「やれば残る」から、やる気になる。(ToodledoとEvernoteによる「タスクの実行」のやる気を出すシステム)
目次
1.Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積する目的と、副次的効果
(1) Toodledoの完了タスク情報を、IFTTTで、Evernoteに蓄積する
私のタスクマネジメントシステムの中心は、Toodledoです。でも、Toodledoだけで完結しているわけではありません。Toodledoと他のクラウドサービスとが緩やかに結びついた全体が、私のタスクマネジメントシステムを構成しています。
(この、複数のツールから1つの「システム」を作る、という考え方を、私は、R-styleの倉下忠憲さんの『クラウド時代のハイブリッド手帳術』から学びました。
自分個人のための知的生産システムを改善し続ける。「ハイブリッド」シリーズ(倉下忠憲)から受け取った「ハイブリッド・システム」というコンセプト。)
私のタスクマネジメントシステムの中で、Toodledoに負けず劣らず大切な役割を果たしているのは、Evernoteです。Evernoteは、Toodledoの完了タスク情報を蓄積する、という役割を果たしています。
Toodledoの完了タスク情報は、IFTTTによってEvernoteに蓄積しています。IFTTTは、複数のクラウドサービスなどの間をつなぎ、その間で情報をやりとりすることを自動化するクラウドサービスです。IFTTTを使えば、自動で、Toodledoの完了タスクをEvernoteに蓄積することができます。
【Toodledo×IFTTT×Evernote】Toodledoの完了タスク情報を、Evernoteに蓄積し、タグで管理する
Evernote×タスク管理(3) これが決定版!Toodledoの完了タスクを1日1ノートでEvernoteに蓄積する方法
Evernote×Toodledo Toodledoの完了タスクをEvernoteに蓄積するiftttレシピの整理
(2) 完了タスク情報から、ログとしての価値とマニュアルとしての価値を掘り出す
a.Toodledoの完了タスク情報には、価値が潜んでいる
Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積することには、どんな意味があるのでしょうか。
それは、Toodledoの完了タスク情報から、ログとしての価値とマニュアルとしての価値を掘り出すことができる、ということです。
Toodledoの完了タスクの情報から、価値を掘り出す・ログとしての価値とマニュアルとしての価値
Gmailにすべてのメールを集約して気づいたのは、すべてのメールをGmailに蓄積すると、いつの間にか、Gmailに、個人的なデータベースが生まれている、ということです(GmailとGoogleカレンダーに集約することで、個人的データベースが、いつの間にか生まれている)。
自分が送受信するメールには、いろんな情報が含まれています。自分が送受信するメールを全部Gmailに蓄積し、Gmailの検索機能によって自由に取り出すことができれば、Gmailは、もはや個人的なデータベースです。しかも、このデータベースは、わざわざ作らなくても、いつの間にか生まれています。このれは、Gmailを使い続けることで得られる大きなメリットです。
これと同じように、自分が完了にしたタスクにも、いろんな情報が含まれています。使い方によっていろんな可能性があるかと思いますが、少なくとも、
- 自分が、いつ、どんなことをしたのか、というログとしての価値
- ひとつの案件を進め、完了にするまでに、どんなことをどんな順序で行ったか、を参考にできるという意味でのマニュアルとしての価値
を引き出すことができます。
b.Toodledoの弱点をEvernoteで補う
しかし、Toodledoは、それ単体では、完了タスク情報を蓄積し、活用することが、あまり得意ではありません。これに対してEvernoteは、情報を蓄積し、活用することが、とても得意です。
そこで、ハイブリッドシステムの考え方を活かし、Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積することで、完了タスク情報から価値を引き出すシステムを組み立てることにしました。
(3) やってみて気づいた、大きな副次的効果は、やる気が出ること
a.開始7ヶ月、主目的は、狙い通り、達成できている
Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積することを始めたのは、2014年1月です。今日で、約7ヶ月続いていることになります(というか、この7ヶ月の間、IFTTTが健気に働き続けてくれています、というべきでしょうか)。
当初、意識していた目的である、ログとしての価値とマニュアルとしての価値は、狙い通りに達成できています。
ログについては、多少運用を整えて、電子業務日誌にしました。
【Toodledo×IFTTT×Evernote】電子業務日誌を自動的に作成する
マニュアルについては、この半年で始まって終わった案件の数がそれほど多くないため、まだそれほどできていません。でも、今後、この完了タスク情報が蓄積され続ければ、よいマニュアルがいろいろと生まれそうな気がしています。
参考:Evernote×仕事。Evernoteに自分なりのマニュアルを蓄積する
b.結果として生じた副次的効果=タスク実行のやる気が湧いてくる
しかしながら、完了タスク情報をEvernoteに蓄積することの効果は、これだけではなく、ぜんぜん狙っていなかった副次的効果が出てきました。タスクの実行に対するやる気が、なんだかすごく増えた気がするのです。
Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積する、という運用を始めたら、私のタスクの実行に対するやる気は、それまでよりもたくさん湧いてきました。
私がしているのは、完了タスク情報をEvernoteに蓄積していることだけです。それも、手動で蓄積しているのではなく、IFTTTで自動化しています。私が具体的にしている動作は、完了タスク情報の蓄積を始める前と後とで、あんまり変わっていません。にもかかわらず、私のタスクの実行に対するやる気は、増えました。
c.「なぜ、完了タスク情報をEvernoteに蓄積すると、タスク実行のやる気が湧いてきたのか?」
タスクマネジメントシステムにおいて、タスクを実行するやる気は、大切です。とても大切です。
ですから、私は、私に生じたこの副次的効果が、なんで生じたんだろうか、ということを考えたいと思います。
「なぜ、完了タスク情報をEvernoteに蓄積すると、タスクの実行に対するやる気が湧いてくるのか?」
これが、今から考えるテーマです。
2.「やれば残る」から、やる気になる
Toodledoの完了タスク情報をEvernoteに蓄積する仕組みを整え、運用し始めたら、タスクの実行に対するやる気が増えました。
この現象が生じたときの自分の考えや気持ちの動きをふり返ると、これには、3つの理由があるように思います。
ただ、3つとはいっても、並列で独立する3つの理由ではなく、段階的な3つの理由です。
(1) 完了タスク情報の蓄積を見返すことから、メリットを得る
完了タスク情報をEvernoteに蓄積することを始めて、すぐに感じたのは、蓄積された完了タスク情報を見返すことによるメリットです。ひとつは、何かあったときに完了タスク情報を見返すことで、助けられたこと、もうひとつは、1日のふり返りが具体的で建設的なものになったことです。
a.蓄積された完了タスク情報に助けられる
まず、完了タスク情報を蓄積したことで、「自分が、いつ、何をしたか」を後で確認することが、すごく楽になりました。この完了タスク情報の蓄積に、何度も助けられました。そして、このことは、タスクを実行する上でも、大きな安心感を与えてくれました。
「Aさんに電話をして●●を依頼する」とか「同僚のBさんに△△を伝える」というような、口だけのタスクをした記録は、自然には残りません。自分でどこかに記録しておく必要があります。
でも、完了タスク情報の蓄積を始める前、私は、このような記録を、あんまりきちんととっていませんでした。大きな理由は、単純に面倒だったからなのですが、ほかにも、「どこに記録したらいいのかわからない」という理由もありました。
これに対して、完了タスク情報の蓄積を始めたら、これら口頭のやりとりの多くが、自然と、Evernoteに蓄積されるようになりました。
口頭のやりとりについても、「自分が、いつ、何をしたか」を後から確認できることに、多くの場面で、助けられました。相手との間で、言った言わないでもめることはそれほど多くありませんが、そこまで行かなくても、「これって、相手に伝えたっけなあ」と不安になったときは、完了タスク情報を見返します。そこに記録が残っていれば、自分がそれをしたことを確認でき、安心できます。
「自分が、いつ、何をしたか」の記録が自然に残り、これを後から確認できることで、私は、安心してタスクの実行に取り組むことができるようになりました。
b.1日のふり返りが具体的で建設的なものになった
もうひとつは、1日のふり返りが建設的になったことです。
1日の終わりに、その日にやったことをふり返ることがあります。以前は、抽象的な印象で一喜一憂していたことが多かった気がします。予定が多くてバタバタしていた日や体調が今ひとつだった日は、「今日はあんまりはかどらなかったなあ」という印象で一日をふり返り、漠然と凹んで、抽象的に反省していました。
でも、完了タスク情報を蓄積したノートがEvernoteにできるようになってからは、このノートを見返すことで、1日をふり返るようになりました。そうなると、抽象的な印象に頼る必要はありません。Evernoteに書かれたことを見ながら、「あれはできなかったけれどこれはできた」と具体的に認識できます。
印象だけで、漠然と凹んで抽象的に反省していたことと比べると、ずいぶんと建設的になりました。
その日にやったタスクのリストが自動的にEvernoteにできることで、1日のふり返りは、具体的で健全な作業になりました。
(2) タスク実行前・実行中・実行直後に、タスクに取り組む自分を確認できる
a.完了タスク情報が蓄積されることを意識して、Toodledoの使い方を少し変えた
このように、蓄積された完了タスク情報を見返すことのメリットを感じたため、私は、Toodledoの使い方を、少し変えました。残ると便利な情報がEvernoteに蓄積されるように、Toodledoの使い方を変えました。
変えた点は、具体的には、次のふたつです。
ひとつは、何かをやるときは、Toodledoに登録してからやる、ということにしました。割り込みタスクであろうが、思いつきの脇道であろうが、Toodledoに登録していない何かをするなら、その前に、Toodledoにタスクとして登録することにしました。毎回守れているわけではありませんが、まあ、できる限り。
もうひとつは、Toodledoのタスクのノート欄に、タスクに関するいろんなことを適当に書くことにしました。タスクを行う際のメモとか、タスク実行中に気づいたこととか、雑多ないろいろです。
(この2つについては、「【Toodledo×IFTTT×Evernote】電子業務日誌を自動的に作成する」にも書きました。)
やってみて、とても気に入ったのは、瞬時レビューです。
瞬時レビューとは、レビュー(タスク完了後のふり返り)の一種で、タスク完了直後に、その感想を20字から50字程度で、簡単に記録するものです。ライフハック心理学の佐々木正悟さんが提唱するアイデアであり、タスクが完了して瞬時に行うレビューなので、瞬時レビューといいます。
何かをするときはToodledoに登録してからやることにしたことと、Toodledoのノート欄に瞬時レビューをはじめとするいろんなことを書くことになったこと。これによって、Evernoteに蓄積される完了タスク情報は、豊かになりました。
b.細かくエネルギーを補給できる
でも、Evernoteに蓄積される情報が豊かになったことよりも、ずっと大きなメリットがありました。これが、やる気が湧いてきた2つ目の理由につながります。
この運用を始めてから、私は、
- タスクに取り組み始めるときに、Toodledoにそのタスクを文字で書き、
- タスクを実行している途中に、浮かんできた感情や考えをToodledoのノート欄に書き、
- タスクを完了した直後に、そのタスクに取り組んだ感想をToodledoのノート欄に瞬時レビューする、
ようになりました。
これによって、
- タスクに取り組み始めるときに、「よし、これをやろう」という気持ちになり、
- タスク実行中に不安を感じたときに、その不安を文字にして気持ちを落ち着けることができ、
- タスク完了直後の感想をToodledoにはき出すことで、自分を認めることができる、
というようになりました。
以前は、1日単位や1週間単位でしていたレビューを、タスクごとに実行できるようになったわけです。感覚的な話ですが、これによって、こまめにエネルギーを補給できているような気がします。
タスクに取り組んだ自分をこまめに確認するして、こまめなエネルギー補給をした結果、私は、エネルギー切れに陥ることなく、タスクを実行できるようになりました。
(3) 実行し、完了にすれば、それがEvernoteに残る
a.Evernoteに蓄積される完了タスク情報それ自体を、価値あるものだと認識するようになった
タスクの実行前・実行中・実行後にToodledoにいろいろ書き込みながらタスクに取り組むようになって、Evernoteに蓄積される完了タスク情報は、豊かになりました。そうなると、ますますEvernoteに蓄積される完了タスク情報が役に立つ場面が増えてきました。
そのうちに、いつの間にか、私は、Evernoteに蓄積される完了タスク情報それ自体を、価値あるものだと認識するようになりました。
それ自体を価値あるものだと認識するようになった、というのは、「Evernoteに蓄積される完了タスク情報は役に立つ。だから価値がある。」ではなく、「Evernoteに蓄積される完了タスク情報それ自体に価値がある。そこに理由は必要ない。」と認識するようになった、ということです。
これは、変な話です。Evernoteに蓄積された情報が価値を持つのは、何かもっと上位の目的のために役立つから、のはずです。上位の目的なしに、情報が蓄積されることそれ自体が価値を持つ、というのは、変です。
変なのですが、まあ、実際にそう感じるようになりました。そして、このことには、私が、「Evernoteを育てる」という感覚を持ってEvernoteを使っていることが関係しているような気がします。が、しかし、ここではこれ以上の検討は保留にして、とりあえず、「Evernoteに蓄積される完了タスク情報それ自体に価値がある」と認識するようになった、ということを前提とします。
b.どんなタスクでも、「やれば残る」。だから、やる気になる。
Evernoteに蓄積された完了タスク情報が豊かになることは、私にとって、それ自体が、うれしくて価値のあることです。
Toodledoに登録したタスクを完了にすれば、その分、Evernoteに完了タスク情報が蓄積されます。どんなタスクだとしても、完了にすれば、そのタスクの分だけ、Evernoteに完了タスク情報が蓄積されます。
ということは、どんなタスクでも、そのタスクを完了にすれば、Evernoteの完了タスク情報を豊かにするという意味で、価値を生み出すことができます。すべてのタスクが、そのタスクを完了にすれば価値を増やすことができるタスクです。どんなタスクでも、「やれば残る」タスクになります。
●
一般に、完了しても何にも残らないタスクよりも、完了すれば何かが残るタスクの方が、やる気になるのではないかと思います。少なくとも私はそうです。
残るものは、有形無形、なんでもよいです。何かが形に残るタスクや誰かがよろこんでくれるタスクは、何の形にも残らず、誰もよろこんでくれないタスクよりも、やる気になります。
Evernoteに蓄積される完了タスク情報は、この、有形無形なんでもよい残るもの、のひとつになります。Evernoteに完了タスク情報が蓄積されることで、「タスクを完了することで何かが残る」と感じることができれば、どんなタスクでも、やる気になれます。
どんなタスクでも、「やれば残る」。だから、タスクを実行する気になる。
「なぜ、完了タスク情報をEvernoteに蓄積すると、タスク実行のやる気が湧いてきたのか?」という問いに対する、私の場合の答えは、おそらく、こういうことです。
3.ToodledoとEvernoteで、「タスクの実行」のやる気を出すシステムを組み立てる
Toodledoを使い始めたとき、私がToodledoに求めていたのは、「自分の頭でタスクを管理したくない。自分の手持ちタスクを全部預かっておいてほしい。」ということでした。
使い始めてしばらくしてからの段階で、私がToodledoに求めていたのは、「タスクについてのもろもろを完璧に教えてくれる秘書」でした(Toodledoを、「何も手伝ってくれないけれど、タスクを完璧に教えてくれる秘書」に育てる)。
でも、今、気づいてみると、私にとってToodledoは、「タスクの実行」のやる気を出すことを助けてくれる存在になりました(Toodledoを、「タスクの実行」のためのシステムへと、進化させる)。
Toodledoが、「タスクの実行」のやる気を出すことを助けてくれるようになったのは、ToodledoとEvernoteがひとつのシステムになったためです。ToodledoとEvernoteが相乗効果を発揮して、こんな予想外の効果を生み出してくれました。
ToodledoとEvernoteを組み合わせれば、「タスクの実行」のやる気を出すシステムを組み立てることができます。
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