いちばんうれしいことは、「自由なアウトライン・プロセッシング」が、たくさんの人に開かれること(『アウトライン・プロセッシング入門』を読んだ感想)
目次
1.楽しみに待ってた『アウトライン・プロセッシング入門』を読みました
先日、Kindleストアで、『アウトライン・プロセッシング入門: アウトライナーで文章を書き、考える技術』が公開されました。
本書は、Word PieceやHappy Outlining! のTak.(@takwordpiece)さんが、アウトライン・プロセッシングの一般的な技能と考え方を説明するKindle本です。
アウトライン・プロセッシングとは、「アウトライナー」と呼ばれるソフトを使って文章を書き、考える技術です。知的生産の方法論のひとつでもあります。
本書は、個人のためのアウトライン・プロセッシングの一般的な技法と考え方についての本です。アウトライン・プロセッシングとはWorkFlowy、OmniOutlinerなどの「アウトライナー」と呼ばれるソフトを使って文章を書き、考える技術のことです。
引用元:アウトライン・プロセッシング入門
『アウトライン・プロセッシング入門』の公開を、私は楽しみに待っていました。
というのも、Tak.さんのWord Pieceは、私がもっとも好きなブログのひとつです。また、今、私は、クラウドアウトライナーでもあるWorkFlowyを通じてアウトライナーの深遠な世界を探索中なのですが、そんな私をアウトライナーの深遠な世界に導いてくださったのは、Tak.さんです。
そのTak.さんが、Renji Talkやブログで公開したアウトライナーについての記事をまとめ、渾身の改訂をしたのが、この『アウトライン・プロセッシング入門』。わくわくしながら、公開の日を楽しみに待ち構えていたのでした。
Renji Talk及びこのブログで2008年から2014年までの間に公開したアウトライナーについての記事をまとめ、渾身の改訂をしました。
引用元:Word Piece >>by Tak.:So-netブログ
●
さっそく読みました。
Kindleでハイライトをつけながら一読し、その後、WorkFlowyに読書ノートを作りながら再読しました。
『アウトライン・プロセッシング入門』は、ふくれあがっていた私の期待を大きく超えた1冊でした。おもしろくて、わかりやすくて、たくさんの刺激をいただきました。
「アウトライン・プロセッシング」という知的生産の方法論を、ここまで深く掘り下げた本を、私は知りません。しかも、本書には、Tak.さんの「プロセス型アウトライナー」と「アウトライン・プロセッシング」に対する情熱と愛情がはちきれんばかりに詰まっています。今後、長い間、「アウトライナー」や「アウトライン・プロセッシング」の教科書のような役割を果たすことになる一冊ではないかと感じます。
2.いちばんうれしいことは、自由なアウトライン・プロセッシングが、たくさんの人に開かれるであろうこと
(1) いちばん最初に書きたいこと
本書を読んで、私のWorkFlowyのアウトラインには、本書の抜き書きを起点とするトピックが、たくさん増えました。
私のWorkFlowyは、『アウトライン・プロセッシング入門』の読書ノートで、さらに大きく育ちました。
本書によって育ったWorkFlowyからは、本書に関係するたくさんのテーマを扱う文章を書くことができそうです。
アウトライナーの基本機能、網目構造とツリー構造、エンターキーの動作やカーソルの動き、フリーライティングのステップ、アウトラインの組み替えが視点の組み替えであること、自由なタスク管理と生活のアウトライン、元Evernoteフリーク的アウトライナー原論、、、。
しかし、これらたくさんのテーマよりも先に書きたいのは、本書によって、たくさんの人が自由なアウトライン・プロセッシングを体験するであろうことが、いちばんうれしい、ということです。
(2) Tak.さんとの交流で開かれた「自由なアウトライン・プロセッシング」
私がTak.さんと交流させていただくようになったのは、ここ1,2年です。そんなに長い期間ではありません。でも、この長くない期間の交流は、私に、それまで体験したことがなかった、新しい思考を開いてくれました。
a.「プロセス型アウトライナー」
まず、「プロセス型アウトライナー」という概念。
もともと私は、アウトラインを使って文章を書くことを好んでいました。でも、私がしていたアウトラインの使い方は、アウトライナーが持つ可能性のほんの一部に過ぎませんでした。
Tak.さんから教わった「プロセス型アウトライナー」という概念によって、私は、「見出しと本文を区別しない(見出しになるか本文になるかは結果にすぎない)」という考え方を知り、アウトライナーの持つ可能性を再認識しました。
b.「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」
次に、「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」という考え方。
以前の私は、Evernoteで文章を書くことを大変好み、自分がEvernoteで文章を書く理由についてくり返し語っていました。その文章に対してTak.さんからいただいたコメントによって、私は、自分がEvernoteに求めていたものが「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」であることを自覚しました。
Evernoteやアウトライナーで文章を書くことで、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作る
同時に、Tak.さんが、「ひとつの巨大なアウトラインにたくさんの書きかけの文章を全部入れる」という使い方によって、アウトライナーを「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」として使っていることを知りました。
そして、その少し後、私も、自分にとっての「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」を、Evernoteからアウトライナーに切り替えました。
アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について感じていること
c.「アウトラインは完成しない」「瞬間を固定したものがアウトプット」
さらに、「アウトラインは完成しないで変化し続ける」「アウトラインからのアウトプットは、変化し続けるアウトラインのその瞬間を固定したもの」という捉え方も、Tak.さん(とマロ。さんとcube_flowさん)から教わりました。
ここから、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」と「暫定的な作品群」というコンセプトを得ました。この組み合わせは、今の私の知的生産システムの根底を流れています。
ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ
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Tak.さんとの交流によって、私に開かれたのは、こんな思考です。
この新しくて自由な思考は、本書のいう「自由なアウトライン・プロセッシング」と、きっと、だいたい同じです。
(3) 「自由なアウトライン・プロセッシング」のわかりやすい説明
本書は、アウトライナーの機能と使い方を説明することを通じて、「自由なアウトライン・プロセッシング」を説明する本です。
ケースに対してアウトライナーをどう使うかを具体的に説明したり、すぐに実践できるアウトライナーの使い方を提案したり、アウトライナーに関する理論や思想のようなものを深く掘り下げて考察したりすることで、「自由なアウトライン・プロセッシング」の意義、魅力、やり方、注意点などを、わかりやすく説明しています。
Tak.さんとの交流によって、私の目の前には、「自由なアウトライン・プロセッシング」が開かれました。同じように、本書『アウトライン・プロセッシング入門』によって、本書を読んだ人の目の前には、「自由なアウトライン・プロセッシング」が開かれるはずです。
本書は、今後、この世の中に、大小いろんな影響を与え続ける本です。本書によってアウトライナーを使いはじめる人、本書を参考にしながらレポートを書く人、本書を読んでアウトライナーでタスク管理を始める人、本書によって自分の欲望をアウトランにまとめる人、いろんな人が現れると思います。
これらたくさんの影響のうち、私がいちばん楽しみにしている影響は、「自由なアウトライン・プロセッシングが、たくさんの人に開かれる」という影響です。本書が、たくさんの人に、「自由なアウトライン・プロセッシング」を開くこと。これが、本書を読んで、私がいちばんうれしくなったことです。
3.「自由なアウトライン・プロセッシング」のある生活を送るために
『アウトライン・プロセッシング入門』は、「自由なアウトライン・プロセッシング」という新しくて自由な思考を身につけるための、優れた本です。本書を読めば、「自由なアウトライン・プロセッシング」とは何たるか、その特徴を理解することができるはずです。
ですが、「自由なアウトライン・プロセッシング」は、知識を学んで理解する対象ではありません。大切なのは、毎日の生活の中で「自由なアウトライン・プロセッシング」を実践すること、「自由なアウトライン・プロセッシング」のある生活を送ることです。「自由なアウトライン・プロセッシング」で文章を書き、考え、生活することから、価値が生まれます。
「自由なアウトライン・プロセッシング」のある生活を送るための第一歩は、「プロセス型アウトライナー」を体験することです。「プロセス型アウトライナー」は、読むとやるとは大ちがいで、たくさんの説明を読むよりも、少しでもいいので実際に体験することで、うまく使えるようになります。
「プロセス型アウトライナー」にもいろいろあります。私が推奨するのは、(Tak.さんと同じく、)WorkFlowyです。
WorkFlowyはクラウドサービスです。アプリケーションを購入しなくても、パソコンやスマートフォンから無料アカウントを登録しさえすれば、いますぐにでも「プロセス型アウトライナー」を体験できます。
よろしければ、WorkFlowyで「自由なアウトライン・プロセッシング」を体験し、アウトライナーの深遠な世界をのぞいてみてください。
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