「三色ボールペンWorkFlowy」を、何に使うか?
公開日:
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最終更新日:2016/05/05
WorkFlowy
目次
1.「三色ボールペンWorkFlowy」は、初めて出会えた「デジタル三色ボールペン」
(1) 「三色ボールペン方式」を支える「三色ボールペン」
私は、「三色ボールペン方式」を愛用しています。
「三色ボールペン方式」は、齋藤孝氏が『三色ボールペンで読む日本語』で提唱した、読書の基本技です。本を読むとき、赤・青・緑の3色が使える三色ボールペンを使って、次のシンプルなルールに則って、線を引いたり書き込んだりします。
- 客観的に重要
- 客観的にとても重要→赤色
- 客観的にまあまあ重要→青色
- 主観的に面白い→緑色
「三色ボールペン方式」がうまく機能する理由のひとつは、この技法が、「三色ボールペン」という道具と結びついていることです。
「三色ボールペン方式」の肝は、客観系統と主観系統の区別です。
本を読んで「ここは大切だ」と感じ、「印をつけたい」と思ったとします。このとき、この「印をつけたい」は、客観的に重要だという判断から来るのでしょうか。それとも、主観的に面白いという感覚から来るのでしょうか。
この区別は、とても大切です。でも、とても困難です。
ところが、「三色ボールペン」は、赤・青・緑の色分けを求めてきます。そして、赤・青・緑で3色に色分けをすれば、自然と、赤・青の客観系統と、緑の主観系統とを、区別することができます。
「三色ボールペン」の赤・青・緑の3色をカチカチと切り替え、色分けをすることが、客観系統と主観系統の区別という高度な知的作業を自然と導いてくれること。これが、「三色ボールペン方式」の強みです。
このように、「三色ボールペン方式」という技法は、「三色ボールペン」という道具によって支えられています。
(2) 私が探し求めていた「デジタル三色ボールペン」
「三色ボールペン」は、アナログの筆記用具です。本でもノートでもスケジュール帳でもレジュメでも、紙でありさえすれば、いろんな場面で使えます。
他方で、「三色ボールペン」はアナログの筆記用具なので、デジタルツールには使えません。Kindle本にも、Evernoteにも、Googleカレンダーにも、WorkFlowyにも、使えません。
ところが、とくにここ数年、私の知的生産環境は、急速にデジタルに移行しています。たとえば、次のとおりです。
- スケジュールは、手帳からGoogleカレンダーに
- タスク管理は、手帳からToodledoやTodoistに
- メモは、100円ノートからEvernote、そしてWorkFlowyに
- 日記は、業務日誌からEvernote、そしてWorkFlowyに
- 読書は、紙の本からKindle本に
そこで、私が探し求めていたのは、デジタルで「三色ボールペン方式」を実践するためのツールでした。
ところで、アナログの「三色ボールペン」がうまく機能する理由は、次の3点にあります。
- 操作が簡単。赤・青・緑の切り替えは、一瞬。慣れちゃえば、無意識に色の切り替えが可能。
- 客観系統の色と主観系統の色を重ねられる。赤&緑、青&緑。客観系統と主観系統はあれかこれかの関係ではないため、「客観的にとても重要」かつ「主観的に面白い」ということが、よくある。
- 書き込む文字を3色で色分けできる。
そのため、デジタルで「三色ボールペン方式」を実践するための「デジタル三色ボールペン」も、次の3つの条件を満たすといいなと思っていました。
- 操作が簡単。キーボードから手を離さず、ほぼ無意識で色分けしたい。思考を邪魔しないほど簡単な操作。
- 客観系統の色と主観系統の色を重ねられる。二重の下線でもいいし、下線とハイライトでもいい。
- 書き込む文字の色を3色で色分けできる。
しかしながら、これまでは、これらの条件を満たす「デジタル三色ボールペン」に、私は出会うことができていませんでした。
たとえば、Kindle(のMac版やiOS版)は、
- ○ ハイライト色分けの操作は、まあ、許容範囲。
- × 客観系統の色と主観系統の色を重ねることができない。ハイライトの色は択一関係。
- × 書き込む文字の色を3色で色分けすることはできない。
です。
たとえば、Evernoteは、
- △ 文字に色を付けたり、文字にカラーのハイライトをつけたりする操作が、多少面倒。思考が中断する。
- △ 文字色とハイライトを併用すれば、色を重ねることができる。でも、文字色とハイライトが重なると、若干見づらい。
- ○ 文字色の設定は可能。
です。
どのデジタルツールも、アナログの「三色ボールペン」と比べると、大きく使い勝手が落ちます。「デジタル三色ボールペン」に出会えなかったこれまでの私は、デジタルツールで「三色ボールペン方式」を実践できていませんでした。
(3) 「三色ボールペンWorkFlowy」は、初めて出会った「デジタル三色ボールペン」
ところが、つい先日、状況が大きく変わりました。WorkFlowyの下線・太字・斜体の表示を、アドオン「Stylish」によってカスタマイズした「三色ボールペンWorkFlowy」が、道を開いてくれました。
この「三色ボールペンWorkFlowy」は、次のとおり、私が「三色ボールペン」に求める3つの条件を、(ほぼ)満たしています。
まず、操作が簡単です。印をつけたい範囲を選択し、Ctrl+Uを押せば青線、Ctrl+U,Iを押せば赤線、Ctrl+Bを押せば緑ハイライトです。キーボードから手を離さず、一瞬で印をつけることができます。思考を邪魔しません。
(当たり前ですが、下線・太字・斜体をつける操作と同じです。→WorkFlowyの下線・太字・斜体の基本と応用)
次に、客観系統の色と主観系統の色を重ねることができます。具体的には、青線+緑ハイライトと赤線+緑ハイライトの2つです。
たとえば、Ctrl+Uで青線を引いた状態で、Ctrl+Bで緑ハイライトをつけると、青線と緑ハイライトがつきます。
最後に、文字色も、基本の黒以外に、客観系統の赤と主観系統の緑を使えます。赤色文字がCtrl+Iで、緑色文字がCtrl+I,Bです。
(青色文字は、クラスが足りなかったので、諦めました。)
このように、「三色ボールペンWorkFlowy」は、私が初めて出会った「デジタル三色ボールペン」です。
2.「三色ボールペンWorkFlowy」を、何に使うか?
では、この「三色ボールペンWorkFlowy」を、私は何に使うのでしょうか。今考えているのは、次の3つです。
(1) WorkFlowyで読書ノートを育てるために使う
ひとつめは、読書ノートです。
私は、WorkFlowyで読書ノートを作っています。
- 紙の本の読書ノートを、WorkFlowyで構造化し、育てる
- WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マンダラートの技法』
- WorkFlowyで、Kindle本の「読書ノート」を作る
- WorkFlowyで作るKindle本の「読書ノート」の実例:『三色ボールペンで読む日本語』
- WorkFlowyにKindleのURLを書いて、「読書ノート」を育てる
この読書ノートに、「三色ボールペン方式」を取り入れます。
「三色ボールペン方式」は、元来、読書の技法なので、読書ノートと相性は抜群です。
たとえば、こんな感じで、本の抜き書きや書き込んだコメントを、3色で彩ることができます。
(2) WorkFlowyで文章を書くために使う
ふたつめは、文章を書く場面です。
私にとって、WorkFlowyは、なにはともあれ、文章を書くツールです。これまでに試したいくつかの文章を書くツールの中で、もっともしっくりくるのが、WorkFlowyです。
私のWorkFlowyは、今回、「三色ボールペンWorkFlowy」になりました。そこで、今後の私は、「三色ボールペンWorkFlowy」で文章を書いていきます。
では、文章を書くことに「三色ボールペン方式」を取り入れるには、どうするとよいでしょうか。
まず、自分が書く文章を3色で色分けすると、文章全体の性格を色別できます。たとえば、ツールの機能をたんたんと記述する文章は青色で、自分の好きな歌や小説の魅力を語る文章はきっと緑色です。WorkFlowyの思想を考察する文章は、多分、赤色と緑色が多く出現する気がします。
また、文章を書くには、推敲というプロセスが重要です。推敲は、自分が書いた文章を読み返し、気づいた点をメモすることから始まります。この際、3色の下線と2色の文字でメモすると、推敲が捗るように思います。
先日紹介した「推敲用WorkFlowy」と組み合わせれば、WorkFlowyがもっと使い勝手のよい推敲の道具になるはずです。
アドオン「Stylish」による「推敲用WorkFlowy」(段差フラット&bullet非表示)
(3) WorkFlowyで考えるために使う
みっつめは、WorkFlowyで考える場面です。
私は、WorkFlowyで何かを書くことが好きです。ブログ記事などのまとまった文章だけでなく、朝一番の自動書記から始まる日記や、新しいことにとりかかるときのフリーライティングなど、いろんな性格の文章を、WorkFlowyで書いています。
WorkFlowyで、「朝一番の自動書記」(by結城浩先生)をする
WorkFlowyで何かを書くのが好きな理由は、WorkFlowyで書くと、うまく考えることができるからです。軽快な動作、シンプルなUI、直感的な操作のおかげで、WorkFlowyは思考の流れをそのまま捕まえ、形にします。頭に浮かんだ言葉をWorkFlowyに書き出し、そこに段差構造を作るだけで、頭の中がひとつひとつクリアになります。
ところで、「三色ボールペン方式」も、頭の中をクリアにする技法です。頭の中に引っかかった何かを、客観系統の赤と青、主観系統の緑という3色に色分けします。
「三色ボールペン方式」は、頭の中にごちゃごちゃしたまま存在する雑多な情報を、赤・青・緑の3色で腑分けすることによって、頭の中をクリアにします。
つまり、WorkFlowyは段差構造により、「三色ボールペン方式」は3色への色分けにより、頭の中をクリアにします。であれば、両者が合わさった「三色ボールペンWorkFlowy」は、より一層、頭の中をクリアにしてくれそうです。
具体的な方法のひとつは、「WorkFlowyで書いた日記やフリーライティングを、「三色ボールペンWorkFlowy」で読み返す」です。
たとえば、こんな感じになります。最初に黒一色でばーっと書いた後、少し時間を置いて読み返し、そこにツッコミを入れると、新しい観点が得られることも多いはずです。
3.「三色ボールペンWorkFlowy」を基本技として身に付けるために
私は、アナログの「三色ボールペン」を、アナログ情報を管理するための基本技として活用しています。なぜアナログの「三色ボールペン」が基本技になったかといえば、たくさんの本を「三色ボールペン」で読み、たくさんのスケジュールを「三色ボールペン」で管理し、たくさんのメモを「三色ボールペン」で書いたからです。
「三色ボールペン方式」は、「三色ボールペン」という道具を用意しさえすればすぐに実践できるものではありません。「三色ボールペン」を基本技として身に付けるには、「三色ボールペン」をくり返しくり返し使い込むことが必要です。
今回、私は、「三色ボールペンWorkFlowy」という「デジタル三色ボールペン」を手に入れました。私が初めて出会った、デジタルで「三色ボールペン方式」を実践するための環境が、この「三色ボールペンWorkFlowy」です。
しかし、アナログと同じように、「デジタル三色ボールペン」を用意するだけでは、「三色ボールペン方式」を実践することはできません。「デジタル三色ボールペン」を基本技として身に付けるためには、「デジタル三色ボールペン」をくり返しくり返し使い込むことが必要です。
そのため、これから大切なことは、いろんな場面で「三色ボールペンWorkFlowy」を実際に使うことです。
まずは、上で整理した3つの使い方からはじめます。「三色ボールペンWorkFlowy」を基本技として身に付けることができたとき、私の目の前には、きっと、新しい知的生産が開かれるはずです。
お知らせ
このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。
書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。
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