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『文章教室』(結城浩)練習問題実践記録第6回「重要点は2回書きましょう」

公開日: : 書き方・考え方

この文章は、『文章教室』の練習問題に取り組んだ記録です。

『文章教室』は、結城浩先生がご自身のウェブサイトに公開しているコンテンツです。よい問題・解答例・丁寧な添削が掲載されていますので、文章を書くための練習として、この上ない教材です。

結城先生の『文章教室』は、こちらです。

文章教室

第1回~第5回の記録は、こちらです。

『文章教室』2014期生は、いつでも、新入生募集中です。

結城浩先生の『数学文章作法 基礎編』を読んでから、『文章教室』2014期生のクラスメイトができるまで(あるいは、『文章教室』2014期生へのお誘い)

1.第6回「重要点は2回書きましょう」

(1) ポイント

第6回のテーマは、「重要点は2回書きましょう」です。

重要点は2回繰り返して書きましょう。 でも、同じ表現を2回繰り返しても意味はありません。 同じ内容を違う表現で2回繰り返すのがよいのです。

文章教室 第6回 問題編より)

結城先生は、単に重要点を2回繰り返すことを説くだけでなく、「同じ内容を違う表現で2回繰り返すのがよい」と説明します。

さらに、「同じ内容を違う表現で」書き換えるときにも、ポイントがあります。それは、「読者は、どんな誤解をする恐れがあるだろうか」です。

文章を読み返すときには「読者は、どんな誤解をする恐れがあるだろう」と考えます。 そしてその誤解を防ぐような補足説明を書くのです。 (4)~(6)の例を使って考えてみましょう。

文章教室 第6回 問題編より)

ここで記載された(4)~(6)の例は、ぜひ、原文をご覧ください。

読者の誤解を想定し、その誤解を防ぐために、強調したい部分を、表現を変えて、繰り返す。これは、大変創造的で、そして、おもしろい作業です。

文章を読み返すとき、読者のことを思い浮かべてください。 「読者はどういう誤解をするかなあ」と考えるのです。 そして、その誤解を解消するような説明を先回りして加筆しておきましょう。 これが、読者の誤解を防ぐよい方法です。

いまから書こうとしている内容をよく理解し、 その文章を読もうとしている読者をよく理解しましょう。 それが、読みやすく分かりやすい文章を書くコツなのです。

文章教室 第6回 問題編より)

なるほどなるほど。

(2) 練習問題

さて、第6回の練習問題です。

重要点を2回繰り返すように、 次の文章に加筆してください。 この文章が書かれた背景や設定は、 あなたが適宜おぎなって構いません。

——–

研究室を退出する最後の人は、 廊下に面したドアに鍵をかけるのを忘れないようにしてください。

——–

文章教室 第6回 問題編より)

早速やってみましょう。

2.私の解答

(1) 解答

——–

最後に研究室を退出する人は、忘れずに、廊下に面したドアに鍵をかけてください。誰かが残っているなら鍵をかけなくてもよいですが、誰もいなくなるなら鍵をかけなければいけません。

【背景・設定】

この研究室は、誰かがいるときは「廊下に面したドア」を施錠しないが、誰もいないときはこのドアを施錠する、というルールを定めている。しかし、研究室内に誰もいないときの施錠が徹底されていない、という現実がある。そこで、注意喚起のため、この文章が書かれた。

——–

(2) 思考プロセス

a.重要点はどこか

重要点はどこかを考えるため、文章の読者と文章が書かれた背景を設定します。

私は、文章の読者として、研究室のメンバーを設定しました。また、文章が書かれた背景として、「誰かがいるときは施錠しないが、誰もいないときは施錠する」というルールがあるのに、それが守られていない、ということを設定しました。

すると、重要点は、「最後に退出する人」です。そして、この「最後に退出する人」は、「その人が退出することによって研究室に誰もいなくなる最後の人」を意味します。一日の最後に退出する人、ではありません。

b.重要点を言い換えて追加する

この重要点を強調するために、「誰もいなくなるなら鍵をかけなければいけない」と言い換えて、追加することにしました。

3.解答編を読んで

さて、解答編を読みます。

第6回 解答編

私と同じ設定の解答は、柴田純一さんの「解答1」です。

解答1)

研究室を退出する最後の人は、廊下に面したドアに鍵をかけるのを忘れないようにしてください。 たとえ勤務時間内でも、最後の人は毎回鍵をかけてください。 (※これはセキュリティ保護のためです。ご協力をお願いいたします)

第6回 解答編 柴田純一さんの解答より)

この解答を読んで、私は大いに反省しました。この設定で読者がしそうな誤解は、「一日の最後に退出するのでなければ、鍵をかけなくてもいい」という誤解です。であれば、この誤解をさせない工夫が要求されるはずです。

にもかかわらず、私の解答には、この誤解への対応が不十分です。

そこで、修正しました。

——–

最後に研究室を退出する人は、忘れずに、廊下に面したドアに鍵をかけてください。研究室内に誰もいなくなるときは、すぐに戻ってくる予定でも、毎回、鍵をかけてください。ご協力、お願いします。

——–

この方が、読者に誤解される危険性が少ないですね。いい練習になりました。今後、心がけようと思います。

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