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【ご報告とお礼】WorkFlowyで、WorkFlowyの本(の原稿)を書きました。

公開日: : WorkFlowy, 知的生産

いつも「単純作業に心を込めて」をお読みいただき、ありがとうございます。おかげさまで、毎日楽しく好きなようにいろいろと書くことができております。

さて、ひとつご報告があります。タイトルのとおりです。WorkFlowyで、WorkFlowyの本(の原稿)を書きました。

私が機会をいただいたのは、次の企画です。

セルフパブリッシングではない、新時代の著者発掘プロジェクトインプレスR&D、出版企画・公開大募集!|株式会社インプレスホールディングスのプレスリリース

以前、「WorkFlowy→ハサミスクリプト→でんでんコンバーターで『WorkFlowyの説明書』『WorkFlowyの教科書』『WorkFlowyの理論書』を作る計画を構想する」で構想したWorkFlowy3部作のうち、『WorkFlowyの教科書』に相当する部分を、この企画で書籍化していただくことになりました(ただし、書名は『WorkFlowyの教科書』にならない可能性が高いです)。

10月末に、ようやく原稿を編集の方々へ渡しました。それ以上は全然進んでいませんので、書籍化のスケジュールはまったく不明です。

とはいえ、WorkFlowyで本1冊分の原稿を書き上げる経験は、それなりに珍しい経験かと思います。そこで、脱稿直後の現段階で、感じているところをメモします。いずれも抽象的で感傷的ですが、今しか書けない文章だと思いますので、熱に任せて、ばーっと書きます。ご笑納ください。

1.WorkFlowyだけで本1冊の原稿を書くことは、できます。

私が書いた原稿は、最終的に、10万字を超える文字数になりました。簡単な新書1冊分の文字数です。

WorkFlowyは、それくらいの文字数の原稿を、余裕で扱うことができます。

今回の原稿では結局やらなかったのですが、論文のような厳密な文章における脚注の管理なども、タグを使えば、かなり柔軟かつ快適にできるはずです。(このやりかたは、いずれ、まとめます。)

2.「全体から一部分を切り出す」というあり方は、個人の継続的な知的生産にとって、革命的なコンセプトです。

今回書いたWorkFlowyの本は、WorkFlowyの本です。でも、同時に、個人の継続的な知的生産の本でもあります。

そして、個人の継続的な知的生産の本としてのこの本が、もっとも強調しているメッセージは、「全体から一部分を切り出す」というあり方です。

WorkFlowyというクラウドサービスの本質は、「全体から一部分を切り出す」というコンセプトです。例の「WorkFlowy基本5原則」でいえば、【第2原則】「アウトライン」という全体から、目的に応じた一部分を切り出すがこれに当たります。

今回、私が、WorkFlowyの本の原稿を書いたことも、一から十まで、「全体から一部分を切り出す」というプロセスでした。このあり方を意識すると、個人の継続的な知的生産に、革命が起きます。

(そして、WorkFlowyは、「全体から一部分を切り出す」というあり方を実践するために、最も最適なツールのひとつです。)

3.本1冊分の原稿を書くことは、本の読み方を変えます。

自分でブログを書くようになったことの、もっとも現実的な恩恵のひとつは、ブログの読み方が変わったこと、でした。自分でブログを書くと、ブログの書き手の立場に立てます。ブログの書きての立場に立つと、ブログの書き手の思考プロセスがわかります。ブログの書きての思考プロセスがわかると、ブログの読み方が変わります。つまり、ブログの書き手の立場に立つことは、ブログの読者としての立場にとっても、強力に機能します。

同じように、本1冊分の原稿を書くことは、本の読み方を確実に変えてくれました。以前は見えなかった著者の苦労や迷いを読み取れるようになった気がします。

本を読むことが好きな方にとっては、これだけでも、本1冊分の原稿を書く価値があります。実際、私は、本1冊分の原稿を書いたことによって身につけた本の読み方だけで、今回本1冊分の原稿を書いたことは、十分ペイしている、と感じています。

4.残り2割には、残り2割の意味があります。

私は、野口悠紀雄氏や齋藤孝氏の著作が好きです。両氏の全著作には、全体を貫くいくつかのキーコンセプトがあるのですが、そのうちのひとつは、「2:8原則」、つまり、全体の中の重要な2割が、全体の8割の重要性を占める、ということです。そのため、重要な2割を抑えれば、全体の8割方を抑えたも同然となり、そんな2割を抑えることの意義が強調されます。

それに対して、重要度でいう残り2割を詰めるためには、そこまでの8割のために必要だった資源よりも、たくさんの資源を必要とします。ですから、その2割を抑えれば重要性にして全体の8割を占める2割に集中し、残り8割は捨てる、という戦略が、合理的です。

この考え方は、本当にそのとおりだと思います。そこで、今回、原稿を書くときも、私はこのことを意識し続けました。8割以上を詰めることには、こだわりすぎないように、と。

が、しかし、今回、本1冊分の原稿を書いてみて痛感することは、残り2割には、残り2割の意味がある、ということです。

ひとつには、残り2割を詰めようとする過程で、様々な副産物を獲得できるからです。残り2割を詰めるのは、産みの苦しみです。大きな前進を実感でき内にもかかわらず、手間暇は際限なくかかります。でも、この残り2割を埋めようとする産みの苦しみから、意外なほど豊かな副産物が生まれることがあります。だから、残り2割を埋めようとすることは、必ずしも無駄ではありません。

また、もうひとつには、残り2割をどこまで詰めているかで、作品の受け手が受ける印象が、雲泥の差になることに気づきました。

たとえば、どんなによくできた本でも、誤字があったり、日本語がねじれていれば、なんとなく気持ちよくありません。その本を自分の土台にすることは、躊躇してしまうと思います。

残り2割は、重要度でいえば残り2割なのですが、その2割が決定的な影響を持つことも、世の中にはあるんだろうなあ、と感じました。

なお、率直にいって、私自身が書いた原稿について、残り2割をきちんと詰めることができたかといえば、全然自信がありません。むしろ、制約条件を言い訳にして、残り2割を切り捨ててしまったかもしれない、とも思います。でも、この葛藤を経験したからこそ、残り2割には、残り2割の意味がある、ということを実感しました。

これは、自分の生き方にとっても、小さくない意味を持つはずです。

(これは、ていねいに書き直すために時間とエネルギーがかかるのはあたりまえということともつながるような気がします。)

5.WorkFlowyを使うと、本1冊分の原稿を書くことは、実に楽しい体験になります。

私は、本1冊分の原稿を、すべてWorkFlowyだけで書きました。WorkFlwoyがなければ、とても書ききれなかったと思います。とはいえ、WorkFlowyを使ったからといって、本1冊分の原稿を書く作業は、楽にはなりませんでした。

しかし、です。WorkFlowyを使うことは、本1冊分の原稿を書くことを、実に楽しい体験にしてくれました。これはまちがいありません。

というのも、WorkFlowyを使って原稿を書く過程で、豊かな副産物がたくさん生まれたからです。たとえば、私は先日、WorkFlowy基本5原則というものを書きました。自分では、この5原則を、けっこう面白いものだと思っています。ですが、この5原則にたどりつけたのは、WorkFlowyで、この本の原稿を書いていたためです。WorkFlowyを使って、本1冊分の原稿を書こうとすることは、本当にたくさんの副産物を生んでくれるのです。

だから、率直にいえば、私は、この本の原稿を、ぎりぎりまでまとめたくありませんでた。早くしないと〆切に間に合わなくなって手遅れになる、という心の声が聞こえました。「もし〆切に間に合わなかったら、著者失格です。」という声も聞こえてきました。でも、私は、どんどんよくなるWorkFlowy探求を、見ていたかったのです。「私のWorkFlowy探求は、今が栄光時代なんだ!」という声に突き動かされて、ぎりぎりまでまとめに入りませんでした。

WorkFlowyで本1冊分の原稿を書く体験は、実に楽しい体験です。

ひとりでも多くの方に、この体験を味わっていただけたらなあ、と思っています。

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