『大学で勉強する方法』(A.W.コーンハウザー)は、大学生以外にも役に立つのではないかと思う。
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最終更新日:2013/05/14
勉強
目次
1.『大学で勉強する方法』という本について
この本は、文字通り、大学で勉強するための簡潔で実際的な学習の手引きです。
この本には、本の読み方や授業の受け方から、スケジュールの立て方まで、基礎的なことが網羅してあります。しかも、この本は、小ぶりで簡潔です(90ページしかない)。
小ぶりな本ではありながら、この本には、勉強のための基本的なことが網羅されています。しかも、この本が説くのは、裏技ではなく、わかりやすい、簡潔なアドバイスです。
大学生なら、一度読んでみるとよい本だと思います。
2.大学生以外にも役立つはず
大学を終え、社会人となっても、毎日が勉強です。
仕事の上での勉強は、本を読んだり、講義を受けたり、といった形式ではないことがほとんどです。しかし、仕事をする中で学ぶ事柄に対しても、この本が説く「勉強する方法」は、有益ではないかと思います。
3.簡単な要約
(1) 勉強にはどんな意味があるか
勉強には、二つの目的がある。ひとつは、まとまりのある知識を獲得することであり、ひとつは何かをする能力を獲得することである。大学における勉強では、能力を開発することの方が重要である。人が開発できる能力のうちもっとも価値あるのものひとつは、勉強する力である。勉強する能力を身につけるためには、熱心で継続的な努力をしなければならない。
(2) 効率的な勉強のためにまず何が必要か
まず必要なのは、やる気である。
やる気を持つには、明確な希望と理念を持たなければならない。何のために勉強しているのかを考えることは、真剣な勉強へのすぐれた動機となる。
また、いま取り組んでいる学習内容に興味を持つことによっても、勉強への意欲が生まれる。学習対象についての情報を集め、新しい情報とすでに知っていることとを結びつけ、新しい情報を自分のものとし、新しい情報を実際に利用すれば、勉強したいという気持ちを高めることができる。
さらに、課題を明確にすること、とにかく始めること、勉強のための物理的な環境を整えること、集中を妨げる要因を排除することなどが大切である。
(3) 集中するための好ましい条件とは何か
勉強を効率的に行うには、集中が必要である。集中できるかどうかは、環境と身体的条件とに大きく左右される。そのためには、以下のルールに従うのが有効である。
- できるなら、静かな部屋で勉強する。
- 勉強する場所は、適度な明るさと温度になるように調整し、風通しをよくする。
- いすを調整して、緊張と疲労を避ける。
- よい健康状態を保つ。
- 十分な睡眠を取る。
(4) 勉強のためのシステムと継続性をどう作るか
勉強のためには、行動計画を立てることが不可欠である。
毎日決まった時間、決まった場所で勉強することが大切である。
スケジュールを上手に立てるには、まずは、自分の実際の能力を注意深く評価することである。このためには、自分の一週間の活動を記録することである。ためしに、自分の1週間を、1時間きざみに記録するべきである。
次に、スケジュールは、以下のステップで運用するべきである。
- すでに決まっている活動をスケジュール表に記す。
- 食事と勉強にどの時間帯を当てるかをスケジュール表に記入する。
- 決まった時間に行わなければならないことをすべて記入する。
- それぞれの課題を細分化する。
- スケジュールの空いている部分に、自分がやるべきことを書き入れる。
- 実際に行ったことを記録し続ける。
(5) 読み方を効率的にするにはどうするか
はじめにざっと目を通し、つぎにより慎重に、そして考えながらテキストを読む、というやり方がよい。
ア 全体像を捉えるための読み
- 読み始める前に、その勉強のテーマについて考える
- 読みを導いていく質問を作る
- その本についての予備的な印象を早めに持つ
- 全体をざっと読む
- その本を超える
- 読みながら、重要なポイントをメモする
- 新しいところを読む前に、メモを見直す
- 知識を獲得することについて問い直す
イ 精読
- 読むときは、文献の目的を心にとどめる
- 各段落の重要なポイントを理解したことを確かめる
- 読みのスピードを変える
- 読みながら、批判的に考える
- 読みの区切りごとに、主要な考えを記録する
- 読みながら、その文献のアウトラインを作る
- メモを、主要な質問のもとに組織化する。質問に何度も自分でこたえることによって、復習する。
(6) どう聴けばよいか、ノートをどうとるか
大学で勉強するには、教室でのよい習慣を身につける必要がある。教室での過ごし方を考えるには、まず、教室ではどのような教授法がとられるのかを把握し、それに自分活動をあわせることが重要である。
どんな形式の授業であっても一般的に応用できるルールは、以下の通りである。
- 授業の前に、その授業内容について考える
- 授業中は、講義や討論で出てきたポイントをいろんな角度から考える
- 議論されているテーマに心を集中する
- 重要なポイントについて、メモを取る
- 授業が終わったら、その日のうちにノートを読み返し、提示されたポイントについて考える
(7) 記憶力を高めるにはどうすべきか
授業の重要なポイントを記憶することは、授業の重要なポイントを習得するための必要条件である。人は、記憶することを嫌いがちである。しかし、関連づけられた、有意義な概念を記憶すること、すなわち、理解の対象となり、考える対象となった材料を記憶することは、あらゆる効率的な勉強のためのもっとも重要な部分である。
記憶を改善できる唯一の方法は、よりよい学習方法を用いることである。
記憶力を高めるためのルールは、以下の通りである。
- 記憶すべき概念の意味を理解する
- 記憶すべき材料を繰り返し復習する
- 機械的に繰り返すことは避ける
- あとで思い出すぞ、という気持ちで学習する
- 勉強の途中でしばしば立ち止まり、今学んでいることを再生する
- 自分の記憶力に自信を持つ
- 場合によっては、こじつけを使ってでも、情報を記憶する助けとなるような関連づけを考える
(8) 知識の詰め込みに意味はないか。試験をどう受けるべきか
試験前の知識の詰め込みは、それが何を意味するかによって、よくも悪くもなる。土壇場の追い込みで一夜漬けをするのは、混乱した、生半可な知識をもたらすことが多いので、あまりおすすめしない。これに対して、授業を半年程度きちんと受けた後で、復習のために行われるのであれば、有益であることが多い。
知識の詰め込みについてのルールは、以下の通り。
- 主要なポイントを復習し、その教科の骨格を把握する。まとまりのない細かい内容を記憶することはやめる。
- 復習にたくさんの時間を割く。
試験の準備、試験を受けることに関するアドバイスは、以下の通り。
- その試験がどういうものであるか、その範囲はどこまでかを明らかにする
- どんな問題がでるかを予想する
- 試験を受けるときには、十分な休息を取り、できるだけ心を落ち着けて、自信を持ち続ける
- 試験の間は、試験問題全体に目を通し、各問を理解するのに十分な時間を取って考えなさい。
- 問題に答えはじめる前に、その質問を注意深く読みなさい。その質問のポイントをしっかり理解していることを確かめなさい。
- 解答の概略を書く
- 解答を見直す時間を確保する。
(9) 知識を使えるようにする
知識を使うには、以下のことにつきる。すなわち、「活動的に勉強せよ。為すことによって学べ。いま学んでいることについて、自分の知識を使って、考え、話し、そして書き込む。」
知識を使うことは、勉強のプロセスにも絶対に必要なものである。
「為すことによって学ぶ」ことについての具体的なアドバイスは、以下の通り。
- 新しい知識で何ができるか、具体的な事例として何があるかを考える。
- 新しい概念と、すでに持っている知識とを比較する。
- 知識を使って事実を説明し、結果を予測する。
- 考えを紙に書く。
- 学んでいる事柄を、他の人と話す。
- 知識を応用する。
(10) 効果的な勉強のためのルール まとめ
- 学ぶ教科を習得するという希望を強く取る
- 決意を実行に移す
- 勉強の対象とる教科への関心を高める
- 勉強を妨げる気を散らす原因をすべて避ける
- しっかりとした日比野スケジュールを使う
- 読みの効果的な方法を作り上げる
- 授業中の勉強を効果的にすすめる方法
- よりよい学習方法を採用する
- 活動的に勉強する。自分の持っている知識を使って、いま学んでいることについて、考え、話し、書き留める。できるだけ多く、そしてできるだけ早く、自分の知識を応用すればよい。
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