Evernote×大学の講義。講師の立場から考える「Evernoteで講義ノートをとる方法」
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Evernote
目次
1.講師の立場から「Evernoteで講義ノートをとる方法」を考える
(1) 自分が大学生のときにEvernoteがあったら、Evernoteで大学の講義ノートをとった
私がEvernoteを使い始めて最初に思ったことは、「大学生のときにEvernoteがあったら、Evernoteで講義ノートをとったのにな」ということでした。
Evernoteなら、ノートをノートブックとタグで整理できますし、ノートの中に写真やpdfファイルを保存できます。音声データや動画も保存可能です。また、検索機能も充実していますし、Evernoteのサービスが続いている限り、未来永劫、クラウドにすべてのデータを置いておくことができます。これらEvernoteの特徴は、理想的な講義ノートを実現するのに十分な機能です。
(2) 講師の立場から、学生にアドバイスする機会があった
ところで、私は、本業の傍ら、大学の非常勤講師をしています。先日、私の講義を受けてくれている学生のひとりから、「パソコンで講義ノートをとろうとしているのだが、なかなかうまくいかない。何かアドバイスがほしい。」という趣旨の質問を受けました。
現状を確認したところ、使っているアプリケーションはWordで、ひとつのWordファイルを作って、アナログの講義ノートのような感覚で、順番に書いている、とのことでした。彼の悩みは、たとえば、予習したメモを別ファイルにするとファイルの管理が大変だし、ひとつのファイルにするとファイル内で該当箇所を探すのが大変、というように、関連ファイルの整理がうまくいかない、ということのようでした。
それならEvernoteが対策になるのではないかと思い、「Evernoteのアカウント持ってる?」と聞いたところ、彼は、「一応は持っていて、適当にメモやウェブクリップを入れている」との答えでした。であればと、Evernoteを使って講義ノートをとることを提案するのと同時に、その場で思いつくまま、Evernoteで講義ノートをとることについて、2,3のアドバイスをしました。
ただ、そのときのアドバイスは、思いつくままだったので、あんまり整理できていなかったなと思います。いい機会なので、「Evernoteで講義ノートをとる方法」について、講師の立場から、考えてみます。
2.「Evernoteで講義ノートをとる方法」
(1) ノートの単位とノートの名前
a.1回の講義を記録する1つのノートと、その他の関連ノート
Evernoteのノートの単位は、1回の講義を記録するために1つのノートを使い、その講義のための予習や復習には、別途それぞれノートを作る、というのがいいと思います。
1回の講義ごとにノートを分けるのは、ノートをあまり大きくしすぎないためです。ある程度細かくノートを分けておく方が、後から検索するときに、目的の場所を探しやすいように思います。
講義の内容は、必ずしも、1回1回で区切られるわけではありません。そのため、テーマが変わった段階でノートを分ける、ということも、考えられます。しかし、私は、後述の通り、講義ノートをとる目的は、講義内容を思い出すことだけでなく、その日の講義の体験を思い出すことにあると考えているため、1回ごとに1つのノートを使う方がよいと思っています。
b.ノート名は、「講義日+講義名+種類」
この方針でノートを分けると、ひとつの講義が半期15コマあるとすると、講義ノートだけで15個のノートができます。また、講義ノート以外に、予習のメモや復習のまとめノート、レジュメなどを保存したファイルなど、いろんな種類のノートがたくさんできます。
そこで、ノートの種類と数が増えても、たいした手間がかからないで整理できるように、ノートの名前をつけておくとよいです。「講義日+講義名+種類」が無難ではないかと思います。
- 20131005「西洋文学史」講義ノート
- 20120422「経済原論」予習メモ
(2) ノートブックとタグの使い方
a.ノートブック
(a) ひとつの講義でひとつのノートブック
Evernoteでは、ノートを整理するために、ノートブックとタグを使うことができます。このうち、直感的にわかりやすいのはノートブックです。講義ノートの場合も、ノートブックを軸にしてノートを整理するとよいです。
講義ノートの場合、ノートブックの単位は、ひとつの講義ごと、がよいと思います。西洋文学史でひとつのノートブック、経済原論でひとつのノートブック、といった感じです。
ノートブックには、年・期・講義名を書いておくとよいと思います。
- 2012前期「経済原論」
- 2013後期「西洋文学史」
(b) 進行中の講義のノートブックをスタックでまとめておく
こうすると、講義に対応するノートブックが、履修している講義の数の分だけ、できます。これらのノートブックは、スタックでまとめておくとわかりやすいです。
なお、表示させる順序などにこだわりがあれば(講義をグルーピングして内容で並べる、時間割順(曜日、時限)で並べる、など)、それに対応した接頭語を、講義名のノートブックの先頭につけます。
- 01_2012前期「経済原論」
- 05_2012前期「統計学2」
(c) 終わった期のノートブックは、別スタックに
講義が終わったら、終わった講義のノートブックは、別スタックにまとめ直しておくとよいです。「2012年度前期」というように、年度と前期・後期を表示しておくと、あとから見返すときに便利です。
b.タグは、状況に応じて
ノートとノートブックだけで十分な整理はできるかと思いますが、タグを活用できると、立体的に管理できます。
たとえば、講義中、講師が、「ここを試験に出します」などと言った場合に(大学講師は、しばしばこういうことを言います)、「2013後期試験」といったタグをつけておくと、2013年度後期試験の勉強をするときに、まず「2013後期試験」のタグを検索して、関連ノートを見直せばよいので、役に立つかもしれません。
(3) 講義ノートの取り方
ノートの単位を決めて、ノートブックとタグの取り方を決めたら、次は、講義ノートそのものの取り方です。最初に、講義の内容を記録する講義ノート本体について、考えます。
a.講義ノートをとる目的
大学の講義で、講義ノートをとる目的は、次の2つです。
(a) 講義内容を身につけるため
ひとつは、講義内容を身につけるためです。
多くの人は、ひとの話を単に聞いているだけよりも、ノートをとりながら聞く方が、頭に入ります。また、講義内容を記録したノートがあれば、あとから講義内容をある程度正確に思い出すことができます。
大切なのは、講義で伝達された情報を記録するため、ではない、ということです。大学の講義の多くは、情報レベルとしては、教科書なり論文なりに、全部書いてあります。講義で聴かないと得られない情報は、今の時代、ありません。講義で伝達された情報を記録するためではなく、講義内容を身につけるために、講義ノートをとることが大切です。
(b) 講義経験を再体験するためのトリガー
もうひとつは、講義という経験を再体験するためのトリガーとして、です。
講義を受けるというのは、ひとつの体験です。講義で伝達された情報自体は、ひとりで本や論文を読むことによっても得られますが、その情報を講義を通じて聞いたという経験には、情報以上の価値があります。
講義ノートの役割のひとつは、この経験を、後から、自分が再体験するための、トリガーです。講義ノートを見返すことによって、あのとき講師がこんなことを話していた、あのとき自分はこんなことを考えた、などを思い出し、経験を再体験することができます。
私は、受講生が自分でとる講義ノートの本質は、こちらにあると思っています。
b.講義ノートは、思考と事実のログ
以上ふたつの目的を達成するために、講義ノートは、どうあるとよいでしょうか。
講義内容を身につけるという目的を達成するためには、その場で講義内容について考えて、その講義内容についての考えをアウトプットすることが大切です。
講義経験を再体験するトリガーという目的を達成するためには、それを見れば、講義の経験を思い出す、というような情報を盛り込むことが大切です。
これらのために大切なのは、講義を受けることによって自分を通過した思考を形にしてメモすること、それから、講義に関するちょっとした事実を幅広く記録することです。
(a) 思考
思考としては、以下のようなことを書きます。
- 講師の説明を要約すると、どうなるか?
- 講師の説明の論理構造はどうなっているのか? 目次を作ってみる
- 自分が理解できているか否かを確認してみる
- 自分が講義に集中できているかを確認する
- 今、講義で解説されていることを、自分が興味を持っている別の事柄に適用できないかを考える
(b) 事実
事実としては、以下のようなことを書きます。以下のリストは、講義の本質から外れている事実を多く含んでいます。でも、講義経験を再体験するためには、これらの事実が、けっこう有効なトリガーになります。
- 講師が説明する内容
- 板書内容
- 天気
- 講師や自分の服装
- どこの席に座ったか
- 自分の体調
- 発言者と発言内容
- 近くの席に座ったクラスメイト
- 講義の日の出来事(朝ご飯とか飲み会とか)
c.記載内容を区別するため、注釈記号をつけておく
この方式でノートをとると、講義ノートの中には、いろんなものがごちゃごちゃに記載されることになります。講師による説明内容のメモの次に、「今日は眠い。」のようなふと感じたことが記載されていたり、受講生の発言と併せて、その受講生の服装が記載されていたりします。
しかし、Evernoteで講義ノートをとるなら、これらがごちゃごちゃに記載されていることを、それほど気にする必要はありません。必要に応じて、あとで特定箇所だけをコピーペすることが簡単だからです。
このコピペ作業を簡単にするコツとしては、その記載がどのような記載かがわかるように、注釈記号を付けておくことです。HTMLやCSSにおいて、タグで注釈を付けるように、「ここは本論」「ここは自分の考え」「ここは周辺的な事実」などの区別を記しておきます。
検索することを想定して、この注釈は、ルールに従った記号を用いるとよいです。
- 本論
- 本論に関する自分の思考
- 感想&周辺事実
の3つに分けるとよいのではないかと思います。
d.写真やファイルの活用
(a) 絵や図は、紙に手書きして、スマートフォンで撮影・送信
講義によっては、講義ノートに、絵や図を入れる必要があります。
講義ノートの絵や図は、パソコンを使って講義ノートをとる際の、ひとつのハードルです。紙にペンで描くことに比べて、パソコンに絵や図を書くのは、ちょっと面倒で時間がかかるからです。
Evernoteで講義ノートをとるなら、この問題は、そんなに大きな問題ではありません。
紙にペンで手書きして、スマートフォンで写真に撮って、Evernoteに送信しておけばよいのです。場合によっては、講師が板書した図をそのまま写真に撮ってEvernoteに送信するのでもよいと思います。
(b) ExcelやWord、pdfも使えばいい
また、Evernoteに講義ノートを集めるからといって、Evernoteだけですべてをやろうとする必要はありません。
表を作成するなら、Excelの方が簡単かもしれません。レジュメがWord形式で配布されていれば、Wordファイルに書き込んだ方がノートをとるのが簡単かもしれません。資料がpdfで配布されていれば、そのpdfをそのまま使う方が便利かもしれません。
このような状況であれば、それらのファイルをそのまま使って、そのファイルをEvernoteのノートに貼り付けておけばよいのではないかと思います。
(4) 講義の録音
学生の中には、講義をICレコーダーで録音する人もいます。私は、録音しても聞き直さないだろうなあと思うので、自分は、録音はしていませんでしたし、録音の意味があるとも思っていませんでした。
しかし、Evernoteなら、録音した音声ファイルをそのままノートに入れておくこともできます。参照するかどうかはわからないけれどとりあえず入れておく、程度なら、録音データを一緒に入れておくのは、悪くない選択肢です。
パソコンを使って講義ノートをとるなら、ちょっとした外付けマイクをパソコンにつなぐだけで、簡単に講義の録音ができますし。
ただし、講義を録音する場合は、事前に講師の許可を取った方がよいのではないかと思います。無断で録音されることを不快に思う人もいるので。ちゃんと頼めば、多くの講師は許可してくれるのではないでしょうか。
(5) 予習と復習のノート
a.予習・復習と、講義ノートは、ノートを分ける
多くの講義は、その時間にその講義室にいればよいのではなく、一定の予習と一定の復習を前提に設計されています。予習と復習をすると、講義から得られるものは、たぶん、大きく増えます。せっかく貴重な90分を講義室で座って過ごすのですから、その時間の質を上げるために、多少の予習と復習をするとよいと思います。
さて、Evernoteの講義ノートは、予習や復習にも役立てることができます。前述の通り、私は、予習ノートと復習ノートは、本体の講義ノートとは別のノートにした方がよい、という考えです。
b.予習のノートをどう作るか
具体的な事前課題など、予習内容が明確に求められている講義では、求められている事前課題などについて、ノートを作ればよいと思います。検討内容、疑問点、調べたことなどを書いておくと、講義でも役に立つでしょう。
特に予習が求められていない講義でも、予習ノート的なものを作ると有益です。その日の講義が始まる5分前くらいに、ひとつノートを作って、以下の2つを書くことをおすすめします。
- 講義計画によれば、今日は、何をすることになっているか。
- 今日の講義を受けるに当たっての、自分の目標。今日の講義から、何を得たいか。
この2点をちょっと考えてから講義を受けると、講義の質は、上がります。予習が要求されていない講義でも、講義が始まる5分前に、Evernoteのその講義のノートブックの中に、簡単な予習用のノートブックを作って、この2点を記載することは、費用対効果の高い作業です。
c.復習のときに、ノートを整理する
講義ごとに復習をする大学生は少数派だと思います。私も、講義ごとの復習は全然行わずに、試験前にまとめてがっつりと試験勉強する方針でした。しかし、講師の立場から考えるに、コストパフォーマンスが高いのは、講義ごとにちょっとした復習をすることです。
Evernoteで講義ノートをとる場合、復習で行うのは、「ノートを整理する」という作業です。本体の講義ノートには、講師が語った本論のメモだけでなく、それに対する自分の思考や、ちょっとした感情や周辺的な事実などが、ごちゃごちゃに記載されています。これらを仕分けして、講師が語った講義内容を中心にしたノートに整理することが、「ノートを整理する」という作業です。
この作業を行えば、それなりに丁寧に講義ノートを読み返すことになるので、講義の経験を再体験することができます。講義後あまり間を空けないで講義の経験を再体験することには、高い学習効果があります。
d.オリジナルの講義ノートは、いじらない
なお、復習で行うのは、「ノートを整理する」作業ですが、このときに、オリジナルの講義ノートは、いじらないようにします。オリジナルの整理されていないノートは、そのまま残しておきます。
この理由は、オリジナルの整理されていないノートの方が、講義の経験を再体験するためのトリガーとして有効に機能するためです。
(6) 試験勉強・レポート
大学の講義は、単位認定のための試験やレポートが課されます。試験やレポートにも、もちろん、Evernoteの講義ノートは、活躍します。
a.試験勉強
講義の定期試験というのは、講義で扱ったことから出題されるのが普通です。
講師は、落とそうと思って試験をするわけではありません。試験で落とすことは、講師にとって何のメリットもありません(むしろ、落とした人が再履修でやってきたら、やりにくいし、面倒)。講師は、受かってほしいと思って、試験に通るためのヒントを、講義中にちりばめます。普通は。
「試験に出るよ」アピールをタグで管理しているのなら、まずは、タグがついたノートを復習しましょう。
復習の作業としてまとめノートを作成したなら、基本的には、そのまとめノートを見返せばよいです。
時間があれば、オリジナルの講義ノートを通読すると、講義の経験を再体験できるので、より確実です。
b.レポート
レポートを作成するときも、Evernoteが役に立ちます。
私自身が文系学部で学び、今も文系学部で教えているので、文系学部を念頭に置いて話を進めると、文系学部のレポートは、文章で構成されます。レポートの文章を練り上げていくために、Evernoteは、最適なサービスのひとつです。
また、多くのレポートは、文献や統計資料の調査が要求されます。文献や統計資料を調査した結果も、Evernoteにまとめておくと、便利です。
(7) ノートの共有
a.ノートをコピーするより、Evernoteで共有
ノートの共有は、Evernoteで講義ノートをとることの、最もわかりやすい強みかもしれません。Evernoteでとった講義ノートは、コピー機でコピーすることなく、つまり、コピー代金なしで、何人にでも共有できます。
b.何を共有するか
ここで共有するのは、おそらく、復習時に整理したノートです。オリジナルのノートは、関係ないことがたくさん書いてあるので、とても共有できる代物ではありません。
また、高い需要があるのは、レジュメや配付資料です。レジュメや配付資料をpdfにして講義用のノートブックの中に整理しておけば、これを共有すると、多くの人によろこばれるかと思います。
c.さらに進めて、力を合わせて講義ノートを作る、という方法もあり
ノートの共有機能を利用して、何人かで、力を合わせて講義ノートを作る、という方法もあります。
その講義の共有用のノートブックを作り、共有者全員に編集権限を与えれば(ただし、プレミアムアカウントのみ)、皆で講義ノートを進化させることができます。もっとも、ひとつのノートを何人もで編集するとぐちゃぐちゃになるので、
3.講師の立場から期待したい+αの応用編
以上が、基本的な、Evernoteで講義ノートをとる方法ですが、講師の立場からは、期待したい+αの応用編があります。
(1) 質問項目をあらかじめ用意する
最初は、「何か質問ありますか?」への対策です。
a.講師は、よい質問が来ると、うれしい
多くの講師は、「何か質問ありますか?」と聞きます。このときに、受講生からいい質問が出ると、講師は大変うれしいです。ここでいう「いい質問」とは、(1)受講生が講義をきちんと受け止めてくれていることが伝わる質問や、(2)講師の説明が不足していたり不備があったりすることを気づかせてくれる質問、(3)講義内容に新たな方向から光を当ててくれる質問、などです。
b.よい質問は、「質問は?」と聞かれる前から、準備しておく
しかし、よい質問は、あんまりありません。よい質問を発問するのは難しいので、「よい質問は?」と聞かれてから、質問を考えていたのでは、よい質問が生まれにくいからではないかと思います。
つまり、よい質問を発問するためのコツは、「質問は?」と聞かれる前に、よい質問を用意しておくことです。そして、よい質問を思いつくのは、(1)講義の予習をしているとき、(2)講義を聴いているときです。これらのときに、よさそうな質問を思いついたら、メモしておきます。そうすれば、「質問は?」と聞かれたときに、その中から良さそうな質問を選んで、質問をすることができます。聞かれたときに思いついた質問をするのと比べると、よい質問をすることができる可能性が、ぐっと高まります。
c.「質問は?」と聞かれたときにさっと取り出せるように、印を付けておく
大切なのは、「質問は?」と聞かれたときに、あらかじめメモしておいた質問をさっと取り出すことです。
このための方法としては、次の2つの方法があります。
- 質問を別の場所に分けておく(具体的には、ノートを分ける)
- 検索したときに見つかりやすいように印をつけておく(本体の講義ノートの中に質問を記載する)
質問を別の場所に分ける方法は、「質問は?」と聞かれたときには便利ですが、講義の中でメモするのは手間がかかります。よい質問をするよりも、講義をきちんと聴くことの方が重要なので、ノートは分けずに、印をつけておくのがよいのではないかと思います。
Evernote for Windowsなら、Ctrl+Fで、ノート内の検索をすることができます。たとえば、質問に「<q>」という記号をつけておけば、Ctrl+Fでノート内検索のボックスを出して、そこに「<q>」と打ち込めば、その日の講義ノート内から、質問用にメモしたことを見つけることができます。
(2) 関連資料をぜんぶ放り込む
Evernoteで講義を受けるなら、関連資料を全部放り込むとよいです。ここがEvernoteの強みです。
a.レジュメ
配布されたレジュメは、スキャンして、Evernoteに入れましょう。
Wordファイルなどの電子データで配布されたら、その電子データをそのまま入れておけばよいです。
b.レポート、試験
提出したレポート、試験問題、答案が返却されるなら返却された答案なども、全部入れておきましょう。
c.成績
その講義の成績も大切です。成績表が返ってきたら、講義それぞれの成績を、講義ごとのノートブック内に記入しましょう。また、成績表そのものも、スキャンしておくとよいと思います。
d.シラバス
通常、大学の講義には、シラバスが用意されています。講義の目的や講義計画が記載されています。普通、学生はシラバスなど見ませんが、見てみれば、意外といろんなことが書いてあります。
紙で配付されている場合は、そのページをスキャンか撮影して、Evernoteに入れておきましょう。また、多くの大学では、インターネット上でウェブシラバスが公開されています。これをウェブクリップするのでもよいです。
e.履修者名簿
意外と役に立つのは、履修者名簿です。誰がその講義を受けているか、いたかがわかれば、試験前には誰に助けを求めたらよいかがわかります。
ゼミのように履修者名簿が配布される講義は、その配布された履修者名簿をEvernoteに入れておきましょう。
大教室での講義のように、学生に配布される履修者名簿が存在しない講義の場合は、知人だけでもかまわないので、自分なりの履修者名簿をEvernoteに作成することをおすすめします。
(3) 5年、10年、もっと後に、講義ノートを見返して、講義の経験を再体験
Evernoteで講義ノートをとる場合と、Evernote以外の何か(キャンパスノートやWordファイルなど)で講義ノートをとる場合との、決定的な違いは、なんでしょうか。
私は、5年後、10年後にも、講義ノートが散逸しない、ということではないかと思います。
自分自身が大学で受けた講義をふり返ると、いくつかのすばらしい講義がありました。知的好奇心を満たしてくれるだけでなく、自分の生き方をふり返るきっかけになったり、思考や行動の基礎理論を与えてくれた講義もありました。それらの講義を受けるとき、私は、一生懸命講義に取り組み、一生懸命講義ノートを作りました。
でも、今の私の手元に、それらの講義の講義ノートや資料は、ありません。捨ててしまったのか、どこかにしまい込んだのか、それはよくわからないのですが、いずれにしても、どこかに行っちゃいました。
ですから、それらすばらしい講義は、たぶん私の奥底で生きているとは思うのですが、講義ノートや資料で講義の経験を再体験することは、もはやかないません。
これに対して、Evernoteで講義ノートをとれば、Evernoteというサービスが続いている限り、いつでも、簡単に、講義ノートや講義資料にアクセスできます。そして、講義の経験を再体験できます。
講師の立場から願うのは、これです。講師は、単位を与えるために講義をしているわけではありません。受講生の人生に何らかの価値を与えられたらいいなと祈って、講師なりの考えで講義を組み立てています。その中には、すぐにぴんとくるであろうものもあれば、実際に社会に出て仕事を始めることでぴんとくるであろう内容もあります。受講生が、5年後、10年後に、自分の講義の講義ノートを見返してくれて、そして、5年後、10年後に、自分の講義の経験を再体験してくれたら、講師としては、無上の喜びです。
Evernoteで講義ノートをとるときに、講師の立場から、いちばん願いたいのは、実は、このことかもしれません。
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