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[『サピエンス全史』を起点に考える]貨幣による人類の統一とは、全人類を協力相手候補として認識するようになること

公開日: :

1.「人類の統一」を「厖大な数の見知らぬ人どうしの協力」から整理する

『サピエンス全史』を読んでいます。

昨日は、「第3部 人類の統一」を読みました。

[『サピエンス全史』を読む]人類の統一って、なんだ?(第3部 人類の統一)

ここで私が考えたのは、「人類の統一とは何なのか?」という問いです。そして、この問いにに対し、「彼ら」と「私たち」という枠組みから整理してみました。つまり、サピエンス全体を「彼ら」vs「私たち」という枠組みで認識していたことから、サピエンス全体を「私たち」という単一の集団として認識するようになったという変化が、人類の統一です。

しかし、もっとよさそうな整理がある気がしてきました。それは、「膨大な数の見知らぬ人どうしの協力」です。

『サピエンス全史』は、サピエンス成功の鍵を、厖大な数の見知らぬ人どうしの協力に求めます。そして、これを可能にしたのは、虚構を扱える言語です。サピエンスは、虚構を扱える言語を用いて、共通の神話を信じることによって、厖大な数の見知らぬ人どうしの協力という空前の能力を手にしました。

では、ホモ・サピエンスはどうやってこの重大な限界を乗り越え、何万もの住民から成る都市や、何億もの民を支配する帝国を最終的に築いたのだろう?

その秘密はおそらく、虚構の登場にある。厖大な数の見知らぬ人どうしも、共通の神話を信じることによって、首尾良く協力できるのだ。

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[『サピエンス全史』を読む]サピエンスの強みはどこにあるのか?(第1部 認知革命)

「人類の統一」も、この「厖大な数の見知らぬ人どうしの協力」から整理すると、もっとしっくり来るのではないか、というのが、今回考えたいことです。

2.「人類の統一」とは、全人類を、協力相手候補として認識するようになること

「厖大な数の見知らぬ人どうしの協力」から整理すると、「人類の統一」とは、どのように理解できるのでしょうか?

至ってシンプルです。全人類を、協力しうる相手として認識すること、です。

つまり、

  • サピエンス全体を、「協力相手になり得る人」vs「協力相手になり得ない人」として認識していたことから、
  • サピエンス全体を、誰もが「協力相手になり得る人」として認識するようになった

という変化が、人類の統一です。

なお、もともとの「彼ら」「私たち」という枠組みとは、

  • 「彼ら」=「協力相手になり得ない人」
  • 「私たち」=「協力相手になり得る人」

というかたちで重ね合わせることができます。

3.貨幣による人類の統一を、全人類を協力相手候補として認識することから、整理する

さて、この「全人類を協力相手候補として認識する」ことが「人類の統一」である、という整理で、貨幣のことを考えてみます。

単純に当てはめると、こうなります。

貨幣による人類の統一とは、「貨幣を用いることによって、サピエンスは、全人類を、協力相手候補として認識するようになった」ことである。

私としては、この説明は、かなり腑に落ちました。

貨幣が果たしている役割は、全人類を協力相手候補として認識することです。

貨幣があるからこそ、大勢の柔軟な協力の範囲は、全人類に広がります。

全世界で厖大な見知らぬ人どうしの協力が実現されているのは、貨幣があるからです。

貨幣には、ネガティブな側面もあるでしょう。過去から現在まで、貨幣の役割を小さくしようとする試みは、繰り返し構想されてきたのではないかと思います。

でも、貨幣は、全人類レベルの柔軟な協力という機能を果たしています。この機能は、サピエンスに大きな力を与えています。貨幣の役割を小さくしようとする試みは、この機能を代替する何らかの手当がなければ、うまくいかないんだろうなと思います。

[関連]

第1部 認知革命 サピエンスの強みはどこにあるのか?

第2部 農業革命 サピエンスの協力ネットワークが機能する背後には、どんな仕組みがあるのか?

第3部 人類の統一 人類の統一って、なんだ?

『サピエンス全史』からブロックチェーンへ

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