思考の枠組みの一例 『武器としての決断思考』における、メリット・デメリットに対する突っ込み方法
公開日:
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最終更新日:2013/05/14
勉強
目次
1. はじめに
思考の枠組みに従って考えることの実践(1)「ブログを毎日更新するべきか?」(前半)という記事で、「ブログを毎日更新するべきか?」という問いを考え始めました。
この続きを考えるには、メリット・デメリットに対して、突っ込みをすることが必要です。
思いつくまま突っ込んでいってもよいのですが、やはりここでも、思考の枠組みがあった方が、確実に突っ込むことができます。
そこで、メリット・デメリットに対して突っ込みをするための思考の枠組みを確認します。出典は、同じく、『武器としての決断思考』(瀧本哲史)です。
2. 突っ込みの視座
メリット・デメリットには、それぞれ、条件があります。メリット・デメリットの3条件というやつです。
メリット・デメリットに対する突っ込みは、挙げられたメリット・デメリットが、メリット・デメリットの3条件を満たしていないのではないか、という突っ込みです。
つまり、メリット・デメリットの3条件ひとつひとつに対して、本当にその条件を満たしているのか?と突っ込めばよいのです。
3. メリット・デメリットの3条件
メリット・デメリットの3条件は、以下の通りです。
(1) メリットの3条件
- 内因性 (何らかの問題があること)
- 重要性 (その問題が深刻であること)
- 解決性 (問題がそのプランによって解決すること)
つまり、ある行動(「プラン」とします)にメリットがあるというためには、解決するべき何らかの問題があり(内因性)、その問題が深刻・重要であるから解決が必要であるところ(重要性)、そのプランをとれば、その問題を解決することができる(解決性)、という3条件を満たす必要があります。
たとえば、ScanSnapを買うというプランのメリットとして、本を減らすことができる、というものを挙げたとして、このメリットは、以下の通り、3条件を満たしていますから、メリットと言えます。
- 本が本棚に入りきっていない。【内因性】
- 本が本棚に入りきらないと、見た目も悪いし、使い勝手も悪い。【重要性】
- ScanSnapを買えば、本の自炊をすすめることができるから、本を減らすことができるから、残された本を本棚に収納することができる。【解決性】
(2) デメリットの3条件
- 発生過程(検討している行動を取ったときに、新たな問題が発生する過程)
- 深刻性 (その問題が深刻であること)
- 固有性 (現状ではそのような問題が生じていないこと)
つまり、プランにデメリットがあると言うためには、そのプランをとると、別の新たな問題が生じてしまい(発生過程)、かつその問題は深刻であり(深刻性)、プランをとっていない現状ではそのような問題は生じていない(固有性)、という3条件を満たす必要があります。
たとえば、ScanSnapを買うというプランのデメリットとして、机の上の余裕スペースが少なくなる、というデメリットを挙げたとして、このデメリットは、以下の通り、3条件を満たしていますから、デメリットと言えます。
- 私の机は狭いので、ScanSnapを置くと、ScanSnapの分だけ、机の上の余裕スペースが少なくなる。【発生過程】
- 机の上の余裕スペースは、作業効率に影響を与えるので、余裕スペースが少なくなることは、深刻な問題だ。【深刻性】
- 現状では、ScanSnapはないので、机の上の余裕スペースは確保できており、問題は生じていない。【固有性】
3. メリット・デメリットに対する突っ込みの方法
さて、本題です。メリット・デメリットに対する突っ込みは、メリット・デメリットの3条件それぞれに対して、行われます。
(1) 3条件それぞれに対して、素朴に突っ込む
まず、素朴に突っ込んでみましょう。
ア メリットの3条件への突っ込み
- 内因性 ← そんな問題はそもそも存在しないのでは?
- 重要性 ← 問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
- 解決性 ← 重要な問題だとしても、その方法では解決しないのでは?
イ デメリットの3条件への突っ込み
- 発生過程 ← 新たな問題は生じないのでは?
- 深刻性 ← 問題が生じるとしても、たいした問題ではないのでは?
- 固有性 ← 重要な問題だとしても、新たに生じる問題とは言えないのでは?
(2) 6つの視点
素朴な突っ込みだと、思考の枠組みというには、少し荒いので、もう少し細かく分析してみると、以下の通りです。それぞれに対して、二つの視点から突っ込んでいます。
ア メリットの3条件に対する6つの視点からの突っ込み
【内因性】 ← そんな問題はそもそも存在しないのでは?
i) プランをとらなくても、問題は解決する(だから、そもそも問題じゃない)
ii) そもそも現状に問題はない(その状況があったって、不都合はない)
【重要性】 ← 問題だとしても、たいした問題ではないのでは?
iii) 質的に重要ではない
iv) 量的に重要ではない
【解決性】 ← 重要な問題だとしても、その方法では解決しないのでは?
v) プランをとっても、別の要因が生じるから、問題は結局解決しない
vi) プランは、問題の原因を、正しく解決しない
イ デメリットの3条件に対する6つの視点からの突っ込み
【発生過程】 ← 新たな問題は生じないのでは?
i) プランだけでは、新たな問題は生じない。他の要因が必要。
ii) プランの影響は、デメリット発生にいたるには弱すぎる
【深刻性】 ← 問題が生じるとしても、たいした問題ではないのでは?
iii) 質的に重要ではない
iv) 量的に重要ではない
【固有性】 ← 重要な問題だとしても、新たに生じる問題とは言えないのでは?
v) プランをとっていない現状でも、問題は起きている
vi) プランをとらなくても、将来、同様の問題が起きる
4. おわりに
普段何気なく考えているメリット・デメリットというものは、上記のように、分析して考えることができます。この思考の枠組みを使えば、メリット・デメリットについて、安定した思考をすることが可能になるはずです。
次は、この枠組みを使って、「ブログを毎日更新するべきか?」という問いを考えることの続きを行ってみます。
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