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WorkFlowyで「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を育てる

公開日: : 最終更新日:2016/05/05 WorkFlowy

1.Evernoteからアウトライナーへ

(1) 個人の知的生産システムの構成要素としての「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」

個人が知的生産を送り続けるためには、自分なりに何らかのシステムを組み立てるのがよいのではないかと、常々感じています。

自分個人のための知的生産システムを改善し続ける。「ハイブリッド」シリーズ(倉下忠憲)から受け取った「ハイブリッド・システム」というコンセプト。

そして、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」と「そこから切り取った暫定的な作品群を公開する場所」とを組み合わせると、うまく機能する個人の知的生産システムができるんじゃないか、というのが、今のところの私の考えです。

ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ

ここでいう「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」とは、自分が書く文章群全体を管理する仕組みのことです。大量の書きかけの文章群全体をいかに管理するかが、個人の知的生産にとっては、とても大切ではないかと感じます。

Evernoteやアウトライナーで文章を書くことで、大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組みを作る

また、個人の知的生産は、暫定的な作品群を公開し続けることによって促進されます。それは、その時点までの考察をアウトプットすれば、フィードバックが得られて、考察が深まるからです。そのため、「そこから切り取った暫定的な作品群を公開する場所」も、個人の知的生産システムにとって必要不可欠な要素です。

研究者が考察を深める仕組み:「その時点までの考察をアウトプットして、フィードバックを得る仕組み」

こんな考えにもとづいて、ここしばらくの私は、次の2つを組み合わせて、自分の知的生産システムを組み立ててきました。

当時、私は、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」としてのEvernoteに、深く満足していました。別のツールを使おうとは、ぜんぜん考えていませんでした。

(2) Evernoteによる有機体から、アウトライナーによる有機体へ

ところが、2014年11月、状況がすこし変わりました。Evernote for Macのバージョン6のAppStore版がやってきて、ワクワクしながらアップデートをしたところ、残念ながら、Evernote for Macの動作が重たくなってしまいました。

私は、Evernoteを、文章を書く作業場として使っています。

なぜ、「書く」ワークスペースとして、Evernoteを使うのか?

作業場ですので、動作の軽さは、とてもとても大切です。Evernoteの動作が重たくなってしまったことから、Evernoteではないツールで、「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を運用する必要に迫られました。

私が知っている「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」になりうるツールは、Evernoteとアウトライナーです。必然的に、消去法でアウトライナーを使うことになります。

アウトライナーにもいろいろありますが、このとき私が選んだアウトライナーは、OmniOutliner Proでした。Tak.さんも愛用されているのだからまちがいないだろうと考えてのことでした。

2.クラウドアウトライナーを求めて

(1) OmniOutlinerとハサミスクリプトには、大満足

OmniOutlinerを「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」とすること自体は、とても快適でした。

もちろん、Evernoteとアウトライナーはちがいます。とまどうこともありましたが、Evernoteとは別のかたちで思考が育つのがおもしろくて、新しい体験にワクワクしました。

粘土のようなアウトライナー、ブロックのようなEvernote。

また、@maro_draftさん作のハサミスクリプトを使えば、OmniOutlinerのアウトラインの一部が、あっという間にきれいなHTMLに変換されます。これも衝撃的でした。

ずっと完成しないで変化し続ける有機体から、暫定的な作品群を切り取るためのハサミ

(2) でも、iPhoneからアウトラインを操作できないのが、辛かった

しかし、OmniOutlinerには、大きな泣き所がありました。それは、iPhoneから操作できないということです。

とりわけ、私事ですが、ここ数ヶ月ちょっと忙しめで、机に座って落ち着いてノートパソコンをいじれる時間を確保することがむずかしい状況になっていました。

そうなると、暫定的な作品群の数が減ってしまいます。実際、2014年11月まではある程度粘ったのですが、2014年12月に公開できた文章は、7つだけでした。

アウトライナーによる「大量の書きかけの文章群全体を管理する仕組み」について感じていること

「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」と「そこから切り取った暫定的な作品群を公開する場所」からなる知的生産システムにとって、暫定的な作品群の数は、かなり大切です。ひとつひとつの作品の質を上げるよりも、暫定的な作品の数を増やすことの方が、知的生産を進めることに貢献するからです。暫定的な作品の数が減ってしまう状況は、なんとかしなければいけません。

整った論理構造を持つ文章を書くための、自分のブログの強みと落とし穴

そこで、私は、iPhoneからも操作できるアウトライナーを探すことにしました。

3.WorkFlowy、そして、WorkFlowy Proへ

(1) WorkFlowy再開

いろいろ検討して、WorkFlowyにすることにしました。

実は私は、2014年2月に、WorkFlowyのアカウントを作っていました。きっかけは、以下のツイートです。

使い始めて、すぐに、「これはいいな」と感じました。

でも、無料プランの月250アイテムの制限が気になってしまい、また、かといっていきなりProプランにするのも気が引けました。

また、そのころは、Evernoteを有機体として使うことになんの不足も感じていなかったため、結局、そのままWorkFlowyから離れてしまいました。

今回、あらためてWorkFlowyのことを調べてみると、以下の信頼できる方々が、口をそろえて高評価をしています。これならまちがいないだろうと、WorkFlowyの使用を再開しました。

(2) WorkFlowy Proによる「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」へ

OmuniOutlinerでアウトライナーのよさを実感したあとで、改めて使ってみると、WorkFlowyは、とてもよくできていました。ファイル概念を持たず、唯一のアウトラインしか使えない点も、Tak.さんのいうプロセス型アウトライナーの思想を体現していて、共感します。

また、クラウドアウトライナーでありながら、アプリケーション型アウトライナーであるOmniOutlinerよりも動作が軽い点も、驚愕&歓喜でした。

前回おおきなハードルだった1ヶ月あたりのアイテム数制限については、とりあえずはProプランを1年間試してみることで、解消しちゃうことにしました。

そんなわけで、今、私は、自分の「ずっと完成しないで変化し続ける有機体」を、WorkFlowyによって運用しています。当面は、この有機体を日々育てていきます。

また、WorkFlowyには、ハッシュタグ機能など、面白い機能も用意されているようなので、すこしずつ勉強していきたいと思っています。

お知らせ

このエントリは、その後、加筆修正などを経て、書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の一部分となりました。

書籍『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元エントリは、次のとおりです。

『クラウド時代の思考ツールWorkFlowy入門』の詳細目次と元記事の紹介

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