WorkFlowyを「テキスト管理システム」と捉えて、WorkFlowyから大きな価値を引き出す
公開日:
:
最終更新日:2015/05/15
WorkFlowy
1.WorkFlowyは、テキスト管理システム
少し前、こんな文章を書きました。
「WorkFlowyらしさ」から考える「WorkFlowyの本質的な基本機能」
この中で、私は、「WorkFlowyとは、何か?」に対する私なりの暫定的な回答として、次のように書きました。
「WorkFlowyとは、何か?」に対する私なりの暫定的な回答は、
- WorkFlowyは、テキストを管理するシステムです。
- WorkFlowyは、テキストをトピックに格納して、テキストを管理します。
- WorkFlowyは、トピックを階層つきリストにして、テキストを管理します。
- WorkFlowyのトピックは、以下のように操作できます。
- WorkFlowyのトピックは、動かすことができます。
- WorkFlowyのトピックは、折りたたむことができます。
- WorkFlowyは、任意のトピックにZoomすることができます。
となります。
引用元:「WorkFlowyらしさ」から考える「WorkFlowyの本質的な基本機能」
私は、WorkFlowyのことを、テキスト管理システムだと考えています。テキストを管理するシステムです。
この「WorkFlowyは、テキストを管理するシステムです。」を、「テキスト」を「管理する」「システム」の3つに分解して、もう少し掘り下げてみます。
2.「テキスト」を「管理する」「システム」
(1) 「テキスト」
WorkFlowyは、「テキスト」を管理するシステムです。WorkFlowyが管理する対象は、「テキスト」です。ここでいう「テキスト」とは、何でしょうか?
a.私が管理したい「テキスト」は、文章とその断片
私が管理したい対象は何か、という観点から考えると、「テキスト」とは、文章とその断片です。
私がWorkFlowyに求める役割は、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」です。
Evernoteやアウトライナーで文章を書くことで、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作る
完成した文章だけなく、書いてる途中の文章や、いずれ文章につながる可能性があるかもしれない無数の文章の断片を、ひとつの場所で管理するツールが欲しくて、私はWorkFlowyを使っています。
a.管理できる「テキスト」は、テキストデータ
他方で、WorkFlowyが管理できる対象は何か、という観点からいえば、ここでの「テキスト」は、文章に限定されません。
テキストデータ、つまり拡張子「.txt」を持つテキストファイルに保存できるデータであれば、WorkFlowyで管理できます。この種のデータなら、WorkFlowyのトピックやnoteに格納できるからです。
(トピックには、タブと改行を格納することができません。でも、noteになら格納できます。)
自然言語を意味する文章とその断片でも、プログラム言語からなるソースコードでも、暗号でも、URLでも、顔文字でも、アスキーアートでも、意味すら持たない文字や記号の羅列でも、テキストデータであれば、WorkFlowyの管理対象である「テキスト」です。
c.「テキスト」とは
まとめると、WorkFlowyが管理する対象である「テキスト」とは、私にとっては文章とその断片ですが、WorkFlowyの機能から見ればテキストデータすべてです。
テキストデータは、もっともシンプルな形式のデータです。シンプルなだけに広い応用範囲を持っています。
そのため、WorkFlowyの管理対象が「テキスト」であることは、WorkFlowyが幅広いニーズに応える道具であることを意味します。
(2) 「管理する」
WorkFlowyは、テキストを「管理する」システムです。WorkFlowyというシステムがテキストに対してしてくれるのは、「管理する」ことです。では、「管理する」とは何でしょうか。
a.文章とその断片を「管理する」
私にとって、WorkFlowyは、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」です。私がWorkFlowyで管理したいのは「文章とその断片」です。そこで、まずは、文章とその断片を「管理する」ことを考えてみます。
(a) 「書く」ための文章管理
「大量の書きかけの文章群全体を管理する」のは、文章を「書く」ための管理です。
文章につながるアイデアを捕まえる。捕まえたアイデアを育てる。育てたアイデアを文章の形に整える。くり返し書き直し、くり返し推敲する。書き上げた文章を暫定的な完成品として保管する。
これらが、文章を「書く」ための文章管理です。
WorkFlowyは、
- 文章とその断片をトピックに格納し、
- 文章とその断片を格納したトピックに、階層構造の秩序を与え、
- トピックの階層構造の組み替えを支援する
ことによって、「書く」ために、文章とその断片を管理します。
(b) 「読む」ための文章管理
文章は、書くものであると同時に、読むものでもあります。WorkFlowyで文章とその断片を「管理する」ことのもうひとつの場面が、「読む」ための管理です。
読む対象の文章をWorkFlowyの中に取り込む。ブラウザやiPhoneから読む。文章の構造を整理しながら読む。コメントを加えながら読む。文章の構造を解体しながら読む。読んだ文章を保管する。
これらが、文章を「読む」ための文章管理です。
WorkFlowyは、
- ひとつの文章の構成要素をたくさんのトピックに分割して格納し、
- ひとつの文章を構成するたくさんのトピックに階層構造の秩序を与え、
- ひとつの文章を構成するたくさんのトピックの秩序を組み替える
ことによって、「読む」ために、文章とその断片を管理します。
b.テキストを「管理する」
「書く」と「読む」を考えることでわかったことは、WorkFlowyが文章とその断片を「管理する」とは、
- 文章とその断片をトピックに格納する(大量でも大丈夫、いろんなものが混ざっていても大丈夫)
- 文章とその断片を格納したトピックに、階層構造の秩序を与える
- 文章とその断片を格納したトピックの秩序を、組み替える
ということです。
管理する対象の「テキスト」が、文章とその断片からテキストデータ一般に広がっても、おそらく、同じです。
つまり、
- テキストデータをトピックに格納する(大量でも大丈夫、いろんなものが混ざっていても大丈夫)
- テキストデータを格納したトピックに、階層構造の秩序を与える
- テキストデータを格納したトピックの秩序を、組み替える
ことが、WorkFlowyがテキストを「管理する」ということです。
たとえば、URLというテキストデータを管理するなら、
- URLをトピックに格納する(大量でも大丈夫、いろんなものが混ざっていても大丈夫)
- URLを格納したトピックに、階層構造の秩序を与える
- URLの種類、リンク先の情報、主観的な評価ごとに分類する、など
- URLを格納したトピックの秩序を、組み替える
- URLの種類を基準とした分類を、リンク先の情報を基準とした分類に切り替えるなど、分類の軸を切り替えて、秩序を組み替える
c.「管理する」とは
まとめると、WorkFlowyが果たす役割である「管理する」とは、
- 大量で雑多なテキストを、たくさんのトピックにバラバラに分解して格納し、
- それらたくさんのトピックに階層構造の秩序を与え、
- トピックの秩序を自由に組み替える
ということです。
(3) 「システム」
WorkFlowyは、テキストを管理する「システム」です。WorkFlowyは、テキストを管理するという役割を、「システム」として機能することによって果たしています。では、「システム」とは何でしょうか。
a.「システム」とは、「複数の要素で構成される全体で、各構成要素の和よりも全体の方が大きくなるもの」
「システム」の正確な定義はいろいろあるようです。私は、ぜんぜん厳密ではないのですが、「複数の要素で構成される全体で、各構成要素の和よりも全体の方が大きくなるもの」を「システム」と理解しています。
ポイントは2つです。ひとつが「複数の要素で構成される全体」で、もうひとつが「各構成要素の和よりも全体の方が大きくなる」です。
たとえば、「タスク管理システム」はシステムです。私の場合、Toodledoを中心においてタスク管理システムを作っています。
私のタスク管理システムは、Toodledoの完了タスク情報を、iftttによって、Evernoteに蓄積する、という仕組みを持っています。この仕組みは、Toodledo、ifttt、Evernoteという複数の構成で構成される全体です。また、この仕組みは、全体として、Toodledo単体で実現する価値、ifttt単体で実現する価値、Evernote単体で実現する価値の総和よりも、大きな価値を実現しています。
Toodledoの完了タスクの情報から、価値を掘り出す・ログとしての価値とマニュアルとしての価値
b.WorkFlowyは、文章とその断片を管理する「システム」
私は、WorkFlowyを、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」として、使っています。
WorkFlowyによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」も、システムです。
システムを構成する要素は、書きかけの文章(とその断片)、書きかけの文章(とその断片)を格納したトピック、トピックの構造、WorkFlowyを使うためのiPhoneやパソコン、WorkFlowyにアクセスするためのインターネット回線、WorkFlowyのトピックをHTMLに変換するハサミスクリプト、アウトプットした文章を公開する自分のブログ、書いた文章を巡っていろんな方と意見交換するTwitterなどです。
これらの要素が、全体として、ひとつの「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」というひとつのシステムを構成しています。このシステム全体は、各構成要素の総和よりも大きな価値を実現しています。
c.WorkFlowyという「システム」
自分の使い方から少し引いたところからWorkFlowyを観察しても、WorkFlowyは「システム」です。
まず、WorkFlowy自体が「システム」です。WorkFlowyは、たとえば以下にリストアップする要素から構成される全体です(各項目の後ろにある「※」は、関連するエントリへのリンクです)。
- 基本構造
- 機能
さらに、WorkFlowyは他のツールに開かれたクラウドサービスなので、WorkFlowy自体が、もっと大きなシステムの構成要素のひとつになります。
たとえば、
- WorkFlowyにTodoistやToodledoのURLを書き込んでタスク管理システムを作る(WorkFlowyのURLを活用するアイデアを妄想する(2) WorkFlowyをToodledoとつなぐ)
- WorkFlowyのトピックを共有して、WorkFlowyで読書会をする(【企画】WorkFlowy読書会『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』)
- WorkFlowyで原稿を書き、WorkFlowyのエクスポートデータを加工して最終成果物を作ることで、WorkFlowyを文書作成システムとして使う(彩郎流二毛作。知的生産の治具マクロ「WFtoMSWD.dot」で、Word文書作成プロセスから得る収穫を倍にする。)
などです。
3.WorkFlowyが実現する価値を大きくする「テキストを管理するシステム」という捉え方
WorkFlowyにできるのは、「テキストを管理する」ことだけです。これは、WorkFlowyの限界でもあります。
WorkFlowyが管理できる対象は、「テキスト」だけです。画像や動画や音声ファイルは扱えません。PDFもマインドマップもマトリクスも扱えません。
WorkFlowyができることは、テキストを「管理する」ことだけです。テキストに階層構造の秩序を与え、階層構造の秩序を組み替えることはできますが、自動的にテキストを生成したり、分析したり、といったことはできません。
でも、WorkFlowyは、テキストを管理する「システム」です。WorkFlowyを「システム」として捉えれば、WorkFlowyが管理できる対象が「テキスト」であることと、WorkFlowyがテキストに対して「階層構造の秩序を与え、階層構造の秩序を組み替える」ことが、大きな価値を発揮します。
「テキスト」というデータ形式も、「階層構造の秩序」も、シンプルではあるけれど、とても広い応用範囲を持つからです。
WorkFlowyを「テキストを管理するシステム」として捉えることには、WorkFlowyからより大きな価値を引き出すためのヒントが隠れているような気がしています。
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