個々のタスクを片付け、成果をあげて、充実して生きるため、自分の中に、リーダーとマネージャーとプレーヤーを併存させる
目次
1.問題意識
(1) タスクを片付けるためには、タスクを管理するだけでは意味がありません。タスク管理システムをどれだけ整えても、タスク管理システムが存在するだけでは、ひとつのタスクも片付いていきません。タスクを片付けるには、基本的には、自分で手足を動かして、具体的な行動をする必要があります。
(2) また、多くのタスクを片付ければそれで万事OKかといえば、そういうわけではありません。個々のタスクを片付けても、それが何らかの成果に結びつかなければ、あまり意味がありません。
(3) さらに、成果をあげるだけで十分かと言えば、そういうわけでもありません。自分にとって意味のある成果でなければ、いくら成果をあげても、人生の充実にはつながりません。人生の充実につながらなければ、タスクをこなして成果をあげても、むなしくなるような気がします。
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(1)個々のタスクを片付けること、(2)個々のタスクを片付けることを成果に結びつけること、(3)成果をあげることの先に人生の充実がつながっていくこと、この3つのバランスをとるためには、どうするのがよいのだろうか、というのが、私の問題意識です。
2.リーダーとマネージャーとプレーヤーを併存させる
(1) 3つの役割の併存
この3つのバランスをとるために、自分の中に、リーダーとマネージャーとプレーヤーを併存させることが有効ではないかと思います。
組織が成果をあげるためには、組織の中に、リーダーとマネージャーとプレーヤーという役割をおき、それぞれがそれぞれの役割を果たすことが大切ではないかと思います。これと同じように、個人が成果をあげるには、そのひとりの人間の中に、リーダーとマネージャーとプレーヤーという3つの役割を併存させ、ひとりでその3つの役割全部を果たすことが有効ではないかと思います。
(2) それぞれの役割の概要
リーダーの役割は、方向付けをして、基準を作ることです。何を目指すのかという方向付けと、その方向に照らせば何が是で何が非なのかという基準を作ることです。
マネージャーの役割は、使える資源を管理して、効率的に成果をあげることです。自分が持っているいろんな資源をうまく使って、最大限の効果を上げるようにすることです。
プレーヤーの役割は、愚直に具体的な作業をこなすことです。目の前のひとつひとつの作業をたんたんと着々とこなし、物事を具体的に前に進めることです。
この3つの役割を自分の中で区別しつつ併存させることが、個々のタスクをうまく片付け、それを成果に結びつけ、その先に人生の充実を達成するために、大切なのではないかと思います。
3.リーダーとマネージャーとプレーヤーを併存させることの効果
(1) 3つの役割
a.リーダーの役割
リーダーの役割は、方向付けをして、基準を作ることです。
リーダーは、人生の究極的な目的を意識して、どうすれば自分の人生が充実したものになるかを考えます。そして、自分にとっての人生の充実に照らし、自分なりの評価基準を作ります。自分が人生に何を求めるかを自覚して、そのためにはどのような基準によって物事を判断するのがよいのかを定めます。
人生の究極的な目的がある程度明らかになり、自分なりの評価基準がしっかりすれば、あとは、その目的を目指して、その基準に照らして意味のあることをするだけです。ここをきちんとすることで、人生が、シンプルかつ効果的な方向に向かう可能性が高まります。
b.マネージャーの役割
マネージャーの役割は、使える資源を管理して、効率的に成果をあげることです。
どんな人であっても、使える資源は有限です。個人が成果をあげるための資源として、代表的なものは、(1)時間、(2)お金、(3)エネルギー(気力・体力)の3つではないかと思います。同じ資源であっても、どのように活用するかによって、成果は変わります。これらの資源をうまく活用して、自分が求めるもののために、最大限の成果をあげることが、マネージャーの役割です。
c.プレーヤーの役割
プレーヤーの役割は、愚直に具体的な作業をこなすことです。
具体的な作業を片付けなければ、物事は前に進みません。プレーヤーは、手足を動かし、汗水垂らして、具体的な作業をひとつひとつ片付けます。
プレーヤーという役割なしに、人生は一歩も前に進みません。
(2) 区別して併存させることの効果
程度の差はあれ、どんな人でも、リーダー的な要素とマネージャー的な要素とプレーヤー的な要素を併せ持っています。ですから、リーダーとマネージャーとプレーヤーを併存させるという考え方は、それほど突飛なものではありません。
しかし、リーダーとマネージャーとプレーヤーを自覚的に区別して、3つの役割のすべてを自分の中に併存させることには、少なくとも、次の2つの効果があるように思います。
a.自分に対する言い訳を予防できる
いちばん大きい効果は、自分に対する言い訳を予防できることです。人間は、少なくとも私は、怠け者です。何かをするときに、ついつい、自分に対する言い訳をしてしまいます。
その言い訳の中でも、やっかいな言い訳は、青臭く意味を問い直す言い訳と、現実を見ろよ的な言い訳です。
(a) 青臭く意味を問い直す言い訳
たとえば、何かめんどくさい作業をしなければいけなくなったとき、私は、しばしば、青臭く、その作業の意味を問い直してしまうことがあります。「こんなことをして何の意味があるのか?」「こんなことよりももっと重要なことがあるのではないか?」といった問い直しです。
このような問いが必要なときは、たしかにあります。しかし、多くの場合は、そんな問いは必要ありません。ただその目の前のことをやり遂げることがベターです。
リーダーとマネージャーとプレーヤーを区別すれば、プレーヤーとして具体的な物事に取り組むときは、ただ愚直にその物事をやるだけです。青臭い問い直しをするのは、プレーヤーの役割ではありません。この役割分担をはっきりさせることによって、プレーヤーとして、具体的な物事に取り組んでいるときに、青臭く意味を問い直す言い訳を予防できます。
(b) 現実を見ろよ的な言い訳
目標や理想や目指す方向とかを考えるときには、妥協することなく、自分にとっての最上を求める方がよいのではないかと思います。しかし、気を抜くと、現実の状況を踏まえて、手が届きそうな目標・理想・目指す方向を設定してしまいがちです。目標設定においても、手が届きそうなものを設定してしまうときに、自分が自分にしている言い訳が、現実を見ろよ的な言い訳です。
リーダーとマネージャーとプレーヤーを分ければ、最上を求めることができます。
リーダーが人生を方向付けして、基準を決めるとき、リーダーは、マネージャーのことやプレーヤーのことを考えずに、理想的な最上を追求します。リーダーは、最上を求めて、基準を設定することが役割です。あとは、リーダーが設定した目標や基準に照らして、マネージャーとプレーヤーががんばるだけです。
b.トップダウンとボトムアップ両方の考え方を活用できる
ふたつめの効果は、トップダウンとボトムアップのバランスをとることができることです。
(a) トップダウンの流れ
教科書的には、組織の経営・運営は、トップダウンで行われます。リーダーは、組織のミッションや目標を定めます。マネージャーは、ミッションや目標を達成するために、組織が持つ資源を効果的に活用できるよう、管理をします。個々のプレーヤーは、リーダーが定めたミッション・目標を目指して、マネージャーが作った枠組みに沿って、せっせとがんばります。
このようなリーダー→マネージャー→プレーヤーという、トップダウンの役割分担は、個人の生き方においても、ある程度、有用です。
自分の中に、リーダー・マネージャー・プレーヤーという役割を区別して意識することで、あるときはリーダーとして自分の個人的なミッションを内省し、あるときはマネージャーとして自分が使える資源をどのように活用するかを計画し、あるときはプレーヤーとして淡々と愚直に具体的な作業をする、というように、自分の中にトップダウンの流れを作ることができます。
(b) ボトムアップの流れ
プレーヤーとして、具体的な作業を愚直にせっせと行っていると、いろいろな発見や学びがあります。リーダーとマネージャーとプレーヤーを分けることによって、プレーヤーとしての発見や学びを、リーダーやマネージャーとしての自分に活かすことができます。このフィードバックによって、自分の中に、ボトムアップの流れを作ることができます。
プレーヤーとしての具体的な作業をするとき、私は、リーダーのレベルの活動とマネージャーのレベルの活動を自粛します。つまり、その作業の意味を問い直したり(リーダーレベル)、その作業のより効果的なやり方を模索したり(マネージャーレベル)はせずに、ただひたすら、作業に没頭します。
それでも、リーダーレベルやマネージャーレベルに関する感覚や考えが自分の中に浮かぶことは自然なことなので、そうした感覚や考えを、Evernoteのノートに適宜メモしています。
プレーヤーとして具体的な作業をするとき、たとえば、ブログ記事を書くという作業をしているとき、ふと自分の中に浮かぶ感覚や考えは、たとえば次のようなものであり、こういうものを、私はEvernoteにメモしています。
- (ア)自分は●●が好きだ。
- (イ)自分は■■が得意だ。
- (ウ)自分が生み出したい価値は、○○のようなものなのかな。
- (エ)この作業をするときは、▼▼というツールを使うと便利だ。
- (オ)▲▲という環境の中にいると、作業効率が上がる。
このうち、(ア)(イ)(ウ)は、リーダーのレベルに関する発見であり、(エ)(オ)は、マネージャーのレベルに関する発見です。
これらのメモは、プレーヤーとしての具体的な作業に区切りが付いた後で、見直して、リーダーレベルの方向性を見直すときとか、マネージャーレベルの自己管理方法を考えるときとかに、活用します。
これによって、自分の中に、ボトムアップの流れを作ることができます。
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