「Dailyタスクリスト」というシステム
1.「Dailyタスクリスト」というシステムのまとめ
これまで、何回かにわたって、Toodledoで「Dailyタスクリスト」を実践することを検討しました。ひとくぎりついたので、これまでの検討をまとめます。
(1) タスクマネジメントシステムで、「タスクの実行」を助ける
「Dailyタスクリスト」は、タスクマネジメントシステムの重要な一部分です。
タスクマネジメントシステムの役割は、「タスクの保管」、つまり、自分の手持ちタスクの全部を、自分の頭の外のシステムに預けることと、「タスクの実行」、つまり、頭の外のシステムに預けたタスクを、自分で実行することを助けることの、両方をカバーします。
手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。
ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム
このうち、以前の私は、「タスクの保管」にばかり気を取られ、「タスクの実行」をあまり考えていませんでした。でも、タスクは実行されなくては意味がありません。「タスクの実行」は、「タスクの保管」に負けず劣らず大切です。
そこで、ここしばらくの私の課題は、「タスクの実行」を助けるタスクマネジメントシステムをいかに作るか、でした。
私は、自分のタスクマネジメントシステムを、Toodledoを核にして構成しています。そこで、私のテーマは、「Toodledoを「タスクの実行」のためのシステムに進化させるには、どうしたらよいか?」となります。
Toodledoを、「タスクの実行」のためのシステムへと、進化させる
(2) 「タスクの実行」を助けるための基本の仕組み=「Dailyタスクリスト」
これに対する解決策のひとつが、「Dailyタスクリスト」でした。
「Dailyタスクリスト」は、『クラウド時代のハイブリッド手帳術』が提唱する、「タスクの実行」を助けるための、基本の仕組みです。
「Dailyタスクリスト」は、次の3つの特徴を持っています。
- 【特徴1】タスク実行前(朝一番):その日実行するタスクのリスト
- その日1日のタスクの全部だけのリスト
- クローズドリスト
- 時間を「見える化」するリスト
- 【特徴2】タスク実行中(日中):タスク実行にあたって常に参照され、感情と思考を受け止めて、脱線と割り込みに対応するリスト
- タスク実行中、常に参照されるリスト
- 感情と思考を受け止めるリスト(瞬時レビューの場所)
- 脱線と割り込みに対応するリスト(本線を明らかにする)
- 【特徴3】タスク実行後(その日の終わり):その日1日に実行されたタスクを並べた行動記録リスト
- タスク実行に従って予定が行動記録に移り変わり、1日の終わりには、その日1日分の行動記録になっている
- 行動記録には、3つの機能がある
- あとから役に立つ
- 日次レビューがはかどる
- 「やれば残る」から、やる気になる
「Dailyタスクリスト」の3つの特徴(タスクの実行前・実行中・実行後)
(3) Toodledoで「Dailyタスクリスト」
a.Toodledoのどの機能を使うか
Toodledoは、高機能です。Toodledoの機能を使えば、Toodledoで「Dailyタスクリスト」を実現できます。
Toodledoで「Dailyタスクリスト」の3つの特徴を実現するために、Toodledoのどの機能をどう使うとよいか
- 【特徴1】タスク実行前(朝一番):その日実行するタスクのリスト
- その日1日のタスクの全部だけのリスト……Due Date
- クローズドリスト……Calendarビュー
- 時間を「見える化」するリスト……時間帯Context運用(Length・Context・EndTime2
- 【特徴2】タスク実行中(日中):タスク実行にあたって常に参照され、感情と思考を受け止めて、脱線と割り込みに対応するリスト
- タスク実行中、常に参照されるリスト……クラウドサービスとしてのToodledo
- 感情と思考を受け止めるリスト(瞬時レビューの場所)……タスクのノート欄
- 脱線と割り込みに対応するリスト(本線を明らかにする)……タスクのノート欄
- 【特徴3】タスク実行後(その日の終わり):その日1日に実行されたタスクを並べた行動記録リスト
- タスク実行に従って予定が行動記録に移り変わり、1日の終わりには、その日1日分の行動記録になっている……IFTTTによる自動電子業務日誌
- 行動記録には、3つの機能がある
- あとから役に立つ
- 日次レビューがはかどる
- 「やれば残る」から、やる気になる
b.朝一番・日中・1日の終わり、という時間の流れに沿った、Toodledoで「Dailyタスクリスト」の運用イメージ
「Dailyタスクリスト」は、朝一番に作られ、日中ずっと使われ、1日の終わりにふり返りなどの材料になります。「Dailyタスクリスト」は、一日を通して、タスク実行に付き添うツールです。
Toodledoで「Dailyタスクリスト」を実践する運用イメージを、この、朝一番・日中・1日の終わりという時間の流れに沿って整理すると、こんな感じになります。
(a) 朝一番
Toodledoで「Dailyタスクリスト」を作って、朝一番のひとり作戦会議をする(Toodledoで「Dailyタスクリスト」(1)朝編)
Toodledoで「Dailyタスクリスト」を作るには、朝一番に、30分ほどの時間を費やして、次の3つの作業を行います。
- ステップ1.今日一日の、時間を費やす行動の全部を、タスクとしてToodledoに集める【Mainビュー】
- ステップ2.タスクを実行時間帯に振り分け、時間を見積もって、調整する(時間を「見える化」する)【Calendarビュー】
- ステップ3.タスクに関する感情や思考を簡単にメモして、今日という1日をシミュレーションする【Calendarビュー・Mainビュー・Folderビュー】
この3つの作業を行うことは、ひとり作戦会議のようなものです。このひとり作戦会議をすることは、今日一日のタスク実行を助けてくれます。
(b) 日中
Toodledoの「Dailyタスクリスト」は、タスク実行の伴走者(Toodledoで「Dailyタスクリスト」(2)日中編)
「Dailyタスクリスト」は、タスク実行の伴走者です。
- 常に目に入るところに設置する
- デュアルディスプレイのデスクトップ
- iPhone・iPad
- 基本のタスク実行
- Toodledoに指示されたことを、淡々と実行する
- タスク実行時の感情と思考は、Toodledoに受け止めてもらう
- Toodledoのタイマー機能で、タスク実行にかかった時間を計測する
- タスク実行のサイクルを回す
- タスクを実行する
- 他のタスクに生じた影響を、Toodledoに反映させる
- 実行し終えたタスクに、完了のチェックを付ける
- 割り込みタスクと脱線
- ルール1 「Toodledoの「Dailyタスクリスト」に登録されていない行動をするときは、Toodledoにタスクとして登録する」
- ルール2 「Toodledoの「Dailyタスクリスト」に登録されていなかった行動を始める前に、それまで実行していたタスクのノート欄に「瞬時レビュー」を書く」
(c) 1日の終わり
Toodledoの「Dailyタスクリスト」を材料に、1日をふり返り、翌日を準備する(Toodledoで「Dailyタスクリスト」(3)1日の終わり編)
その日のタスク実行に付き添った「Dailyタスクリスト」は、1日の終わりには、その日のふり返りと翌日の準備の材料となります。いわゆる日次レビューのようなものです。
- その日1日をふり返る
- Toodledoで、残りタスクなしを確認する
- Evernoteで電子業務日誌を読み返して、書き込んで日記に仕上げる
- 翌日を準備する(タスク実行のサイクルを回す)
- 別のタスクBが発生したら、ToodledoにタスクBを追加する
- 別のタスクCが必要なくなったら、Toodledo上のタスクCを削除する
- 別のタスクDの中身が変わったら、Toodledo上のタスクDを修正する
(4) ハイブリッド手帳システムのタスクマネジメントシステム
こうして、「Dailyタスクリスト」は、私のハイブリッド手帳システムのうちのタスクマネジメントシステムの、重要な一部となりました。
ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム
「Dailyタスクリスト」は、それ単体で完結し、それ単体で効果を発揮するテクニックではなく、他のツールやノウハウとの関係の中で、全体として役割を果たす、システムです。
自分個人のための知的生産システムを改善し続ける。「ハイブリッド」シリーズ(倉下忠憲)から受け取った「ハイブリッド・システム」というコンセプト。
2.「Dailyタスクリスト」の参考になった本とブログ
今回、「Dailyタスクリスト」をタスクマネジメントシステムに取り入れるにあたっては、たくさんの本とブログに助けていただきました。感謝を込めて、以下、まとめます。
(1) 「Dailyタスクリスト」の基礎理論
a.倉下忠憲さんによる「Dailyタスクリスト」の解説
(a) 『クラウド時代のハイブリッド手帳術』
まずは、倉下忠憲さんの『クラウド時代のハイブリッド手帳術』です。
「Dailyタスクリスト」については、p.89-91あたりから、説明があります。
ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム→「Dailyタスクリスト」
(b) R-style
また、倉下忠憲さんのブログ「R-style」にも、「Dailyタスクリスト」を掘り下げたエントリがたくさんあります。
R-style » デイリータスクリスターはゴリラに気がつくのか
b.北真也さんによる「Dailyタスクリスト」の考え方
『シゴタノ!手帳術―クラウド&スマホ×アナログ手帳で人生を楽しく自由にする方法』
『シゴタノ!手帳術』は、倉下忠憲さんと「Hacks for Creative Life!」の北真也さんの共著です。『シゴタノ!手帳術』にも、「Dailyタスクリスト」の説明が詳しいです。
北真也さんも、「Dailyタスクリスト」を活用されています。『シゴタノ!手帳術』に説明されている北真也さんの「Dailyタスクリスト」の運用は、「Hacks for Creative Life!」の以下のエントリと、同じ方向を向いています。
2011年の情報管理戦略-Chap6.ほぼ日カズンをDTL&Doingリストとして使う | Hacks for Creative Life!
(2) 「クローズド・リスト」という考え方
「Dailyタスクリスト」の本質のひとつは、「クローズド・リスト」だということです。
「クローズド・リスト」の考え方を、私は、佐々木正悟さんの次の本から学びました。
また、次のブログ記事は、「クローズド・リスト」についてのわかりやすい説明です。
Toodledoで構築するオープン・リストとクローズド・リスト
もうひとつは、「今日やるべきこと」だけを並べた「クローズド・リスト」です。
ここは1日分のタスクだけに絞られたリストであり、基本的に新たなタスクがここに侵入してくることはありません。つまりタスクの入り口を「クローズ」したリストです。
(3) 予定が記録になること・記録が予定に役立つこと
「Dailyタスクリスト」を実践して強く感じるのは、予定が記録になるということと、予定から生み出された記録が、次の予定を立てるために役立つことです。
私は、この予定と記録の関係を、同じく佐々木正悟さん学びました。
次の本がわかりやすいです。
『なぜ,仕事が予定どおりに終わらないのか?~「時間ない病」の特効薬!タスクシュート時間術』
この本は、「タスクシュート」という時間管理術を説明する本です。
でも、この本が詳細に考察する予定と記録の関係は、「タスクシュート」を採用しない場合でも、自分なりのタスクマネジメントシステムを組み立てる上で、大いに参考になります。
(4) Toodledoで「Dailyタスクリスト」の運用例
a.佐々木正悟さんの本
Toodledoで「Dailyタスクリスト」を運用するなら、次の2冊の本が参考になります。いずれも、佐々木正悟さんの本です。
b.具体的なToodledo運用例を紹介するブログ記事
「Dailyタスクリスト」をToodledoで運用する具体例は、私が採用したやり方以外にも、いくつかの選択肢があります。
私にとって、特に参考になったのは、北真也さんの書かれたいくつかのブログ記事です。
2011年の情報管理戦略-Chap3.タスク管理(Toodledo→ほぼ日) | Hacks for Creative Life!
Toodledoの使い方 第13回 管理におけるプロジェクトと実行におけるコンテキスト(前編) | シゴタノ!
(「Dailyタスクリスト」に限らず、私のToodledoの使い方は、このエントリを書かれた北真也さんと、このエントリを含む連載の共著者である佐々木正悟さんに、多くの影響を受けています。具体的なところはいろいろと違うのですが、基本的な考え方は、基本的には、そのまま真似させていただいてます。)
また、先ほど「クローズド・リスト」のわかりやすい説明を引用させていただいたアシタノレシピの記事にも、具体的なToodledo運用例が記載されており、参考になります。
Toodledoで構築するオープン・リストとクローズド・リスト
【参考】 私のToodledoの使い方
Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階)
2014年2月当時の、私のToodledoの運用例です。
ただし、当時、Toodledoにもとめていた役割は、主に「タスクの保管」です。なので、タスクの実行のための「Dailyタスクリスト」の考察は、不十分です。
「Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り」へ至った道のり5段階
Toodledoで人生が変わったサラリーマンの、Toodledo運用例・全部入り(2014.2段階)に至るまでの試行錯誤をふり返りました。
私家版Toodledoスタートアップガイド(1) アカウント作成から最初の設定まで
Toodledoはハードルが高い、と言われます。このハードルを少しでも低くできればと思い、Toodledoを使い始めたときの設定をまとめました。
この文章がゴールとして想定しているのは、上のToodledo運用例です。
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