Gmailを、クラウド上のメールシステムとして使う(2014年6月段階)
目次
1.Gmailが提供するのは、クラウド上のメールシステム
(1) Gmailは、クラウド上のメーラー
私は、自分が使っているすべてのメールを、Gmailから送受信しています。
【・・・@gmail.com】という私のGmailのメールアドレス宛に送られたメールは、私のGmailの受信トレイに届きます。あたりまえです。
でも、それだけでなく、私が使っているその他の普通のメールアドレス(たとえば、【irodrawあっとーまくtjsg-kokoro.com】というメールアドレス)宛に送られたメールも、私のGmailの受信トレイに届きます。
【・・・@gmail.com】という私のGmailのメールアドレスからメールを送るとき、私はGmailを使います。Gmailを使えば、【・・・@gmail.com】という私のGmailのメールアドレスからのメールを送ることができます。あたりまえです。
でも、それだけでなく、たとえば【irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com】というメールアドレスからメールを送るときにも、私はGmailを使います。Gmailを使うことで、私は、たとえば【irodrawあっとまーくtjsg-kokoro.com】というメールアドレスからのメールを送っています。
私は、Gmailから、自分が使っているすべてのメールアドレスを送受信しています。これは、Gmailを、メーラー(OutlookやBecky!のようなメールを送受信するアプリケーションのこと)のように使う、という使い方です。
ThunderbirdよりもBecky!よりも秀丸メールよりも、Gmailをメールソフトとして愛用している3つの理由
Gmailをクラウド上のメーラーとして使うメリットを一言でいえば、いつでもどこからでも、いつもと同じただひとつの環境でメールを使うことができる、ということです。自宅のノートパソコンからでも、職場のデスクトップパソコンからでも、スマートフォンのGmailアプリからでも、iPadのGmailアプリからでも、いつもと同じ私のメール環境が利用できます。
しかも、パソコンを買い替えても、スマートフォンを買い替えても、Gmailのアカウントを登録しさえすれば、それ以外にメールを移行する手間はありません。
Gmailをクラウドにあるメールソフトとして利用することで解消できた、メールについての3つの悩み
(2) 自分なりのGmail運用ルールを設定して、Gmailをクラウド上のメールシステムにする
これに加えて、自分なりのGmail運用ルールを設ければ、Gmailは、いわばクラウド上のメールシステムになります。
運用ルールとは、たとえば、受信トレイを空にするとか、スターや下書きをどう使うかとか、どんなフィルタを作るかとか、複数のメールアドレスをどう使い分けるか、といったことです。
Gmailというメールシステムは、強力です。
まず、日々目の前を飛び交う膨大な量のメールをスムーズに処理することができます。Gmailというメールシステムを使えば、メールをフローとして上手に扱うことが可能になります。
加えて、日々目の前のメールを処理し続けているだけで、結果として、いつのまにか、自分のための個人的なデータベースができています。Gmailというメールシステムを使えば、メールをストックとして活用することが可能になります。
私にとって、Gmailは、たんに【・・・@gmail.com】というGmailのメールアドレスを使うためのウェブメールではありません。私にとって、Gmailは、メールに関する私の全部を管理してくれる、クラウド上のメールシステムです。
(3) 若干の注記(仕事用のメールは、Google Apps for Business)
なお、私の職場では、仕事用メールにGoogle Apps for Businessを使っています。Google Apps for Businessに届いたメールを私個人のGmailに集約することも、設定上は、不可能ではありません。でも、私は、仕事用メールについては私個人のGmailに集約することはせずに、Google Apps for Businessで管理しています。主にセキュリティの観点です。
そのため、実際の私のメールシステムは、すべてのメールが私個人のGmailひとつに集約されているわけではありません。仕事用メールはすべてGoogle Apps for Business、それ以外のメールはすべて私個人のGmail、と、2箇所に分散しています。
ただ、これはあんまり本質的なことではないかなと思いますので、以下ではこの点を無視し、すべてのメールを私個人のGmailに集約しているかのように記載します。
2.すべてのメールをGmailから送受信し、Gmailをクラウド上のメーラーとして使う(メールをフローとして扱う)
(1) すべてのメールをGmailから送受信する
Gmailをクラウド上のメーラーとして使えば、すべてのメールをGmailに集約することができます。
このための設定は、多少面倒ですが、そんなに難しくはありません。ウェブ上に、たくさんの情報が提供されています。
a.公式情報
何はともあれ、まずはGoogleによる公式情報です。
(a) 受信する方法
Gmail を使用して他のアカウントのメールを確認する – Gmail ヘルプ
(b) 送信する方法
b.おすすめの連載
また、公式情報の他にも、たくさんの情報があります。
比較的最近公開された情報の中では、この連載がとてもわかりやすく、おすすめです。
マルチ・デバイス時代のGmail活用術:第2回 Gmailでメールを集約・一元管理する(受信編) – @IT
マルチ・デバイス時代のGmail活用術:第3回 Gmailで差出人を別のメールアドレスに変更して送信する – @IT
c.このブログの過去記事
このブログでも、以前、Gmailから他のメールアドレスを送受信する方法を書きました。
Gmailを使う(1) Gmailからすべてのメールアドレスのメールを送受信し、Gmailにすべてのメールを集約する
(2) 基本ルールとしての、受信トレイを空にする習慣
Gmailをメールシステムにするため、私は、いくつかの運用ルールを設けています。いちばんの基本ルールは、受信トレイを空にする、というものです。
Gmailを使う(2) 受信箱を空にすることを中心に据えた運用ルール
Gmailは、アーカイブという優れた機能を持っています。しかも、アーカイブのために必要な動作は、ひとつのキーを押すだけです。この機能を最大限活用するため、私は、受信トレイに届いたメールについて、可能なかぎりすぐに何らかの処理をして、処理を終えたらアーカイブする、ということを基本にしています。
返信すれば処理が終わるなら、すぐに返信を書いて送り、アーカイブします。(Gmailの「返信&アーカイブ」ボタンは、すばらしいです。)
すぐには返信できないなら、とりあえず返信を書き始め、下書きに書きかけの返信メールを保存して、アーカイブします。この用途で使うと、Gmailの下書きは、大きな力を発揮します。返信の続きを書けるのが翌日以降になるなら、Toodledoにタスクとして送信しておきます。(このためにIFTTTを使うこともできますし、ブックマークレットを使う方法もあります(Gmailでタスクを含むメールを受信したとき、ブックマークレットでToodledoに追加する仕組み)。)
3.Gmailに、いつの間にか、自分のための個人的なデータベースができている(メールをストックとして活用する)
(1) すべてのメールを蓄積することから生まれる大きな価値
自分が送受信したメールには、自分個人にとって役に立つ情報が、たくさん詰まっています。自分が送受信したメールから自由に情報を取り出すことができるのであれば、メールの蓄積は、自分のための個人的なデータベースになります。
Gmailにすべてのメールを集約すると、Gmailは、いつの間にか、個人的データベースになります。
GmailとGoogleカレンダーに集約することで、個人的データベースが、いつの間にか生まれている
Gmailを自分専用データベースとして活用するための5つの習慣
(2) データベースとしてのGmailの質を上げるためのGmail運用ルール
なにも意識せずに使っていても、すべてのメールをGmailに集約すれば、Gmailは個人的データベースになります。
でも、いくつかのことを意識すると、データベースとしてのGmailの質は、ぐんと上がります。その中で、わりと簡単にできることは、次の3つです。
この3つには、共通する狙いがあります。それは、「あとから検索するときに見つかりやすくする」ということです。私が思うに、Gmailを使いこなす秘訣は、「分類せずに検索する」です。Gmailは、優秀な検索機能を持っていますので、分類しなくても検索できます。ただ、ちょっとしたことを意識しておくと、検索がより簡単に、より確実になります。
このための心がけが、次の3つの心がけです。
Gmailを使う(3) メールは、整理しないで、検索する(検索の基本と検索を意識したメールの使い方)
a.1スレッド1内容
まず、ひとつのメールに記載する内容は、ひとつにします。1メール1内容です。
加えて、Gmailでは、メールはスレッドで表示されます。また、検索結果もスレッド単位です。そのため、ひとつのスレッドに複数の話題が混在していると、特定のメールを検索で見つけることが若干面倒になります。
そこで、1スレッド1内容を心かげます。具体的には、返信メールを重ねる中でメールが扱う内容が変わったら、その段階で件名をつけ直す、ということです。件名をつけ直せば、スレッドが分かれます。
b.件名をちゃんと書く
次は、件名をちゃんと書く、ということです。
Gmailの検索結果は、1行に1メール、「差出人・件名・本文の抜粋」という形で表示されます。このうち、自分でコントロール可能で、かつ一番目立つのは、件名です。
メールの件名は、気を抜いていると、同じようなものになりがちです。たとえば、「ご連絡」「昨日のお礼」「彩郎です」などなど。でも、このような件名では、内容がまったくわからないので、検索の役に立ちません。
これに対して、多少気をつければ、メールの件名に有益な情報を入れることができます。たとえば、「明日(2014/06/25)のランチ会@名古屋駅の開始時間とメンバー」「ご注文の洗濯機発送のご連絡(到着予定日:2014/06/22)」「『Evernote「超」仕事術』がおすすめ(質問への回答)」「第3回Gmail研究会(2014/05/30)議事録」といった件名をつければ、このメールは「2014/06/25のランチ会の開始時間とメンバーを書いたメールだな」とか「このメールを見ればGmail研究会の内容がわかるな」などと、検索に役立てることができます。
c.基本的には正式名称を使う
最後に、基本的には正式名称を使う、ということです。
Gmailには、検索機能がついています。この検索機能は、かなり優秀です。でも、ウェブ全体を対象とするGoogle検索と比較すると、まだ発展途上のように感じます。
具体的な不足点は、そのものずばりの単語で検索しないとヒットしないことがある、ということです。
たとえば、今、私のGmailを「Evernote知的生産術」で検索すると、いくつかのメールがヒットします。でも、「エバーノート知的生産術」ではひとつもヒットしません。Google検索では、「Evernote知的生産術」でも「エバーノート知的生産術」でも似たような検索結果になることと比べると、Gmailの検索機能はまだまだです。
そこで、この対策として、名称は正式名称を使います。つまり、「Googleカレンダー活用研究会」というイベントならそのとおり記載し、「Gcal研究会」とか「Googleカレンダー勉強会」などとはしない、ということです。正式名称を使うことを基本とすれば、その正式名称で検索すればヒットしますので、安心です。
(この点は、いずれGoogleが解決するだろうな、とは思います。が、ユーザー側でできることはやっておく方がよいです。)
4.リスクに対する基本的対策としての2段階認証プロセス
(1) 大きな便利さの裏側に、大きなリスク
Gmailにすべてのメールを集約するのは、とても便利です。Gmailにアクセスさえすれば、すべてのメールを処理することができます。それどころか、これまで自分が送受信したすべてのメールをデータベースとして参照できます。
でも、これは、同時に、大きなリスクでもあります。
万一、第三者が私のGmailへアクセスすれば、その第三者は、私に関するかなりの情報を得ることができます。
また、多くのウェブサービスのアカウント変更やパスワード変更は、そのパスワードに登録しているメールアドレスにアクセスできれば、たいてい、可能です。アカウント乗っ取られ放題になってしまいます。
Gmailから、Gmailではないメールアドレスのメールを送受信することの、メリットとデメリット(+対策)
(2) 基本的対策としての2段階認証プロセス
基本的な対策は、やはり2段階認証プロセスではないかと思います。
2段階認証プロセスというと、なにやらややこしそうですが、ぜんぜんややこしくありません。Googleアカウントにログインするために、ID&パスワードに加えて(1段階目)、携帯メールに届くメールに記載されたコードが必要になる(2段階目)、というものです。
2段階認証プロセスは、Googleからの携帯メールを受信できる携帯メールアドレスさえあれば、利用可能です。手間と比べて、得られるメリットは大きいので、Gmailにすべてのメールを集約するなら、これと同時に、2段階認証プロセスの設定をしておくことをおすすめします。
Googleに依存した生活を送っているなら、2段階認証プロセスを検討する価値がある
5.メールから価値を引き出すためにメールシステムを組み立てる、という発想
この記事は、Gmailを便利に使っているいちユーザーである私が、Gmailをどのように使っているかをまとめたものです。
でも、この記事で私が考えたかったことは、具体的なGmailの使い方ではありません。この記事で私が考えたかったのは、多少大げさですが、メールに関するどんなシステムを組み立てるか、そして、そのシステムからどんな価値を引き出すのか、ということです。
メールに関する諸々をひとつのシステムとして組み立てると、そこからいろんな価値を引き出すことができます。Gmailは、メールシステムを組み立てる上で、とてもよい核となってくれるサービスです。
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