「ゴール」から「目的」と「目標」を見つけることの実践(『ザ・コーチ』の方法をブログに適用してみる)
1.『ザ・コーチ』が解説する、「ゴール」から「目的」と「目標」を見つける方法
『ザ・コーチ』という本を読みました。いい本でした。「目標」に関する有益な知識を得ることができました。読んでよかったです。
Amazon.co.jp: ザ・コーチ (最高の自分に出会える『目標の達人ノート』) 電子書籍: 谷口 貴彦, .: Kindleストア
この本から得られた有益な知識はいろいろあるのですが、その中のひとつは、「ゴール」から「目的」と「目標」を見つける方法です。
「ゴール」から「目的」と「目標」を見つける方法とそのメリット(『ザ・コーチ』のご紹介) | 単純作業に心を込めて
この方法を、早速、自分に適用してみようと思います。題材は、このブログです。ブログ「単純作業に心を込めて」の「ゴール」を設定して、その「ゴール」から「目的」と「目標」を見つけたいと思います。
2.ブログに「ゴール」を設定し、「ゴール」から「目的」と「目標」を見つける
(1) 「ゴール」を設定する
まず、このブログについて、近いうちに達成したい事柄を、「ゴール」として設定します。考えるといろいろ思い浮かぶのですが、ある程度具体的なものがいいかなと思うので、PVにします。
このブログのPVは、最近は月間5万くらい(1日平均1500~2000くらい)で、これまでの最高が月間10万(1日平均3000強)くらいです。毎日1万PVくらい行けばうれしいなと思うので、「ゴール」は、月間30万PVにします。けっこう高いけれど。
「ゴール」には、達成期限が必要です。ドメインを取得したのが、2012年5月はじめなので、きりがいいところで、ドメイン取得2年後の、2014年5月とします。
【ゴール】
- 2014年5月までに、月間30万PVを達成する
(2) 「目的」を考える
次に、「ゴール」を上にさかのぼって、「目的」を考えます。ここですることは、「何のために、月間30万PVを達成したいのか?」という問いを、自分に対し、投げかけることです。
すると、次の3つが見えてきました。
a.PV→収益→安定収入→別の生き方の可能性を模索するため
最初に思い浮かんだのは、「PVが多くなれば、Google AdSenseから得られる収益も多くなる。」というものです。
Google AdSenseの収益は、おおむね、PVに比例するそうです。
今、このブログのGoogle AdSenseからの収益は、だいたい、1ヶ月1万円強です。PVが今の6倍になれば、この収益も6倍、堅く見ても5倍程度にはなるのでしょう。すると、1ヶ月5万円強。本業ではない趣味の活動からこれだけの安定収入が得られれば、何かとうれしいです。
しかし、「安定収入を得たいから。」では、たぶん、目的として不十分です。ワクワクしませんし。そこで、もっとさかのぼります。「なぜ、何のために、ブログから安定収入を得たいのか?」という問いを自分に投げかけます。
「安定収入を求めることに理由なんてない。」と言いたい気もするのですが、あえてもっと考えると、「別の生き方の可能性を模索するため」ということかなあと思います。
私は、現時点では、今の自分の仕事を気に入っています。また、今の仕事から、自分として満足できる収入をいただいています。なので、今現在のことを考えれば、本業以外からの安定収入はいりませんし、別の収入源を探す必要性も感じません。しかし、この状況が今後もずっと続くかは、わかりません。社会が変化することで、今、自分がしている仕事が、求められなくなるかもしれません。また、自分の価値観が変わって、今の仕事ではない、もっと別のことをやりたいと思うかもしれません。
将来、訪れるかもしれないそのような状況に対して、今、できることはないでしょうか。今、できることのひとつは、今の仕事ではない別のことに真剣に取り組み、かつ、そこからある程度のまとまった収入を得られるようになること、ではないかと思います。これによって、0から始めて安定収入を得るまでのプロセスを経験することができます。
今、ブログのPVを伸ばして、安定収入を獲得できれば、今の仕事とは異なる、別の生き方の可能性が開かれます。月間30万PVを達成するというゴールは、別の生き方を模索するという目的につながっています。
b.PV→記事を多くの方へ届ける→自分が助けられた考え方やツールを、必要としている方の元へ、届ける
ふたつめに思い浮かんだのは、「PVが多くなれば、自分が書いた記事を、今よりも多くの方へ届けることができる」ということです。単純に考えて、PVが今の5,6倍になれば、自分が書いた記事を、今の5,6倍の方に読んでいただくことができます。
では、「なぜ、何のために、自分が書いた記事を、今よりも多くの方へ届けたいのか」。
確実にあるのは、「せっかく書いたのなら、多くの人に読んでもらった方がうれしい。」という理由です。でも、これだけではありません。
もう少し自分の奥の方を探ってみると、「自分にとってしっくりきた考え方やツールを、自分と同じようにしっくりくる人に届けたい。」ということです。
私は、自分の暮らしや人生をより豊かに、より彩りあるものにするために、いろいろと試行錯誤するのが好きです。本や、ブログや、仕事や、学校から、役に立ちそうな考え方やツールを収集してきました。その中のいくつかは、私にとって、とてもしっくりきて、私の暮らしや生き方の、わりと深いところに根を下ろしました。今では、これらの考え方やツールなしの人生は考えられません。
ただ、そういった考え方やツールの多くは、たぶん、それほどメジャーなものではありません。たとえば、本から得た考え方やツールにしても、必ずしも、ベストセラーやよく知られた本に書かれていたものばかりではなく、マイナーな本、ニッチな本に書かれた考え方やツールが、すごくしっくりきた、ということも、多々あります。
私にとってしっくりきた考え方やツールが、万人にとってしっくりくるわけではないと思います。他方で、私と同じようにしっくりくる方も、たぶん、ちょっとは存在するはずです。そのような方へ、私にとってしっくりきた考え方やツールを届けることができたら、それはとてもうれしいことです。
PVを増やすことで、自分が届けたい記事を、より多くの人に届けることができ、それによって、自分が本当に届けたい方へ記事を届けることができる可能性が高まる。私が月間30万PVを達成するというゴールは、自分にしっくりきた考え方やツールを、同じようにしっくりくる人に届ける、という目的につながっています。
c.PV→ブログの成長→育てる経験のうれしさ&育てる経験値の獲得
最後に思い浮かんだのは、ブログの成長です。PVは、ブログの成長レベルのひとつの尺度です。月間30万PVのブログというのは、それほど多くはありません。このブログが、月間30万PVのブログになれば、それは、ものすごい成長です。私は、このブログを成長させたいと思うので、月間30万PVを目指します。
となると、次に問うべきは、「なぜ、何のために、ブログを成長させたいのか」です。
これには、ふたつの理由があります。
第一に、育てる経験自体がうれしい、ということです。誰かや何かに対してエネルギーを注ぐことで、その誰かや何かを育てることは、私にとっては、純粋にうれしいことです。ブログという人格を持たない対象ではありますが、このブログという対象を育てることは、私にとって、純粋な喜びです。
第二に、育てる経験の経験値を獲得したい、ということです。ブログを月30万PVまで育てることができれば、これは、それなりの経験です。何かのプロジェクトを立ち上げて、そのプロジェクトをうまく育てるためには何が必要かが、たぶん、ブログを月30万PVにまで育てることの中に、詰まっています。
月間30万PVを達成するというゴールは、育てる経験自体を味わうという目的と、育てる経験の経験値を獲得するという目的に、つながっています。
(3) 洗い出した要素を「目標」に置き換える
次は、「ゴール」から「目標」に下げていくプロセスです。ここでは、「ゴール」を達成するために必要な要素は何か、という観点から必要なものすべてを洗い出し、これを、「目標」の形に置き換えます。
a.「ゴール」達成に必要な要素を、「知識」と「能力」と「ツール」の観点から整理する
まず、「ゴール」達成に必要な要素を、「知識」「能力」「ツール」という観点から、整理します。月間30万PVを達成するために必要な「知識」「能力」「ツール」は何だろうかと、考えてみました。
(a) 知識の要素
- Google検索の知識
- SNSの知識
- 記事にするネタに関する知識
- PVを伸ばすために有効なWordPressプラグインに関する知識
- わかりやすい文章を書くための知識
- Google Analytics活用のための知識
(b) 能力の要素
- わかりやすい文章を書く能力
- 毎日コンスタントに記事を書く時間を捻出するための時間管理力
- 限られた時間で記事を書き上げる集中力
- SNSで共有してもらう能力
(c) ツールの要素
- ブログを書く道具(パソコン、アプリケーション、ブックマークレットなど)
- ブログ記事のネタを育てる仕組み
- ブログ記事を執筆する環境
- WordPressのプラグイン
b.洗い出した要素の取り組み順序を決める
次は、洗い出した要素の相互関係を考えて、どの要素から行動に移すかを考えます。
まずは、Google検索とSNSの知識をきちんと抑えることが大切ではないかと思います。PVの源泉は、Google等の検索エンジンと、SNSです。したがって、PV増加を目指すなら、検索エンジン(特にGoogle)から評価されやすいこと、SNSで拡散されやすいことを意識して、毎日のブログ更新に励むのが良さそうです。そのためには、Google検索やSNSについて、きちんとした知識を確認した方がよいでしょう。
次は、わかりやすい文章を書くことではないかと思います。個々の記事のネタを磨くよりも、すべての記事に共通するわかりやすい文章を研究、練習することの方が、順番としては、先に来ます。
また、たくさんの記事を更新するために、毎日コンスタントに記事を書く時間を生み出すための時間管理や、限られた時間で質の高い記事を書くための集中力などを鍛えることも、比較的優先順位が高そうです。
そして、あとはひたすら記事を書くこと、でしょうか。
c.各要素を、「目標」に置き換える
要素を行動に移すために、ひとつひとつの要素を、「目標」に置き換えます。
要素を「目標」に置き換える際のポイントは、3つです。
- いつ、何が、どうなっている、と言う形で表現する
- 主語を「私」にする
- その目標を持つ目的をくっつける
この3つのポイントに従って、いくつか、「目標」に置き換えてみます。
(a) いつ、何が、どうなっている、という形で表現する
たとえば、Google検索の知識という要素を目標に置き換えるとします。
素朴に考えると、「2013年12月末までに、Google検索の仕組みを勉強する」といった形の目標を立ててしまいがちです。しかし、「ザ・コーチ」は、このような目標の立て方を推奨しません。この書き方は、行動計画です。行動計画にすると、モチベーションが上がりにくくなります。
目標は、通過点です。具体的などこかの時点における通過点です。そのため、目標は、「いつ、何が、どうなっているか」という状態を表現する書き方で作成します。
たとえば、「私は、2013年12月末に、Googleが好ましいと考えるウェブサイトの条件を理解している。」などとします。
(b) 主語を「私」にする
たとえば、ブログ記事を執筆する環境という要素を、目標に置き換えるとします。私の自宅のデスクは、無線LANの電波が弱いので、ここを改善するとします。
いつ、何が、どうなっているか、という形でこの要素を表現すると、「2014年1月末までに、自宅のデスクの無線LANの電波状態が、途切れる心配のない状態になっている。」という形が考えられます。
しかし、主語は「私」にする方がよいそうです。それによって、その目標を自分でコントロールすることが可能になります。
たとえば、「私は、2014年1月末までに、無線LANの親機を購入し、設定を終えることで、自宅デスクで途切れる心配のない無線LANの電波を確保している。」などでしょうか。
(c) その目標を持つ目的をくっつける
たとえば、わかりやすい文章を書く知識という要素を目標に置き換えるとします。
「私は、2014年1月5日までに、『理科系の作文技術』と『「超」文章法』を読み直すことで、両書が説明するわかりやすい文章を書くための知識を理解している。」といった形が考えられます。
この目標にさらに磨きをかけるためには、この目標を持つ目的をくっつけるとよいそうです。
わかりやすい文章を書く知識を身につけるのは、自分が伝えたい考え方やツールを、より多くの方に届けるため、です。そこで、こんな感じで目的をくっつけてみます。
「自分がすばらしいと感じる考え方やツールをより多くの方に届けられるように、2014年1月5日までに、『理科系の作文技術』と『「超」文章法』を読み直すことで、両書が説明するわかりやすい文章を書くための知識を理解している。」
長いですね。まあ、でも、「2014年1月5日までに、『理科系の作文技術』と『「超」整理法』を読み直す」という目標の立て方よりは、やる気が出る、ような気がします。
3.おわりに
このように、ひとつの「ゴール」を設定することで、そこからさかのぼって「目的」を、そこから下に分解して下ろして数多くの「目標」を、見つけることができるのが、「ザ・コーチ」が解説する方法のよいところです。
実際にやってみて、感じたのは、以下の2点です。
- 「ゴール」から「目的」をさかのぼると、いきなり「目的」を考えるよりも、より具体的に考えることができます。また、ここで見つけた「目的」は、具体的な「ゴール」と結びついているので、抽象論で終わらないような気がします。
- 「ゴール」を要素に分解して「目標」を設定するのは、面倒ではありますが、なかなかおもしろいです。いきなり「目標」を考えるよりも、うんと広い視野で考えることができます。また、「目標」に「目的」をくっつけるのは、目標達成へのモチベーションを保つ上で、悪くない工夫ではないかと思います。(少々まどろっこしいけれど。)
多少面倒ではありますが、いろいろな分野に応用できるのではないかと感じます。
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