なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのか? (WorkFlowy×『数学文章作法 推敲編』その1)
目次
1.問い「なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのか?」と検討の指針
(1) WorkFlowyが、優れた「文章を書き上げるツール」である理由
今、私が愛用している「文章を書くツール」は、WorkFlowyです。
ここで私が言う「文章を書く」とは、「文章を書き上げる」を意味します。私がWorkFlowyに求めるのは、文章のネタをメモしたり、文章の骨子を組み立てたりするだけでなく、ひとつのまとまった文章を書き上げるまでのプロセス全体を支援することです。
一般に、WorkFlowyは、「文章を書き上げる」ツールだとは認識されていません。実際、WorkFlowyには、標準的なテキストエディタやワードプロセッサが備える、いくつかの「文章を書き上げる」ための機能を備えていません。たとえば、次のような機能です。
- 文字を置換する機能、高度な検索機能(正規表現など)
- 文字数をカウントする機能
- 修正履歴を記録したり、校正のためのコメントを管理する機能
WorkFlowyを「文章を書き上げるツール」として使うには、どんな課題を解消するとよいか
しかし、半年間、WorkFlowyを「文章を書き上げるツール」として使い続けてきた経験から感じることは、WorkFlowyは「文章を書き上げるツール」としても優れているのではないか、ということです。
いくつか理由がありますが、ひとつの大きな理由は「推敲」です。WorkFlowyは、文章の推敲に向いています。
(2) 「なぜ、WorkFlowyが、文章の推敲に向いているか?」を考える
では、なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのでしょうか。
この問いを検討するために、『数学文章作法 推敲編』を指針として活用します。同書は、私の知るかぎり、もっともわかりやすくて実践的な推敲の教科書だからです。
以下、『数学文章作法 推敲編』を紹介しながら、「なぜ、WorkFlowyが、文章の推敲に向いているか?」を考えます。
2.WorkFlowyで『数学文章作法 推敲編』を実践する
『数学文章作法 推敲編』は、『数学文章作法 基礎編』の続編です。テーマは「推敲」。一冊まるまる使って、「推敲」の考え方やコツを丁寧にわかりやすく説明してくれます。
本書『数学文章作法 推敲編』は,自分の書いた文章を, 正確で読みやすい文章に書き直す方法について説明する本です.
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「正確で読みやすい文章を書くための、もっとも効果的な手段は、推敲である」。これは、多くの方が指摘することです。
しかし、これまでの私は、推敲をどのように進めたらよいのか、あまりわかっていませんでした。推敲の考え方やコツを教わったことがなかったためです。
これに対して、『数学文章作法 推敲編』は、推敲を説明してくれます。本質的な考え方から、具体的なコツまで、同書の説明は懇切丁寧です。
『数学文章作法 推敲編』を読んで、私ははじめて推敲を理解しました。あとは、実践するだけです。
そこで、以下、『数学文章作法 推敲編』の章立てに沿って、WorkFlowyで推敲することについて考えます。
(0) 「はじめに」
a.推敲は、具体的な作業である
まず、『数学文章作法 推敲編』は、「推敲」を、次のように説明します。
自分が書いた文章を読み返し,そこに使われている語句を吟味し,文の構造を確かめ,書かれていることに過不足がないかどうか調べ,必要があれば加筆し,不要な部分は思い切って削除する作業が必要です.本書では,実例を踏まえつつ,そのような作業を説明します.
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説明されている内容も大切ですが、それ以上に、「作業」という言葉に注目してください。「推敲」は、具体的な作業です。文章を読み返す、語句を吟味する、文の構造を確かめる、書かれていることに過不足がないかどうか調べる、加筆したり削除する。これらの作業の総体が、「推敲」です。
WorkFlowyで推敲するためには、これらの具体的な作業をするために、WorkFlowyがどのように役立つかを考えればよいわけです。
b.推敲の原則《読者のことを考える》を実践するため、自分のマネジメントと結びつける
次に、『数学文章作法 推敲編』を貫く原則は、(『数学文章作法 基礎編』と同じく、)《読者のことを考える》です。
正確で読みやすい文章に書き直すために大切な原則があります.その原則とは, 読者のことを考える です.本書は《読者のことを考える》という原則を具体化したものといえるでしょう.
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《読者のことを考える》という原則を実践するには、書き手である自分の都合だけを考えないことが大切です。エゴを排除する、とも言えます。
自分のエゴを排除するには、タスクマネジメントや感情コントロールが大切です。
文章を推敲することは、単に文章を書くことにとどまるものではなく、仕事や暮らし全体をどのようにマネジメントするかと、絡み合っています。
このように推敲を捉えれば、「ただひとつの巨大なアウトライン」ですべてを管理するWorkFlowyの特性を、推敲に活かすことができます。
c.推敲は、「文章を磨き上げていく」作業
著者の結城浩氏は、推敲を「文章を磨き上げていく」と表現します。
本書は,あなたがすでに読者に伝えたい考えを持っていることを前提とし,自分が書いた文章を,正確で読みやすい文章に磨き上げていくための本なのです.
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私が、WorkFlowyで文章を書く理由は、一言で言えば、「WorkFlowyで文章を育てる」という感覚が好きだから、です。
なぜ、WorkFlowyで文章を書くのか(WorkFlowyで文章を育てる)
WorkFlowyは、「文章を育てる」ことが得意です。推敲は、「文章を磨き上げていく」作業です。
WorkFlowyで文章を推敲するためには、推敲が、「文章を育てる」ことの大切な一部であることを自覚することです。
(1) 「第1章 読者の迷い」
「第1章 読者の迷い」では、読者が文章を読むとはどのようなことかが明らかにされ、読者の迷いがどのように生じるかが説明されています。
そして、ここから、著者が文章を書くときに注意すべき点として、以下のアドバイスが示されます。
著者は,読者がスムーズに概念を構築し,文章の流れを追えるようにしなければなりません.そのためには,確かな積み木を読者に渡し,分かれ道のない一本道を作る必要があります.
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WorkFlowyを使えば、文章に階層構造を与えることによって、文章の構造を目で見ることができます。文章が分かれ道のない一本道になっているか、という観点で、文章を見返すことが大切です。
(2) 「第2章 推敲の基本」
「第2章 推敲の基本」では、次の推敲の基本が説明されます。
●自分が書いた文章を読み返して理解する
●書きたかったこととのずれを探す
●ずれを少なくするように書き直す
●以上を何度も繰り返す
●著者としての自覚を持つ
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a.自分が書いた文章を読み返す
推敲の基本はまず,自分が書いた文章を読み返して理解することです.
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推敲は、自分が書いた文章を読み返すことから始まります。
WorkFlowyは、書いた文章を読み返すことが簡単です。マルチプラットフォーム対応のクラウドサービスなので、いつでも、いろんな場所から、読み返すことができるためです。
自分が書いた文章を読み返すときに大切なのは、「著者の帽子を捨てる」ことです。
自分が書いた文章を読み返すときに大切なのは,自分が書いたという考えをいったん捨てることです.私はこれを「著者の帽子を捨てる」と表現するのが好きです.
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「著者の帽子を捨てる」ために、著者としてその文章を書いていたときとはちがう見た目を用意するのも、ひとつの方法です。
WorkFlowyでこれをするには、次の2つの方法があります。
- ハサミスクリプトでWorkFlowy以外の別の場所へ書き出す(WorkFlowy×ハサミスクリプトを支えるふたつの思想)
- アドオン「Stylish」で見た目を変える(アドオン「Stylish」による「推敲用WorkFlowy」(段差フラット&bullet非表示))
b.読み返したときに気づいた点を、メモする
読み返したときに気づいた点は、メモします。
文章を読み返すときには,必ず筆記具を持ちましょう.
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その場その場で修正するよりも、最初は、気になったことをメモするほうが有効です。
まちがいを見つけたら原稿をすぐに修正したくなるかもしれませんが,それはあまり賢明ではありません.まずは,印を付けながら全体を通読することをお勧めします.
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WorkFlowyでメモをするには、もともとのトピックの子トピックに書き込むのがよいと思います。元々の文章と区別したい場合は、下線・太字・斜体という文字の書式で区別するのが便利です。
c.自分が書きたかったことを、明確にする
自分の書いた文章を自分で書き直すことが、推敲の大切な一部です。では、どのように書き直すのでしょうか。自分が書きたかったことが伝わるように、書き直します。
そのため、文章を推敲するためには、自分が書きたかったことを明確にしておくことが前提となります。
自分が書いた文章を読み返して理解したなら,自分が書きたかったこととのずれを探しましょう.これもまた推敲の基本です.
とはいえ、自分が書きたかったことを明確に自覚するのは、わりと難しいことです。
そこで、WorkFlowyで文章を推敲するなら、トピックの冒頭に、自分が書きたいことを、階層付きの箇条書きでメモしておくのがよいです。
文章の形にしようとしないメモ書きだと、不思議と、わりと簡単に、自分が書きたいことを形にできます。
d.書き直す
文章を書き直すとは、「不要なものを削り、必要なものを加える」ことです。
何度読み返しても,ずれをいくら見つけても,文章を書き直さなければ意味がありません.書き直すこともまた,推敲の基礎といえるでしょう.
文章を書き直すというのは,一言でいえば「不要なものを削り,必要なものを加える」ことです
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このうち、よりむずかしいのは、「削る」ことです。
削ることがむずかしい理由のひとつは、「せっかく書いたのにもったいない」という感情です。
この対策として、結城浩氏は、「削除すべき部分を別の場所に移動する」という手段を提案します。
大量の文を削除するときのコツをお話ししましょう.文を本当に削除してしまうのではなく,別途用意した「倉庫ファイル」移動するのです.こうしておくと,削除するときの心理的な抵抗が大幅に減ります.
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自分の心に「削除するんじゃないよ,ここに移動するだけだからね」と言い聞かせられるからです.
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WorkFlowyは、この手法との相性がとてもよいです。
『アウトライン・プロセッシング入門』で紹介されていた「■未使用」トピックは、まさにこの具体例です。
アウトライナーで考えるための3つのコツ(『アウトライン・プロセッシング入門』より)
(関連:思考の一部を捨てても死なない(なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか))
(3) 「第3章 語句」
「第3章 語句」が説明するのは、最適な語句を選ぶこと、です。
文章を根底で支えているのは一つ一つの語句です.語句の選択を誤ると文章全体がぐらぐらして読みにくくなってしまいます.
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(1) 「最適な語句か」と自問する
最適な語句を選ぶために大切なことは、「最適な語句か」と自問することと、そうでない場合は語句を交換することです。
語句を吟味するとは,「その語句は自分の言いたいことを最も適切に伝えているか」を検討することです.つまり「最適な語句か」と自問することです.
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(2) 改悪を避ける
語句を交換するとき、改悪を避けることが大切です。
もう一つの注意は,語句を交換するときに改悪にならないようにすること.
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WorkFlowyで語句を交換するなら、削除しないことが、改悪を避けるための対策になります。子トピックに移動したり、一時的にnote欄に避難させたりします。
WorkFlowyには修正履歴機能がないため、このような対策が必要です。
(4) 「第4章 文の推敲」
「第4章 文の推敲」が扱うのは、誤解されない文の書き方です。
a.一文を短くする
万能ではないけれど多くの場合に有効なコツは、「一文を短くする」です。
長い文を扱うのは難しいものです.うまく書けない場合は,文を短くするのが有効です.
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WorkFlowyで推敲するときに、長い一文を読みづらく感じたら、何はともあれ、その文を複数のトピックに分けることが有効です。
そうして、それぞれのトピックを短い文に書き直せば、わりと簡単に、一文を短くすることができます。
b.語順を変えるための試行錯誤
一文のわかりやすさは、相当程度、語順に依存します。
わかりやすい語順を見つけるには、実際に語句を並び替えてみるのが早道です。試行錯誤をくり返せば、わかりやすい語順に辿り着くことができます。
WorkFlowyでこの試行錯誤を行うには、一文を複数のトピックに分け、トピック移動機能を使うことが有効です。
つまり、こんな感じで、語句ごとにトピックを分けます。
- WorkFlowyの
- トピック移動機能は
- キーボードだけで
- トピックを
- 自由自在に
- 動かすことができるので
- トピックに収納するテキストを
- 一文ではなく
- 語句にすれば
- トピック移動機能によって
- 一文を構成する語句の順序を
- 簡単に変えることができるので
- 試行錯誤が簡単になる
そして、トピック移動機能を使って、語句の順序を並び替えます。
これは、『アウトライン・プロセッシング入門』にも紹介されていた手法です。
最初に文章を書くときからこれをする必要はないかと思います。しかし、文章を推敲する段階で、「この一文をどうにかしてわかりやすく書きたい」という場合は、この手法は、とてもうまく機能します。
(5) 「第5章 文章全体のバランス」
「第5章 文章全体のバランス」は、文章全体の構成やバランスを説明します。
バランスが取れている文章とは,必要なものが過不足なく書かれている文章のことです.
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文章のバランスには、「分量のバランス」と「品質のバランス」があります。
分量のバランスが取れているとは,文章全体を見たときに,必要な要素に対して十分な分量が書かれており,また不必要な要素が書かれていないことです.
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品質のバランスが取れているとは,文章全体を見たときに,荒削りな箇所と入念に推敲された箇所がばらついていないことです.
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a.分量のバランス
文章全体を見渡して,分量のバランスを整えましょう.それはつまり,必要な要素に対して十分紙面を割くということです.
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分量のバランスを確認する指標のひとつは、文字数です。しかし、WorkFlowyには、文字数を確認する機能がありません。そこで、WorkFlowyで分量のバランスを確認するためには、おおよその長さを視覚的に捉えるのがよいかと思います。
分量のバランスが整っていない場合は、整えなければいけません。このときは、WorkFlowyのトピック階層構造が役に立ちます。文章のまとまりごとにトピックの階層を作れば、分量のバランスを整えるべき対象が、「まとまり内部のバランス」なのか、「まとまりとまとまりの間のバランス」なのか、区別できるためです。
b.品質のバランス
文章全体を見渡して,品質のバランスを整えましょう.それは,書いたばかりの箇所と念入りに推敲された箇所とが一つの文章に混在しないように心がけることです.
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「品質のバランス」を整えるために大切なことも、読み返すことです。
全体をまんべんなく読み返すなら、「ここまで推敲した」という印をつけておくことが大切です。
中断するときには必ず「ここまで推敲した」という印を付けておきましょう.
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WorkFlowyで推敲する際は、
- 推敲を終えたところまでを折りたたんでおく
- 推敲を終えたところまでを別トピックに移動する
- 推敲を終えたところにタグや特定の文字列を追記しておく
という方法が考えられます。
私は、「推敲を終えたところまでを折りたたんでおく」のが好きです。
最初は全体が展開されていた文章が、推敲を進めるに連れて、少しずつ折りたたまれ、最後は数行に収まっていくことが、よい気分です。
(6) 「第6章 レビュー」
「第6章 レビュー」のレビューとは、「信頼できる他人に文章を読んでもらって文章を改善すること」です。
したがってレビューとは,
●レビューアに文章を読んでもらい,
●レビューアからフィードバックを受け取り,
●そのフィードバックを参考にして文章を改善する
というプロセスといえるでしょう.
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WorkFlowyは、コラボレーションが得意です。WorkFlowyの機能をうまく使えば、レビューがはかどります。
a.レビューを依頼する
レビューを依頼するには、「レビュー要項」を整える必要があります。
レビューを依頼するときには,レビュー要項という形で必要な情報をまとめ,レビューアに伝えるといいでしょう.
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レビュー要項も、WorkFlowyでまとめることができます。レビュー要項のトピックをレビューアに共有すれば、「レビューア専用Webサイト」のように機能します。
レビューアの人数が多い場合には,専用のWebサイトを準備するのは良い方法です.
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b.レビューアに文章を送る
WorkFlowyで文章を書いているなら、レビューアに文章を送るためにするべきことは、WorkFlowyのトピックを共有すること、だけです。
WorkFlowyの共有機能の使い方と、知っておくと役に立つ知識
c.レビューアからフィードバックをもらい、管理する
レビューアは、著者にフィードバックを返します。著者は、レビューアからもらったフィードバックを、管理します。
受け取ったフィードバックは,以下のように分類して管理します.
●誤りの指摘
●読みにくい部分の指摘
●疑問
●補足情報
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どのような場合であっても,どのフィードバックが処理前で,どのフィードバックが処理済なのか,著者がしっかりと管理することがポイントです.
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肝心なのは,「レビューアからのフィードバックはどこにありますか?」と聞かれたときに,「はい,ここにまとめてあります.処理前のものはこっちで,処理済のものはこっちです」と即座に答えられるくらいきちんと整理することです.
Read more at location 1562
WorkFlowyは、タスク管理ツールとしても使える機能を持っています。たとえば、タグやCompleteはそうですし、また、トピックの階層構造やトピック移動機能をタスク管理に活用するノウハウもあります。
これらの機能やノウハウを活用すれば、レビューアからもらったフィードバックをWorkFlowyで管理することは、簡単です。
(7) 「第7章 推敲のコツ」
「第7章 推敲のコツ」が扱うのは、「時間の管理」「効率的な推敲」「多様な推敲」という3つのテーマです。
a.時間の管理
文章を推敲するためには、自分の時間を費やさなくてはいけません。そのため、文章の推敲には、時間の管理が必要です。
時間を管理しましょう.著者が推敲に使える時間は有限ですから,時間をきちんと管理しなければ有効に文章を推敲することはできません.
Read more at location 1606
WorkFlowyは、タスク管理ツールでもあります。そのため、WorkFlowyで推敲のための時間管理をすることができます。
WorkFlowyで推敲のための時間管理をすることのメリットは、推敲作業そのものと時間管理・タスク管理の両方を、WorkFlowyの中で行えることです。つまり、WorkFlowyで文章を推敲する作業を進めながら、同時に、推敲のための時間やタスクを管理することができます。
この点は、別途また掘り下げてみたいテーマです。
b.効率的な推敲
(a) 推敲の助けになる機能を活用する
効率的な推敲のためには、自分の執筆環境にある機能をうまく使うことが大切です。
どんな機能があるかを確認し,自分の推敲の助けになるものは大いに利用しましょう.
Read more at location 1657
たとえば、検索・置換機能。
自分の執筆環境にどのような検索・置換機能があるかを普段からよく調べておきましょう.
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WorkFlowyには、置換機能はありません。
しかし、WorkFlowyには、検索機能があります。そして、この検索機能は、ちょっと癖があるものの、とてもWorkFlowyらしくて、使いやすい機能です。
WorkFlowyで推敲をするためにも、WorkFlowyの検索機能をひととおり理解しておくとよいでしょう。
(b) バージョン管理とバックアップ
コンピュータで文章を書く場合、ファイルの管理が大切です。
特に、推敲は、くり返し文章を修正する作業です。そのため、バージョン管理とバックアップが大切になります。
定期的にファイルのバックアップを取りましょう.
Read more at location 1672
バージョン管理を行うソフトやサービスを使うのも一法です.ファイルのバージョン管理を行うと,これまで自分が行った修正の履歴を確認することができます.
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WorkFlowyでバージョン管理をするには、トピック構造を工夫するのがよいかと思います。たとえば、数日ごとに、文章を格納したトピック全体を複製するのです。これは、バックアップにもなります。
ただし、無料プランを利用している場合は、トピック数制限があります。そのため、複製よりも、文章トピックをExportするほうがよいかもしれません。
また、毎日メールで送られる差分メールも、バージョン管理に一役買います。
結城浩氏は、文章のバージョン管理に、Gitを使っているそうです。
筆者はバージョン管理ソフトGitを使って原稿ファイルを管理しています.
Read more at location 1683
Gitなら、かなり詳細なバージョン管理が実現できそうで、うらやましく思います。
ただ、WorkFlowyなどのアウトライナーは、トピックごとにデータを特定できますので、バージョン管理と相性がよい設計になっているはずです。そのため、トピックのURLを使って、他のクラウドサービスも組み合わせれば、かなり高度なバージョン管理システムを組み立てることができるような気がします。
WorkFlowyによるバージョン管理システムは、今後、研究したいテーマのひとつです。
(c) 作業ログを書く
結城浩氏は、作業ログを書くことを推奨します。
執筆や推敲を行うときに作業ログを書くのは良い心がけです.
Read more at location 1684
前述のとおり、WorkFlowyの強みは、文章を執筆するのと同じ場所で、タスク管理やフリーライティングなどを同時に実行できることです。
そのため、文章の執筆や推敲の作業ログを書くことは、WorkFlowyにぴったりのTipsです。
具体的には、どんな作業をすればよいでしょうか。
今日の作業を終える前に作業ログを更新します.これで,今日は時間がなくてできなかった作業や,新たに調査すべきことなどを記録できます.これが「現在の経験を未来に生かす」という意味です.
Read more at location 1695
文章トピックの一部または隣に、作業ログトピックを作るのがよいかもしれません。その文章の執筆や推敲を行ったら、その作業ログトピックに、気づいたことをなんでも書き込んでおきます。
c.多様な推敲
推敲の基本は、自分が書いた文章を読み返すことです。自分が書いた文章を読み返すには、いろんな読み方で読み返すのが大切です。
多様な読み方で多様な推敲を行うのが良い方法です.
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a.いろんな表示方法で読む
同じ文章でも、表示方法を変えると、印象が変わります。
WorkFlowyなら、いろんな表示方法を採用できます。
まず、パソコンか、iPhoneか、iPadか、といった、端末のちがい。
次に、「Print」によって、紙に印刷することもできます。
文章を,コンピュータの画面上で読んだり紙の上で読んだりしましょう.つまり画面と紙を切り換えて読むということです.
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以上は、WorkFlowy自体の機能ですが、スクリプトやアドオンを使えば、もっと多彩な表示方法を実現できます。ハサミスクリプトで切り出してブログエディタやブラウザで表示できますし、アドオン「Stylish」を使えば段差のない推敲用表示にすることも可能です。
b.いろんな場所で読む
作業場所を変えて読むのは有効です.
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WorkFlowyはクラウドサービスなので、ウェブにアクセスさえできれば、どこにいても、読むことができます。
3.問いに対する答えのまとめ
さて、以上、『数学文章作法 推敲編』に沿って、WorkFlowyで『数学文章作法 推敲編』を実践する方法を考えてみました。
これらを概観し、「なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのか?」という問いに対して答えると、ポイントは、次の5点です。
(1) WorkFlowyなら、多様な観点から読み返せるから
WorkFlowyなら、自分が書いた文章を、多様な観点から読み返すことができます。
- マルチプラットフォームのクラウドサービスなので、パソコン・スマートフォン・タブレットなど、いろんな画面から読み返すことができます。
- クラウドサービスなので、いろんな場所から読み返すことができます。
- アドオンやスクリプト、印刷機能を使えば、アウトラインではない形で読み返すことも簡単です。
- 共有機能を使えば、第三者に読んでもらうレビューも簡単です。
(2) WorkFlowyなら、多彩な情報を柔軟に書き込めるから
文章を推敲するには、読み返して気づいた点をメモすることが大切です。WorkFlowyなら、多彩な情報を柔軟に書き込めます。
- トピックの構造を工夫すれば、子トピックに、いろんな情報を書き込めます。
- コメント的な内容には、noteも有効です。
- 下線・太字・斜体を使えば、元のテキストと書き込んだメモを視覚的に区別することもできます。
(3) WorkFlowyなら、修正のための試行錯誤が簡単だから
WorkFlowyは、トピックでテキストを管理します。トピックの階層構造や移動機能を使えば、語句や文や文章構成の修正が簡単です。気楽に試行錯誤ができるためです。
- 語句単位でトピックを作れば、語句の選択や並び替えが簡単です。
- まとまりごとにトピック階層構造を作れば、構成の組み立ての試行錯誤が簡単です。
(4) WorkFlowyなら、文章の推敲を、セルフマネジメントの一部として、取り組めるから
WorkFlowyは、文章を書くツールであるだけでなく、タスク管理やセルフマネジメントのツールでもあります。そのため、文章の執筆&推敲を、セルフマネジメントの一部として、取り組むことができます。
- WorkFlowyなら、文章の推敲に関するタスク管理と、文章の執筆&推敲の実際の作業を、同じツール上で実現できます。
- WorkFlowyなら、文章推敲の作業ログを、書いている文章を格納しているトピックと一体的に管理できます。
(5) WorkFlowyなら、推敲のための機能を追加できるから
世の中には、ハサミスクリプトやアドオンなど、WorkFlowyの機能を拡張するためのプログラムやノウハウが存在します。これらを活用すれば、WorkFlowyに、推敲のための機能を追加できます。
- アドオン「Stylish」で、推敲用の表示にする
- アドオン「Stylish」で、三色ボールペン方式を使えるようにする
- ハサミスクリプトを使って、読み返すために、一旦外に書き出す
- MWEを使って、一時的に3×3の形に展開する
4.おわりに
おそらく、WorkFlowyは、文章を書き上げるためのツールではありません。おそらく、WorkFlowyには、文章を推敲するために追加された機能は、ありません。
でも、WorkFlowyには、推敲のために力を発揮する機能がたくさん備わっています。さらに、アドオンやスクリプトを使えば、WorkFlowyを推敲のための強力な道具にカスタマイズすることが可能です。
WorkFlowyが唯一最強の推敲ツールだとは、全然思いません。でも、推敲にとっては、多様性が大切です。そして、WorkFlowyは、Wordやテキストエディタではできない推敲を可能にしてくれます。
文章を推敲するためのツールをお探しなら、WorkFlowyを選択肢のひとつに加えるのも悪くありません。
●
なお、『数学文章作法 推敲編』は、WorkFlowyに限らず、どんなツールを使う場合でも、大切なヒントをたくさん含む本です。WorkFlowyにぴんとこなかった方も、推敲一般に興味をお持ちなら、読んで損はありません。
【関連】
なぜ、WorkFlowyで文章を書くのか(WorkFlowyで文章を育てる)
読者のことを考えるって、こういうことだったのか!結城浩著『数学文章作法 基礎編』(ちくま学芸文庫)
自分の考えを正確にわかりやすく伝える文章を書けるようになるために役立つ本のリスト
お知らせ
このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。
書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。
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