文章を二次元で書くための道具(グループ分け、接続詞、項目名・項目番号)
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書き方・考え方
1.文章を二次元で書くためには、どんな道具があるか
(1) 文章を二次元で書く、ということ
文章は、ほんらい一次元です。文章を読むとき、一本の線の上に並べられた言葉を順番にたどる必要があります。文章を書くとき、一本の線の上に並べるように言葉を重ねる必要があります。
でも、言葉は、いろんなレベルの概念を扱うことができます。そのため、概念のレベルの大小をある程度自由に移動しながら、何かを述べることができます。この、概念のレベルという次元を使うと、文章を二次元で書くことができます。
文章を二次元で書くと、文章に構造をつけることができます。
(2) この文章のテーマ:文章を二次元で書くためには、どんな道具があるか?
この文章で考えたいテーマは、文章を二次元で書くためには、どんな道具があるか、という問いです。
ここでいう「道具」は、ノートやパソコンやアプリケーションのようなものではありません。文章を書くときに使う言葉や書き方や記号のようなものを、「道具」と表現します。
この意味での「道具」として私が思いつくものは、次の3つです。
- 文のグループ分け(段落と項目)
- 接続詞
- 項目名と項目番号
以下、この3つについて、例文を使って、考えてみます。
2.例文
この記事では、以下の例文を使います。後の考察の都合上、すべての文を箇条書きにして、それぞれの文に番号をつけます。
- (1) docomoのXperia SXからauのiPhone5cに機種変更して、1週間が経った。
- (2) Xperia SXとiPhone5cは、OS自体が異なるので、まったく別のものである。
- (3) Xperia SXとiPhone5cは、どちらもスマートフォンのひとつである。
- (4) 1週間使ってみて、Xperia SXとiPhone5cとの違いが何となく見えてきた。
- (5) iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか。
- (6) iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、2つである。
- (7) バッテリーのもちが、すごくよい。
- (8) やっていることは同じなのに、バッテリーのもちが格段によい。
- (9) バッテリーのもち方によって、スマートフォンの使い方が変わる。
- (10) バッテリーのもちがすごくよいのは、ありがたい。
- (11) フリック入力が、大きく違う。
- (12) iPhone5cのフリック入力には、まだなれない。
- (13) 半濁音をフリックで入力できない。
- (14) フリック感度を調整できない。
- (15) トグル入力オフについては、できないと思っていた。
- (16) 実際には、iPhoneでも、トグル入力をオフにすることができた。
- (17) iPhone5cは、Xperia SXと、2つの点で大きく違う。
- (18) iPhone5cは、バッテリーのもちがよい。
- (19) iPhone5cは、フリック入力がしづらい。
- (20) フリック入力のしづらさは、なれの問題である。
- (21) フリック入力のしづらさは、練習次第である。
- (22) フリック入力がしづらい、というよくない点は、克服が可能である。
- (23) バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
- (24) iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。
3.道具たちは、いかに活躍するか
(1) 文のグループ分け(段落と項目)
a 文章を構成する文は、いくつかのグループにまとまる
文章は、あるひとつの意味内容をめざす、複数の文のまとまりです。文章には複数の文が含まれます。また、その複数の文は、あるひとつの意味内容をめざします。
文章があるひとつの意味内容にたどり着くまでには、いくつかの段階を経ることが普通です。この段階ごとに、文章は、グループに分かれます。
文章を構成する文は、いくつかのグループに分かれてまとまります。
b 文のグループ分けは、段落と項目によって実現される
文章の中で、文をグループ分けするためには、段落と項目を使います。
段落は、通常、複数の文から構成されます。原稿用紙や本やレポートだと、改行した上で冒頭の1文字を下げることによって表現されます。また、ウェブの場合は、改行した上で1行程度行間を空けることによって表現されます。
段落は、複数の文章をグループにまとめた存在です。でも、この段落自体が、複数集まってひとつのグループを構成することがあります。このときに使うのが、項目です。項目は、通常、複数の段落から構成されます。複数の段落を項目に分かれていることを表現するためには、項目が変わったことを示す記号をつけたり、項目の前に項目名をつけたりします。
c 例文をグループ分けする
では、実際に、上の例文をグループ分けします。
(a) 大きな構造
まず、この例文は、「iPhone5cはXperia SXと比較してどうか?」という問いを設定し、この問いを検討して、「iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。」という結論を導くという構造になっています。
そこで、
- 問いの設定
- 検討
- 結論
という3つのグループに分かれます。
【第1グループ】=問いを設定する
- (1) docomoのXperia SXからauのiPhone5cに機種変更して、1週間が経った。
- (2) Xperia SXとiPhone5cは、OS自体が異なるので、まったく別のものである。
- (3) Xperia SXとiPhone5cは、どちらもスマートフォンのひとつである。
- (4) 1週間使ってみて、Xperia SXとiPhone5cとの違いが何となく見えてきた。
- (5) iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか。
【第2グループ】=検討
- (6) iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、2つである。
- (7) バッテリーのもちが、すごくよい。
- (8) やっていることは同じなのに、バッテリーのもちが格段によい。
- (9) バッテリーのもち方によって、スマートフォンの使い方が変わる。
- (10) バッテリーのもちがすごくよいのは、ありがたい。
- (11) フリック入力が、大きく違う。
- (12) iPhone5cのフリック入力には、まだなれない。
- (13) 半濁音をフリックで入力できない。
- (14) フリック感度を調整できない。
- (15) トグル入力オフについては、できないと思っていた。
- (16) 実際には、iPhoneでも、トグル入力をオフにすることができた。
- (17) iPhone5cは、Xperia SXと、2つの点で大きく違う。
- (18) iPhone5cは、バッテリーのもちがよい。
- (19) iPhone5cは、フリック入力がしづらい。
- (20) フリック入力のしづらさは、なれの問題である。
- (21) フリック入力のしづらさは、練習次第である。
- (22) フリック入力がしづらい、というよくない点は、克服が可能である。
- (23) バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
【第3グループ】=まとめ
- (24) iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。
(b) 【第2グループ】検討の内部構造
【第2グループ】の「検討」は、もっと細かい内部構造を持っています。
まず、比較的大きな構造は、こんな感じです。
- iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、よい点がバッテリーの持ちがよいことで、悪い点がフリック入力がしづらいことである。
- このうち、フリック入力のしづらさは、慣れの問題であり、練習次第で、克服可能である。
- そのため、バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
そして、この最初の部分は、さらに細かい構造を持っています。
(c) 最終的な構造
以上を踏まえて、例文の構造を組み立てると、こんな感じです。
- 【問いの設定】
- (1) docomoのXperia SXからauのiPhone5cに機種変更して、1週間が経った。
- (2) Xperia SXとiPhone5cは、OS自体が異なるので、まったく別のものである。
- (3) Xperia SXとiPhone5cは、どちらもスマートフォンのひとつである。
- (4) 1週間使ってみて、Xperia SXとiPhone5cとの違いが何となく見えてきた。
- (5) iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか。
- 【検討】
- (6) iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、2つである。
- 【よい点:バッテリーのもち】
- (7) バッテリーのもちが、すごくよい。
- (8) やっていることは同じなのに、バッテリーのもちが格段によい。
- (9) バッテリーのもち方によって、スマートフォンの使い方が変わる。
- (10) バッテリーのもちがすごくよいのは、ありがたい。
- 【悪い点:フリック入力】
- (11) フリック入力が、大きく違う。
- (12) iPhone5cのフリック入力には、まだなれない。
- (13) 半濁音をフリックで入力できない。
- (14) フリック感度を調整できない。
- (15) トグル入力オフについては、できないと思っていた。
- (16) 実際には、iPhoneでも、トグル入力をオフにすることができた。
- 【よい点と悪い点の検討】
- 【整理】
- (17) iPhone5cは、Xperia SXと、2つの点で大きく違う。
- (18) iPhone5cは、バッテリーのもちがよい。
- (19) iPhone5cは、フリック入力がしづらい。
- 【フリック入力は、解消可能】
- (20) フリック入力のしづらさは、なれの問題である。
- (21) フリック入力のしづらさは、練習次第である。
- (22) フリック入力がしづらい、というよくない点は、克服が可能である。
- 【整理】
- 【検討のまとめ】
- (23) バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
- 【結論】
- (24) iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。
(2) 接続詞
a.接続詞は、文がめざす方向を示す
文章は、ひとつの意味内容をめざす文章の集まりです。でも、文章を構成するすべての文が同じ方向を向いているわけではありません。
ある文は、文章がめざす意味内容とは反対の方向を向いています。ある文は、文章がめざす方向とは関係のない方向を向いています。個々の文を見ると、いろんな方向を向いている文たちが、全体としてみればひとつの方向をめざしていることが、文章の文章たるゆえんです。
この、文がめざす方向を明らかにするのが、接続詞の役割です。接続詞をつけることで、文章の書き手は、読み手に対して、その文の方向が、文章全体がめざす方向とどのような関係にあるのかを、示すことができます。
b.接続詞の役割についての良書
接続詞がどのような役割を果たしているかについて、現在、私は勉強&トレーニング中です。
私が勉強に使っている以下の本は、接続詞の役割を勉強し、トレーニングするために、最適な本ではないかと思います。
c.例文に接続詞をつける
上の例文は、接続詞がついていません。そのため、それぞれの文が向いている方向と、文章全体の方向との関係がよくわかりません。
そこで、上の例文に接続詞をつけて、文章全体の方向との関係を整理します。
【問いの設定】
(1) docomoのXperia SXからauのiPhone5cに機種変更して、1週間が経った。
(2) 一方で、Xperia SXとiPhone5cは、OS自体が異なるので、まったく別のものである。
(3) 他方で、Xperia SXとiPhone5cは、どちらもスマートフォンのひとつである。
(4) 抽象的には別物でもあり、同じものでもあるXperia SXとiPhone5cだが、iPhone5cを1週間使ってみて、Xperia SXとiPhone5cとの違いが何となく見えてきた。
(5) では、iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか。
【検討】
(6) iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、2つである。
【よい点:バッテリーのもち】
(7) 第一に、バッテリーのもちが、すごくよい。
(8) やっていることは同じなのに、バッテリーのもちが格段によい。
(9) バッテリーのもち方によって、スマートフォンの使い方が変わる。
(10) そのため、バッテリーのもちがすごくよいのは、ありがたい。
【悪い点:フリック入力】
(11) 第二に、フリック入力が、大きく違う。
(12) iPhone5cのフリック入力には、まだなれない。
(13) まず、半濁音をフリックで入力できない。
(14) 次に、フリック感度を調整できない。
(15) さらに、トグル入力オフについては、できないと思っていた。
(16) ただし、実際には、iPhoneでも、トグル入力をオフにすることができた。
【よい点と悪い点の検討】
【整理】
(17) iPhone5cは、Xperia SXと、2つの点で大きく違う。
(18) 第一に、iPhone5cは、バッテリーのもちがよい。
(19) 第二に、iPhone5cは、フリック入力がしづらい。
【フリック入力は、解消可能】
(20) このうち、フリック入力のしづらさは、なれの問題である。
(21) すなわち、フリック入力のしづらさは、練習次第である。
(22) そのため、フリック入力がしづらい、というよくない点は、克服が可能である。
【検討のまとめ】
(23) ということは、バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
【結論】
(24) 以上から、iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。
(3) 項目名と項目番号
a.項目名は、その項目の内容を示す
項目を分けたら、その項目に項目番号をつけるとよいです。項目番号をつけると、その項目がどんなことを述べた項目なのかが明らかになります。
b.項目番号は、項目間の構造関係を、直球で示す
項目には、項目名だけでなく、項目番号をつけるとよいです。
項目番号の機能は、文章における項目間の構造関係を、ストレートに示すことです。
たとえば、以下のような項目があったとき、Aであることは、結論を支える理由のひとつであり、その中でも、理由1という理由を支える根拠であることがわかります。
1.問い
1-1.問いの背景
1-2.問い
2.結論
2-1.結論
2-2.結論の前提条件
3.理由
3-1.理由1
3-1-1.Aであること
3-1-2.Bであること
3-2.理由2
3-3.理由3
項目番号を使わないで、このことを表現するのは、かなり高度な文章力が必要です。これに対して、項目番号を使えば、項目間の構造関係を直接に表現することができます。いわば、直球勝負で、項目間の構造関係を示すことができます。
c.例文に項目名と項目番号をつける
例文に項目名と項目番号をつけると、こんな感じになります。
1.iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか?
1-1.Xperia SXとiPhone5c
(1) docomoのXperia SXからauのiPhone5cに機種変更して、1週間が経った。
(2) 一方で、Xperia SXとiPhone5cは、OS自体が異なるので、まったく別のものである。
(3) 他方で、Xperia SXとiPhone5cは、どちらもスマートフォンのひとつである。
(4) 抽象的には別物でもあり、同じものでもあるXperia SXとiPhone5cだが、iPhone5cを1週間使ってみて、Xperia SXとiPhone5cとの違いが何となく見えてきた。
1-2.検討テーマ
(5) では、iPhone5cは、Xperia SXと比較して、どうか。
2.検討
(6) iPhone5cが、Xperia SXと比較して、大きく違うのは、2つである。
2-1.よい点:バッテリーのもち
(7) 第一に、バッテリーのもちが、すごくよい。
2-1-1.バッテリーのもちがよいこと
(8) やっていることは同じなのに、バッテリーのもちが格段によい。
2-1-2.バッテリーのもちがよいと、何がよいか
(9) バッテリーのもち方によって、スマートフォンの使い方が変わる。
(10) そのため、バッテリーのもちがすごくよいのは、ありがたい。
2-2.悪い点:フリック入力がしづらい
(11) 第二に、フリック入力が、大きく違う。
2-2-1.フリック入力になれないこと
(12) iPhone5cのフリック入力には、まだなれない。
2-2-2.どんな点でなれないか
2-2-2-1.半濁音
(13) まず、半濁音をフリックで入力できない。
2-2-2-2.フリック感度
(14) 次に、フリック感度を調整できない。
2-2-2-3.トグル入力
2-2-2-3-1.トグル入力をオフにする
(15) さらに、トグル入力オフについては、できないと思っていた。
2-2-2-3-2.トグル入力オフの設定は、iPhoneでも可能
(16) ただし、実際には、iPhoneでも、トグル入力をオフにすることができた。
2-3.よい点と悪い点を評価する
2-3-1.評価の前提
(17) iPhone5cは、Xperia SXと、2つの点で大きく違う。
(18) 第一に、iPhone5cは、バッテリーのもちがよい。
(19) 第二に、iPhone5cは、フリック入力がしづらい。
2-3-2.フリック入力は、解消可能
(20) このうち、フリック入力のしづらさは、なれの問題である。
(21) すなわち、フリック入力のしづらさは、練習次第である。
(22) そのため、フリック入力がしづらい、というよくない点は、克服が可能である。
2-4.検討のまとめ
(23) ということは、バッテリーのもちがよい、というよい点だけが残る。
3.結論
(24) 以上から、iPhone5cは、Xperia SXと比較しても、使いやすくてよい機種である。
4.まとめ
(1) 文章を二次元で書くと、文章に構造をつけることができる。
(2) 文章を二次元で書くためには、3つの道具が使える。その3つは、
- 文章のグループ分け
- 接続詞
- 項目名と項目番号
である。
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