紙の本の読書ノートを、WorkFlowyで構造化し、育てる
[2015/03/21 追記] 実例をまとめました。
→WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マンダラートの技法』
目次
1.はじめに
以前、こんなエントリを書きました。
その当時やっていた、Evernoteで紙の本の読書ノートを作る方法を説明したものです。
読書ノートを作ることは、本の内容を理解することにも役立ちますし、読書後のアウトプットにもつながりますので、よい習慣だと思っています。私はこれを倉下忠憲さんの『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』から教わり、読書ノートづくり自体は、今でも続けています。
Evernote×読書「Evernoteにクラウド読書ノートを作る」(『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』Chapter-4のご紹介)
他方で、今は、Evernoteは使っていません。WorkFlowyを使っています。
EvernoteとWorkFlowyのどちらが読書ノートづくりのためにふさわしいツールなのかは、どんな読書ノートをなんのために作るのかによって異なるでしょうから、とりあえず深入りしません。
ここでは、シンプルに、紙の本の読書ノートをWorkFlowyで作る具体的なやり方を記載します。
2.紙の本の読書ノートをWorkFlowyで作る具体的な手順
(0) 紙の本を3色ボールペン方式で読む
紙の本を読み終わっていることが大前提です。
私の場合は、3色ボールペン方式で読んでいます。3色ボールペン方式で読み終わった本が手元にあるところから、WorkFlowyの読書ノートづくりはスタートします。
なお、3色ボールペン方式とは、次の方式です。
三色ボールペン方式は、齋藤孝氏が提唱する読書技法です。赤・青・緑の三色を使うことができる三色ボールペンを使って、以下の色分けルールで、本に線を引いたり書き込んだりする、というものです。
赤:客観的にとても大切
青:客観的に大切
緑:主観的に面白い
- 客観的に大切
- とても大切→赤
- 大切→青
- 主観的に面白い→緑
(1) 本のトピックを立て、基本情報を書き入れる
まず、WorkFlowyに、対象となる本のトピックを立てます。
トピック名は、「『署名』(著者名)」などにしています。
そして、そのトピックの最初に、その本の基本情報を書き入れます。noteを使うこともあります。
基本情報は、以下のとおり、客観的な基本情報と主観的な基本情報の両方を書くことにしています。
- 客観的な基本情報
- 書誌情報(書名、著者、出版社、出版年、版、価格など)
- 著者に関する情報
- 主観的な基本情報
- 入手時期・場所・経緯
- 何のために読もうと思ったのか
- 読書に関する主観情報(いつ読み始めたか、いつ読み終えたか、どこで読んだか)
毎回やっているわけではありませんが、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』に紹介されていた「7つの質問」に答えることもあります。
(2) 目次を写す
次に、そのトピックに、本の目次を書き写します。
単純作業で、面倒です。が、WorkFlowyで読書メモを作ることの意義は、読書メモを構造化できるところにあります。そして、いちばんの基本となる構造は、その本自体の構造、つまり目次です。
なので、目次を書き写すことは、WorkFlowyで紙の本の読書ノートを作るための、とても大切なプロセスです。
(3) 紙の本に線を引いた文章と書き込んだコメントを書き写す
読書ノートを作る対象は、読んで面白かった本です。3色ボールペン方式でしっかり読み込んだ本です。当然、本の中には、3色ボールペンによるたくさんの線や記号や文字が書き込まれています。
そこで、その書き込みをWorkFlowyに書き写します。
全部書き写すのは大変なので、ピックアップします。本を読み直しながら、線が引かれた場所や書き込まれたコメントのうち、気になったところを書き写します。
書き写す場所は、該当する場所の目次トピックの下です。
書き写すときのポイントは、次の2つです。
- 本からの引用(線を引いた文章)なのか、自分のコメント(本への書き込み)なのか、区別できるようにしておく
- 後のアウトプットを考えると、とても大切な区別です。
- タグで区別するか、トピック構造で区別するか、どちらかではないかと思います。私は、基本的に、トピック構造で区別しています。
- 客観的に大切(赤・青)なのか、主観的におもろい(緑)なのか、区別できるようにしておく
- 3色ボールペン方式の肝である、主観と客観の区別を、WorkFlowyにも活かします。
- 区別の方法は、タグかトピック構造かと思います。私は、タグで区別しています。具体的には、「主観的におもしろい(緑)」についてだけ、タグをつけています。
(4) WorkFlowyのトピックを読みながら、手を入れる
ここまでの作業が終わると、WorkFlowyのトピックは、それなりの量になります。また、中身は、目次、自分が線を引いた箇所の抜き書き、自分が書き込んだコメントです。
そのため、この段階までくれば、それ自体を読むだけで十分意味がわかり、本の内容を思い出すこともできる、そんなメモになっています。
そこで次に、このWorkFlowyトピック自体を読みます。読みながら、次の2つの作業をします。
a.考えたことや感じたことを書き加える
まず、考えたことや感じたことを書き加えます。
このときのポイントも、上と同じふたつです。
- 書き加えた部分と本からの引用部分が紛れないようにします。私は、トピックを分けることで、この区別をつけています。
- 客観的に大切(赤・青)なことについての書き込みなのか、主観的におもろい(緑)ことについての書き込みなのか、区別する。私は、タグで区別しています。
b.意味の構造を付け加える
次に、言葉で書き込む以外の方法により、意味の構造を付け加えます。
と書くと大げさですが、たとえば、こんなことをします。
- WorkFlowyのトピックを動かし、トピックの構造を組み替える。
- それまでのトピック構造をさらに整理するのもありだし、別の視点で整理するのもあり。
- 後者の例は、主観と客観を別トピックに分ける、など。
- WorkFlowyのタグ機能を使い、共通することテーマに統一したタグをつける。
- あとでブログエントリにまとめたいテーマについて、共通したタグを付ける、など。
- 書きたいアウトプットを意識して、アウトプットごとに1つのタグを使うと、頭の整理にもなるし、アウトプットにもつなげやすい。
- WorkFlowyのURLを使って、トピック間リンクをはりめぐらす。
- WorkFlowyのURLとは、これです。
- WorkFlowyのURLの基本と「保存された検索」のような活用例
- WorkFlowyに書いたURLを活用し、WorkFlowyを思考のOSへ
3.WorkFlowyで読書ノートを作る意義
最後に、なぜWorkFlowyを使うのか、WorkFlowyで読書ノートを作る意義を簡単に書きます。
(1) 構造化しやすいし、構造を発見しやすい
WorkFlowyは、テキストを構造化することが、めちゃくちゃ得意です。WorkFlowyで読書ノートを作ると、本についてのいろんな情報をぜんぶ構造化することができます。これが最も大きな強みではないかと思います。
本についての構造とは、本自体の構造や、本から考えたことの構造などです。客観的に大切なことと主観的に面白いことを区別して把握するのも、本についての構造のひとつです。
本についてのいろんな情報を構造化することの意義については、また別途書いてみます。
(2) アウトプットにつなげやすい
WorkFlowyの読書ノートは、アウトプットにつなげるのが、とても簡単です。
WorkFlowyで作った読書ノートの一部を、アウトプットの素材にすることが、すごくやりやすいためです。
同じくデジタルの読書ノートであるEvernoteも、デジタルである点で、アウトプットにつなげやすい、と思っていました。でも、WorkFlowyは、Evernoteと比べても、圧倒的にアウトプットへのつながりがスムーズです。
いくつか理由がありますが、大きいのは、トピック単位での移動が簡単なことと、トピック単位でタグやURLを使えることです。Evernoteはノート単位で情報を管理しているので、ノートの一部だけを他のアウトプットに活かすためには、手作業でノートの一部を選択して、コピー&ペーストする必要がありますが、WorkFlowyはトピック単位で情報を管理できるので、必要な一部だけを他のアウトプットのために使いまわすのが、ずっと楽です。
この特性をもっと活かすためには、読書ノートを作る段階から、アウトプットを強く意識する、という発想が出てきます。「アウトプットにつなげやすい読書ノート」ということです。これについては、それ特有のノウハウがある気がしますので、別途書きます。
(3) WorkFlowyが育つ
それから、読書ノートをWorkFlowyで作ると、WorkFlowyが育ちます。
何度も同じことを書いているのですが、WorkFlowyの特性を活かし、WorkFlowyから価値を引き出すためには、「WorkFlowyを育てる」という観点は、大切なことだと思います。
【参考】WorkFlowyに興味をお持ちの方は
WorkFlowyは、テキストのメモを階層構造で蓄積できるクラウドサービスです。
WorkFlowyは、基本機能を使うだけなら、無料です。1ヶ月間に作成できるトピック数に制限がありますが、それ以外は、さしたる制限なく使うことができます。
WorkFlowyに興味をお持ちの方は、お気軽に試していただけるとうれしいです。
無料プランの場合、1ヶ月間に作成できるトピック数は、標準だと250トピックに制限されています。しかし、以下の紹介リンクからご登録いただくと、250増えて、500トピックになります。
Get 2x the free WorkFlowy space.
紹介リンクからご登録いただくと、同時に、紹介主の1ヶ月あたりの制限数も、250トピック増えます。
この紹介リンクは、知的生産の治具工房のマロ。(@maro_draft)さんのものです。マロ。さんは、WorkFlowyと他のツールとをつなぐ知的生産の治具を精力的に開発されています。
- Workflowyで選択したアウトラインにhタグを付けて書き出すAppleScript|マロ。|note
- WF2HTMLのirodrawさん専用バージョンWFtoHTML irodrawEdithion|マロ。|note
- WorkflowyとWordの相互変換ツール|マロ。|note
[2015/03/21 追記] 実例を書きました
WorkFlowyで作る紙の本の読書ノートの実例:『[超メモ学入門]マンダラートの技法』
お知らせ
このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。
書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。
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