『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録・第7回「よい比喩を使いましょう」
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書き方・考え方
この文章は、『文章教室』の練習問題に取り組んだ記録です。
『文章教室』は、結城浩先生がご自身のウェブサイトに公開しているコンテンツです。よい問題・解答例・丁寧な添削が掲載されていますので、文章を書くための練習として、この上ない教材です。
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第1回~第6回の記録は、こちらです。
- 『文章教室』を『数学文章作法 練習問題編』として使う。
- 『文章教室』練習問題実践記録・第2回「適切な単語を選びましょう」
- 『文章教室』練習問題実践記録・第3回「パラレリズムを使いましょう」
- 『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録・第4回「自然な順序で書きましょう」
- 『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録・第5回「語順を変えてみましょう」
- 『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録第6回「重要点は2回書きましょう」
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- 『文章教室(結城浩)』第6回にチャレンジ | 倉下忠憲 | note
- 『文章教室(結城浩)』第6回にチャレンジ (るう) | るうマニアのnote | note
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目次
1.第7回「よい比喩を使いましょう」
(1) ポイント
文章教室の第7回のテーマは、「よい比喩を使いましょう」です。
たんなる比喩ではなく、「よい比喩」です。
よい比喩は、読者の理解を助けますが、 わるい比喩は、読者の理解を妨げます。
(文章教室 第7回 問題編より)
a.「よい比喩」
では、「よい比喩」とは何なのでしょうか。
結城先生は、「読者が、自分の理解が正しいかどうかを比喩によって確認できる比喩」とおっしゃいます。
こうすると、 読者は、自分の理解が正しいかどうかを比喩によって確認できます。
(文章教室 第7回 問題編より)
具体例は、もとページの例文をご覧ください。
b.「わるい比喩」
「わるい比喩」の例として、結城先生は、3つのものを説明します。
- 比喩になっていない比喩
- 過剰な対応付けをしている比喩
- 比喩の方が理解しにくい比喩
耳が痛いです……。
いずれも、もとページの例文を読めば、一目瞭然です。ぜひご覧ください。
(2) 練習問題
さて、練習問題です。
ピオミクタンとサドラミンを同時に使うと、 サドラミンの効果は失われ、ピオミクタンの効果だけが残ります。 サドラミンとグドランをいっしょに使うと、 サドラミンの効果だけが残り、グドランの効果は失われます。 グドランとピオミクタンを合わせて使用したりすると、 ピオミクタンの効果は失われてしまい、グドランの効果だけが残るようになります。 ピオミクタン、サドラミン、グドランを一緒に使うと、 すべての効果が失われてしまいます。
(文章教室 第7回 問題編より)
今回は、次の注記が入っています。
※適切な比喩が見つかればそれを使います。 見つからなければ無理に比喩を使わないようにしましょう。
(文章教室 第7回 問題編より)
2.私の解答
(1) 第7回の解答
——–
3つの薬品、ピオミクタン、サドラミン、グドランは、複数の薬品を同時に使うと、一定のルールに従って、効果が失われます。
- ピオミクタンとサドラミンを同時に使うと、サドラミンの効果は失われ、ピオミクタンの効果だけが残ります。
- サドラミンとグドランを同時に使うと、グドランの効果は失われ、サドラミンの効果だけが残ります。
- グドランとピオミクタンを同時に使うと、ピオミクタンの効果は失われ、グドランの効果だけが残ります。
- そして、ピオミクタン、サドラミン、グドランを同時に使うと、すべての効果が失われ、何の効果も残りません。
3つの薬品を複数同時に使ったときのルールは、じゃんけんのようなものです。ピオミクタンはサドラミンに勝ち、サドラミンはグドランに勝ち、グドランはピオミクタンに勝ちます。また、ピオミクタン、サドラミン、グドランを同時に使うと、あいことなって、誰も勝ちません。
——–
(2) 考えたこと
a.比喩に関して
よい比喩はないだろうか、と考えました。最初に、じゃんけんを思いつきました。三すくみの関係から、じゃんけんを連想しました。
でも、じゃんけんの比喩は、3つ全部を使うとすべての効果が失われることを、必ずしもうまく説明できていないかもしれません。じゃんけんのあいこは、すべてがなくなるわけではないので。
しかし、もっとよい比喩を探しても、思いつくことができませんでした。
そこで、じゃんけんを採用した上で、3つ全部使うと全部の効果が失われることを、「誰も勝たない」という形で説明することにしました(じゃんけんでは、「全員負ける」とは言えないので、「誰も勝たない」を「すべての効果が失われる」に対応させることにしました)。
b.それ以外
(a) パラレリズム
問題文の前半は、3つの薬品のうち2つずつの組合せ3パターンを検討しています。ここに、パラレリズムを使うことにしました。
つまり、「○○と□□を同時に使うと、□□の効果は失われ、○○の効果だけが残ります。」という記載順序と言葉を使う、ということに揃えました。
後半の3つすべてを同時に使う場合も、多少これを意識して、「すべての効果が失われ、何の効果も残りません。」と、「失われる→残る」という形式にしました。
また、パラレリズムがわかりやすいように、箇条書きにしてみました。
(b) 用語の統一
「使う」、「同時に」などに揃えました。
(3) 解答編などを読む
a.解答編
じゃんけんの比喩が圧倒的多数でした。ほっ。
「あいこ」をどう説明するかは、皆さん、いろいろ工夫されているのかもしれません。「きはらさん」の解答からは、私が感じた「あいこ」への戸惑いと、通じるものを感じます。
さて、それでは、3つの薬品を同時に使用するとどうなるのでしょう。 「ジャンケン」では「あいこ」になる所ですが、 この場合は、3つの薬品の効果がすべて失われるという結果になります。
(第7回 解答編より)
b.るうさんの解答
次に、クラスメイトのるうさんの解答を読みました。
『文章教室(結城浩)』第7回にチャレンジ (るう) | るうマニアのnote | note
ストーリーがあって、いい感じです。
「ところが」「こんどは」「それでは」という接続詞が、ワクワクした感じを醸し出していて、よい雰囲気です。
文章は、自由だなあ。
3.おわりに
結城先生のメールマガジンの最新号で、『文章教室』2014期生のことをご紹介いただきました。ありがとうございます。
そこで結城先生が書かれていたこの一文に、私はとても共感します。
約12年前に書いたWebページを使って新しいことが起きるなんて、 素敵なことだと思いませんか。
はい、すてきなことだと思います。ウェブで学ぶことのひとつの形を見つけました。
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