頭が混乱したときに備えて、具体的な行動を決めておく。『ねじまき鳥クロニクル』岡田亨の基本技
公開日:
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最終更新日:2013/05/19
仕事の方法論, 単純作業に心を込める
目次
1.岡田亨の基本技
『ねじまき鳥クロニクル』の主人公の「僕」、岡田亨は、頭が混乱すると、アイロンがけをすることにしています。岡田亨がアイロンをかける工程は、全部で12に分かれていて、その12の工程を順番にたどってアイロンがけをすると、岡田亨の頭は、いくぶんすっきりします。
頭が混乱したときにアイロンをかけるというのは、一見すると、何も関係がなく、解決策になっていません。不合理のようにも思えます。しかし、私は、これはなかなか強力な方法なのではないかと思っています。頭が混乱したらアイロンがけをすることにする、というのは、岡田亨の基本技なのではないかと思います。
2.混乱した頭を解きほぐすのは、自分の体を動かす具体的な行動
(1) 頭が混乱したときに、頭そのものに直接アプローチすることは難しい
頭が混乱したときに、頭そのものに直接アプローチすることは難しいです。
頭の混乱は、目に見えませんし、手で触れません。頭の混乱を整えることは、乱雑に散らかった部屋を片付けることとは違います。
(2) 頭が混乱したときでも、自分の体を動かすことはできる
これに対して、頭が混乱していても、自分の体を動かすことはできます。あんまり難しい動作は難しいかもしれませんが、やりなれた簡単な単純動作なら、混乱した頭であっても、きちんと行うことができます。
ちょっと気をつければ、ひとつひとつの工程を意識して、ひとつひとつの単純作業に心を込めて丁寧に動かすことだって、簡単です。
(3) 自分の体を丁寧に動かすと、混乱した頭が、ちょっとほぐれる
自分の体を丁寧に動かすと、混乱した頭が、ちょっとほぐれます。どういう仕組みなのかはわかりませんが、これは、経験上、確かです。
おそらく、体の状態と頭の状態はつながっていて、頭がどんな状態にあるかが体の状態や動きに影響をもたらすこともあれば、反対に、体がどんな状態かや体をどのように動かすかが、頭の状態や働きに影響をもたらすこともある、ということなのだろうと思います。そのため、頭に直接アプローチすることができないなら、頭とつながっている体にアプローチすることで、つまり、体を丁寧に動かすことで、頭をちょっと整えることができます。
3.混乱したときに備えて、具体的な行動を決めておく
岡田亨の基本技がすばらしいのは、頭が混乱する前から、頭が混乱したときに備えて、以下の2つを明確にしていることです。このふたつを明確にしているからこそ、岡田亨のアイロンがけは、強力な基本技になっています。
(1) 混乱する前から、混乱したときに何をするかを決めている
岡田亨は、頭が混乱する前から、頭が混乱したらアイロンがけをする、と決めています。頭が混乱して、整理したくなってから、さて何をして整理をしよう、と考えるのではなく、頭が混乱する前から、混乱したらアイロンがけをする、と決めているのです。
混乱した頭で、混乱の対策を考えることは、あんまりうまいやり方ではありません。混乱した頭では、混乱を整理するために具体的な行動が大切なんだ、というアイデアにすらたどり着かないかもしれません。
したがって、混乱する前から、混乱したら何をするかを決めておくことが大切です。
(2) 工程を、混乱した頭でもできる単純作業に分解して、工程に取りかかる順番を決めている
岡田亨は、アイロンがけを、12の工程に分解しています。ひとつの工程は、袖とか、襟とかのレベルであり、簡単な単純作業です。ここまで分解しておけば、混乱した頭を抱えながらでも、きちんとこの工程をこなすことができます。
また、岡田亨は、12の工程の順番を決めています。どの工程から始めたらよいか、ある工程が終わった後でどの工程に取りかかったらよいか、これらのことを頭で判断するのは、混乱した頭では荷が重いかもしれません。岡田亨は、12の工程の順番を決めていますので、混乱した頭でも、着実に、アイロンがけの12の工程をこなすことができます。
このように、混乱したときに何をするかを決める際は、混乱した頭でもできる単純作業に分解して、その単純作業を片付ける順序まできちんと決めておくことが有効です。
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