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本を買って読むことにしている理由と、一回勝負で読んで、どんどん捨てる、という解決法

公開日: : 書き方・考え方

1.紙の本を整理する仕組みが必要な理由

(1) 本を買って読むことの費用対効果

私は本が好きです。大学生の頃は、空気を吸うように本を読んでいましたし、今でもそれなりに読んでいます。

私は、本を読むときは、その本を買うことにしています。大学生のころ、本は身銭を切って買った方がよい、などと主張する本を読んで、すっかり納得した結果、そうすることにしました。

落ち着いて考えても、本を買って読むという判断には、それなりの合理性があるように思います。費用対効果が高いためです。

まず、費用の点です。本を買うために必要な費用は、それほど高くはありません。一般向け書籍なら、高い本でも、3000円から4000円です。3000円から4000円というのは、居酒屋で数時間飲むときの1人分料金です。毎日数冊の本を買うことはできませんが、1か月に10冊程度の本を買うなら、私の経済状況でも大丈夫です。

次に、効果の点です。本を買うことから得られる効果は、いくつかあります。第一に、買ってしまえば、いつでも読めます。返却期限がありません。第二に、買った本なら、書き込みや貼り付けや切取りなど、自由自在です。第三に、図書館で借りるよりも、早く確実に、目的の本を入手できます。

本は、書き込みながら読むと、より頭に入る気がします。特に、齋藤孝氏が提唱する三色ボールペン方式は、読書する際の頭の動きを活発にする効果があると感じます。ですから、本を買って読むことには、特に書き込みが可能になる点で、高い効果をもたらします。

費用と効果を比べれば、本は買って読むという行動指針には、それなりの合理性があります。このような判断過程を経て、私は、本は買って読む、という行動指針に基づいて行動してきました。

(2) 購入金額ではない大きな費用=収納スペース

ところが、この費用対効果の判断には、ひとつの重要な費用が抜けています。それは、本の収納スペースです。紙の本は、物理的な体積を持っていますので、買えば買うほど、存在するための空間を必要とします。そのため、本を買って読むならば、どこかに収納スペースを確保する必要があります。収納スペースを維持するためには、コストがかかります。特に、このせまい日本のせまい都市部に住むのなら、このコストは、けっして低いものではありません。

さらに、本の収納のために必要になるコストは、金銭的なコストだけではありません。本を整理するための手間というコストがあります。特に、収納スペースがそれほど広くない場合、本を整理するための手間は、激増します。

収納スペースの制約がある場合、本を収納するために、お金と時間が必要になります。これは、本を買って読むことの費用です。

(3) 問題の設定

本を買って読み続ける限り、本を収納するために、少なくない費用がかさみます。この費用は、本が増えれば増えるほど、増えます。

とはいえ、本を買って読むことには、収納以外の点では、高い費用対効果があります。収納のために費用がかかるとしても、それだけの理由で、本を買って読むという方針を捨てるのは惜しいです。

この状況を解決するために、どのような解決策があるでしょうか。

2.一回勝負で読んで、どんどん捨てる、という解決法

(1) 検討対象の解決法

私が考えたのは、収納すべき本を減らす、という解決法です。収納スペースが足りなくなるのは、本が増えるからです。本を増やさなければ、収納スペースは足りなくなりません。本を買っても本を増やさないためには、どうしたらよいでしょうか。どんどん本を捨てればよいのです。本を買うペースよりも速いペースで本を捨てれば、本は増えません。

とはいえ、読んでいない本を捨てるわけにはいきません。それでは買った意味がありません。ある本を捨てるためには、その本を読んでしまう必要があります。

即ち、私の解決法は、「一回勝負で本を読んで、どんどん捨てる」というものです。

(2) この方法のメリットとデメリット

この方法には、メリットとデメリットがあります。

a.メリット

メリットは、次のふたつです。

(a)収納スペース問題の解決

第一に、この方法が解決すべき課題を解決できる点です。この方法を使えば、本が増えないので、本を収納するために必要なスペースが増えません。

【メリットの3条件】

内因性(何らかの問題があること)

本を収納するスペースを確保するために、コストがかかっている、という問題があります。

重要性(その問題が深刻であること)

私の住環境においては、この問題は深刻です。

解決性(問題がその行動によって解決すること)

この方法をとれば、問題は解決します。

(b)その本を読む密度が高くなる

第二に、副次的な効果です。捨てる前提で読むため、自然と、一生懸命読むことになります。覚えておきたいことは、写真に撮ったりメモしたりするきになります。また、どうせ捨てるので、線を引くのも書き込みをするのも、気が楽です。本を汚せます。

【メリットの3条件】

内因性(何らかの問題があること)

本は、読むこと自体に意味があるのではなく、本を読むことによって何かを得ることに意味があります。しかし、読むこと自体が自己目的化してしまい、読むことによって何かを得るということが希薄化していることがあります。これでは、読書の意味がないため、問題です。

重要性(その問題が深刻であること)

読書をしても、あまり多くを得られなければ、もったいないので、この問題は深刻です。

解決性(問題がその行動によって解決すること)

捨てる前提で読めば、読み方が自然と真剣になるため、本を読むことから得られるものは、増える気がします。また、捨てる前提なら、本を汚すことに対する抵抗が減るため、より積極的に書き込んだり折り曲げたりすることができます。その結果、本を読むことによって得られるものは増える可能性があります。そうなれば、問題は解決します。

b.デメリット

デメリットは、次のみっつではないかと思います。

(a)後で読み返すことができない

第一に、読んだ本を捨ててしまえば、その本を後で読み返すことができません。

【デメリットの3条件】

発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)

読んだ本を捨ててしまえば、その本は私の手元からなくなってしまいます。そのため、その本を後で読み返すことができません。新たな問題が発生します。

深刻性(その問題が深刻であること)

本によっては、後から読み返したい本もあります。後から読み返せないということは、深刻な問題です。

固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)

読んだ本をすべて本棚に並べておけば、後から読み返すことができるため、現状では、問題は生じていません。

(b)本と出会うチャンスが減る

第二に、本棚に並ぶ本が減りますので、本と出会うチャンスが減ります。この方法の場合、買った本はすぐに読んで、すぐに捨てます。そのため、当面読む予定のない本が本棚に並んでいる、ということにはなりません。

本との出会いはいろいろなので、ずっと前に何となく買って無造作に本棚に並べていた本が、あるとき自分に響くこともあります。このような本との出会いがなくなります。

【デメリットの3条件】

発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)

この方法をとれば、当面読む予定のない本がたくさん本棚に並んでいる、ということにはなりません。

本との出会いはいろいろです。ずっと前に買って本棚に並んでいた本をふと手に取った結果、その本がそのときの自分に響くこともあります。買って、読んで、捨てる、というサイクルを前提とするこの方法をとると、このような本との出会いがなくなります。

深刻性(その問題が深刻であること)

ちょうどいいタイミングでちょうどいい本と出会えるかは、大切なことです。本棚にたくさんの本が並んでいることによって、ちょうどいいタイミングでちょうどいい本と出会えるチャンスが増えます。このチャンスがなくなるという問題は、深刻です。

固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)

現状では、すし詰め状態ではあるものの、本棚にたくさんの本が並んでいるため、本と出会うチャンスは確保されていますので、問題は生じていません。

(c)本棚が成長しない

第三に、本をどんどん捨ててしまうと、自分の本棚に並ぶ本は、増えません。たくさん本を読んでも、読んだ本が本棚に蓄積されないため、本棚が成長しません。

【デメリットの3条件】

発生過程(論題の行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)

自分の本棚というのは、単なる本の収納スペースではなくて、自分がこれまで読んだ本のログとしても機能します。しかし、本棚をログとして機能させるためには、読んだ本を本棚に並べて保管することが必要です。読んだ本をどんどん捨ててしまえば、本棚に並んでいる本は、直近で読む予定がある本だけになるため、本棚が読んだ本のログとして機能しなくなります。

深刻性(その問題が深刻であること)

自分がどんな本を読んできたのかをログとして把握することは、自分の思考パターンや価値観を振り返る上でも、有効です。そのため、読んだ本のログを失ってしまうことは、深刻な問題です。

固有性(現状ではそのような問題が生じていないこと)

読んだ本を全部本棚に並べておけば、ログはそこにありますので、問題は生じていません。

(3) メリットとデメリットの比較

a.デメリットの解消

デメリットはどれもわりと深刻です。しかし、これらのデメリットは、一応、以下の通り、解消することができます。

(a)後で読み返すことができない

読み返したい本に限って残すか、読み返したくなったらもう一度買う、という方法で解消できます。

(b)本との出会いのチャンス

今では、Amazonというすばらしい本屋さんがあるため、読みたくなったときに即座に本を入手することが可能です。ですから、自分の本棚に並んでいなくても、本と出会うチャンスはある程度確保されます。

(c)本棚の成長

本棚の成長になると確信できる本に絞って残したり、読んだ本の記録をEvernoteなどに残すことによって、ログを残すことが可能です。

b.メリットとデメリットの比較

この比較は、結局のところ、本を収納するスペースを、どの程度簡単に確保できるか、によるのではないかと思います。

私の場合は、残念ながら、無尽蔵に本を収納するスペースを確保することはできませんので、どんどん捨てるというこの方法をとることにしました。

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