誰かの「自分の仕事」に、私の「自分の仕事」をつなげる
公開日:
:
最終更新日:2015/05/16
単純作業に心を込める
目次
1.相談なしに自然と生まれた役割分担
先日、Tak.さんの『アウトライン・プロセッシング入門』を読んだ感想を書きました。
いちばんうれしいことは、「自由なアウトライン・プロセッシング」が、たくさんの人に開かれること(『アウトライン・プロセッシング入門』を読んだ感想)
この感想に対して、著者のTak.さんがTwitterでコメントをくださいました。こんなコメントです。
@takwordpiece そして実は作成中に彩郎さんが平行してWorkFlowyの使いこなしについて膨大なアウトプットをされていたことで、内容をかなり大胆にしぼることができたのです
— Tak. (@takwordpiece) 2015, 5月 14
そのコメントを読んだ瞬間、私は、ささやかではありますが、ゾクッとした興奮を覚えました。
なぜなら、私も、同じようなことを考えていたからです。
@takwordpiece そして実は、私も、Tak.さんが『アウトライン・プロセッシング入門』を執筆されていることを知ったことで、ブログでのアウトプットを、WorkFlowyの「機能」に偏らせることができたのです^ ^
— 彩郎 (@irodraw) 2015, 5月 14
Tak.さんが『アウトライン・プロセッシング入門』を執筆しているとき、私はWorkFlowyの使い方を説明するブログエントリを継続的に書き続けていました。
Tak.さんは、私がWorkFlowyの使い方を説明するブログエントリを継続的に書き続けていることを受けて、そのとき執筆していた『アウトライン・プロセッシング入門』から、WorkFlowyの使い方を説明する部分を大胆に省き、「自由なアウトライン・プロセッシング」という知的生産の技法に集中されました。
他方で、私は、WorkFlowyの使い方を説明するブログエントリを継続的に書き続けていたとき、まだ見ぬ『アウトライン・プロセッシング入門』を意識していました。Tak.さんのブログなどで草稿の一部を読み、『アウトライン・プロセッシング入門』が担うのは、「プロセス型アウトライナー」というツールの特性や「アウトライン・プロセッシング」という一般的な技法を解説することだと知りました。そこで、であれば自分は、「アウトライン・プロセッシング」という一般的な技法を、「プロセス型アウトライナー」のひとつであるWorkFlowyで実現するために必要となる基礎知識を説明しよう、と考えました。その結果生まれたのが、WorkFlowyの基本機能や使い方を一点集中で掘り下げた、一群のブログエントリです。
Tak.さんと私は、相談や打ち合わせをしたわけではありません。それでありながら、(WorkFlowyの基本的な機能や使い方の説明を省き)「自由なアウトライン・プロセッシング」にしぼりこんだTak.さんと、(アウトライナーの一般的な技法の解説を省き)WorkFlowyの基本的な機能や使い方に集中した私は、結果として、うまい感じに役割分担をしていました。
2.誰かの「自分の仕事」に、私の「自分の仕事」をつなげる
(1) 「自分の仕事」をする
倉下忠憲さんのブログ「R-style」に、「「自分の仕事」をする」というエントリがあります。大好きなエントリが多いR-styleの中でも、とりわけ好きなエントリのひとつです。
このエントリは、こんな文章で始まります。
最近の私のモットーは、≪「自分の仕事」をする≫ です。
「自分の仕事をする」でもなく、
自分の「仕事」をするでもなく、
「自分の仕事」をする、です。
「自分の仕事」をする。このシンプルな言葉は、いろんなことを教えてくれますが、その中で私がいちばん大切にしているのは、「他人の仕事」はしない、ということです。
「自分の仕事」をする、ということは、「他人の仕事」はしない、ということです。
世の中には、たくさんの仕事があります。その中には、好きで、得意で、お金もいただける、という好条件を備えた仕事も、確かに存在します。でも、ある仕事が「自分の仕事」なのかどうかは、揃った好条件の数で決まるものではありません。どんなに好条件が揃っていても、私の「自分の仕事」ではなく、「他人の仕事」、私ではない誰かの「自分の仕事」だということが、確かにあります。
私は、「自分の仕事」をする、というシンプルな言葉から、何らかの仕事を目の前にしたときに、「私の「自分の仕事」なのか、私ではない誰かの「自分の仕事」なのか」と自分に問いかけることの大切さを教わりました。
(2) Tak.さんの「自分の仕事」に、私の「自分の仕事」をつなげる
さて、『アウトライン・プロセッシング入門』は、「プロセス型アウトライナー」を使って文章を書き、考える技法(アウトライン・プロセッシング)を解説する本です。
『アウトライン・プロセッシング入門』のテーマは、「アウトライン・プロセッシングを解説する」です。この仕事を知ったとき、私は、この仕事を魅力的に感じました。
しかし、「これは私の「自分の仕事」か」と自らに問いかけ、「これはTak.さんの「自分の仕事」であって、私の「自分の仕事」ではない」と判断しました。
他方で、それと同時に、Tak.さんの「自分の仕事」である「アウトライン・プロセッシングを解説する」という仕事のすぐ近くに、「WorkFlowyの基本的な使い方や機能を、日本語で詳しく説明する」という仕事が存在することを感じました。そして、この仕事こそ、私の「自分の仕事」になるはずだと確信しました。
ここ数ヶ月の間、私は、WorkFlowyの基本機能を日本語で詳しく説明する文章を書き続けてきました。検索&タグ、Import&Export、共有、URLなど、基本機能を、細かく丁寧に、淡々と説明し続けてきました。これら一群の文章を書いた理由のひとつは、「アウトライン・プロセッシングを解説する」というTak.さんの「自分の仕事」に、私の「自分の仕事」をつなげるためだったのです。
(3) 誰かの「自分の仕事」に、私の「自分の仕事」をつなげる
「自分の仕事」をする、とは、「他人の仕事」はしない、ということです。私は、私の「自分の仕事」をするのであって、自分ではない誰かの「自分の仕事」はしません。
でも、「自分の仕事」をする、という考え方は、単に、自分の好きなことを追求したり、自分の持ち味を発揮しようとしたりすること、要するに「自分の仕事」だけを追求することではありません。私の「自分の仕事」と私ではない誰かの「自分の仕事」との関係を考えて、その間をなんらかのかたちでつないでいくことも、「自分の仕事」をする、という考え方の一部のような気がします。
Tak.さんの「自分の仕事」である『アウトライン・プロセッシング入門』と、私の「自分の仕事」である「単純作業に心を込めて」のWorkFlowyに関する一群の文章。相談したわけでもなく自然と生まれたこの役割分担から、私が考えたのは、こんなことです。
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