文章をアウトプットする仕組み
目次
1.インプットとアウトプットとの関係
情報との接し方には、インプットとアウトプットがあります。ひとつの分け方として。インプットは情報を取り込むこと、アウトプットは情報を生み出すこと、です。
インプットとアウトプットは、情報との接し方における車輪の両輪です。インプットだけだと消化不良を起こします。インプットなしにアウトプットだけを続けることは、凡人には難しいです。インプットとアウトプットの両方をバランスよくそろえることで、情報との接し方は、うまく回ります。
インプットも、アウトプットも、簡単ではありません。上手に行うためには、工夫やコツが求められます。
両方とも簡単ではないのですが、私がより高いハードルを感じるのは、アウトプットです。難しいですし、面倒くさいです。そのため、流れに任せていると、アウトプットが手薄になって、インプットに偏ってしまいます。
そこで、インプットとアウトプットを車輪の両輪としてバランスよく回すには、アウトプットを安定して生み出すための工夫が必要だと思っています。
2.文章をアウトプットする仕組み
(1) 仕組みの力を借りて、文章をアウトプットする
a.仕組みの力を借りる
私がしている、アウトプットを安定して生み出すための工夫の中で、中核にあるのは、アウトプットのための仕組みです。
仕組みを作り、仕組みを回せば、アウトプットに向けて、少しずつ進むことができます。強い意志がなくても、長期的な計画がなくても、並外れた才能や根性がなくても、長い時間をかければ、仕組みの力によって、ある程度のところまでまとまります。
ある程度のところまでまとまったら、アウトプットまであと一押しなので、ちょっとがんばって、えいっと勢いをつけて、アウトプットを完成させます。
このように、私は、仕組みの力を借りて、アウトプットをしています。
b.私のアウトプット=文章
私のアウトプットとは、文章です。絵や音楽ではなく、スピーチやプレゼンテーションでもなく、文章です。このブログは文章ばかりのブログですし、私の仕事は文章作成の占める割合が高い仕事です。
私のアウトプットは文章なので、私のアウトプットのための仕組みは文章をアウトプットする仕組みです。
(2) Evernoteに蓄え、Evernoteに育てる
a.文章の断片を蓄えて、文章に育て上げる
何もないところから文章を生み出すのは、なかなか大変です。しかし、文章の断片を生み出すのは、そんなに難しくありません。そして、文章の断片がたくさん集積した段階で、その断片のいくつかをまとめて文章に育てるのは、比較的、簡単です。
私が文章を生み出す仕組みは、これらの原理を使っています。文章というアウトプットを生み出すために、まずは、たくさんの文章の断片を生み出す。その文章の断片をたくさん蓄えて、それらを組み合わせて育て上げる。このプロセスを、仕組みによって実行しています。
b.Evernoteに蓄える
文章の断片を蓄えるには、Evernoteが最適です。
まず、クラウドなので、どこからでも保存することができ、どこからでも参照と編集が可能です。次に、どれだけたくさんの文章の断片を保存しても、文章データだけで月間アップロード容量をいっぱいにすることは、ほぼ不可能です。さらに、クライアントアプリケーションがそれなりに使いやすいため、Evernoteクライアント上で文章を整える作業が楽です。おまけに、文章の断片を、ノートブックとタグによって管理できる上に、検索機能が優れているため、過去に書いた断片を探すのも得意です。
Evernoteが持つこれらのメリットを高く評価しているので、私は、基本的にすべての文章の断片を、Evernoteに保存しています。具体的には、「@進行中」というスタックの中に、「ATOK Pad」というノートブックを作成して、その「ATOK Pad」ノートブックの中に放り込んでいます。
文章を書くツールとしてEvernoteを使うことのメリット テキストデータのポケットひとつ原則 » 単純作業に心を込めて
Evernoteなら、優れたAndroidアプリ、iOSアプリがありますので、手元のスマートフォンからEvernoteにアウトプットの断片を放り込むことも簡単です。私はAndroidを使っているため、PostEverとWriteNote Proを使っています。
AndroidからEvernoteへテキストを入力するなら、PostEverが一番だと思う。PostEverの設定例と使用例 » 単純作業に心を込めて
c.Evernoteで育て上げる
(a) 文章を育て上げる道具として、Evernoteが優れているポイント
文章の断片を文章にまで育て上げるためにも、Evernoteは優れています。
まず、常にデータを同期できます。これによって、持ち歩きノートパソコンで途中まで書いた文章の続きを自宅のノートパソコンで書き、最終的にはiPadアプリであるATOK Padで仕上げる、といった作業が可能になります。
次に、事実上無限に、文章の断片を保存できます。長期間にわたるたくさんの文章の断片を蓄積できるので、過去の文章の断片から自分が教えられることもあります。たとえば、1年前に放り込んだ文章の断片に記載されたメモに刺激を受けて、あっという間にひとつのまとまった文章ができることがあります。また、新しいことを一生懸命考えて書いたと思ったら、数ヶ月前にも同じようなことを文章にしていたことに気づくこともあります。
こうなると文章の断片の数が増えてしまいますが、Evernoteなら、文章の断片を整理することも簡単です。Evernoteがノートを整理する方法としては、ノートブックとタグという機能が用意されています。ノートブックはノートの入れ物、タブはノートに貼る付箋のようなものです。また、ノートを整理するためには、複数のノートをひとつのノートにまとめる「ノートのマージ」を利用することもできます。
さらに、文章を書く道具としてのEvernote for Windowsの使い勝手は、悪くはありません。たしかに、テキストエディタとしての機能はそれほど高くない上に、ファイル形式がテキストファイルではない独自形式なので、この点若干課題が残りますが、アプリケーションの機能や質として、大きな不満はありません。
(b) Evernoteで、どのように文章を育て上げるか
Evernoteに蓄積された文章の断片を文章にするためには、私自身が、手と目と頭を動かさなければいけません。手と目と頭を動かして、文章の断片をまとめたり、文章の断片を核にして文章を書いたり、文章の断片から連想して別の文章の断片を生み出したりします。
これらの作業をするために、私は、時間があいたら、パソコンの電源を入れて、Evernote for Windowsを立ち上げ、雑多な文章の断片が待つノートブック「ATOK Pad」を開きます。こうすることで、少しずつ、文章を育てることができます。大切なのは、できる限りノートパソコンを持ち歩き、時間が空いたら、すかさずノートパソコンを開き、Evernote for Windowsを立ち上げることです。ノートパソコンを持ち歩くのは、若干重たいですが、Evernoteで文章の断片を文章に育てる時間を確保するために、できる限りいつも、持ち歩くようにしています。
ノートブック「ATOK Pad」には、たくさんの文章の断片が保存されています。ノートブック「ATOK Pad」内のノート一覧を眺めれば、育てたいなあと感じる文章の断片が、たいてい、見つかります。育てたい文章の断片が見つかったら、そのノートを開き、育てたいという気持ちのままに、書けるだけ書きます。乗ってしまって、一気に完成までいくこともあります。全然乗らずに、ちょっと進んだところで別の文章を書きたくなることもあります。その気持ちにも素直になって、書きたい文章の断片を、書きたいだけ、書きます。
文章の断片に手を入れることは、その文章の断片を育てるために、土壌を耕し、日当たりと風通しをよくし、肥料をやり、水をやることに相当するのではないかと思います。ちょっとしか進まないこともたくさんあります。なかなかうまくいかないこともたくさんあります。それでも、少しであってもその文章の断片に手を入れて、その文章の断片を育てようとすることによって、確実に、その文章の断片は、まとまった文章へと育つような気がします。
(3) ブログへのアウトプット
a.アウトプットの受け皿としてのブログ
文章をアウトプットするためには、アウトプットする場所が必要です。アウトプットする場所は、しばしば、その場所でのアウトプットのための条件を指定します。たとえば、レポート課題というアウトプットの場所は、締め切り、文字数制限、テーマの縛りなどの条件を指定します。レポート課題という場所にレポートというアウトプットをしたいなら、レポート課題が指定した条件を厳守しなければいけません。
これに対して、ブログへの投稿は、条件指定が緩やかです。特に、私は、このブログを、自分のアウトプットの受け皿と位置づけているため、かなり緩い条件で、何でもかんでも投稿しています。締め切りはありません。文字制限もテーマ縛りもありません。このブログは、私が、まとまった形へと育て上げた文章なら、幅広く何でも受け入れて、アウトプットしてくれます。このブログがあることによって、私は、ほかの場所ではアウトプットされ得ない文章たちを、自由にアウトプットすることができます。
b.ブログがあることによる、アウトプットへの動機付け
ブログの効用のひとつは、アウトプットへの動機付けを与えてくれることです。ブログは、次のふたつの点で、私に、大きなアウトプットへの動機付けを与えてくれます。広い意味では、ブログによるアウトプットへの動機付けも、私にとっては、文章をアウトプットするための仕組みです。
最初の動機付けは、アウトプットする場の存在自体です。まとまった文章を書けばアウトプットする場がある場合と、まとまった文章を書いてもアウトプットする場がない状態なら、アウトプットする場がある状態の方が、格段に、まとまった文章を完成させよう、という気になります。実際、私がまとまった文章を書く量は、このブログを始めた1年前を境に、大きく増えました。
ふたつめの動機付けは、反応がある、ということです。ブログを書けば、いろいろな反応があります。たとえば、ブログ解析サービスに表示されるPVと訪問者数は、数字で把握できるブログへの反応です。また、このブログに言及してくれるTwitter、はてブ、Facebookのいいねなども、反応です。コメント欄は閉じていますので、コメントとしての反応はないのですが、それでも、いろいろな反応をいただくことができます。自分のアウトプットに対する反応があることによって、さらに次のアウトプットを生み出してみよう、という気になります。
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