様々な環境からひとつの文書を作成することで、行き詰まりを打開できる_文書作成ツールWorkFlowyの可能性(3)
公開日:
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最終更新日:2016/04/13
WorkFlowy
個人的で主観的な経験なのですが、WorkFlowyで文書を作成するようになってから、文書作成がぐっと楽しくなりました。WorkFlowyによって、文書作成に何らかの変化がもたらされたためではないかと考えています。
WorkFlowyで文書作成に取り組む自分自身を観察してみたら、WorkFlowyによる文書作成には、次の6つの特徴があることがわかりました。
- (1) 与件の範囲内での窮屈な文書作成が、ちょっと自由になる
- (2) そのときどきの「やりたい」のつまみ食いを、文書の完成へと統合できる
- (3) 様々な環境からひとつの文書を作成することで、行き詰まりを打開できる
- (4) 現に文書を作成し続ける過程に、上達のための試行錯誤を組み込める
- (5) 完成文書という1点に向けて収斂する過程で、副産物としての思考が全方向に拡散する
- (6) 産みの苦しみに出口を感じるとともに、意義を感じられる
(1)〜(3)は、目的とする文書作成をうまく進めることに関連しています。
(4)〜(6)は、目的とする文書作成を超えて、文書作成に取り組むことを通じて、いろんな派生効果がある、ということに関連しています。
これらのひとつひとつを掘り下げることを通じて、文書作成ツールとしてのWorkFlowyの可能性を考えてみます。
「WorkFlowyによる文書作成は、実に楽しい。」という主観的な経験を観察することを通じて、文書作成ツールとしてのWorkFlowyの可能性を考察する(概観)
この記事が取り組むのは、「(3) 様々な環境からひとつの文書を作成することで、行き詰まりを打開できる」です。
目次
1.行き詰まりを打開するノウハウの必要性
文書を作成するプロセスは、いつも順調なわけではありません。しばしば行き詰まります。この行き詰まりは、どのように書いたらいいかわからなくなったり、必要な材料を集めるのに手間取ったり、やらなくちゃいけないことはわかっているのにどうにもやる気が出なかったりと、いろいろな形で顔を出します。
いったん行き詰まりにぶつかると、勤勉にがんばって時間やエネルギーを費やしても、なかなか進みません。進まないことでよけいに嫌になったり、残り時間が少なくなったりして、よけいに行き詰まりがひどくなる、ということもあります。
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ところで、WorkFlowyで文書を作成するときの基本姿勢は、「行き詰まりは回避する」です。
文書の完成に至るまでの作業全体を概観して、「やりたい」と感じられて「やれる」ところを見つけ、その部分に取り組みます。行き詰まっているところは後回しにして、行き詰まっていないところに取り組みます。これが、「行き詰まりは回避する」であり、WorkFlowyを使えば、このような文書作成プロセスがかなり可能になります。
- なぜ、WorkFlowyという道具は、「やりたい」のつまみ食いの集積を完成文書へ統合することを可能にするのか?
- そのときどきの「やりたい」のつまみ食いを、文書の完成へと統合できる_文書作成ツールWorkFlowyの可能性(2)
しかし、たとえWorkFlowyを使っても、いつでも行き詰まりを回避できるわけではありません。
とくに、文書作成の終盤にさしかかると、〆切が近づくのと、残りの作業が減ってくるのとで、作業の選択肢が減ります。そうなると、行き詰まりを回避できない場面が増えてきます。
また、行き詰まりは、必ずしも回避した方がよいわけではありません。場合によっては、回避しないで正面から取り組んだ方がよいこともあります。
というのも、ある部分で行き詰まり、行き詰まったままその部分に取り組んでいけば、その部分でたくさんのことを考えることになるからです。行き詰まりをどうにかしようと一生懸命取り組んでいる間に、それまで思いつきもしなかったようないい考えが浮かんでくることもあります。行き詰まりに正面から取り組んでいる間は、その部分についての「現役効果」が発揮され続けているともいえますので、ある意味、「行き詰まりは敵ではない」わけです。
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そんなわけで、文書を作成するには、(行き詰まりを回避するためのノウハウだけでなく、)行き詰まりを打開するためのノウハウも必要です。
2.行き詰まりを打開するために、具体的な環境を切り替える
では、文書作成における行き詰まりを打開するには、どうしたらよいでしょうか。
行き詰まりにもいろいろありますので、細かく見ていけば、どんな行き詰まりを打開しようとするかによって、打開策も千差万別だと思います。が、どんな行き詰まりにもそこそこうまく機能するひとつの王道の打開策があります。
それは、文書作成の具体的な環境を切り替えること、です。
道具や、場所や、時間帯といった、文書作成の具体的な環境を切り替えると、行き詰まりを打開するために、一定の効果があります。もちろん、どんな行き詰まりでもたちどころに解消できる、というわけではありません。ですが、多くの行き詰まりに対して、小さいかもしれないけれど、確かな効果が期待できるのです。この意味で、文書作成の具体的な環境を切り替えることは、行き詰まりを打開するための基本技のような位置を占めています。
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さて、「文書作成の具体的な環境を切り替える」を、もう少し丁寧に分解してみましょう。私自身の文書作成プロセスを前提とすると、こんなところかなと思います。
- 場所を変える
- 日常的な場所
- 自宅
- 自宅内で場所を変える
- 職場
- 職場内で場所を変える
- 自宅
- 非日常の場所
- カフェ
- 図書館
- 公園
- 移動中
- 電車
- 歩きながら
- 日常的な場所
- 時間を変える
- 時間帯を変える
- 朝、昼、夜
- 時間の長さを変える
- まとまった時間
- すきま時間で少しだけ
- 時間帯を変える
- 道具を変える
- ハードを変える
- パソコン
- タブレット
- スマートフォン
- ソフトを変える
- アプリケーションを変える
- アプリケーションの設定や見た目を変える
- ハードを変える
では、これらの具体的な切り替えを、WorkFlowyによる文書作成で実現するには、どうしたらよいでしょうか?
いろいろことができます。WorkFlowyは、マルチプラットフォーム対応のクラウドサービスである上に、多くの柔軟なカスタマイズが可能です。だから、本当に多彩な環境切り替えがありえます。
ひとつひとつ具体的に見ていきましょう。
(1) 場所を変える
a.日常の場所で、場所を変える
私にとって、文書作成に取り組む日常的な場所は、自宅と職場です。
だからまず、自宅と職場との切り替えを、行き詰まり打開のために活用できます。つまり、職場で取り組んでいる文書作成で行き詰まりが生じたら、その同じひとつの文書に、自宅から取り組んでみます。逆に、自宅で取り組んでいる文書作成で行き詰まりが生じたら、その同じひとつの文書に、職場から取り組んでみます。取り組む場所を変えるだけで、行き詰まりがふわっと解けてしまうことがあります。
職場内で完結させなければならない文書作成や、職場ではできない文書作成の場合は、職場内、自宅内での場所の切り替えを使います。
自宅内なら、リビング・ダイニング・デスクの切り替え。職場内なら、自分のデスク・会議室・休憩スペースの切り替え、などです。
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WorkFlowyはクラウドサービスです。
だから、自宅であろうが、職場であろうが、デスクであろうが、ダイニングであろうが、インターネットにつながりさえすれば、ひとつの文書をいろいろな環境から作成することができます。
同期も一瞬なので、ある場所での作業の結果が、すぐにサーバーに反映されます。ですから、競合する変更を心配する必要もほとんどありません。
b.非日常の場所で、場所を変える
非日常の場所で文書作成に取り組むことも、行き詰まりを打開してくれるかもしれません。
手軽なのは、カフェです。私は、昼ごはんをスターバックスで食べるのが好きなのですが、理由のひとつは、昼休みの1時間を使って、スターバックスという非日常の空間から文書作成に取り組むことができるからです。
カフェは、いろんな場所にたくさん存在しています。たとえば同じスターバックスでも、外出しなければいけない仕事のついでに、普段は行けない場所のスターバックスを探してそこで少しだけ作業をすると、より非日常を味わえます。
図書館も便利です。最近の図書館には、パソコンを持ち込んで作業をするためのスペースが用意されているところもあります。
あとは、季節がよければ、公園も悪くありません。公園のベンチに座り、膝の上のノートパソコンをパタパタと叩いているのは、周りからは同情を誘う姿に見えるかもしれないと危惧しますが、本人としては、すこぶる幸せです。
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WorkFlowyであれば、これら非日常の場所であっても、インターネット接続さえあれば、自宅や職場とまったく同じように、文書作成を進めることができます。
作成対象の文書にアクセスできるだけにとどまらず、事前にWorkFlowyの中に文書作成の材料となる資料を書き込んでおけば、自宅や職場にある資料を確認する必要もありません。
WorkFlowyのただひとつのアウトラインは、それなりの準備さえしておけば、それ自体が書斎のような研究室のような、そんな役割を果たしてくれます。
c.移動を活かす
少し別観点ですが、移動時間に文書作成作業に取り組むのも、場所の切り替えの一種です。
電車で座っているときに、膝の上でノートパソコンを開けば、自宅のリビングやスターバックスのソファと、大したちがいはありません。新幹線なら、席も広くて電源もあります。
電車での移動時間は、行動の選択肢が少ない上に、時間の区切りが明確なので、うまくハマると、最高の作業時間になります。
通勤電車などで座れないときでも、WorkFlowyなら、iPhoneからいつもと同じアウトラインを操作できます。公式アプリからの操作には使いづらいところもあったのですが、HandyFlowyなら、WorkFlowy本来の快適さのまま、WorkFlowyをiPhoneで持ち歩くことができます。
このように、移動を活かして文書作成の行き詰まりを打開できることも、WorkFlowyによる文書作成のメリットです。
(2) 時間を変える
a.時間帯を変える
文書作成に取り組む自分は、生身の人間です。生身の人間なので、時間帯によって、体力や気力が変動します。そのため、時間帯によって、文書作成に対して発揮できるパフォーマンスにブレがあります。
ですから、文書作成に取り組む時間帯を切り替えると、文書作成の行き詰まりを解消できるかもしれません。
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WorkFlowyなら、一日のどんな時間帯であっても、その同じひとつの文書を作成することができます。
たとえば、私は、朝一番にiPhoneのHandyFlowyを立ち上げて、「朝一番の自動書記」というのを5分程度行っているのですが、このときに、その日に作成すべき文書の材料を仕込むこともあります。
WorkFlowyで、「朝一番の自動書記」(by結城浩先生)をする
また、私は、WorkFlowyにその日一日のためのInboxとして日付トピックを作っているのですが、この日付トピックになら、どんな時間帯にどんなことを書き込むこともできます。
いろんな時間帯に日付トピックに書き込んだ内容を、後に、作成すべきひとつの文書のトピックへと移動することもできます。
WorkFlowyに日付トピックを作り、一日ごとのinboxにする
b.時間の長さを変える
「時間を変える」には、「時間帯を変える」のほかに、「時間の長さを変える」があります。文書作成に費やす時間の長さです。
まとまった時間を費やして文書作成をするか、すきま時間を利用して少しの時間だけ文書作成をするかによって、文書作成にもたらされるものの性質は変わります。1時間のまとまった時間を費やすことと、5分のすきま時間を12コマ費やすこととは、イコールではありません。だから、費やす時間の長さを切り替えることも、行き詰まり打開に役立ちます。
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ところで、「文書作成などの知的生産においては、集中を妨げられないまとまった時間を確保することが大切だ」という意見があります。一面では真理です。5分のすきま時間12コマを費やしても、1時間のまとまった時間を費やしたときと同じものを生み出すことはできません。そのうえ、5分のすきま時間を12コマ使って行った作業の結果は、多くの場合、散逸してしまい、完成文書に結実しません。だから、一般的には、すきま時間を寄せ集めるよりも、まとまった時間を確保する方が、文書作成にとっては大切です。
しかし、「5分のすきま時間12コマを費やして生み出せるもの」と「1時間のまとまった時間を費やして生み出せるもの」との間に優劣があるわけではありません。両者は、単に、性質がちがうだけです。
となると、大切なのは、すきま時間による作業の成果を散逸させないことです。散逸させず、すべてを活かせば、「5分のすきま時間12コマを費やして生み出せるもの」よりも「1時間のまとまった時間を費やして生み出せるもの」の方が優れている、ということにはなりません。ひとつの文書を作成するために、両者のいいところを両方活用する道が開かれます。
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WorkFlowyは、「まとまった時間を費やしてひとつの文書に集中すること」も、「すきま時間をたくさん使って、少しずつバラバラに作業をすすめること」も、どちらも得意です。
前者は、Zoom機能がいい仕事をしてくれます。そのときに取り組む作業のほかは、画面から消し去ってくれるからです。
後者は、作業結果がただひとつのアウトラインに集約され、けっして散逸しないことがポイントです。
(3) 道具を変える
a.端末を変える
文書作成のための具体的な環境として、端末はとても大きな位置を占めます。
- パソコンか、タブレットか、スマートフォンか。
- パソコンにしても、デスクトップかノートか。WindowsかMacか。さらに、どんなキーボードか。
これら端末のちがいによって、文書作成が持つ雰囲気が、大きく異なります。そのため、道具を切り替えることによって、ひどく行き詰まっていたところが、ポンと解消されてしまうことがあります。
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WorkFlowyは、マルチプラットフォームのクラウドサービスです。だから、同じひとつの文書を作成するために、いろんな端末を使うことができます。
そこで、
- Windowsのデスクトップで行き詰まったら、iPhoneに切り替えてみる
- タブレットで行き詰まったら、Macのノートパソコンに切り替えてみる
など、端末切り替えの選択肢は無限大です。
だから、端末切り替えによって文書作成の行き詰まりを打開することにかけては、WorkFlowyを超えるツールは、あんまりないと思います。
b.見た目を変える
WorkFlowyは、見た目を自由に変えることができます。
パソコンから使うWorkFlowyの場合、Firefoxを使っているなら、「Stylish」というアドオンをおすすめします。また、Chromeを使っているなら、「Porter for WorkFlowy」という機能拡張で対応できます。
iPhoneからWorkFlowyを使うときは、HandyFlowyをおすすめします。機能拡張スクリプトという機能によって、見た目を自由にカスタマイズできます。
たとえば、次のブログで紹介されている「Cardy」という機能拡張スクリプトを使えば、WorkFlowyがカードスタイルに変身です。
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このように、WorkFlowyであれば、
- 端末を変えることも自由自在
- 同じ端末を前提としても、まったく別物であるかのように、見た目を変えることができる
という2点で、柔軟に道具を切り替えることができます。
3.まとめ
文書作成は、必ず、行き詰まります。
WorkFlowyによる文書作成の基本方針は、「行き詰まりは回避する」です。
でも、考えようによっては、行き詰まりは、必ずしも敵ではありません。行き詰まりに取り組み、行き詰まりを打開できれば、それによって文書が一皮むけることもあるからです。
では、行き詰まりを打開するには、どうしたらよいでしょうか。ひとつの王道的な打開策は、「文書作成に取り組む具体的な環境を切り替える」です。
WorkFlowyは、マルチプラットフォームのクラウドサービスであり、かつ、柔軟なカスタマイズの余地を残しています。ですから、同じひとつの文書を、様々な環境から、好きなように、扱うことができます。
WorkFlowyの機能を使えば、様々な具体的な場所、様々な具体的な時間、様々な具体的な道具を好きなように切り替えながら、ひとつの文書を作成していくことができるのです。
このように、WorkFlowyによる文書作成は、(行き詰まりを回避するだけでなく、)行き詰まりを打開することもできます。
関連
総論
「WorkFlowyによる文書作成は、実に楽しい。」という主観的な経験を観察することを通じて、文書作成ツールとしてのWorkFlowyの可能性を考察する(概観)
各論
与件の範囲内での窮屈な文書作成が、ちょっと自由になる_文書作成ツールWorkFlowyの可能性(1)
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