*

紙の本の読書ノートを、WorkFlowyで構造化し、育てる

公開日: : 最終更新日:2016/05/05 WorkFlowy,

[2015/03/21 追記] 実例をまとめました。

WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マンダラートの技法』

1.はじめに

以前、こんなエントリを書きました。

紙の本の読書ノートを、Evernoteに蓄積する

その当時やっていた、Evernoteで紙の本の読書ノートを作る方法を説明したものです。

読書ノートを作ることは、本の内容を理解することにも役立ちますし、読書後のアウトプットにもつながりますので、よい習慣だと思っています。私はこれを倉下忠憲さんの『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』から教わり、読書ノートづくり自体は、今でも続けています。

Evernote×読書「Evernoteにクラウド読書ノートを作る」(『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』Chapter-4のご紹介)

他方で、今は、Evernoteは使っていません。WorkFlowyを使っています。

クラウドアウトライナーWorkFlowyの説明

【WorkFlowyまとめ】WorkFlowyを育てる

EvernoteとWorkFlowyのどちらが読書ノートづくりのためにふさわしいツールなのかは、どんな読書ノートをなんのために作るのかによって異なるでしょうから、とりあえず深入りしません。

ここでは、シンプルに、紙の本の読書ノートをWorkFlowyで作る具体的なやり方を記載します。

2.紙の本の読書ノートをWorkFlowyで作る具体的な手順

(0) 紙の本を3色ボールペン方式で読む

紙の本を読み終わっていることが大前提です。

私の場合は、3色ボールペン方式で読んでいます。3色ボールペン方式で読み終わった本が手元にあるところから、WorkFlowyの読書ノートづくりはスタートします。

なお、3色ボールペン方式とは、次の方式です。

三色ボールペン方式は、齋藤孝氏が提唱する読書技法です。赤・青・緑の三色を使うことができる三色ボールペンを使って、以下の色分けルールで、本に線を引いたり書き込んだりする、というものです。
赤:客観的にとても大切
青:客観的に大切
緑:主観的に面白い

Kindleによる読書で、読書からの収穫全体の減少を防ぐ

  • 客観的に大切
    • とても大切→赤
    • 大切→青
  • 主観的に面白い→緑

(1) 本のトピックを立て、基本情報を書き入れる

まず、WorkFlowyに、対象となる本のトピックを立てます。

トピック名は、「『署名』(著者名)」などにしています。

そして、そのトピックの最初に、その本の基本情報を書き入れます。noteを使うこともあります。

基本情報は、以下のとおり、客観的な基本情報と主観的な基本情報の両方を書くことにしています。

  • 客観的な基本情報
    • 書誌情報(書名、著者、出版社、出版年、版、価格など)
    • 著者に関する情報
  • 主観的な基本情報
    • 入手時期・場所・経緯
    • 何のために読もうと思ったのか
    • 読書に関する主観情報(いつ読み始めたか、いつ読み終えたか、どこで読んだか)

毎回やっているわけではありませんが、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』に紹介されていた「7つの質問」に答えることもあります。

(2) 目次を写す

次に、そのトピックに、本の目次を書き写します。

単純作業で、面倒です。が、WorkFlowyで読書メモを作ることの意義は、読書メモを構造化できるところにあります。そして、いちばんの基本となる構造は、その本自体の構造、つまり目次です。

なので、目次を書き写すことは、WorkFlowyで紙の本の読書ノートを作るための、とても大切なプロセスです。

(3) 紙の本に線を引いた文章と書き込んだコメントを書き写す

読書ノートを作る対象は、読んで面白かった本です。3色ボールペン方式でしっかり読み込んだ本です。当然、本の中には、3色ボールペンによるたくさんの線や記号や文字が書き込まれています。

そこで、その書き込みをWorkFlowyに書き写します。

全部書き写すのは大変なので、ピックアップします。本を読み直しながら、線が引かれた場所や書き込まれたコメントのうち、気になったところを書き写します。

書き写す場所は、該当する場所の目次トピックの下です。

書き写すときのポイントは、次の2つです。

  • 本からの引用(線を引いた文章)なのか、自分のコメント(本への書き込み)なのか、区別できるようにしておく
    • 後のアウトプットを考えると、とても大切な区別です。
    • タグで区別するか、トピック構造で区別するか、どちらかではないかと思います。私は、基本的に、トピック構造で区別しています。
  • 客観的に大切(赤・青)なのか、主観的におもろい(緑)なのか、区別できるようにしておく
    • 3色ボールペン方式の肝である、主観と客観の区別を、WorkFlowyにも活かします。
    • 区別の方法は、タグかトピック構造かと思います。私は、タグで区別しています。具体的には、「主観的におもしろい(緑)」についてだけ、タグをつけています。

(4) WorkFlowyのトピックを読みながら、手を入れる

ここまでの作業が終わると、WorkFlowyのトピックは、それなりの量になります。また、中身は、目次、自分が線を引いた箇所の抜き書き、自分が書き込んだコメントです。

そのため、この段階までくれば、それ自体を読むだけで十分意味がわかり、本の内容を思い出すこともできる、そんなメモになっています。

そこで次に、このWorkFlowyトピック自体を読みます。読みながら、次の2つの作業をします。

a.考えたことや感じたことを書き加える

まず、考えたことや感じたことを書き加えます。

このときのポイントも、上と同じふたつです。

  • 書き加えた部分と本からの引用部分が紛れないようにします。私は、トピックを分けることで、この区別をつけています。
  • 客観的に大切(赤・青)なことについての書き込みなのか、主観的におもろい(緑)ことについての書き込みなのか、区別する。私は、タグで区別しています。

b.意味の構造を付け加える

次に、言葉で書き込む以外の方法により、意味の構造を付け加えます。

と書くと大げさですが、たとえば、こんなことをします。

  • WorkFlowyのトピックを動かし、トピックの構造を組み替える。

    • それまでのトピック構造をさらに整理するのもありだし、別の視点で整理するのもあり。
    • 後者の例は、主観と客観を別トピックに分ける、など。
  • WorkFlowyのタグ機能を使い、共通することテーマに統一したタグをつける。

    • あとでブログエントリにまとめたいテーマについて、共通したタグを付ける、など。
    • 書きたいアウトプットを意識して、アウトプットごとに1つのタグを使うと、頭の整理にもなるし、アウトプットにもつなげやすい。
  • WorkFlowyのURLを使って、トピック間リンクをはりめぐらす。

3.WorkFlowyで読書ノートを作る意義

最後に、なぜWorkFlowyを使うのか、WorkFlowyで読書ノートを作る意義を簡単に書きます。

(1) 構造化しやすいし、構造を発見しやすい

WorkFlowyは、テキストを構造化することが、めちゃくちゃ得意です。WorkFlowyで読書ノートを作ると、本についてのいろんな情報をぜんぶ構造化することができます。これが最も大きな強みではないかと思います。

本についての構造とは、本自体の構造や、本から考えたことの構造などです。客観的に大切なことと主観的に面白いことを区別して把握するのも、本についての構造のひとつです。

本についてのいろんな情報を構造化することの意義については、また別途書いてみます。

(2) アウトプットにつなげやすい

WorkFlowyの読書ノートは、アウトプットにつなげるのが、とても簡単です。

WorkFlowyで作った読書ノートの一部を、アウトプットの素材にすることが、すごくやりやすいためです。

同じくデジタルの読書ノートであるEvernoteも、デジタルである点で、アウトプットにつなげやすい、と思っていました。でも、WorkFlowyは、Evernoteと比べても、圧倒的にアウトプットへのつながりがスムーズです。

いくつか理由がありますが、大きいのは、トピック単位での移動が簡単なことと、トピック単位でタグやURLを使えることです。Evernoteはノート単位で情報を管理しているので、ノートの一部だけを他のアウトプットに活かすためには、手作業でノートの一部を選択して、コピー&ペーストする必要がありますが、WorkFlowyはトピック単位で情報を管理できるので、必要な一部だけを他のアウトプットのために使いまわすのが、ずっと楽です。

この特性をもっと活かすためには、読書ノートを作る段階から、アウトプットを強く意識する、という発想が出てきます。「アウトプットにつなげやすい読書ノート」ということです。これについては、それ特有のノウハウがある気がしますので、別途書きます。

(3) WorkFlowyが育つ

それから、読書ノートをWorkFlowyで作ると、WorkFlowyが育ちます。

何度も同じことを書いているのですが、WorkFlowyの特性を活かし、WorkFlowyから価値を引き出すためには、「WorkFlowyを育てる」という観点は、大切なことだと思います。

WorkFlowyを育てる

【参考】WorkFlowyに興味をお持ちの方は

WorkFlowyは、テキストのメモを階層構造で蓄積できるクラウドサービスです。

WorkFlowyは、基本機能を使うだけなら、無料です。1ヶ月間に作成できるトピック数に制限がありますが、それ以外は、さしたる制限なく使うことができます。

WorkFlowyに興味をお持ちの方は、お気軽に試していただけるとうれしいです。

無料プランの場合、1ヶ月間に作成できるトピック数は、標準だと250トピックに制限されています。しかし、以下の紹介リンクからご登録いただくと、250増えて、500トピックになります。

Get 2x the free WorkFlowy space.

紹介リンクからご登録いただくと、同時に、紹介主の1ヶ月あたりの制限数も、250トピック増えます。

この紹介リンクは、知的生産の治具工房のマロ。(@maro_draft)さんのものです。マロ。さんは、WorkFlowyと他のツールとをつなぐ知的生産の治具を精力的に開発されています。

[2015/03/21 追記] 実例を書きました

WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マンダラートの技法』

お知らせ

このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。

書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。

『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元記事の紹介

スポンサードリンク

関連記事

no image

WorkFlowyの同期の基本

1.WorkFlowyの同期 WorkFlowyは、クラウドサービスです。 WorkFlowyのプロ

記事を読む

no image

「WorkFlowyで本を書いた人からの手紙」

1.はじめに こんにちは。少しずつ暖かくなってきましたが、いかがお過ごしでしょうか。 先日さし上げた

記事を読む

no image

【連載】iOSからWorkFlowyを快適に使う(5) iPhoneへの切り出しを具体化するための、サブアカウントというノウハウ

パソコンからはすごく使いやすいWorkFlowyですが、iPhoneからはイマイチです。これを解消す

記事を読む

no image

クラウドアウトライナーWorkFlowyの説明

1.はじめに (1) EvernoteからWorkFlowyへ 大学生のころからずっと、私は本を

記事を読む

no image

"その瞬間"が有るか、無いか(ハイキュー!第89話「理由」のネタバレあり)

1.ハイキュー!第89話「理由」にゾクッとした (1) ハイキュー! 週刊少年ジャンプで連載中の「ハ

記事を読む

no image

なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのか? (WorkFlowy×『数学文章作法 推敲編』その1)

1.問い「なぜ、WorkFlowyは、文章の推敲に向いているのか?」と検討の指針 (1) Work

記事を読む

no image

閲覧モードが完成! HandyFlowy for iOS Ver.1.2のお知らせ

HandyFlowyは、スマートフォン用のWorkFlowy専用クライアントアプリです。 Handy

記事を読む

no image

アドオン「Stylish」による「推敲用WorkFlowy」(段差フラット&bullet非表示)

1.問題意識 私は、WorkFlowyを、「文章を書き上げるためのツール」として使っています。 W

記事を読む

no image

WorkFlowyを無料で使う。新規トピック数制限を前提にWorkFlowyを快適に使う方法の考察。

1.課題:WorkFlowyを無料で使うには? WorkFlowyは、シンプルで柔軟で高性能なクラウ

記事を読む

no image

WorkFlowyをプレゼンツールとして使うことのメリット

1.WorkFlowyをプレゼンツールとして使う 仕事などで、プレゼンの機会をいただくことがあります

記事を読む

スポンサードリンク

スポンサードリンク

no image
お待たせしました! オフライン対応&起動高速化のHandyFlowy Ver.1.5(iOS)

お待たせしました! なんと、ついに、できちゃいました。オフライン対応&

no image
「ハサミスクリプト for MarsEdit irodrawEdition」をキーボードから使うための導入準備(Mac)

諸事情により、Macの環境を再度設定しています。 ブログ関係の最重要は

no image
AI・BI・PI・BC

AI 『〈インターネット〉の次に来るもの 未来を決める12の法則』を読

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]「それは、サピエンス全体に存在する協力を増やすか?」という評価基準

1.「社会派」に対する私の不信感 (1) 「実存派」と「社会派」 哲学

no image
[『サピエンス全史』を起点に考える]サピエンス全体に存在する協力の量と質は、どのように増えていくのか?

『サピエンス全史』は、大勢で柔軟に協力することがサピエンスの強みだと指

→もっと見る

  • irodraw
    彩郎 @irodraw 
    子育てに没頭中のワーキングパパです。1980年代生まれ、愛知県在住。 好きなことは、子育て、読書、ブログ、家事、デジタルツールいじり。
    このブログは、毎日の暮らしに彩りを加えるために、どんな知恵や情報やデジタルツールがどのように役に立つのか、私が、いろいろと試行錯誤した過程と結果を、形にして発信して蓄積する場です。
    連絡先:irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com

    feedlyへの登録はこちら
    follow us in feedly

    RSSはこちら

    Google+ページ

    Facebookページ

PAGE TOP ↑