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Kindleが、電車やスタバを、書斎にする

公開日: : Kindle

1.はじめに

以前、私は、電子書籍に懐疑的でした。読書は紙じゃなくちゃ、と思っていました。紙の方が、手軽に扱えるし、自由に書き込みをすることもできるし、読書に集中できると思っていました。電子書籍は、邪道だと思っていました。

しかし、Kindle(電子書籍サービスとしてのKindle)を使いはじめて、この考えは変わりました。Kindleによる読書も、紙の本による読書と同じくらい、いい読書方法だと思うようになりました。

紙の本には紙の本なりの強みがあります。Kindleによって紙の本が必要なくなるわけではないとは思います。しかし、Kindleには、紙の本よりも優れた点がいくつかあります。そして、これらの優れた点は、いくつかの状況において、読書という行為の位置づけを変えるほどの力を持っています。

以下、私が感じた、紙の本と比較したときの、Kindleのいいところをまとめた上で、Kindleによって、電車やスタバを、書斎にすることができる、ということを書きます。

2.紙の本と比較したときの、Kindleのいいところ

紙の本と比較したときのKindleの特徴は、書籍がデータであって物ではないということと、紙ではない何らかの機器を操作して読書をするということのふたつです。

(1) 物でないことによるメリット

まず、Kindleの場合、書籍はデータです。物ではありません。データは、物理的な質量を持ちません。これによって、一度にたくさんのいろんな本を持ち歩くことができる、というメリットがあります。

a.何冊だって、ハードカバーだって、持ち歩ける

第一に、Kindleなら、一度にたくさんのいろんな本を持ち歩くことができます。

紙の本の場合、一度に持ち歩ける本には、限界があります。いつもカバンの中に本を入れている人はいても、いつもカバンの中に10冊以上の本を入れている人は、ほとんどいないと思います。また、いつもカバンの中に文庫本や新書を入れている人はいても、いつもカバンの中にハードカバーの専門書や全集や広辞苑を入れている人は、ほとんどいないと思います。

これに対して、Kindleなら、Kindleの中に、10冊、20冊と本を入れておくことができます。また、文庫本や新書だけでなく、ハードカバーや全集や辞書を入れておくこともできます。どれだけ入れても、重さは増えないし、かさばりません。

b.たくさんの本を持ち歩くことができることの意義

私の場合、読書は、そのときの気分にあわせて、行います。そのときの気分は、いろいろです。退屈だけれど味のある物語を読みたい気分のときもあれば、エンターテイメントの要素たっぷりの痛快な物語を読みたいときもあります。実用的な仕事術の本を読みたくなることもあれば、哲学や心理学の古典を読みたくなることもあります。

しかし、読書のチャンスが到来したときに、どんな気分になるかは、予想がつきません。そのため、紙の本だけの場合、いざ読書のチャンスが到来しても、そのときの読みたい気分にフィットする本の手持ちがないことが、これまでにしばしばありました。

これに対して、Kindleなら、いろんな本を入れておくことができます。Kindleストアの品揃えは、まだまだ紙の本には劣ります。しかし、ひととおりの気分をカバーするだけの性質の本をそろえるくらいの品揃えはあります。ですから、Kindleがあれば、どんな気分になっても読む本がある、という状態を実現することができます。

(2) 紙の本との操作方法の違いによるメリット

紙の本と比較したときのKindleのふたつめの特徴は、操作方法が異なる、ということです。

もっとも、Kindleはいろいろなハードで利用することができます。ハードによって、操作方法は微妙に異なります。そこで、ここでは、スマートフォン、タブレット、Kindle Paperwhiteあたりを想定します。

a.机がなくても、書き込みやマーキングができる

Kindleに書き込みやマーキングをするのは、簡単です。書き込みやマーキングをしたいところをロングタップして、そのままドラッグで範囲を指定します。マーキングなら、そこで「ハイライト」をタップ、書き込みなら、そこで「メモを追加」をタップして、キーボードで入力します。

重要なことは、Kindleを利用しているハードと指さえあれば、これらの操作が可能だ、ということです。ペンは必要ありません。机も必要ありません。

私は、本を読むときに書き込みをするのが好きです。特に、自分にとって大切な本は、線を引いたり書き込んだりしながら、一生懸命読みます。しかし、紙の本の場合、書き込みをするためには、机に座ってペンを持って本を読む必要がありました。

これに対して、Kindleなら、立ったままでも、書き込みができます。机もペンもない場所で、書き込みをしながら読書をすることができます。

b.片手でページをめくるのが、楽

Kindleは、ページをめくるのが楽です。スマートフォンならスワイプで、Kindle Paperwhiteなら画面タップで、すいすいと次のページに進みます。

重要なことは、この操作のために必要なのは片手だけだということです。両手を使う必要はありません。

このことは、通勤電車の中で本を読むときに、大きな意味を持ちます。

紙の本の場合、片手でページをめくるのはやりにくいため、両手を使いたくなります。しかし、片手に通勤カバンを持っていると、ページをめくるために両手を使うことは困難です。

これに対して、Kindleなら、片手だけで、何一つ不自由なく、ページをめくることができます。ですから、通勤電車の中で、片手でカバンを持っているときに、もう片方のでだけで読書をすることが、楽々できます。

3.Kindleが、電車やスタバを、書斎にする

(1) 制約の解消

紙の本と比較したときのKindleのメリットには、共通点があります。それは、紙の本を読むときに存在していた状況面の制約が、かなりの程度、解消した、ということです。

a.持ち歩ける重さと体積という制約の解消

持ち歩ける紙の本には限度があります。持ち歩く冊数を増やせば増やすほど、重さと体積が増えます。重さと体積は、本を持ち歩いて読書するときの制約です。

b.書き込みをするための机とペンという制約の解消

書き込みをするためには、机とペンが必要です。しかし、机とペンがある状況で読書をする機会は、それほど多くありません。読んでいる本のふとした一節に感銘を受けたり、そこから新しいアイデアを思いついたときにも、机とペンがなければ、その本に書き込みをすることは難しいです。

書き込みをするためには机とペンが必要であるというのも、書斎以外で本を読むときの制約です。

c.快適に読書をするための姿勢という制約の解消

快適に読書をするためには、ふさわしい姿勢があります。ページをめくるために両手をフリーに使える必要があるというのは、姿勢の基本的な要素です。

(2) Kindleが、電車やスタバを、書斎にする

これらの制約は、紙の本であっても、書斎で読書をするならば、存在しません。逆に言えば、書斎で読書をすることのメリットは、この3点にあります。書斎なら、そのときの気分にフィットする本が、何かしら存在します。書斎なら、机とペンを使うことができますので、自由に書き込みが可能です。書斎なら、ページをめくるために両手をフルに使えますので、ページめくりに不自由さを感じることがありません。

これに対して、Kindleなら、書斎にいなくても、これら3点の制約を消してくれます。今の生活において、私が読書をするチャンスの大部分は、移動途中の電車の中か、ちょっとした空き時間ができたときに入るスタバ(だけではないけれど、喫茶店)です。自宅の書斎(というか、本棚と机がある部屋)でゆっくり読書をする時間をとることは難しいのですが、電車やスタバで過ごす時間は、ちょこちょこと見つかります。Kindleを使えば、電車やスタバでの読書が、書斎での読書と同じように、制約から自由になります。

Kindleは、電車やスタバを、書斎にします。

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