*

ブレーキの性能がいいからこそ、アクセルを踏み込める

公開日: : 仕事の方法論

1.どれだけの速度を出せるかを決めるのは、ブレーキ性能である

F1で、どれだけの速度を出せるかを決めるのは、ブレーキ性能であることが多いそうです。どれだけの速度を出せるかは、エンジン性能にかかっていると思われがちだし、実際、エンジン性能がよくなければ速度は出ないのだけれど、いくらエンジン性能がよくても、ブレーキ性能が悪いと、いざというときに速度を落とせず、危険なので、エンジン性能マックスまでのスピードを出すことができない、ということです。ブレーキ性能がエンジン性能に見合わないと、ブレーキ性能がボトルネックになってしまう、ということですね。

確かにそうだなと思います。F1というのは、最高速度を競う競技ではなく、指定されたコースを最短時間で走りきる競技です。最短距離で走りきるためには、できる限りスピードを出した方がよいことは事実ですが、いくらすごい最高速度を出しても、難しいコーナーや突発的な状態に対応できなければ、指定されたコースを走りきることはできません。ブレーキで制御できる確信があるからこそ、アクセルを思い切って踏み込めるのだろうと思います。

2.どんな手段をとるかは、うまくいかなかったときの制御手段で決まる

F1の話は、どこかで誰かから聞いた話に過ぎません。私はF1のことを何も知らないので、真偽を判断することもできません。しかし、もっともな話だなあと思いますし、F1に限らず、広く妥当する話なのではないかと思います。つまり、目的を達成するためにどんな手段をとるかは、その手段がうまくいかなかったときや突発的な事態が発生したときに、どんな制御手段があるか、によって決まる、ということです。

たとえば、交渉の仕方を考えてみます。交渉には、いろんな手段があります。相手とどのようなコミュニケーションをとるか、という一事に関しても、丁寧に礼儀正しく話す、傾聴して相手を理解することを努める、フレンドリーに話して親近感を持ってもらう、相手を挑発して本音を引き出す、理詰めで説得する、など、いろいろな方法があります。

しかし、リカバリーできないなら選択できない手段もあります。たとえば、相手を挑発して本音を引き出すというコミュニケーション手段は、相手を怒らせてしまう可能性が大です。相手が怒り出したとき、その怒りをコントロールすることができず、あろうことかつられてこちらも感情的になり、結局けんかになって物別れ、という道をたどってしまっては元も子もありませんので、相手がどんなに怒っても、その怒りにうまく対応できるのでない限り、相手を挑発するという手段は使えません。

これに対して、相手がどんな反応をしても、そこから好ましい交渉へとリカバリーすることができるなら、いろいろな手段を選択肢として選ぶことができます。そして、リカバリーの力が高ければ高いほど、それぞれの手段の幅が広がります。フレンドリーさの程度、挑発の程度、丁寧さの程度、理詰めさの程度、それぞれについて、より極端にすることも可能です。

うまくいかなかったときに、どれほど制御できるか。ブレーキのようなこの力を伸ばせば伸ばすほど、状況を動かすためのアクセル的な力を、存分に発揮できます。力を伸ばすというと、アクセル的な力を鍛えることにばかり目がいってしまいますが、実際は、アクセル的な力と同じくらいに、ブレーキ的な力が大切なのではないかと思います。

スポンサードリンク

関連記事

no image

「何を求めるか」から始める、タスク・スケジュール管理システムの構築

1.タスク・スケジュール管理システムの構築において、「何を求めるか」が大切な理由 自分のためのタス

記事を読む

no image

PDCAサイクルでいちばん大切なのは、どの部分か?

1.PDCAサイクルでいちばん大切なのは、どの部分か? (1) PDCAサイクルとは 世の中には

記事を読む

no image

R-styleの源流が、ここにある気がした。書評『コンビニ店長のオシゴト』

1.期待してなかった『コンビニ店長のお仕事:~個性的なお店の作り方~』、読んでよかった (1) 『

記事を読む

no image

やらなくちゃいけないことを安心して忘れるため、タスクを管理する

1.絶対思い出せる確信があると、安心して忘れられる (1) 今よりもう少し先でやるべきタスクは、その

記事を読む

no image

「セルフブランディングを実践した先にある世界」と「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

1.普通の個人が、自分の毎日に、「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

記事を読む

no image

「やれば残る」から、やる気になる。(ToodledoとEvernoteによる「タスクの実行」のやる気を出すシステム)

1.Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積する目的と、副次的効果 (1) Too

記事を読む

no image

「Dailyタスクリスト」の3つの特徴(タスクの実行前・実行中・実行後)

1.「Dailyタスクリスト」を考える目的 (1) 「ハイブリッド手帳システム」の「Toodl

記事を読む

no image

Gmailを、クラウド上のメールシステムとして使う(2014年6月段階)

1.Gmailが提供するのは、クラウド上のメールシステム (1) Gmailは、クラウド上のメーラ

記事を読む

no image

マルチタスク型とシングルタスク型、どちらがより生産的か?

1.問題意識~マルチタスク型とシングルタスク型、どちらの方がよいのか?~ (1) マルチタスク型と

記事を読む

no image

タスク管理システムは、(1)タスクを、(2)管理する、(3)システム、です。

1.タスク管理システムって、何だ? (1) スケジュール管理システムは、一般的 手帳やカレンダーなど

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑