Kindleによる読書で、読書からの収穫全体の減少を防ぐ
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勉強
1.Kindleによる読書は、紙の本の読書よりも、収穫が減るのか?
(1) Kindleが、ボトルネックを解消し、読書量を増やす
私の読書量は、KindleとKindle Paperwhiteを使い始めたことによって、かなり増えました。
KindleとKindle Paperwhiteによって読書量が増えたメカニズムは、次のようなものです。
a.読書量を制約していた3つのボトルネック
私の読書量が減っていた原因は、次の3つがボトルネックになっていたためである。
- 空間というボトルネック(本を保管する空間が限られていたため、新しい本を買えなくなっていた)
- 読書時間というボトルネック(読書のためだけに時間を確保することができなかったため、本を読む時間そのものが減っていた)
- 読みたい本と手元にある本とのミスマッチというボトルネック(読書に使える時間ができても、そのときに読みたい本が手元にないと、読書ではなくて別の何かをしてしまう)
b.KindleとKindle Paperwhiteによるボトルネックの解消
これに対して、KindleとKindle Paperwhiteを使ったら、これら3つのボトルネックが、きれいに解消された。
- Kindle本は、Kindle本を保管するための空間を必要としない。KindleとKindle Paperwhiteは、空間というボトルネックを解消する。
- Kindle Paperwhiteを使えば、片手さえ使えれば、快適な読書を楽しめるので、混雑した通勤電車に乗っている時間がすべて読書時間になる。KindleとKindle Paperwhiteは、読書時間というボトルネックを解消する。
- Kindleなら、数百冊のKindle本を持ち運ぶことができる。どんな本を読みたくなっても、その気分に合う本を見つけることができる。KindleとKindle Paperwhiteは、読みたい本と手元にある本とのミスマッチというボトルネックを解消する。
3つのボトルネックが解消された結果として、私の読書量は増えた(回復した)。
Kindleを使うと、なぜ、読書量が増えるのか?→Kindleが3つのボトルネックを解消するから。
(なお、KindleとKindle Paperwhiteによって読書量が増えるのは、この3つのボトルネックを解消することによってです。ですから、ここにあげた3つのボトルネックを解消できるなら、Kindle以外の電子書籍サービスやKindle Paperwhite以外の電子書籍リーダーでも、読書量は増えるのではないかと推測します。ただ、私が使っているのはKindleとKindle Paperwhiteだけなので、KindleとKindle Paperwhite以外については、語ることを控えます。そのため、ここ及び引用した記事では、「KindleとKindle Paperwhiteを使うと」というかたちで書いています。)
(2) Kindleによる読書は、収穫が減るのではないか、という懸念
他方で、大切なのは、読んだ冊数ではなく、読書からの収穫です。読書量が増えたことだけを捉えて、単純によかったよかったと満足するわけにはいきません。
読書からの収穫を考えてみると、私は、Kindleによる読書に対して、漠然とした不安を抱いています。すなわち、私は、「Kindleによる読書は、紙の本の読書と比較して、1冊の本から得られる収穫が低くなるのではないか」という懸念を持っています。
この懸念を抱いている理由は、次の2つです。
a.三色ボールペン方式が使えない
ひとつめは、三色ボールペン方式が使えない、ということです。
三色ボールペン方式は、齋藤孝氏が提唱する読書技法です。赤・青・緑の三色を使うことができる三色ボールペンを使って、以下の色分けルールで、本に線を引いたり書き込んだりする、というものです。
- 赤:客観的にとても大切
- 青:客観的に大切
- 緑:主観的に面白い
主観的な面白さ、つまり読者である自分の興味関心に合致するかどうかと、客観的な大切さ、つまりその本の主題や筋道に照らして重要かどうか、を区別するのは、有用な読書技法です。しかし、この主観と客観の区別は、それほど簡単なことではありません。
これに対して、三色ボールペン方式を使うと、この習慣と客観の区別が、比較的簡単に実現できます。三色ボールペンという道具で赤・青と緑をカチカチと切り替える動作によって、自分の頭のモードを、主観と客観との間で切り替えることができるため、のような気がします。
主観と客観の区別という読書技法を比較的簡単に実践できる点で、私は、三色ボールペン方式を愛用しています。
しかし、Kindleで三色ボールペン方式を実践するのは、困難です。
まず、Kindle Paperwhiteは、単色なので、色分けをすることができません。ハイライトにメモを残すことが可能なので、メモの文言で色分けのようなことをすることは可能ですが、手間がかかるため、現実的ではありません。
また、iPhone・iPadのKindleアプリなら、ハイライトに色を付けることも可能です。しかし、目の疲れの点でiPhoneやiPadのKindleアプリをメインにするのは躊躇しますし、ハイライト色分けの操作は多少面倒です。
三色ボールペン方式の肝は、青&赤と緑という主観と客観の区別を簡単にできるところにありますので、色分けに手間がかかっては、力を発揮することができません。少なくとも、現時点では、Kindleによる読書で三色ボールペン方式を実践することは、現実的ではありません。
三色ボールペン方式を使えないことから、Kindleによる読書では、1冊の本から得られる収穫が減ってしまうのではないか、と懸念しています。
b.情報の少なさ故、記憶への食い込み度合いが浅い
ふたつめは、Kindle本は、紙の本と比べて、含まれる情報の種類が少ないので、その分、記憶への食い込み度合いが浅い、という点です。
Kindle本も紙の本も、コンテンツに関しては、基本的に同一です。同じテキストと同じ図表が含まれています。
それでも、Kindle本は、紙の本と比較して、含まれる情報が少ないです。Kindle本には含まれない種類の情報があるためです。
たとえば、本への書き込みを比較してみます。紙の本への書き込みは、線を引く場合もメモを書き込む場合も、手書きなので、線のゆれとか字の崩れなど、豊富な情報があります。また、手書きなので、簡単なイラストや図表をメモすることもできます。でも、Kindle本への書き込みは、ハイライトとメモのみです。ハイライトはどこをハイライトするかという選択のみ、メモはテキストのみです。情報の種類を比べれば、紙の本の圧勝です。
ほかにも、ページ数や紙質といった点でも、紙の本の方が含まれる情報の種類が多いと言えます。
情報の種類が少ないことは、デメリットばかりではありません。でも、こと記憶への食い込み度合いについては、情報の種類が少ないことは不利です。
たとえば、試験のために教科書や参考書の記載内容を覚えるときも、えてして、記憶を促すのは、記載内容だけでなく、ページのどのあたりの位置に書かれていたかといった視覚情報や、ページにこぼれたコーヒーのシミといった周辺情報です。
Kindle本の記憶への食い込み度合いは、Kindle本に含まれる情報の種類が少ないため、紙の本の記憶への食い込み度合いと比較して、浅くなります。読書からの収穫は、ある程度、その本がどの程度記憶に食い込むかに依存します。そのため、Kindleによる読書では、1冊の本から得られる収穫が減ってしまうのではないか、と懸念しています。
(3) Kindleによる読書で、読書からの収穫を減らさないためには、どうすればよいか?
ここまでの話をまとめます。
まず、Kindleを使えば、読書量、つまり読了できる冊数は増えます。
次に、しかし、Kindleによる読書は、紙の本の読書と比較して、1冊を読了することから得られる収穫が減ってしまうのではないか、という懸念があります。この理由は、三色ボールペン方式が使えないことと、記憶への食い込み度合いが浅くなることの2つです。
いくら読書量が増えても、読書全体から得られる収穫が減ってしまっては、意味がありません。大切なのは、読了した冊数ではなく、読書によって得る収穫です。
そこで、「Kindleによる読書で、読書からの収穫を減らさないために、どんなことができるか?」を考えます。
なお、三色ボールペン方式ができないことと情報の種類が少ないことは、少なくとも当面の間は、解消できないような気がします。なので、この2つは所与のものとして受け入れた上で、Kindle本ならではの強みを活かすことを基本方針とします。
2.Kindleによる読書で、読書からの収穫を減らさないための、3つの方策
(1) アウトプットする
アウトプットすることは、読書からの収穫を増やすための、よい方法です。
Kindleによる読書の強みのひとつは、アウトプットへのつなげやすさです。そこで、アウトプットしやすいというKindle本の特徴を活かすことが考えられます。
Kindleによる読書がアウトプットに繋げやすいとは、どういうことでしょうか。
まず、「共有」機能を使えば、本の一節やコメントを、TwitterやFacebookに共有できます。「共有」自体が、一種のアウトプットです。
Kindle Paperwhiteの「共有」は、読書に関する、ハードルの低いアウトプットを助けてくれる。
次に、Kindleの個人ページを使えば、Kindleで「ハイライト」した箇所や「メモ」の内容、「共有」した箇所を、一覧できます。この個人ページをEvernoteにウェブクリップすれば、そのノートを起点に、Kindle本に関するアウトプットが促されます。
Kindleの個人ページをウェブクリップして、Evernoteに読書メモを残す
そして、読書に関するアウトプットをブログ記事というかたちに整えることは、読書からの収穫を増やす、よい方法です。
読んだすべての本をブログ記事にするのは現実的ではありません。でも、これという本だけでも、ブログ記事というアウトプットに繋げれば、読書からの収穫は、確実に増えます。
そんなわけで、アウトプットすることは、Kindleによる読書からの収穫を増やすための、よい方法です。
【参考】
アウトプットによって読書からの収穫を増やすことについては、次の記事が大変参考になります。
また、全ての本に同じステップを適用する必要はありません。本にもアタリハズレがあります。ハズレの本は、ステップ1だけで問題ないでしょう。その代わり、気になった本には十分に時間を投下しましょう。
なにごとにも、選択と集中は必要です。
(2) 繰り返し読む
読み終えた本を読み返すことは、読書からの収穫を増やすための、よい方法です。
1回読むよりも2回読む方が、2回読むよりも3回読む方が、理解も深まり、記憶にも定着します。また、自分の行動を変えるために本を読む場合は、1回や2回では足りず、何度も繰り返し読む必要があるように思います。
いずれにせよ、同じ本を何度も繰り返し読むことは、ちっとも無駄なことではなく、読書からの収穫を増やすための効果的な作業です。
Kindleによる読書の強みのひとつは、読み終えた本を読み返すのが簡単なことです。
読み終えた本を読み返す、という行為は、すごくシンプルです。しかし、読み終えた本を読み返すことは、紙の本の場合、必ずしも簡単ではありません。
まず、ごくあたりまえのことですが、読み終えた本を繰り返し読むためには、その読み終えた本を、手元に置いておく必要があります。手元にない本は読めません。
でも、紙の本の場合、ある本を読み終えれば、次の本を読みたくなるので、読み終えた本は本棚にしまい、新しい本を持ち歩きたくなります。つまり、紙の本の場合、読み終えた本は、普通は、手元にはありません。
そのため、読み終えた紙の本を読み返すには、あえてそうしようという意図が必要です。
これに対して、Kindleなら、軽く数百冊を超える本を持ち歩くことができます。あたかも本棚をまるごと持ち歩いているようなものなので、いま読んでいる本だけでなく、過去に読み終えた本のすべてを持ち歩くことができます。
Kindle本は、あえてそうしようと思わなくても、自然と、これまでに読み終えた本のすべてが、手元にあります。そのため、手元にないから、という理由で、読み終えた本を読み返すことができない、ということは生じません。
Kindleのこの強みを活かして、読み終えた本を折に触れて繰り返し読むことで、Kindleによる読書からの収穫を増やすことができます。
(3) 読む冊数を増やす
これまで検討してきた「アウトプットする」「繰り返し読む」という2つは、1冊あたりの収穫を増やすための方策でした。
しかし、大切なのは、全体の収穫です。ざっくりいえば、全体の収穫は、1冊あたりの収穫と読んだ冊数という2つの要素で決まります。読んだ冊数を増やそうとするあまり全体の収穫が減るのが無意味であるのと同様に、1冊あたりの収穫を増やそうとするあまり全体の収穫が減るのも無意味です。
そこで、「1冊あたりの収穫は多少減ってもいいから、全体の収穫が増えることを狙う」という方針が考えられます。
この方針は、すなわち、1冊あたりの収穫の減少を補うくらいに、読む冊数を増やす、ということです。
実際、Kindleを使うことで、私は、大幅に読書量を増やす(回復する)ことができました。三色ボールペン方式が使えないことや情報の種類が少ないことによって、1冊あたりから得られる収穫は減っているのかもしれません。しかし、読書量が大幅に増えたため、読書全体から得られる収穫は、確実に増えたように感じています。
1冊あたりの収穫の懸念はあんまり気にせずに、とにかく読む冊数を増やす、というのも、ひとつの方針です。
3.まとめ
Kindleによる読書をすれば、紙の本の読書と比較して、読書量が増えます。
しかし、Kindleによる読書は、紙の本と比較して、1冊あたりの読書から得られる収穫が減るおそれがあります。
Kindleによる読書をすることで、読書全体から得られる収穫が減っては本末転倒です。そこで、私は、次の3つの基本方針を大切にしています。
(1) アウトプットすることで、1冊あたりの収穫を増やす
(2) 繰り返し読むことで、1冊あたりの収穫を増やす
(3) 読書量を大幅に増やすことで、1冊あたりの収穫減少(があると仮定して、その減少)を読書量増加でカバーする
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