フロー、ストック、アーカイブ。Evernote情報処理システムに収納する情報の分類。
公開日:
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最終更新日:2014/06/02
Evernote
目次
1.「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労なく見つけることができる」という命題
(1) Evernoteを整理していないけれど、困っていない
2ヶ月ほど前から、私は、Evernoteを整理することを、試験的に、やめています。その結果、エントロピー増大法則に従って、私のEvernote内のエントロピーは、かなり増えました。
しかし、意外なことに、Evernoteを整理しないことによって、Evernote内のエントロピーが増えても、私は全然困っていません。その理由は、次の2つです。
- Evernote内のエントロピーが増えても、私は、私のEvernoteに、散らかってる、という印象を持ちません。そのため、エントロピーが高い状態のEvernoteを見ても、気がめいりません。
- Evernote内のエントロピーが増えても、私は、私のEvernoteの中から、目的のノートを不自由なく見つけることができています。そのため、エントロピーが高い状態のEvernoteを使っていても、不便ではありません。
(2) もうちょっと突っ込んでみる
というのが、ひとつまえの記事(Evernote内のエントロピーが増大しているけれど、意外と困っていないのは、なぜなんだろうか。)の要約です。
このうち、「Evernote内のエントロピーが増えても、私は、私のEvernoteの中から、目的のノートを不自由なく見つけることができています。」ということを、もう少し突っ込んでみます。
まず、ここ1,2ヶ月の間、私は、Evernoteの中から、目的のノートを、苦労することなく、見つけることができています。これは、事実です。
でも、だからといって、「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労することなく見つけることができる」ということが、普遍的に成り立つ命題だ、とはいえません。
私のケースは、「ここ1,2ヶ月」という短い期間と、「私」のEvernoteの使い方を前提としています。たとえば、1,2年という長い期間にわたってEvernoteの整理を放棄した場合や、私があまり使っていない用途にEvernoteを使う場合にも妥当するのかは、なんともいえません。
はたして、「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労することなく見つけることができる」という命題は、どの程度普遍的に成り立つ命題なのでしょうか。
2.フロー、ストック、アーカイブ、という分類
このことを考えていたら、ふと、Evernoteのノートを、「フロー、ストック、アーカイブ」で分類する、ということを思いつきました。この3者の関係は、思いつきレベルなので、ぜんぜん厳密ではないのですが、こんなかんじです。
- 現在進行中→フロー
- 現在進行中じゃない
- あとで使う(見返す)こと想定してる→ストック
- あとで使う(見返す)こと想定してない→アーカイブ
(1) 現在進行中か否か→フローか否か
まず、現在進行中のノートとそれ以外のノートに分類します。現在進行中のノートはフローのノートです。
情報をフローとストックに分ける、という考え方は、『「超」整理法』で強調されている考え方です。
情報はストックからフローになった(location 107)
情報についていえば、変化の本質は、「ストックからフローへ」と表現できるだろう(location 108)
情報は「ストック」だったのである。
ゼロックス・コピーの登場によってこれが変わり始めた。そして、ワープロで資料が作れるようになって、事態は大きく変わった。(location 111)情報は、いつまでも大事に保管する宝物のようなものではなくなった。右から入って左に抜けてゆくもの、つまり、「フロー」になったのである。(location 117)
個人レベルで情報処理システムを構築するなら、情報をストックとして大事に保管することに主眼を置くのではなく、むしろ、情報をフローとして扱い、情報から何かを生み出すことを大事にするほうがよい、というのが、私が『「超」整理法』から得た大切な学びです。
これをEvernoteに応用すると、現在進行中のノートとそれ以外のノートを分ける、という発想になります。たとえば、書きかけのブログ記事が保存されたノートや、読書メモを作成中のノートは、フローのノートです。
(2) あとで使う(見返す)ことを想定しているか否か→ストックかアーカイブか
次に、現在進行中じゃないノートを、あとで使ったり見返したりすることを想定しているか否か、で分類します。
a.ストックのノートとアーカイブのノート
現在進行中ではないノートには、2つのものがあります。
ひとつは、あとで使ったり見返したりすることが想定されているノートです。たとえば、家の寸法を測って記録したノート、料理のレシピを記録したノート、子どもの成長記録を保存したノート、大学の講義の流れをメモするノートは、あとで使ったり見返したりすることが想定されているノートです。これを、ストックのノートと呼びます。
もうひとつはあとで使ったり見返したりすることが想定されていないノートです。たとえば、ブログ記事を書き上げるために使っていたノート、iftttによってTweetを自動保存しているノート、読んだ記事をPocketから念のため保存したノートなどは、あとで使ったり見返したりすることが想定されていないノートです。これを、アーカイブのノートと呼びます。
b.ストックとアーカイブ
ストックもアーカイブも、どちらも保管です。でも、両者は、保管のあり方が違います。
ストックは、棚にきちんと分類して保管することです。たとえば、メールを整理するとして、過去の受信メールを、内容や差出人などの基準で、たくさんのフォルダに分類して保管するのは、ストック的な保管です。Gmail以前のメール整理の主流でした。
これに対して、アーカイブは、バカでかい倉庫に分類しないでどんどん並べることで、保管します。Gmailのメール整理は、アーカイブです。アーカイブされたメールは、受信トレイからきれいさっぱり消えて、ひとつの大きな場所に放り込まれます。分類は、一切されていません。
(3) Evernoteのノートを、フロー、ストック、アーカイブで分ける
繰り返しになりますが、フロー、ストック、アーカイブの分類基準は、以下のとおりです。
- 現在進行中→フロー
- 現在進行中じゃない
- あとで使う(見返す)こと想定してる→ストック
- あとで使う(見返す)こと想定してない→アーカイブ
言葉の意味上は、もれもダブりもありませんので、理屈では、すべてのノートを、フローとストックとアーカイブに分類することができるはずです。
ためしに、いくつか分類してみます。
ブログ記事は、書いてる途中は、現在進行中なので、フローです。完成して投稿したあとは、現在進行中ではなく、また、あとから使うことを想定していませので、アーカイブです。
日記が現在進行中か否かは微妙ですが、過去のことを記録しているので、現在進行中じゃない、としておきます。また、日記は見返すことを想定していますので、ストックです。
子ども成長記録も同じです。過去の記録なので現在進行中ではなく、また、見返すことを想定しているので、ストックです。
iftttによって、自動的に蓄積しているToodledoの完了ログは、現在進行中ではありません。あとで使ったり見返したりすることを想定しているかといえば、まあ、見返したら有益なものが得られるかもしれないので、想定している、として、ストックとしておきます。
Pocketで読んだ記事をEvernoteにクリップするのは、すでに読み終えた記事なので、現在進行中ではなく、また、見返すことを具体的に想定しているわけではないので、アーカイブです。ただし、何らかのブログ記事などを書くためのネタとしてEvernoteにクリップする場合は、現在進行中として、フローです。
現在進行中か否かも、あとで使うことを想定しているか否かも、一意的に明確に定まる基準ではないので、ふわっとした分類ではありますが、まあ、それなりに使えそうな気がします。
3.「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労なく見つけることができる」との関係
(1) 命題と3分類から言えること
さて、「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労なく見つけることができる」という命題に戻ります。この命題と、フロー、ストック、アーカイブの分類を組み合わせると、次のことが言えるのではないかと思います。
まず、フローのノートについては、「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労なく見つけることができる」という命題は、ある程度普遍的に成り立ちます。フローのノートは、使用頻度が高いためです。
これに対して、フローじゃないノートについては、「Evernoteは、あらかじめEvernoteを整理しなくても、目的のノートを、苦労なく見つけることができる」という命題は、必ずしも妥当しないかもしれません。使用頻度が低いので、検索でうまく見つかればよいのですが、検索で見つからない場合、どこを探せばいいのか、見当がつかなくなります。
でも、フローじゃないノートのうち、アーカイブのノートについては、「目的のノートを、苦労なく見つけることができる」ということは要請されません。アーカイブのノートは、あとから使ったり見返したりすることが想定されていません。そのため、あとで探すこと自体、珍しいことです。たまにしか発生しない事態なので、その1回に多少苦労しても、全体としてみれば、大した問題ではありません。したがって、アーカイブのノートについては、目的のノートを見つけるために苦労しても、それは問題ではありません。
となると、残るのは、ストックのノートです。ストックのノートは、しばしば再使用したり、見返したりすることが想定されています。そのため、見つけるための苦労は、少ないほうがよいです。でも、ストックのノートは、使用頻度がそれほど高くないので、あらかじめ整理をしておかないと、見つけることに苦労します。そのため、ストックのノートについては、あらかじめ整理をしておくほうがよいような気がします。
(2) とりあえずの結論:Evernoteを整理する、大きな方針
以上を踏まえて、Evernoteを整理する、大きな方針を決めました。次の2つです。
- ノートを、フロー、ストック、アーカイブに分類する。分類の基準は、以下のとおり。
- 現在進行中→フロー
- 現在進行中じゃない
- あとで使う(見返す)こと想定してる→ストック
- あとで使う(見返す)こと想定してない→アーカイブ
- ストックのノートは、あらかじめ整理しておく。整理の基準は、これから考える。
ここ1,2ヶ月の間に、時間を作って、この方針でEvernote内に新たな秩序を構築しようと思います。
その後の展開
フロー・ストック・アーカイブを、スタックで実現してみました。
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