全体と一部分(それより上の階層がない・それより上の階層がある)
目次
1.WorkFlowyの第2原則と第3原則のお互いに支え合う関係
WorkFlowy基本5原則は、WorkFlowyの力を引き出すために大切な基本的な考え方を5つの原則にまとめたものです。
WorkFlowyの力を引き出す使い方 WorkFlowyの基本5原則の概要と予告
このうち、第2原則と第3原則とは、お互いに支え合う関係に立ちます。
つまり、
- 【第2原則】「アウトライン」という全体から、目的に応じた一部分を切り出す
- 【第3原則】「アウトライン」を流動的に変化させ続ける
という2つの原則の間に、
- 「まとまった一部分を暫定的な作品として固定し保存しておくからこそ、「アウトライン」全体を安心して流動的に変化させることができる。」という第2原則が第3原則を支える関係と、
- 「「アウトライン」を流動的に変化させ続けるからこそ、「切り出す」ことのできる一部分が生まれる。」という第3原則が第2原則を支える関係とが存在し、
この2つの関係が循環している、ということです。
●
第2原則と第3原則の関係は、ある意味、全体と一部分の関係だといえます。
全体は、WorkFlowyでいえば「アウトライン」全体です。変化し続けて完成しないこと、自分の生活のすべてがごちゃごちゃと同居していること、その全体を第三者にそのまま渡しても、何の価値も生み出さないこと、などの特徴があります。
これに対して、一部分は、WorkFlowyでいえば、ひとつの文章をまとめた「トピック」へZoomした「リスト」です。あるいは、ハサミスクリプトで切り出して公開したブログ原稿です。暫定的であれ、完成していて、固定していること、特定の目的に対応していること、切り出した暫定的な一部分は、それ自体がまとまりのある情報であり、第三者にとっても価値を持ちうるものであること、などの特徴があります。
この全体と一部分の関係には、なんだか面白いものが潜んでいそうな気がします。とりわけ、私が感じている、WorkFlowyというツールの可能性と、わりと深いところでつながっていそうです。そこで、主にWorkFlowyを念頭に置きつつも、かなり抽象的に、全体と一部分の関係を考えてみます。
2.いくつかの視点から見る、全体と一部分
いくつかの視点から、全体と一部分を比較してみます。
(1) 変化・固定
WorkFlowyの「アウトライン」は、変化し続けます。でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、その切り出された一部分は、固定されます。
母体である全体は変化し続け、そこから切り出された一部分は固定される、という関係です。
(2) 未完成・(暫定的な)完成
WorkFlowyの「アウトライン」は、完成する、ということがありません。ずっと未完成です。でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、その切り出された一部分は、完成品です。完全に満足の行く非の打ち所のない集大成の完成品だとは限りません。でも、暫定的であれ、完成品は完成品です。
母体である全体はずっと未完成で、そこから切り出された一部分は完成している、という関係です。
(3) 他者に伝わらない・他者に伝わる
WorkFlowyの「アウトライン」は、全体として伝えるべきひとつのメッセージを持っていません。「アウトライン」をぽんと他者に渡しても、何も伝わりません。でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、その切り出された一部分は、ひとつのメッセージを持っています。公開されたブログ記事は、他者に伝わります。
母体である全体は、ひとつのメッセージを持たず、他者に伝わりません。そこから切り出された一部分は、ひとつのメッセージを持ち、他者に伝わります。
(4) 評価できない・評価できる
WorkFlowyの「アウトライン」は、それ自体の価値を評価することができません。自分の「アウトライン」を前にして、「このアウトラインの出来はよいのか?悪いのか?」「このアウトラインは面白いのか?つまらないのか?」「このアウトラインに、どんな意味があるのか?」と自分に問いかけても、答えようがありません。
でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、そのブログ記事の価値を評価することは可能です。「このブログ記事の出来はよいのか?悪いのか?」「このブログ記事は面白いのか?つまらないのか?」「このブログ記事に、どんな意味があるのか?」などの問いは、簡単ではありませんが、原理的は答えることが十分可能な問いです。
母体である全体それ自体の価値は評価できませんが、そこから切り出された一部分の価値は評価できる、という関係です。
(5) 目的がない・目的がある
WorkFlowyの「アウトライン」は、全体としての目的を持ちません。自分の「アウトライン」を前にして、「この「アウトライン」は、どんな目的を達成するための存在なのだろうか?」と問うことは、「私の人生の目的はなんだろうか?」という問いと重なるような気がします。
でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、そのブログ記事は、何らかの目的を持ちえます。「このブログ記事は、どんな目的を達成するために書かれたのか?」という問いは、決して考えても仕方のない問いではなく、むしろ真摯に取り組み、暫定的であるにせよ、何らかの具体的な答えを持っておくことが望まれる問いです。
母体である全体はひとつの目的を持ちませんが、そこから切り出された一部分はひとつの目的を持つ、という関係があります。
3.上の階層がない・上の階層がある
上に書いた(1)〜(5)は、少しずつ重なりあっています。
全体は変化するが一部分は固定される(1)。これを少し別の観点から見ると、全体は未完成だが一部分は完成している、という(2)になります。
未完成品か完成品か、というちがいは、ひとつのメッセージを持つか・持たないか、という(3)と重なります。「伝わらない・伝わる」は、ひとつの評価です。そこで、(3)を抽象化すると、評価一般が不可能・可能という(4)になります。
評価できない・できるというちがいを生んでいる理由のひとつが、目的です。全体にはそれ自体としてのひとつの目的がありませんが、一部分にはそれ自体としてのひとつの目的があります。(5)です。
このように、(1)〜(5)の重なりを見ていると、もうひとつの関係に気づきました。それは、「上の階層がない・上の階層がある」です。
●
WorkFlowyの「アウトライン」は、上の階層を持ちません。「ファイル」概念を持たないWorkFlowyは、複数の「アウトライン」を管理することができません。「アウトライン」それ自体は、管理の対象ではありません。「アウトライン」は、最上位階層なのです。
でも、そこから一部分を切り出して、たとえばブログ記事として公開すれば、そのブログ記事は、それより上の階層を持ちます。「WorkFlowy」カテゴリも、ブログ「単純作業に心を込めて」も、上の階層ですし、そもそも、そのブログ記事を切り出す元となったWorkFlowyの「アウトライン」も、その上の階層といえます。
母体である全体は、最上位階層です。母体である全体には、その上の階層がありません。でも、そこから切り出された一部分は、最上位階層ではありません。切り出された一部分には、その上の階層があります。
●
全体は目的を持たず、一部分は目的を持つのでした。それは、全体にはその上の階層がなく、一部分にはその上の階層があるからです。目的とは、その上の階層から見なければ、見えませんん。
全体は評価できず、一部分は評価できるのでした。それは、全体にはその上の階層がなく、一部分にはその上の階層があるからです。評価のための基準は、その上の階層からでなければ、設定できません。
全体は他者に伝わらず、一部分は他者に伝わるのでした。それは、全体にはその上の階層がなく、一部分にはその上の階層があるからです。他者に伝えるメッセージは、その上の階層の中に位置づけなければ、生まれません。
全体は完成せず、一部分は完成するのでした。それは、全体にはその上の階層がなく、一部分にはその上の階層があるからです。完成は、その上の階層との関係での相対的な概念です。
全体は変化し続け、一部分は固定することができるのでした。それは、全体にはその上の階層がなく、一部分にはその上の階層があるからです。私たちは現に動いているのですから、最上位階層からみれば、どこかはずっと変化し続けるしかありえません。
●
全体と一部分の関係は、「それより上の階層がない・上の階層がある」というちがいから派生しているのかもしれません。
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