どこに何が書いてあるか、はっきり示す(文章を書くときの簡単で効果が高いコツ)
公開日:
:
書き方・考え方
目次
1.文章を書くときの、簡単で効果が高いコツには、どんなものがあるか
仕事をする上で、なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章を書く機会は、しばしばあります。
このような文章(なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章)を書くには、いろんなコツがあるのだろうと思います。そして、それらのコツの中には、実践するのが簡単なものもあれば、難しいものもあります。また、効果があんまり高くないものもあれば、効果が高いものもあります。
簡単なコツの方が実践しやすいですし、どうせ気をつけるなら効果が高いコツの方がよいです。
そこで、この記事で考えたいのは、「このような文章を書くときの、簡単で効果が高いコツには、どんなものがあるか。」というテーマです。
2.どこに何が書いてあるか、はっきり示す
結論をまず述べると、私は、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」というのが、簡単で効果が高いコツのひとつだと思っています。
なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章は、「テーマ」と「結論」と「根拠」という3つの要素を、必ず含みます。これら「テーマ」と「結論」と「根拠」が、文章のどこに書いてあるのかを、丁寧にはっきりと示せば、それだけで、文章はわかりやすく、また、筋道の通ったものになります。
3.どこに何が書いてあるか、はっきり示す、というコツの威力
(1) どんな効果があるか
「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということには、次の2つの効果があります。
a.読み手にわかりやすい
ひとつめの効果は、読み手にとってわかりやすいことです。
どこにテーマが書いてあって、どこに結論が書いてあって、どこに根拠が書いてあるのかがはっきりと示されていれば、読み手は、今自分が読んでいるのが、テーマなのか、結論なのか、根拠なのかを、簡単に理解できます。
これは、文章のわかりやすさに通じます。
b.書くときに文章の筋道を整理できる
ふたつめの効果は、書くときに文章の筋道を整理できる、ということです。
どこに何を書くかをはっきり示すということは、そこで何を書くかを宣言する、ということです。自分で何を書くかを宣言すれば、テーマを書こうとしているのか、結論を書こうとしているのか、根拠を書こうとしているかを、きちんと意識できます。
そうすると、文章の道筋が整理されます。
(2) 簡単に実践できる
大切なのは、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということを実践するのは簡単だ、ということです。これを実践するために必要なのは、次の2つに気をつけることだけです。
a.「テーマ」、「結論」、「根拠」という3つのかたまりで、文章を書く
まず、かたまりごとに文章を書く、ということです。
なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章には、「テーマ」、「結論」、「根拠」という3つのかたまりがあります。このかたまりを組み立てることによって文章を書けば、かたまりごとに何が書いてあるかがはっきりするため、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ために有効です。
b.そのかたまりが何のかたまりなのか、ストレートに書く
その上で、そのかたまりが何を書いているかたまりなのかを、ストレートに書くことです。
「テーマ」のかたまりを書くときは「この文章のテーマは●●だ」というようなことを書き、「結論」のかたまりを書くときは「この文章の結論は●●だ」というようなことを書き、「理由」のかたまりを書くときは「その理由は●●だ」というようなことを書きます。
このように書くと、少々無骨ですし、あんまりかっこよくありません。でも、少なくとも、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということは、確実に達成できます。
4.まとめ
この記事のテーマは、「なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章を書くときの、簡単で効果が高いコツには、どんなものがあるか。」という問いに対する答えを考えることです。
私がこの記事でいいたい結論は、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」というのが、簡単で効果が高いコツのひとつだ、ということです。
その理由は、まず、
- どこに何が書いてあるか、をはっきりと示せば、それだけで、読み手にとってわかりやすい文章になる
- どこに何が書いてあるか、をはっきり示せば、自分が展開している論理の筋道が浮き彫りになるので、丁寧に論理の流れを追いながら文章を書くことができる
という2つの理由から、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということを実践すれば、文章の質が上がるからです。
さらに、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということを実践するのは、すごく簡単です。
- 「テーマ」、「結論」、「理由」という3つのかたまりで、文章を書く
- そのかたまりが何のかたまりなのか、ストレートに書く(「テーマ」のかたまりを書くときは「この文章のテーマは●●だ」というようなことを書き、「結論」のかたまりを書くときは「この文章の結論は●●だ」というようなことを書き、「理由」のかたまりを書くときは「その理由は●●だ」というようなことを書く)
という2つのことを気をつけるだけでOKです。
「なんらかのテーマに対して根拠を示して結論を述べるタイプの文章を書く力を鍛えたい」と考えたときは、まず、「どこに何が書いてあるか、はっきり示す」ということからはじめるとよいのではないかと思います。
スポンサードリンク
関連記事
-
-
アイデアの「畑」と「地層」:『ハイブリッド発想術』読書メモ(「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」番外編)
1.『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』がドンピシャだった (1) ブログ
-
-
『文章教室』を『数学文章作法 練習問題編』として使う。
1.『数学文章作法 基礎編』(結城浩著・ちくま学芸文庫)で学んだその後に、何をすべきか? (1)
-
-
アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について感じていること
1.問題の状況 私は、このブログを始めたころからつい最近まで、ブログエントリを書くために、Evern
-
-
『ねじまき鳥クロニクル』→『国境の南、太陽の西』文章作成術
1.『国境の南、太陽の西』は、『ねじまき鳥クロニクル』から生まれた (1) 『国境の南、太陽の西』は
-
-
整った論理構造を持つ文章を書くための、自分のブログの強みと落とし穴
1.ブログのために書くほうが、ブログ以外のために書くよりも、整った論理構造を持つ文章を書くのが、うん
-
-
論理的に表現するために、三段論法という論理の型が役に立つ
1.論理的に表現するために、論理の型が役に立つ (1) 「論理的であること」を求められたら、「論理
-
-
『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録・第7回「よい比喩を使いましょう」
この文章は、『文章教室』の練習問題に取り組んだ記録です。 『文章教室』は、結城浩先生がご自身のウェ
-
-
「文章群を書き続ける」という積極的な社会参加のあり方
1.積極的な社会参加へのあこがれと、その実現 大学生の頃から、知的生産にあこがれていました。本を読み
-
-
行動&結果が同じヒーローの価値をどんな基準で、どのように順位付けするか?
1.倉下さんからの追加質問 先日から、R-styleの倉下忠憲さんが発行しているメールマガジンを購
-
-
なぜ、WorkFlowyで文章を書くのか(WorkFlowyで文章を育てる)
1.はじめに 私は、最近、文章を書くときは、できるかぎりWorkFlowyを使うことにしています。