読書・文章・手帳システム・ブログ・物語/2014年に収穫した10冊+αの本 #mybooks2014
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本
0.はじめに
(1) 師走になったので、2014年をふり返る
寝て安静にしてるうちに終わってしまった正月で始まった2014年も、はやくも12月になりました。
今年も、いろんなよかったことがありました。特に、読書とブログから多くを収穫できた1年だったように思います。これも、ブログを読んでくださる多くの方のおかげです。
そこで、今年は、読書とブログを軸にして、それぞれの観点から、2014年をふり返ってみます。まずは、読書からのふり返りです。
なお、昨年も、本を軸にした1年間のふり返りをしました。そのときに取り上げたのは、次の10冊でした。
自信を持っておすすめする、2013年に収穫したKindle本10冊
(2) びっくら本
このエントリは、次の企画に参加するものでもあります。
R-style »【企画】2014年の<びっくら本>を募集します #mybooks2014
企画をたちあげ、機会を与えてくださいました倉下さんに感謝します。
こうして、クラシタン公共圏が育っていく。→"そういうブログの動線を、あたらしい形でデザインしていくことも、個人的好みなブログ界隈の継続に繋がる気がする。" http://t.co/Ssc3Z9otw9
— 彩郎 (@irodraw) 2014, 12月 3
1.読書は死なない
(1) 『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』
2014年の私の読書熱を燃やしてくれた本が2冊あります。1冊目は、『ソーシャル時代のハイブリッド読書術』です。
この本から得たものはいろいろありますが、ひとつの具体的な収穫は、「読書からの収穫Evernoteに蓄積する仕組み」を作ることができたことです。
Kindle本からの収穫は、kindle.amazon.co.jpをウェブクリップすることで、Evernoteに蓄積します。
Kindleのハイライト箇所をテキストでEvernoteに取り込み、読書のアウトプットを促す(kindle.amazon.co.jp)
紙の本からの収穫は、本のページを写真で撮影してEvernoteに放り込んだあと、重要な箇所を抜書きすることで、Evernoteに蓄積します。
読書からの収穫をEvernoteに蓄積する仕組みを整えたことで、読書に関するアウトプットが増えました。読んだ本をアウトプットすることは、読書からの収穫を増やすための、強力なノウハウだと実感します。
また、紙の本からの収穫をEvernoteに蓄積する仕組みを得たことで、2013年にはほぼKindle本しか読まなかったのに対して、2014年には紙の本もずいぶんとたくさん読むことができました。
これによって、『三色ボールペンで読む日本語』の三色ボールペン方式に戻ってくることができました。
三色ボールペン方式の肝は、客観的に重要なところと主観的に面白いところを区別しながら本を読む点にあります。これは、読書の基本技ではないかと感じます。
(2) 『本は死なない』
本は死なない Amazonキンドル開発者が語る「読書の未来」
2014年の私の読書熱を燃やしてくれた本の2冊めは、『本は死なない』です。AmazonのKindle開発者が、Reading2.0という読書の未来を語る本です。
この本を読み、私は、Reading2.0というコンセプトに衝撃を受けました。また、自分は本や読書が好きだということを、改めて確認しました。
『本は死なない』のReading2.0を現実化するための方向性はいくつかありうると思うのですが、AmazonのKindle Direct Publishingがそのひとつであることはまちがいないかと思います。KDPに関しては、次の本が有益でした。
KDPという仕組みをとても面白いと感じるので、まずは1冊、KDPで本を出してみたいと思っています。
2.文章を書くという創造
(3) 『数学文章作法 基礎編』
文章をうまく書く、というのは、私にとってかなり大きな関心事です。これまでにも、私は、たくさんの文章読本を読み、文書を書くためのノウハウを追い求めてきました。また、私は、大学の非常勤講師として、大学生に対して、ある仕事のための文章の書き方を指導しています。そのため、私は、文章の書き方に関する基本的な知識について、それなりの自負を持っていました。
しかし、それはちがいました。『数学文章作法 基礎編』を読んだとき、私ははじめて「読者のことを考える」ということがどのようなことなのかを実感しました。
読者のことを考えるって、こういうことだったのか!結城浩著『数学文章作法
基礎編』(ちくま学芸文庫)
(4) 『わかりやすく説明する練習をしよう』
わかりやすく説明する練習をしよう。 伝え方を鍛える コミュニケーションを深める
私は、「教える」ことが好きです。非常勤講師として担当させてもらっている大学の授業を、毎週、楽しみにしています。
講義で教えるときに私が心がけているのは、「わかりやすい説明」です。基本的な土台からひとつひとつ積み上げていくように説明することで、基本的な事項を深いところからきちんと理解してもらいたいと願っています。
「わかりやすい説明」を目指しているこんな私にとって、『わかりやすく説明する練習をしよう』は、ぴったりの本でした。
たとえば、「なぜ」と「どのように」という2つの疑問文の使い方(特に順序)を意識するだけで、説明はぐっとわかりやすくなります。
また、本書に繰り返し登場する「説明の尺度」というツールは、「わかりやすい説明」を作るための設計図になります。
「なぜ」&「どのように」と「説明の尺度」〜『わかりやすく説明する練習をしよう』(1)
この本から得た情報を基本において、これから、わかりやすく説明する練習をしていこうと思います。
(5) 『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』
Evernoteとアナログノートによる ハイブリッド発想術 (デジタル仕事術)
『数学文章作法 基礎編』も『わかりやすく説明する練習をしよう』も、ある意味、文章を書くことに関する本です。この文章を書くということに関しては、『Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術』からも、いろんな発展がありました。
本書を読んで、まず、私は、なぜEvernoteで文章を書くのだろうか、という問いを考えることにしました。
アイデアの「畑」と「地層」:『ハイブリッド発想術』読書メモ(「なぜ、私は、思考するツールとして、Evernoteを使うのか」番外編)
このとき気づいたことは、「着想」→「連想」→「整想」という発想の3プロセスとの関係で、私の思考のスタイルは、いきなり「整想」プロセスに取り組むことにより発想する、というものなのではないか、ということです。
「着想」→「連想」→「整想」という発想の3プロセスと、「いきなり「整想」発想法」
また、この思考のスタイルで文章を作成するプロセスを、『ねじまき鳥クロニクル』と『国境の南、太陽の西』という2つの小説の関係からヒントを得て、まとめました。
さらに、文章を書くためのツールとして、アウトライナーとEvernoteとの関係を考えることもできました。
Evernoteは、ノートの杭を打つからこそ、思考のツールとして現にうまく機能している。
なぜ、文章書きとしての私は、アウトライナーよりもEvernoteを贔屓しているのか?
3.ハイブリッド手帳システムを育てる
(6) 『クラウド時代のハイブリッド手帳術』
2014年が始まった段階で、私は、自分のタスク管理の仕組みのことを、おおむね完成したものだと捉えていました。そのため、当時の自分のタスク管理のあり方を全部つめこんで、自分なりのタスク管理システムをまとめたエントリを書きました。
Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階)
そんなわけで、タスク管理システムについて特に困っていなかったこともあり、倉下さんのハイブリッドシリーズ3冊のうち、『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を読んだのは、いちばん最後でした。
ところが、本書から学んだ「ハイブリッド手帳システム」という考え方によって、私のタスク管理システムは、大きな進化を遂げました。
手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。
ひとつは、Dailyタスクリストです。その日1日に実行するタスクのクローズドリストである「Dailyタスクリスト」を毎朝作成することを取り入れたことで、タスクの実行がずいぶんとスムーズになりました。
「Dailyタスクリスト」の3つの特徴(タスクの実行前・実行中・実行後)
ふたつめは、瞬時レビューです。タスクを完了した直後にタスクを実行したときの感想などをタスク管理システムに書き込むことで、タスク実行のサイクルがうまく回るようになりました。
タスク管理ツールで「瞬時レビュー」をすることで、タスク実行のサイクルを回す
これらによって実現できたことは、タスク管理システムが、現在のタスクの実行を助けてくれるようになったことです。
2014年2月段階では、私がタスク管理システムに求めていたのは、主に未来のタスクを保管することだったのですが、「ハイブリッド手帳システム」の考え方を参考に「Dailyタスクリスト」と「瞬時レビュー」を取り入れたところ、私のタスク管理システムは、「現在のタスクの実行を助けてくれるシステム」に育ちました。
『クラウド時代のハイブリッド手帳術』によって、私のタスク管理システムは、EvernoteとToodledoを軸にした、こんなシステムになりました。
ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム
(7) 『いつまでもデブと思うなよ』
一見タスク管理システムとは関係ないのですが、一昔前のダイエット本である『いつまでもデブと思うなよ』は、タスク管理システムを作る上で、すごく大きなヒントを与えてくれる本です。
『いつまでもデブと思うなよ』が参考になる点は、大きく分けて2つあります。
ひとつは、「自分を記録する」という方法です。『いつまでもデブと思うなよ』が解くダイエット法は「レコーディング・ダイエット」というのですが、その名の通り、肝は「記録」です。
わりとやせてる私が、『いつまでもデブと思うなよ』から学んだ、「自分を記録する」という方法論
もうひとつは、『いつまでもデブと思うなよ』が採用するプロセスは、普遍的な目標達成プロセスとして役に立つ、ということです。
4.ブログで実現していた実験し合う共同体
(8) Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』
Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング
2014年は、ブログによって、たくさんの方との関係を育てることができた1年でした。ブログによって自分の人生にすごいことが起きている気がしていたのですが、『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』を読んで、なんでこんなことが起きたのか、その理由のポイントが、なんとなくわかりました。
それは、ブログによるセルフブランディングが少し進んだことによって、「自分の持ち味を発揮する」ことと「価値を見い出してもらう」こととが、少しずつつながってきた、ということです。
自分の持ち味を発揮することと、価値を見い出されること。『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』
今、私は、セルフブランディングを実践した先にある世界で生きてみたいと考えています。本書を参考に、ゆっくり着実に、セルフブランディングを進めていくつもりです。
他方で、セルフブランディングというものは、わかるようでわからない概念です。そこで、セルフブランディングを理解するために、次の本が役に立ちます。
同じ著者のKindle本です。タイトルからはコンビニ店長の仕事を進めるためのマニュアル本のような印象も受けるのですが、この本の本質は、セルフブランディングのケーススタディブックです。
『Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング』を読んで、セルフブランディングに興味を持ったら、次は、『コンビニ店長のオシゴト』でセルフブランディングのケーススタディをすると、理解が深まり、どこから取り組むことができそうか、よくわかります。
R-styleの源流が、ここにある気がした。書評『コンビニ店長のオシゴト』
(9) 『実存からの冒険』
『実存からの冒険』は、これまでの私の人生通算での「私のベスト1」です。
『実存からの冒険』が描くのは、力強く生を肯定する生き方です。私なりにまとめると、それは、「自分の条件を既定と捉え、その条件のもとで自分なりの生き方を描く」生き方です。
ルサンチマンに負けない生き方。自分の条件を既定と捉え、その条件のもとで自分なりの生き方を描く。
『実存からの冒険』は、私にとっての、何度も読んできた本たちのうちの1冊です。
2014年にも読み返したのですが、今年読み返して感じたのは、『実存からの冒険』が描く〈実験=冒険としての生〉というイメージが、ブログによって実現しているのではないか、ということです。
『実存からの冒険』から受け取った〈実験=冒険としての生〉というイメージが、ブログによって現実になっていた。
なお、『実存からの冒険』は、現在、絶版です。なんともったいない、と感じ、Kindle化を待望して待っているのですが、同じ著者による『NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ』(西研著・NHK「100分de名著」ブックス)なら、Kindleでも読めます。なので、現段階でKindleで読むなら、こちらをおすすめします。
NHK「100分de名著」ブックス ニーチェ ツァラトゥストラ NHK「100分de名著」ブックス
また、〈実験=冒険としての生〉とブログとの関係では、同じ著者の『ヘーゲル・大人のなり方』も参考になります。
でも、自分が書いた文章によって、読み手との間に間に何らかの関係を生み出したいなら、書き手は、読み手に通じる言葉
を書かなければいけません。西研さんの言葉を借りれば、「全ては読み手のため」を意識してていねいに書き直すことは、関係の
悦びを深くするための技術なんだろうなと感じます。
5.物語の可能性を模索したい
(10) 鹿の王
私は小説も大好きなのですが、2014年に読んだ本の中で小説の占める割合は、あんまり高くありません。でも、大当たりもありました。それは、上橋菜穂子さんによる『鹿の王』です。
はっきり言ってすごいです。物語の厚み、深さが圧倒的で、引きこまれます。テーマも深く、謎も興味深く、人物も魅力的です。
私にとって村上春樹は唯一無二の特別な小説家という位置づけだったのですが、『鹿の王』を読んで、上橋菜穂子さんは、私にとって、村上春樹並の存在になりました。
すごい小説を読むと、「物語」とか「物語ること」ということの力を感じます。このエントリからもバレるであろうとおり、私は頭でっかちで論理の助けを借りることでなんとか表現をしている人間なのですが、そんな私でも、「物語」や「物語ること」には、とても大きな力があるんだなあと実感します。
そんなことを考えていたら、ふと、「このブログを『千夜一夜物語』のようなブログにしたい」ということを思いつきました。
「単純作業に心を込めて」を、『千夜一夜物語』みたいなブログにしたい。
とはいえ、小説を書くつもりはありません。まずは、書評エントリを書くときに、ストーリーを物語ることから始めようと思います。
納得できる書評エントリを書くために、「どんな書評を書きたいか」を自覚する
6.まとめ
以上、びっくら本企画にのっかって、読書を軸に、2014年をふり返ってみました。こうしてふり返ると、2014年は、ほんとに、ブログと読書によって知的生産を進めることができた1年だったなと感じます。
10冊に絞り切ることができず、説明の中に何冊か紛れ込ませるという抜け道を採用しましたが、一応、10冊は以下のとおりです。
- (1) ソーシャル時代のハイブリッド読書術
- (2) 本は死なない
- (3) 数学文章作法 基礎編
- (4) わかりやすく説明する練習をしよう
- (5) Evernoteとアナログノートによるハイブリッド発想術
- (6) クラウド時代のハイブリッド手帳術
- (7) いつまでもデブと思うなよ
- (8) Facebook×Twitterで実践するセルフブランディング
- (9) 実存からの冒険
- (10) 鹿の王
これを踏まえて、2015年は、次の3つを重点的に取り組んでいこうと思ってます。
- (1) ブログによるセルフブランディングを進める。
- (2) KDPで本を書く。
- (3) 書評エントリを中心に、ストーリーを物語ることをやってみる。
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