文章を探すとき、その場所を探せばよいので、シンプルです。その場所を探して見つからなければ、「ない」と判断をして、新たに書きはじめることができます。
次に、新しい文章を書き始める心理的負担が、減ります。これは私だけかもしれないのですが、私は、ファイルを保存するときに、保存場所を決めることをとても面倒だと感じてしまいます。
そして、これまでに書いたすべての文章が、これから書く文章のために役に立つ、というのもよいです。
c.Evernoteは、ポケットひとつ原則との相性がよい
文章にポケットひとつ原則を適用するとすれば、これを実現するための手段として、Evernoteは最適な選択肢のひとつです。というのは、Evernoteとポケットひとつ原則は、かなり相性がよいためです。
クラウドと「ポケット一つ原則」は、相性抜群。文章とメールとタスク、3つの「ポケット一つ原則」
ポケットひとつ原則には確実にメリットがありますが、他方で、ポケットひとつ原則には限界もあります。文章のポケットひとつ原則の場合、
- そのひとつのポケットにアクセスできないと、自分が書いたすべての文章にアクセスできなくなる
- ひとつのポケットの中に全部の文章を入れるので、目的の文章を見つけるのが大変
という2点がその限界です。
ところが、Evernoteなら、この2点の限界を、軽く突破できます。
- Evernoteはマルチデバイス対応のクラウドサービスなので、どこからでもひとつのポケットにアクセスできる
- Evernoteは情報を整理するための仕組みと、情報を検索するための優秀な検索機能を持っているので、ひとつのポケットに全部の文章を放り込んでも、あんまり困らない
ということです。
文章にポケットひとつ原則を適用するためになら、Evernoteは最適な選択肢のひとつです。
(2) 豊富ではないけれど、大切な機能を持っている
a.Evernoteは文章を書くための道具ではないけれど、文章を書くために大切な機能を持っている
Evernoteは、文章を書くための道具ではありません。そのため、文章を書くための豊富な機能は持っていません。印刷を前提とした文章を作成するならWordなどのワープロソフトにかないませんし、純粋にテキストを編集する能力なら秀丸エディタなどのテキストエディタにかないませんし、文章を構造化して組み替える機能の点ではNami2000などのアウトラインプロセッサにかないません。
でも、Evernoteは、Wordや秀丸エディタやNami2000にはない、とても大切な機能を持っています。Evernoteのこれらの機能は、いずれも、文章を書くためのハードルを下げる方向に働く機能です。
b.Evernoteが持っている、文章を書くために大切な機能
(a) 文章を書く場面を選ばない
まず、Evernoteは、いろんな場面で文章を書くことができます。文章を書く場面を選びません。パソコンからも、スマートフォンからも書けます。パソコンから書く場合も、持ち歩き用のノートパソコンからも書けるし、書斎のデスクトップからでも書けます。
どんな場面でも書けることによって、文章を書ける状況になったときに、すぐに文章を書くことができます。これによって、文章を書くためのハードルが下がります。
(b) 整理しなくてもよい
次に、Evernoteなら、書きかけの文章や書き終わった文章を整理する必要がありません。
Evernoteは、整理しようと思えばきちんと整理することができます。でも、整理しなくても、そんなに不便はありません。何らかの文章を見つけ出す必要が出ても、検索すれば、だいたい見つかります。
書いた文章を整理することに気を遣わなくてもよいため、文章を書くことに集中できます。
(c) 新しい文章を「保存する」動作が不要
Evernoteは、文章を「保存する」という動作が不要だということです。
パソコンなどを使って文章を書くとき、私が面倒だと思う動作は、「保存する」ということです。「保存する」ためには、ファイル名をつけたり、保存場所を決めたりする必要があります。このときに、一貫したルールを持っていないと、どんどん混沌状態になります。でも、一貫したルールを維持するのも大変です。そのため、たとえば秀丸エディタで、どんどん新しいファイルを作って文章を書く、というのは、とても面倒です。
これに対して、Evernoteなら、新しい文章を保存する必要がありません。新しいノートを作って、そこに何かを書き始めれば、自動的に保存されています。
新しい文章を「保存する」動作が不要であることによって、文章を書くためのハードルが、かなり下がっています。
(3) Evernoteで書けば、Evernoteが育つ
a.Evernoteで書くことで、Evernoteを育てる
みっつめの理由は、Evernoteで文章を書くことによって、Evernoteを育てることができる、ということです。
Evernoteは、育ちます。使えば使うほど、育ちます。
Evernoteを育てれば、Evernoteからより大きな価値を引き出すことができます。また、Evernoteを育てることは、少なくとも私にとっては、それ自体が楽しくてうれしいことです。
Evernoteで文章を書けば、Evernoteを育てることができるので、私は、Evernoteで文章を書いています。
b.文章によってEvernoteを育てたい
Evernoteにいろんなものを蓄積していけば、Evernoteは育ちます。でも、Evernoteに何を蓄積するかによって、Evernoteの育ち方の方向性は変わります。
私は、できる限り、自分が書いた文章によって、Evernoteを育てたいと思っています。ウェブクリップやいろんなpdfファイルを蓄積することによってではなく、自分の手と頭で書いた文章によって、Evernoteを育てたいと思っています。そのため、私は、できる限りたくさんの自分が書いた文章を、Evernoteに蓄積したいと考えています。
c.文章をEvernoteに蓄積するために、Evernoteで文章を書く
Evernoteに自分の書いた文章を蓄積するにしても、その手段はいろいろです。Evernote以外のツールで文章を書いて、その完成した文章をEvernoteに蓄積する、というのでもよさそうです。
でも、Evernoteで文章を書けば、書きかけの文章も完成した文章も文章の萌芽も、全部まとめてEvernoteに蓄積できます。Evernoteに文章を蓄積するための、いちばん確実な手段は、Evernoteで文章を書くことです。
そこで、私は、Evernoteを自分の書いた文章で育てるため、Evernoteで文章を書いています。
3.まとめ
まとめると、文章を書く道具としてEvernoteを選んでいる理由は、
- 文章のポケットひとつ原則
- 豊富ではないけれど、大切な機能を持っている
- Evernoteで書けば、Evernoteが育つ
の3つです。
こうしてまとめてみると、Evernoteは、文章を書くという作業を気持ちよくこなすためにピッタリの道具なんだな、と感じます。
Evernoteの活用方法というと、ウェブクリップやライフログなどが多いのですが、私にとっては、Evernoteは、文章を書くための道具です。
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