「Dailyタスクリスト」の3つの特徴(タスクの実行前・実行中・実行後)
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最終更新日:2014/09/05
仕事の方法論
1.「Dailyタスクリスト」を考える目的
(1) 「ハイブリッド手帳システム」の「Toodledoで「Dailyタスクリスト」」
最近の私のテーマは、「ハイブリッド手帳システムを作る」です(「ハイブリッド手帳システム」というのは、『クラウド時代のハイブリッド手帳術』で提唱されている手帳へのアプローチです(手帳から「ハイブリッド手帳システム」へ。『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に、自分なりの手帳システムを作る。))。
先日書いたこの文章(ハイブリッド手帳システムを作る【タスク編】ToodledoとEvernoteで作るタスクマネジメントシステム)は、「ハイブリッド手帳システム」のうち、タスクマネジメントシステムについていろいろと考えたことをまとめたものです。
長い文章ですが、概要、
- これまで、私は、Toodledoを、主に、「未来のタスク」のために使っていた。つまり、Toodledoに求めていた役割は、自分の未了の手持ちタスクを、自分の頭のかわりに記録しておくことだった。
- しかし、Toodledoは、「今のタスク」と「過去のタスク」にも、役割を果たせる。
- 「今のタスク」に対してToodledoが果たせる役割は、今、タスクを実行することを、Toodledoが助ける、ということである。
- 「過去のタスク」に対してToodledoが果たせる役割は、自分が実行したタスクを記録することで、完了タスク情報の蓄積から価値を生み出すことである。
- 私は、「今のタスク」と「過去のタスク」にもToodledoを使うことによって、自分の「ハイブリッド手帳システム」を作っている。
というものです。
このうち、「今、タスクを実行するために、Toodledoを、どう使うか」というテーマに対する答えとして、上の記事で検討したのは、「Toodledoで「Dailyタスクリスト」を作り、使う」という方法です。
しかし、上の記事では、十分に検討することができませんでした。そこで、次は、この「Toodledoで「Dailyタスクリスト」」というテーマを掘り下げます。
(2) まずは、「Dailyタスクリスト」を考える
「Toodledoで「Dailyタスクリスト」」というテーマを考えるには、「Dailyタスクリスト」そのものを考えて、自分なりに理解する必要があります。そこで、今回は、「Dailyタスクリスト」について考えます。
「Dailyタスクリスト」とは、その日に実行するタスクのリストです。でも、その日に実行するタスクのリストであれば「Dailyタスクリスト」である、というわけではありません。「Dailyタスクリスト」であるためには、いくつかの特徴を備えている必要があります。
そこで、倉下さんが書かれた次の2つの記事と『クラウド時代のハイブリッド手帳術』を参考に「Dailyタスクリスト」の特徴を、私なりに整理します。
2.「Dailyタスクリスト」の3つの特徴
「Dailyタスクリスト」には、次の3つの特徴があります。
(1) 【特徴1】その日実行するタスクのリストである
a.その日1日分のタスクが掲載されたリスト
まず、「Dailyタスクリスト」は、その日1日分のタスクが掲載されたリストです。その日1日分のタスク「だけ」が掲載されている点で、一般的なToDoリストと異なります。
それは1日分のタスクが掲載されたリストのことです。言い換えれば、その日実行する(予定の)タスクがピックアップされたリストです。
当然、今日のデイリータスクリストと明日のデイリータスクリストは別物になります。その意味で、よく使われるToDoリストとは異なった存在と言えるでしょう。ToDoリストは、項目の追加・削除という変更要素はあるにせよ、流れる川のようにその存在自体は単一です。対して、デイリータスクリストは点在する小さな水たまりのように、1日ごとに個別のリストが存在します。
b.クローズドリストである
「Dailyタスクリスト」は、その日実行するタスクのリストです。が、その日実行するタスクのリストであれば「Dailyタスクリスト」なのかといえば、そういうわけではありません。「Dailyタスクリスト」は、原則として、「クローズドリスト」でなければいけません。
「クローズドリスト」とは、「オープンリスト」と対比される概念です。何がオープンだったりクローズだったりするのかといえば、リストの入り口です。
「オープンリスト」は、リストの入り口が開いているので、タスクリストのタスクを実行している最中も、どんどんリストにタスクが追加されます。これに対して、「クローズドリスト」は、リストの入り口が閉じているので、タスクリストのタスクを実行している最中は、リストに新しいタスクが追加されません。
「クローズドリスト」のメリットは、タスクリストのタスクを実行する限り、必ず、リストがだんだん小さくなっていく、ということです。
c.その日の時間を「見える化」する機能を持つ
「Dailyタスクリスト」の役割のひとつは、その日の時間を「見える化」することです。
時間は目に見えませんので、その日の時間がどんな感じで流れるのかを目で見ることは、できません。でも、その日の時間がどんな感じで流れるかを認識できないと、その日をシミュレーションすることができません。
そこで、何らかのツールの助けを借りて、その日の時間を認識しなければいけません。時間を「見える化」するツールが必要です。
「Dailyタスクリスト」は、その日の時間を「見える化」するためのツールでもあります。
まず、「Dailyタスクリスト」にその日実行すべきタスクを並べれば、その日の忙しさを概観できます。おおざっぱにいえば、リストに並ぶタスクがわずかなら、その日の時間は比較的平和に流れるでしょうし、リストに並ぶタスクが膨大なら、その日の時間は慌ただしくなります。
加えて、個々のタスクに見積もり時間を記入すれば、「Dailyタスクリスト」は、より正確に、その日の時間を「見える化」します。
(2) 【特徴2】それを参照しながらタスクを実行するためのリストである
「Dailyタスクリスト」は、タスクを実行するために、常に参照されるリストです。作って終わりではなくて、そこに書かれたタスクを実行するために、その日一日中使われるリストです。
「Dailyタスクリスト」は、タスクの実行を助けます。どのようにタスクの実行を助けるのかを考えると、次の3つです。
a.今日これから実行すべきタスクと、今日これまでに実行したタスクを教えてくれる
「Dailyタスクリスト」は、今日実行すべきタスクを教えてくれます。どのタスクを実行するかの迷いが減ります。
また、「Dailyタスクリスト」は、今日中に実行すべきタスクの全体を教えてくれます。今日一日で実行すべきタスクの全体像がわかります。原則「クローズドリスト」なので、やれば減ります。終りが見える安心感は、タスク実行のやる気を高め、タスク実行を助けます。
さらに、タスクを実行したら「Dailyタスクリスト」に並んでいるそのタスクに完了のチェックを入れるため、今日これまでに実行し終えたタスクが目に入ります。自分が成し遂げたことを具体的な形で確認できるので、励まされます。
b.タスク実行中の感情と思考を受け止める
「Dailyタスクリスト」は、タスク実行中の感情と思考を受け止めてくれます。どんなタスクを実行するにせよ、タスクを実行していると、いろんな感情が湧いてきたり、いろんなことを考えたりします。
これらの感情や思考をそのままにしておくと、タスク実行の妨げになることもあります。また、タスク実行の妨げにならないにしても、タスク実行中に浮かんだ感情や思いついた思考は、いろんな改善のヒントが潜んでいるはずなので、そのままにしておくのはもったいないです。
そこで、タスク実行中の感情と思考を受け止める仕組みを用意することが大切です。
「Dailyタスクリスト」は、この、タスク実行中の感情と仕組みを受け止める仕組みになります。とはいっても、大したことではありません。タスク実行中に浮かんだ感情や思いついた思考を、「Dailyタスクリスト」にメモするだけです。
「Dailyタスクリスト」は、タスク実行中、常に参照されるリストです。そのため、「Dailyタスクリスト」は、最もアクセスのよい、タスク実行中の感情や思考をメモする場所です。
c.割り込みと脱線からのダメージを最小化する
「Dailyタスクリスト」は、理論的には、「クローズドリスト」です。ですから、理想状態では、「Dailyタスクリスト」に登録されていないタスクを実行することはありません。
ですが、現実は、そうではありません。朝一番に「Dailyタスクリスト」に登録したタスクではない行動を、日中に行うことは、しょっちゅう発生します。
具体的には、割り込みと脱線です。割り込みとは、朝一番の段階では自分のタスクではなかったタスクが、日中、急遽、自分のタスクになるものです。脱線とは、自分の手持ちタスクではないのに、ついついしちゃう行動です。
割り込みと脱線をゼロにすることは、ほぼ不可能です。でも、割り込みと脱線が不可避だから「Dailyタスクリスト」に意味がない、とはいえません。むしろ、「Dailyタスクリスト」は、割り込みと脱線からのダメージを最小化する、という機能を持っています。
「Dailyタスクリスト」は、本線と現在地を明らかにすることによって、割り込みと脱線からのダメージを最小化します。
本線とは、本来やるべきタスクです。朝一番に作成した「Dailyタスクリスト」には、本線が記載されています。そのため、「Dailyタスクリスト」を見れば、本線がわかります。
現在地とは、今やっている割り込みや脱線のことです。「Dailyタスクリスト」に登録されていない行動を始めるときは、「Dailyタスクリスト」にその行動をタスクとして登録する、というルールを決めれば、「Dailyタスクリスト」で現在地を明らかにすることができます。
現在地がわかれば、割り込みや脱線によって本線から外れているとき、本線から外れていることを自覚できます。また、本線が明らかになれば、割り込みや脱線からどこに復帰すべきかがわかります。そのため、本線と現在地を明らかにすることは、割り込みと脱線からの速やかな復旧を促します。
これによって、割り込みと脱線が生じても、そこからのダメージは、最小化されます。「Dailyタスクリスト」は、割り込みと脱線からのダメージを最小化する機能も持っています。
(3) 【特徴3】使い終わったら、その日の行動記録にもなるリストである
a.使い終わった「Dailyタスクリスト」は、その日の行動記録になる
これまでの2つ(特徴1と特徴2)は、タスク実行前とタスク実行中に「Dailyタスクリスト」が果たす役割の整理でした。加えて、「Dailyタスクリスト」は、タスク実行後にも、その日の行動記録を残す、という役割を果たします。
特徴2に書いたように、「Dailyタスクリスト」は、タスク実行中に常に参照され、書き込まれるリストです。実行されたタスクにはチェックが入りますし、実行されたタスクに関連する感情や思考も書き込まれます。
そうすると、その日1日使われることによって、その日1日が終わる頃には、「Dailyタスクリスト」は、その日の詳細な行動記録になっています。
b.行動記録の3つの機能
1日が終わる段階の「Dailyタスクリスト」は、次の3つの機能を果たしてくれます。
(a) あとから役に立つ
まず、行動記録は、しばしば、後から役に立ちます。
日々を送っていれば、ときには、他の人との間で、「言った・言わない」で見解が対立することがあります。あるいは、自分が何か特定のタスクをきちんと実行したか自信がなくなって、不安になることもあります。
こんなとき、自分の行動記録が詳細に残っていると、とても役に立ちます。
参考:【Toodledo×IFTTT×Evernote】電子業務日誌を自動的に作成する
(b) 日次レビューがはかどる
次に、1日分の行動記録は、いわゆる日次レビューをするための最適な素材です。
日次レビューとは、1日の終わりにその日実行したタスクをふり返って、翌日以降のタスクを整理する作業です。
その日1日分の行動記録があると、この作業がはかどります。
(c) 「やれば残る」から、やる気になる
最後に、これは副次的な機能かもしれないのですが、やる気が出てきます。
人によってもちがうのかもしれないのですが、私は、実行しても何も残らないタスクよりも、実行すれば何かが残るタスクのほうが、やる気になります。そして、「Dailyタスクリスト」が1日分の行動記録を残してくれるなら、すべてのタスクが、少なくとも行動記録は残してくれます。そのため、すべてのタスクに取り組むやる気が、わずかかもしれませんが、この分、上がります。
参考:「やれば残る」から、やる気になる。(ToodledoとEvernoteによる「タスクの実行」のやる気を出すシステム)
3.ここまでのまとめと、今後の検討予定
ここまで検討した「Dailyタスクリスト」の3つの特徴をまとめます。
- 【特徴1】タスク実行前(朝一番):その日実行するタスクのリスト
- その日1日のタスクの全部だけのリスト
- クローズドリスト
- 時間を「見える化」するリスト
- 【特徴2】タスク実行中(日中):タスク実行にあたって常に参照され、感情と思考を受け止めて、脱線と割り込みに対応するリスト
- タスク実行中、常に参照されるリスト
- 感情と思考を受け止めるリスト(瞬時レビューの場所)
- 脱線と割り込みに対応するリスト(本線を明らかにする)
- 【特徴3】タスク実行後(その日の終わり):その日1日に実行されたタスクを並べた行動記録リスト
- タスク実行に従って予定が行動記録に移り変わり、1日の終わりには、その日1日分の行動記録になっている
- 行動記録には、3つの機能がある
- あとから役に立つ
- 日次レビューがはかどる
- 「やれば残る」から、やる気になる
次は、この3つの特徴を前提に、「Toodledoで「Dailyタスクリスト」を作り、使う」には、どうしたらよいか、を検討します。明日のお昼にアップする予定です。
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